2002/6/13 住友化学

韓・台・中におけるLCD 用偏光フィルム設備の大幅な増強について

 住友化学では、コンピューター端末や携帯電話の画面等で需要が急伸しているLCD (液晶ディスプレー)の主要部材「偏光フィルム」について、すでに日本において生産拠点を持っていますが、世界市場で最も需要が伸びている韓国・台湾・中国での増加に対処するとともに、顧客の要望に即応できる一貫生産体制を確立するため、現地での生産・販売体制を大幅に拡充・強化します。
 これら3 拠点での総投資額は約150 億円を予定しており、3 拠点からの売上は3 年後には総額300 億円を見込んでいます。

[韓 国]
                        → 完成
 住友化学・情報電子化学部門の生産拠点である東友ファインケムの平澤(ピョンタク)工場内に、このほど新たに偏光フィルムの原反(※)製造設備を建設することとし、2003 年春の完成を目指して近日中に着工します。これにより、すでに東友ファインケムで実施中の製品化工程とあわせて、偏光フィルムの一貫生産体制が整います。完成後は東友ファインケムを通じて、韓国、中国、シンガポールなどの市場に販売を行う予定です。
  (※)原反:偏光フィルムの長巻ロール(適当なサイズに切断して液晶表示板に使う)

 東友ファインケム Dongwoo Fine Chem Co., Ltd
    本 社:益山(イクサン)市
    設立:1991 年12 月
    資本金:236 億ウォン(約2,360 百万円)
    主要出資者: 住友化学82 %、伊藤忠商事 9 %

Dongwoo Fine-Chem Co., Ltd. (東友ファインケム)

 1991年、韓国の東洋化学工業・住友化学・伊藤忠商事の共同出資で「東友半導体薬品」として設立。1998年に東洋化学の全持株を引き受け、住友化学90%、伊藤忠商事10%の株式構成となりました。
 1999年、事業分野の拡大に対応して社名を「東友ファインケム株式会社」に改め、住友化学の韓国および東南アジアにおける生産・研究開発・物流・販売拠点として機能を拡充しています。
 主に半導体や液晶の生産工程で使用される高純度の電子薬品やフォトレジストおよび偏光フィルムなどを生産していますが、Wet Etch(液体エッチング薬剤)では世界で最先端の技術と最大の事業規模を誇るなど、顧客から高く評価される特殊化学品を多数有しています。
 近年は、紙やプラスチック用の多種有機化合物、殺虫剤や飼料添加物事業もラインアップに加え、さらに大規模な研究所も開設するなど、ファインケミカルのトータル・ソリューション企業として急速に成長しています。
(住友化学ホームページから)

[台 湾]
 台湾においても、同様に偏光フィルムの一貫生産設備の建設を計画しています。当地では既に、製品化工程を行うために住華(スーファー)科技股有限公司を設立、昨年から商業運転を開始していますが、今回は、同社が台南市の台南サイエンスパーク内に原反フィルムからの一貫生産設備を新たに建設します。2003 年内に完成予定で、完成後は台湾の各ユーザーを中心に販売を進めます。

 住華科技股有限公司
    本社:高雄市
    設立:2001 年6 月
    資本金:29 百万台湾ドル(約104 百万円)

[中 国]
 偏光フィルムの製品化を行うため、上海外高橋保税区に上海凱愛使希(ケーエスシー)光電有限公司を設立、このほど設備が完成し稼働を開始しました。原反は平澤工場内の原反製造設備完成後は東友ファインケムから輸入して加工を行う予定です。

 上海凱愛使希光電有限公司
    本 社:上海市
    設立:2001 年9 月
    資本金:2.1 百万US ドル(約236 百万円)

 住友化学では、情報電子化学品事業を伸ばすためには顧客の要望に即応できる生産・販売の一貫体制の確立が不可欠であると考え、体制の拡充整備を図っています。今回は偏光フィルムについて、長期的観点から韓国・台湾・中国の3 カ国において大幅な拡充・強化を行い、既存の日本の生産拠点をあわせると15 百万平方メートル/年の生産体制を整備いたします。また、他の情報電子化学品についても逐次現地生産化を実施していきます。

(参考)日本の生産拠点
      −住友化学 愛媛工場(愛媛県新居浜市)
      −大倉工業(株)(香川県丸亀市)
      −オー・エル・エス(有)(住友化学と大倉工業との折半出資による合弁、
                         本社:東京都中央区、工場:香川県丸亀市 大倉工業内)

 


住友化学 情報電子化学部門    
   
http://www.sumitomo-chem.co.jp/japanese/6co/630division/635itrc.html

 情報電子化学部門は、各種表示板用の光学機能性フィルム等を扱う光学製品事業部、ICの製造工程に用いるフォトレジストや高純度電子薬品等を扱う半導体プロセス材料事業部、IC封止用エポキシ樹脂や各種エレクトロニクス製品の重要部品に使われるスーパーエンジニアリングプラスチック等を扱う電子材料事業部、高度通信機器等の中枢部分に用いられる化合物半導体を扱う化合物半導体材料事業部の4事業部と、情報電子化学品研究所ならびに情報電子化学業務室によって構成されます。

光学製品事業部
  偏光フィルム「スミカラン」

 偏光フィルムは、液晶ディスプレー(LCD)には不可欠の構成材料です。住友化学では、高分子の高配向技術をもとに、高性能偏光フィルム「スミカラン」を開発しました。
 独自の優れた二色性染料を使用した屋外使用にも耐える染料系グレードや、表面に反射防止機能を付与した特殊グレードなどをとりそろえ、ユーザーニーズに応えています。

  位相差フィルム「スミカライト」

 位相差フィルムは、STN型LCDの着色現象を取り除き、鮮明な白黒表示を可能にする液晶部材です。近年のSTN型LCDのカラー化の動きにともない、住友化学の均質性に優れた位相差フィルム「スミカライト」が注目を集め、広く使用されるようになりました。また、LCDの視野角を任意に調整する新グレードも販売しています。

  EL(エレクトロルミネッセント)ランプ

 自動車のメーターパネル照明等の一般用途、超薄型液晶表示を実現するバックライト等表示用光源として広く使用されています。

半導体プロセス材料事業部
  ポジ型フォトレジスト「スミレジスト」

 住友化学のフォトレジスト「スミレジスト」は、これまで総合化学メーカーとして培ってきた確かな技術に支えられています。ハーフミクロンからクオーターミクロンへ、そしてさらにその先へ。今日ますます高度化・多様化するニーズにお応えするため、g線、i線の各種ラインナップを取り揃え、日々高性能化を図るとともに、今後期待されるエキシマレーザー用等、新規フォトレジストの開発にも力を注いでいます。

  高純度薬品

 住友化学は化学全般にわたる広範囲な事業の中で培われたハイレベルの薬品高純度化技術と、微量不純物の測定・評価技術の開発、高度な品質管理によりこの分野のトップメーカーとしてあらゆる市場ニーズに対応しています。また、化学プラントのエンジニアリング技術等に裏付けられた、高純度薬品自動供給システムも提供しています。

  スピオングラス「スミカフィルム」

 スピオングラス「スミカフィルム」は住友化学の独自技術により合成したケイ素ポリマーと有機溶剤からなる多目的ガラス膜形成用の塗布液で、微細パターンの埋め込み性・平坦性等に優れた絶縁膜を形成することができます。

  スパッタリング用ターゲット材

 独自の結晶制御技術を駆使して製造された集積回路用電極・配線材料として、高品位で信頼性の高いアルミニウム合金ターゲット材で、およびチタニウムターゲットを世界に供給しています。

  超高純度アルミニウム「シュプラール」

 純度99.999%以上の超高純度アルミニウム「シュプラール」は、集積回路用配線材料、超電導送電安定化導体用として使用されています。

電子材料事業部

化合物半導体材料事業部

 


中国・ASEANニュース速報 2004/2/26

【台湾】住華科技、3年内に50億元投資
http://www.e-plastics.gr.jp/japanese/nna_news/news/news0402_4/04022608.htm

 住友化学工業傘下の液晶ディスプレー(LCD)用偏光フィルターメーカーである住華科技は、向こう3年内に50億台湾元を投じて生産能力を拡大し、市場シェアを現在の7%から33%に引き上げ、売上高151億元を目指す計画だ。

 台湾の偏光フィルター市場は現在、力特光電(オプティマックス)と日東電工がそれぞれシェア51%と40%を占める寡占状態で、3位の住華(シェア7%)と4位の韓国・LG化学(同2%)を大きく引き離している。住華は日東電工を抜いて、力特に迫りたい考え。

 2003年における台湾の偏光フィルター市場は200億元規模で、このうち大型偏光フィルターが140億元、中小型偏光フィルターが40億元を占めた。大迫一義・住華董事長兼総経理は、広角・超広角液晶テレビ市場の爆発的な拡大により、2006年には偏光フィルター市場は500億元規模へと大幅成長すると予測。

 そのため、親会社である住友化学の技術支援のもと、大手顧客である奇美電子(CMO)の需要に合わせて生産拡大を図る方針だ。

 25日付工商時報が伝えた。


Chemnet Tokyo 2003/6/11

住化、韓国に偏光フィルムの原反設備を完成
  年産400万平方メートル能力、7月から本稼動

 住友化学工業75%、韓国・東友ファインケム25%の共同出資による「東友光学フィルム」は、このほど東友ファインケム・平澤工場内にLCD用偏光フィルムの原反製造設備を完成させた。
 
 生産能力は年400万平方メートル。7月から本稼動となる見通し。韓国ではこれに先駆けて東友ファインケムが同フィルムの加工・製品化体制を整備している。したがって、今回の原反工場の完成によって、住友化学では日本国内に続いて韓国でも同フィルムの一貫生産体制を整えることになる。製品は東友ファインケムが韓国国内のほか中国やシンガポールにも販売していく。
 
 住友化学は、すでに愛媛と丸亀にLCD用偏光フィルム(光学機能性フィルム)の生産工場を保有しているが、需要が特に韓国、台湾、中国の3地域で大きな伸びを遂げ始めたため、最近はこれら3地域で積極的に設備投資を進めている。今回の「東友光学フィルム」の原反工場に続いては、同社80%、稲畑産業20%の共同出資による「
住華科技」が台湾・台南サイエンスパーク内で年産400万平方メートル能力の原反から加工・製品化までの一貫生産工場を建設中で、今年末には完工の予定。日本国内これら3地域を合わせた設備能力は年1,500万平方メートルとなる。


日本化薬グループの中期経営戦略 平成12年1月発表
    http://www.nipponkayaku.co.jp/japan/kessan/kessan_senryaku.html

 フィルム事業は、世界のシェアで、プロジェクション用偏光フィルムは約90%を占め、車載用染料系偏光フィルムでは約70%を占めます。現在の延伸能力は400万uですが、3年以内に45億円を設備投資し、現状の2.5倍の1000万uまで能力を高めてゆく意向です。また、昨年、オランダに「DEJIMA Optical Films」を設立しました。この会社は(株)ポラテクノの100%子会社であり、製品としては「液晶を塗布した温度追随型位相差フィルム」を生産しており、携帯電話の普及から順調な立ち上がりをしています。今後、海外生産拠点として事業拡大をはかります。

(株)ポラテクノ
  設立 平成3年7月29日(日本化薬梶A蒲L沢製作所の合弁会社として設立)
  資本金 12億4000万円
  事業内容

液晶表示用偏光フィルム、位相差フィルム、プロジェクター用偏光板、その他精密加工品の製造・販売


日本経済新聞 2002/9/11 

日東電工、液晶向け偏光フイルム 6割増産 大型テレビ需要対応 三重に新工場

 日東電工は液晶表示装置(LCD)に使う偏光フィルムの生産能力を増強する。三重県に約70億円を投じて新工場を建設、2004年春の稼働を目指す。既存工場の稼働率も引き上げ、生産能力を現在の6割増の年産3800万平方メートルに拡大する。世界的に急増が見込まれる大型の液晶テレビ・モニター向け需要に対応する。
 新工場は半導体封止材などを製造する亀山事業所(三重県亀山市)の敷地内に建設する。2003年1月に着工し、2004年4月の稼働を目指す。年産能力が700万平方メートルの製造ラインを設置。利益率の高い25型から30型の大型液晶パネル用偏光フィルムを中心に生産する。年間生産額は400億円程度を見込む。
 偏光フィルムの主力拠点である尾道事業所(広島県尾道市)も既存ラインの稼働率を引き上げることなどで生産量を拡大する。2003年春以降から順次増産を始め、生産能力を現在の年間2400万平方メートルから2004年春には3100万平方メートルに増やす。亀山の新工場と合わせ3800万平方メートルになる。
 同社は昨年9月に尾道事業所第三工場を本格稼働させ、生産能力を引き上げたばかり。携帯電話やパソコン需要に加え、液晶テレビ市場が本格的に立ち上がることをにらむ。業界調査によると、2001年度の液晶テレビ(10型以上)の世界販売実績は約60万台だが、2002年度は従来のブラウン管(CRT)モニターから液晶への切り替えが進み150万台に拡大すると見ている。

偏光フィルム
LCDを構成する基幹部品で、粘着テープの一種。偏光性という光学機能を実現する偏光子を中心に積層されており、表示を人の目に見えるように変える光学フィルターの役割を果たす。偏光フイルムを取り除くと画面はただの光る板となり、文字も画像も認識できなくなる。光の偏りを解消する位相差フィルムなどと重ね合わせて使われる。偏光フィルムの特性そのものが、LCDの輝度やコントラストなどの光学特性に大きく左右するため、フィルムメーカーの技術力が問われる 


http://www.cnjp-trade.com/japanese/pr/shinshutsu/2001-01.htm

■日東電工 液晶用偏光フィルム 上海に新工場建設

 日東電工は2002年に、上海に液晶ディスプレー用の偏光フィルムの新工場を建設する。同社は液晶用偏光フィルムで60%を超える世界シェアを占めており、新工場は海外における同フィルムの主要生産拠点になる。新工場は、テープ加工を行う現地法人のニットー・デンコー・上海プートン(浦東)の隣接地に建設する。外観検査・打ち抜き工程など同フィルムの後工程専門の加工工場とし、急増するアジア圏の液晶需要に対応する。


http://www.nitto.co.jp/culture/hakubutu/bunkasai/jyoho.htm 

 情報・通信のディスプレイ分野で重要な役割を果たしている粘着テープといえば、まず粘着加工をした偏光フィルムがあります。
 現在、私たちは、数多くの液晶ディスプレイを利用しています。携帯型ワープロやパソコンのディスプレイ、自動車の表示パネル、腕時計や電卓の表示部、さらには携帯型テレビまで。コンパクトで軽量な液晶ディスプレイは、もはや私たちの日常生活に欠かせない存在だといえます。そして、この液晶ディスプレイを可能にしているのが、粘着加工を施した偏光フィルムと呼ばれるものなのです。
 
偏光フィルムとは、特定の振動方向の光だけを透すようにしたものです。限られた光だけを透す偏光フィルムの特徴と、液晶の特徴を組み合わせることによって、初めて液晶ディスプレイの開発が可能になりました。そして、液晶ディスプレイの視認性を向上させるために開発されたものが位相差フィルムです。位相差フィルムとは、光の透過速度の差によって生じる色の偏りを解消するものです。この位相差フィルムも、偏光フィルムと同様に粘着加工されます。しかし多くの場合、偏光フィルムと位相差フィルムとは積層一体化されて提供され、時によっては 13〜14 層に積み重ねられる場合もあります。


日本経済新聞 2003/4/25

LCDフイルム 日東電工、生産能カ7割増 工場増強や稼働前倒し

 日東電工は2003年度、液晶表示装置(LCD)に使う偏光フィルムの生産能力を前年度比7割増強する。三重県に建設中の工場の稼働を4カ月前倒しするほか、広島県の主力工場の設備を増強する。総投資額は約120億円。サムスン電子など韓国メーカーや国内最大手のシヤープがLCDの大規模増産を決めたことに対応する。
 
亀山事業所(三重県亀山市)の敷地内に建設している新工場の稼働時期を、当初計画の2004年4月から今年12月に早める。偏光フィルムの主力工場である尾道事業所(広島県尾道市)では、今年9月と来年3月の2段階で延伸機などの製造設備を増強する。
 さらに豊橋事業所(愛知県豊橋市)や中国、韓国の製造拠点でもフィルムの加工・裁断を手がける後工程ラインを増強。一連の設備増強により年間生産能力を2002年度の2400万平方メートルから2003年度に4千万平方メートルに引き上げる。売上高は前年度比30%増の約1300億円を目指す。
 偏光フィルムは特殊な光学特性を持ったLCDの基幹部品で、日東電工は60%の世界シェアを誇る。液晶テレビや液晶モニターの需要急増で、シヤープや韓国サムスン電子など大手LCDメーカーが設備投資を拡大。このため日東電工は今秋には基幹部品である偏光フィルムの需給がひっ迫すると判断した。

▼偏光フィルム
 LCDを構成する光学的な機能を持つフィルム状のフィルター。LCDでは電気的な力でまず液晶の配列を変え、バックライトの光から画像の元を生み出す。フィルターを通すことでこれを風景や人物といった画像の形に映す仕組み。偏光フィルムの性能が輝度やコントラストといったLCDの画質を大きく左右するため、フィルムメーカーの技術力が問われる。


日本経済新聞 2004/7/13

偏光フィルム 韓・台に工場新設 日東電工、100億円を投資

 日東電工は2005年初め、液晶表示装置(LCD)に使う偏光フィルムの加工・裁断工場を韓国・台湾で相次いで稼働する。韓国のサムスン電子や台湾の友達光電など現地メーカーの需要拡大に伴い、各地域で安定した供給体制を整える。来年度に全社のフィルム生産能力を現在の約1.5倍に引き上げる計画の一環で、投資額は合計で100億円規模になる。
 韓国・台湾の工場では主要な顧客向けに、主にフィルムの後工程を手掛ける。韓国工場は2000年7月に操業を始めた現工場と同じ京畿道平沢市に建設する。来年2月に稼働する予定。サムスンやLGフィリップスが製造するパソコンやテレビ向けなどに供給する。
 台湾も2000年3月から操業している現工場と同じ台中市で、来年1月に稼働する。友達光電や奇美電子向けなどを想定している。
 日東電工は今期の設備投資(590億円)のうち、半分を超える315億円をフィルム用に振り向ける。フィルムの生産能力を2005年度中に全社で6400万平方メートル程度まで引き上げる。
 偏光フィルムはLCDを構成する光学的なフィルム状のフィルターで、同社は60%程度の世界シェアを持つ。今期の部門売上高は前期比42%増の1980億円となる見込み。国内では三重県亀山市や広島県尾道市の工場で前工程から後工程まで一貫生産している。


2001.04.24 大日本印刷/旭硝子

プラズマ・ディスプレイ・パネル用背面板の合弁会社設立について

 大日本印刷株式会社(本社:東京都新宿区、代表取締役社長:北島義俊)と旭硝子株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役社長 石津進也)は、プラズマ・ディスプレイ・パネル(PDP)用の背面板の製造及び販売を行う合弁会社を設立することに合意しました。

 PDPは薄型・大画面の新型ディスプレイとして、来るデジタルネットワーク時代を支える最も有望な表示装置として注目されています。現在の空港や店舗における公衆表示、広告宣伝などの業務用に加え、テレビ、ホームシアターなどの民生分野への急速な需要拡大が期待されており、2001年に全世界で90万台の生産量が2005年には400万台まで成長すると予測されています。PDP用背面板は、PDPを構成する重要部材のひとつで、透明なガラスの基板の上に、電極・隔壁(リブ)及び蛍光体を規則的に配列したものです。

 大日本印刷は20余年、当製品に関する開発を行い、生産技術のノウハウと特許を蓄積してきました。すでにPDPメーカーに背面板の試作品や一部製品を供給した実績を持っています。またPDP用電磁波シールドフィルムを開発し、本年7月より販売を行います。
 一方旭硝子は、PDPの草創期からガラス基板の開発に携わり、1995年7月には、世界に先駆けてPDP用高歪点ガラスの開発・試作に成功し、以来ガラス基板の供給を行っています。現在ではガラス基板で90%、光学フィルターで40%、ガラスフリット・ペーストで20%と各々高い販売シェアを誇る、PDP用ガラス材料・部材の総合素材メーカーとなっています。

 今回両社は、PDP用背面板事業が今後大きな伸びを期待できる成長分野であるとの認識で一致、両社の持つ生産技術や材料技術の蓄積を最大限に活かして市場に参入することが望ましいと判断して、合弁事業を行うことで合意しました。新会社の出資比率は、大日本印刷50%、旭硝子50%で、資本金は30億円の予定です。新会社の設立は2001年7月、新工場の着工は同年10月、操業開始は2002年10月の予定です。なお新会社は、北九州市戸畑区牧山の旭硝子北九州工場の敷地を借り受けて工場を建設します。また大日本印刷は本製品に係る保有技術の実施権を新会社に許諾します。新会社の総投資額は約100億円の見込みで、2003年度には150億円の売上を目標としています。今後両社は大日本印刷の保有する既存設備の新会社への移管など2期工事としてさらなる拡張を視野に入れ、検討を進めていきます。

■新会社の概要

1.本社所在地   福岡県北九州市戸畑区牧山5−1−1
      (旭硝子 北九州工場内)
2.工場所在地   同上
3.社長   未定
4.資本金   30億円
5.出資比率   大日本印刷 50%  旭硝子 50%
6.従業員   約140名
7.設立   平成13年7月

■PDPパネルの構造図


2001/4/2 三井化学

「PDP光学フィルター」を企業化

 当社(社長:中西宏幸)は、事業部SBDU(Strategic Business Development Unit 戦略的事業開発単位)として開発を進めてきた「PDP光学フィルター」を企業化することと致しました。

 当社は、2000年に事業部SBDUとして「PDP光学フィルター開発グループ」を発足させ、デジタル時代の大型平面ディスプレイであるPDP(プラズマ・ディスプレイ・パネル)に用いられる光学フィルターの市場開発を進めてきました。その結果、国内外の有力なPDPセットメーカーの採用が進み、今後、市場の大きな成長が見込まれることから、「PDP光学フィルター」の企業化を決定したものです。

 当社の「PDP光学フィルター」は、多層スパッタリングにより製造される透明導電フィルムに、独自の機能性色素を組み合せて製造されます。高い光線透過率を保ちつつ優れた電磁波シールド能を有しており、独自開発の光学設計技術を活かしてお客様の多様なご要求に応える体制を整えております。既に、フィルター組立についても、専用設備で月産能力2万枚の体制を整えています。これにより、当社は、本年4月より「PDP光学フィルター」を製品として上市し、世界市場を対象に営業活動を拡大してまいります。

 「PDP光学フィルター」は、PDPの発光モジュールの前面に取り付けられ、モジュールの保護の他に、モジュールから発生する電磁波や近赤外光の遮蔽、色再現性・コントラストといった画質の向上に役立つなど、多様な機能を有しております。

 これまでPDPは主に業務用途で使用されてきましたが、昨年12月の衛星デジタル放送の開始など情報量の増大とデジタルネットワーク化の進展により、今後はPDPテレビとして家庭において大きく普及するものと考えられております。また、PDPは大型(30インチ以上)でありながら薄型(10cm以下)であるという特長も有しており、PDP市場は、2002年度には100万台を超すものと見込まれています。

 当社は、「PDP光学フィルター」を初めとする表示材料をコア事業(電子回路材料事業)の一環に位置づけております。当社は、先発メーカーとしての優位性を活かし、今後も拡大するPDP市場要求に対応しながら、本事業の強化を図っていきます。


Chemnet Tokyo 2002/9/24

三井化学、PDP用光学フィルターが目覚しい伸び
    メッシュタイプの開発も需要家の間で人気

 三井化学のPDP用光学フィルター「フィルトップ」が目覚しい伸びを遂げている。本格企業化の初年度に当たる01年度の売上高は約25億円であったが、今年度は40億円を超える見通しにある。昨年度の実績も当初の予想を大きく上回る規模であり、極めて順調な立ち上がりとなったが、今年度はさらに加速がついているわけ。このため販売シェアも、トップを激しく争うところまで拡大している。
 
 同社によるとこの要因は、(1)色素や反射・透明導電材料など高度な技術に裏打ちされた多彩な関連材料を保有している点がセットメーカー各社の人気を呼んでいること(2)スパッタによって多層透明導電膜を形成する同社特有のスパッタタイプに加え、電磁波遮断効果がさらに高い金属メッシュタイプもラインアップするなどでユーザーのニーズにより弾力的に対応していける態勢を整えたこと(3)PDPの需要そのものが大きく伸びてきたこと--の3点に集約できるという。

 全世界のPDPの需要量は、99年度が10万台、00年が20万台、01年が35万台--と順調に拡大してきており、今年は80万台に達すると予想されている。また、03年以降はデジタルテレビ時代に入るとあって一気にジャンプアップするとの見方が一般的だ。三井化学では、5年後の07年の総需要量が750万台になると見ている。
 
 同社では、こうした展望に基づき同社特有の総合技術力を生かして同分野に強力な基盤を構築していく考え。このため、需要家の間でニーズが高まっている“直張りタイプ”も開発して試験販売に乗り出している。基板ガラスを省いて軽量化を図った製品で、04年ごろには本格企業に踏み切ることになりそう。


2002/8/4 日本経済新聞

宇部興産、プリント基板用高機能樹脂を増産

 宇部興産は電子回路用プリント基板の原料であるポリイミドを増産する。年内にも宇部工場(山口県宇部市)で新ラインの建設に着手。2004年春の稼働を目指す。投資額は40億円前後のもようで、年間生産能力は約27%増の700トン超となる。

 ポリイミドは自在に折り曲げられるシート状基板になる高機能樹脂。携帯電話や小型パソコン、液晶表示装置などに使われる。昨年度は情報技術(IT)不況で需要が低迷したが、在庫の圧縮も進み需要が回復していることから増産する。


2003/2/19 化学工業日報

宇部興産、ポリイミド事業を強化へ

 宇部興産はポリイミド事業を強化する。今秋稼働予定でポリイミドフィルム第7期ラインを建設中で、原料モノマーも2004年春に能力を2倍に引き上げる。川下の薄膜2層銅張積層板(CCL)も年末をめどに能力を3倍に増強する方針。同社が採用するラミネート法で他社との提携も想定しており、同法CCLの市場拡大を図る。また、より微細な回路パターンに対応できる銅メッキ法CCLも今春から販売を開始する予定で、次世代品への対応も進める。


ポリイミド

 ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)とジアミンの縮重合によって生み出された超耐熱性ポリイミドフィルム−「ユーピレックス」。
その、広い温度範囲にわたる数々の優れた特性はエレクトロニクスをはじめ、次代を担う産業界の新素材として脚光を浴びてきました。特に高温下における物理的、機械的、電気的、そして化学的諸性質など、他の耐熱性フィルムをはるかに凌ぐ性能はますます厳しい条件を求める新時代に応え確実な歩みを始めています。


2000/9/21 宇部興産

宇部興産、ポリイミドフィルムの第6期増設工事に着手

 宇部興産(株)(社長:常見和正)は、当社の電子情報通信分野向け機能性材料のコア製品の一つであるポリイミドフィルム(商品名:ユーピレックス−S)の増設工事に着手し、9月19日に宇部ケミカル工場西地区内において、関係者を集め起工式を行った。
 当社は1997年から3年間で当初の生産能力を2倍に増強してきたが、今回の工事はこの生産能力をさらに50%増強し、今後引続き見込まれる需要の拡大に対応して、安定供給体制を構築するためである。
 同フィルムは、LCD(液晶表示装置)向けを主体としたTAB(テープ自動ボンディング)方式のIC実装基材として、90%を超えるシェアーを有しており、その需要先であるノート型パソコン、携帯電話、携帯情報端末等が高い成長率を維持するとともに、今後はCSP(チップサイズパッケージ)化されたメモリーやロジックLSI向けの需要も急激に伸びると予測される。
 工事の完成は、当初の計画より一年早めて2001年半ばの見込みである。
 当社では、同フィルムを中心とした商品群に加え、高耐熱成形材料、電子部品用コーティング剤、高耐熱接着剤、宇宙用断熱材料等、特徴のある高付加価値商品の展開を行っていく計画であり、ポリイミド事業全体の売上高200億円の早期達成を目標としている。

 


日本経済新聞 2002/9/18        発表文

豊田合成・日亜化学が和解発表 青色LED、訴訟合戦に終止符

 豊田合成と日亜化学工業(徳島県阿南市、小川英治社長)は17日、青色LED(発光ダイオード)の特許などを巡る訴訟について、全面和解することで合意したと発表した。これまでのすべての訴訟を双方が取り下げるほか、将来の特許を使用する場合にライセンス料を支払うことなどで合意した。

豊田合成と日亜化学の和解合意書の骨子
@自社の保有する特許に基づく製造・販売の差し止めや損害賠償などの請求をしない
A相手方が現在保有する特許に関して、損害賠償金の支払いや自社製品の製造・販売の中止などの義務を負わない
B両者間のすべての訴訟を取り下げる
C将来の製品について相手方の将来の特許を使用する場合にライセンス料を支払う
DYAGと呼ぶ蛍光体を使った白色LEDに関し、豊田合成は日亜化学の特許を使用する場合にライセンス料を支払う


2002/09/17 豊田合成、日亜化学工業

青色LED訴訟、全面和解の件

 豊田合成株式会社(本社:愛知県西春日井郡春日町、代表取締役社長:松浦剛、以下、「豊田合成」という)と、日亜化学工業株式会社(本社:徳島県阿南市、代表取締役社長:小川英治、以下、「日亜化学」という)とは、2002年9月17日、青色発光ダイオード(LED)に代表されるIII族窒化物系半導体の技術について、互いに相手方が所有する全ての特許権等を尊重し、両社間で約6年にわたって繰り広げられたすべての訴訟等を終結させ、かつ将来における新たな係争を予防ないし適切に解決することについて下記の内容を骨子とする和解合意書を締結いたしました。

 青色発光ダイオードは、世界的に見て名古屋大学工学部の赤崎勇教授(現・名古屋大学名誉教授、名城大学教授)の先駆的かつ基本的技術がベースになって開発されて参りました。豊田合成は、1986年、赤崎勇教授の指導と豊田中央研究所の協力を受けて、窒化ガリウム(GaN)をベースとした青色LEDの開発に着手、翌1987年には、科学技術振興事業団から青色LEDの製造技術開発を受託し、1991年に成功認定を受けました。そして、1995年10月に高輝度の青色LEDの量産を開始し、その後も次々と新製品を開発し市場に投入してきました。

 一方、日亜化学は、1989年に青色LEDの開発に着手、1991年に窒化ガリウム系青色LEDの工業化技術を確立しました。そして、1993年11月には、世界で初めて高輝度の青色LEDの量産化に成功。さらに、蛍光体専門メーカーである特長を生かし、YAG(イットリウム・アルミニウム・ガーネット)蛍光体と青色LEDとを組合せ、1996年に、世界で初めて白色LEDの開発・量産化を実現。その後も次々と新製品を開発し市場に投入してきました。

 以上の経緯から明らかなように、主として日亜化学及び豊田合成による技術開発競争を通じ、青色LEDの発光輝度や生産効率がめざましく向上し、その結果、フルカラーディスプレイ、信号機、携帯電話用バックライト、車載照明や室内照明などに応用されるようになりました。今後はDVDプレイヤー用のレーザーや、地球温暖化防止・省エネルギーの観点から照明への適用、ブロードバンド時代に要求される高速通信用デバイスの開発実用化が期待され、将来的にも、巨大な市場へと発展することが予測されています。

 今後は、市場における公正な競争を通じて、日本で生まれた先駆的技術をさらに発展させていく所存です。

1. 両者は、相手方に対し、自社の保有する特許に基づく製造・販売の差止請求や損害賠償請求等をしない。
2. 両者は、相手方に対し、相手方が現在保有する特許(訴訟の対象となっている特許を含む)に関して、損害賠償金(和解金を含む)の支払義務や自社製品の製造・販売の中止義務を負わない。
3. 両者は、両者間の全ての侵害訴訟、無効審判及び審決取消訴訟を取り下げる。
4. 両者は、将来の製品につき相手方の将来の特許を実施する場合、合理的な料率の実施料を支払う。
5. YAG蛍光体を用いた白色LEDに関する日亜化学の特許について、豊田合成は、日亜化学に対し、当該特許を実施するYAGを用いた将来の製品につき、両者で合意した実施料を支払う。

日本経済新聞 2002/9/20

液晶フィルム増産 富士写真フィルム 200億円投じ能力5倍に

 富士写真フイルムは液晶表示装置(LCD)向けの特殊フィルムを大幅増産する。静岡県内に新工場を建設、2005年4月までに生産能力を現状の約5倍に引き上げる。神奈川県には研究開発棟も新設、総投資額は約200億円を見込む。ノートパソコン、液晶モニターに加え、家庭用液晶テレビの普及により、特殊フィルム需要が急拡大すると判断した。
 増産するのはLCDの表面に張ることで、横からでも明りょうな画像が見えるように視野角を広げる「WVフィルム」や、表面反射を防ぐ「CVフィルム」など。現在は神奈川県小田原市にある小田原工場で年間1200万平方メートル強を生産しているが、LCD需要の盛り上がりから供給不足の状態が続いている。
 小田原工場に新棟を建設し来年8月をメドに生産能力を3倍の3600万平方メートルにする計画もあるが、不十分と判断。静岡県吉田町にある吉田北工場内に新棟を追加することにした。
 110億円で新ラインを建設し、2004年2月に年間1200万平方メートル分の生産能力を追加。数十億円を投じ、2005年4月に年産6千万平方メートルの供給体制を整える。
 神奈川県南足柄市には研究開発施設を新設し、次世代型の液晶用特殊フィルムの開発にも注力。2001年度に440億円だった特殊フィルムなど産業材料関連の売上高を、2004年度には1千億円超に拡大する。同社はLCD用特殊フィルム素材で世界市場の約90%を押さえるトップ企業。


2001/7/9 三井化学

台湾での「亞太三井化学股分有限公司」の設立の件

 当社(社長:中西宏幸)は、アジアにおける電子・情報材料の事業展開を強化するため、台湾に子会社「亞太三井化学股分有限公司」を設立し、今月より営業活動を開始致しました。
 当社は、半導体材料事業、電子回路材料事業をコア事業の一つとして、重点的な強化・拡大を進めており、海外展開についても、米国・ヨーロッパ・アジア地域など需要の大きな成長が見込まれる地域で積極的な展開を図ってきました。
 ここ数年来、台湾は半導体産業の主たる市場に成長してきており、今後も更なる市場拡大が見込まれています。当社は、台湾を重要な市場と捉え、台湾市場における電子・情報材料事業の販売促進を図るとともに、アジア地域における事業展開を強化していきます。
 新会社の事業内容は、電子・情報材料の販売で、当面は半導体材料を中心に販売活動をしていきます。将来的には、半導体材料のみでなく、その他の電子・情報材料及び新規機能材料など幅広く扱っていく予定です。

《「亞太三井化学股分有限公司」の概要》

1. 社名   亞太三井化学股分有限公司
(英語名 Taiwan Mitsui Chemicals, Incorporated)
2. 会社設立   2001年5月3日
3. 営業開始   2001年7月2日
4. 資本金   14百万元(約50百万円、当社100%出資)
5. 所在地   台北市中山北路二段96号 嘉新大楼4階
6. 社長   中島 睦男
7. 事業内容   電子・情報材料等の販売
8. 売上高   2002年目標:30億円

昭和電工 エレクトロニクス事業部門

エレクトロニクス開発部
電子材料事業部
レアアース事業部
HD事業部
MD事業部

 当社は、これまで蓄積した有機・無機・金属材料分野等での技術をベースとして、エレクトロニクス関連事業を展開しております。

 現在の主要事業として、発光ダイオードや急速に需要が拡大している光通信、電子デバイス向けに、結晶の引上げからチップ製品まで幅広く取扱う化合物半導体事業、超LSI等に用いられるシリコンエピタキシャルウェハー事業、高性能磁石合金材料のレアアース事業、および急速に記録容量を増大させ、AV家電への応用も期待されているハードディスク事業を推進しております。

 さらに新事業として、導電性高分子を用いた高耐熱、高容量のアルミ固体コンデンサ事業、環境にやさしいすず・亜鉛系の鉛フリーはんだ事業に取り組んでいます。


HD事業部

 千葉県市原市の事業所では、各種サイズのアルミ、ガラス基板に対応した全自動ラインを保有しており、年間の最大生産能力は44百万枚です。顧客のニーズに対して迅速な対応を取るため、製造、研究開発、品質保証、マーケティング等の機能を集約した製販一体型のサポート体制を組んでおります。

 サーバー向け、デスクトップ向け、モバイル向けをはじめ、今後大きな期待がかかるAV用などいろいろなニーズにお応えしておりますが、特に2.5インチガラスディスクのOEMとしては最大級の出荷量を誇ります。また、最近では1.8インチガラスディスクの出荷も開始しました。今後も国内外の顧客からの高記録密度、高信頼性といったニーズにお応えするため、クリーンルームのレベルアップとともに次世代技術の検討、最先端技術の生産への応用検討等を積極的に行なっていきます。

MD事業部

 パソコンやサーバー用の主記憶装置として年々成長を続けているHDD業界は、今後デジタル家電の普及により益々活性化していくと予想されています。

 MD事業部では、このHDD内に組み込まれている各種サイズのアルミ基板を製造しています。切削、研削、メッキ処理、研磨、検査の自動機を保有しており、年間の生産能力は12百万枚です。最近では小径サブの需要拡大を予測し2.5インチ基板の増産を開始しました。 又、海外拠点としてマレーシアに「昭和アルミニウムマレーシア(SMS)」 を設立し、同様な一貫生産体制を敷いています。(生産能力20百万枚/年)

 今後もさらなる高記録密度、高信頼性といった顧客からのニ−ズにお応えするため、クリーンルームのレベルアップとともに、次世代技術の検討、最先端技術の応用を製造・技術・研究一体となって取り組んでいきます。


2002/4/9 住友化学

韓国における情報電子化学関連製品ほかの生産拡充について

 住友化学は、韓国のグループ会社である東友ファインケム(本社:韓国益山市、社長:金祥烈)の平沢(ピョンタク)工場において、同社の技術力や人的資源を有効に活用して、情報電子化学品などの先端技術を必要とする製品の韓国における生産を拡大することといたしました。
 当社は、これまで東友ファインケムを通じて、電子工業用高純度薬品や半導体プロセス用エッチング液、フォトレジストなどの情報電子化学品をはじめ、紙加工用樹脂、各種有機中間物、樹脂添加剤などの生産、販売を行ってまいりました。また、韓国の優秀な人材を得て、これら品目の研究を日韓協力して推進し、現地における研究所の拡充も実施してまいりました。
 今後は、東友ファインケムを拠点として、各種化学品の韓国における製造をさらに拡充させ、住友化学グループの韓国市場でのプレゼンスを一層強化し、需要家へのサービスを向上してまいる方針です。
 すでに高分子安定剤の生産設備や特殊エポキシ樹脂の製造設備を建設中であり、また、需要が急増している液晶用光学機能性フィルムのチップカット工程も増設中です。
 これらに加えて、このたび、新たに次世代液晶用カラーフィルターの生産設備を新設することを決定し4 月に着工、来春の商業生産開始を予定しています。
 続いて液晶用光学機能性フィルムに用いる偏光板の生産、さらに将来的には導光板用メタクリル樹脂押出板など液晶表示材料全般について現地生産を展開していく計画です。
 これらの製品は韓国市場のみならず、台湾や中国など、今後伸長が予想される市場も視野に入れて拡販を図り、中期経営計画の目標であるアジア市場での一層のプレゼンスの向上を目指してまいります。
 なお、上記諸設備に必要な投資額はここ2 年間で約350 億円の規模となる見込みです。


東友ファインケム(韓国)

住友化学は1991年に韓国に半導体用高純度薬品の製造販売を目的として、「
東友半導体薬品株式会社」を設立、現在ではこの分野における韓国内のトップメーカーにまで成長しています。1997年には、フォトレジスト(半導体製造用感光性樹脂)を新たに事業化、1998年には社名を東友ファインケム株式会社に変更、これを機に、半導体用材料だけでなく各種ファインケミカル製品の育成、事業化に注力していく考えです。


1998/2/3 住友化学

韓国・東友半導体薬品の株式取得について    現 東友ファインケム

 住友化学は、このほど、韓国における半導体用高純度薬品および半導体用感光樹脂フォトレジストの製造・販売会社である東友半導体薬品株式会社(本社:全羅北道イクサン市)に関し、韓国側親会社である東洋化学株式会社(本社:ソウル市)の出資持株(50 %)を購入し、
出資比率を90%とすることにいたしました。
 住友化学と東洋化学は、1991 年12 月、伊藤忠商事株式会社とともに、半導体用高純度薬品の製造と販売を目的に、東友半導体薬品を設立(出資比率:東洋化学50%、住友化学40%、伊藤忠商事10%)いたしました。東友半導体薬品は、住友化学が供与した製造技術をベースに、東洋化学からの移籍者を中心に事業展開し、現在は韓国内における高純度薬品のトップメーカーに成長しています。さらに、本年からは、住友化学の技術供与によるフォトレジストの製造・販売を本格展開することにしており、半導体用材料メーカーとしての一層の飛躍が期待されています。
 このたび、東洋化学は、自らの事業再編を進める中で、東友半導体薬品の持株を売却することを決定し、住友化学に対して、東友半導体薬品の同社持ち株の買取りを要請してきました。
 この要請に基づき、両社で交渉を続けてきた結果、住友化学が東洋化学保有の全株式を購入することにしたものです。(東友半導体薬品の
新出資比率:住友化学90%、伊藤忠商事:10%)
 今後の東友半導体薬品については、従来同様、東洋化学からの既移籍者を含む現地採用者を中心に、既定方針通り事業を進めることといたします。なお、当面の事業運営については、引き続き東洋化学の全面的な協力を得ることで合意しています。
 住友化学は、韓国の重要産業である半導体産業がさらに発展していくものと考えており、今回の株式取得を契機に、新たな先端技術を積極的に東友半導体薬品に投入するとともに、半導体メーカーと従来以上の一体感をもって各種半導体材料を開発することで、韓国半導体産業に貢献していきたいと考えております。

【東友半導体薬品(株)の概要】

1 .社名   東友半導体薬品梶iDong Woo Pure Chemicals Co.,Ltd.)
2 .本社   大韓民国全羅北道益山(イクサン)市
3 .社長   韓 義燮(ハン ユーサブ)
4 .資本金   130 億ウォン
5 .設立   1991 年12 月
6 .従業員   109 名(1997 年末)
7 .売上高   458 億ウォン(1997 年12 月期)
8 .事業内容   半導体用高純度薬品およびフォトレジストの製造・販売

(参考)
【東洋化学工業(株)の概要】(英語名:Oriental Chemical Industries )

1 .本社   大韓民国ソウル市
2 .社長   李 福永(リー ボクヨン)
3 .資本金   645 億ウォン
4 .設立   1959 年8 月
5 .売上高   4627 億ウォン(1996 年12 月期)
6 .従業員数   約 2050 人
7 .事業内容   ソーダ灰、ボウ硝、過酸化水素等の無機製品、TDI ,PVA 等
の石油化学製品、ゴム薬品、農薬等の製造および販売

 


東友半導体薬品の設立 (住友化学社史より)

 当社の電子工業用高純度薬品の品質は国内だけでなく国際的にも高く評価され、半導体産業の伸びが目覚しい韓国への伊藤忠商事を通じた輸出もさらに増加する傾向にあった。一方、韓国政府は半導体用材料の国産化を促進しており、当社はこれに対応して高純度薬品の現地生産の方策を検討していたが、折から総合化学品メーカーへ転身を図っていた同国の東洋化学工業から共同生産の打診を受けた。
 同社は昭和63年から高純度薬品を生産していたが品質の壁に直面し、集積度の高いメガビット半導体用薬品の生産によって局面の打開を図ろうとしていたので、共同化に積極的であった。検討の結果、既存設備の有効活用と技術移転による現地生産が可能と判断し、平成3年12月に伊藤忠商事を加えた3社合弁により「東友半導体薬品株式会社」(資本金90億ウォン、出資比率、当社40%、伊藤慮商事10%、東洋化学工業50%)を設立した。新会社は東洋化学工業の高純度薬品工場を買収、当社技術による工場建設に着手し、5年には高純度過酸化水素水の工場を完成、6年4月から生産、出荷を開始した。7年6月には過酸化水素水の設備を倍増設して年産能力を8900tにするとともに、高純度硫酸製造設備(年産能力6600t)を完成して生産、出荷を開始した。これら製品の品質は64メガビット(MB)DRAM用の品質水準を超えるものとの評価を受けた。8年4月完成を目途に高純度アンモニア水の工場(年産能力2200t)を新たに建設するなど、同社は高純度薬品の設備を順次整備した。


日本経済新聞 2002/12/13

光回線の分岐装置 大きさ200分の1に 産総研など、価格も50分の1

 産業技術総合研究所はガラスメーカーなどで組織するニューガラスフォーラム(山中衛会長)と共同で、複数の光回線を1本のファイバーにまとめたり分岐させたりする部品を従来の約200分の1に小型化する技術を開発した。
 実用化すれば、現在は通信会社の基地局にしか置けない分岐装置を電柱の上などに設置できるようになる。家庭に光通信回線を引き込むファイバー・ツー・ザ・ホーム(FTTH)普及の切り札になる可能性がある。
 小型化技術を開発したのは合分波器と呼ばれる部品。異なる波長の光を1本のファイバーに載せたり、波長ごとに分配したりするのに使う。
 ナノテクノロジー(超微細技術)を応用、ガラス材料にくし状の波長分離素子やレンズなどを作り込み、縦1センチ横2センチの合分波器を試作した。来年1月には従来の200分の1程度の大きさに相当する縦2ミリ、横10ミリの素子を開発する。
 8波長向けの素子を6インチウェハー1枚から500個程度作ることができ、価格は従来の部品の50分の1の2万−3万円になるという。
 ニューガラスフォーラムに参加する旭硝子や日本板硝子など会員企業を通じて数年後をメドに実用化する。オフィスや家庭への光ファイバーは現在は基地局から1本ずつ敷設しているため、コストがかさむ。分岐装置が小型になれば、1本の光ファイバーから好きな場所で複数の家庭に分配できるようになりコスト抑制につながるとみている。


日本経済新聞 2003/1/16

薄型表示装置 国内投資2000億円に倍増 来年度 液晶・プラズマ新工場

 テレビやパソコン画面に使われる薄型表示装置の国内投資額が、2003年度に前年度比2倍の2千億円に急増する見通しだ。液晶型ではシャープや日立製作所が、プラズマ式では松下電器産業と東レの共同出資会社やNECなどが相次ぎ新工場建設やラインの増設に踏み出す。3年間で投資が激減した半導体を補う大型産業に育ちつつあり、冷え込む民間投資の下支え役になりそうだ。

 


日本工業新聞 2003/9/26

住化が中国での偏光フィルム事業を強化、2子会社を合併

 住友化学工業は、中国における、LCD(液晶ディスプレー)用フィルム子会社と、半導体基板材料に使用するガリウム製造子会社を合併し、新会社「
上海住化電子材料科技」を設立する。中国の関係当局の許可が得られ次第、年内にも新会社を設立する。併せて、新会社はフィルム生産の増強も検討し、同事業を強化する。海外拠点の拡充などにより、2005年度の情報電子化学部門の営業利益を03年度見込み比で、約2倍に当たる150億円に引き上げる計画だ。
 合併するのは、LCDに使用する偏光フィルムを加工・販売する
上海凱愛使希光電(上海KSC、上海市)と、半導体材料に使用する精製ガリウム製造の上海住化高純度金属(上海市)の2社で、新会社の資本金など詳細は未定だ。
 上海KSCは、住友化学の韓国子会社から、偏光フィルムの原反(個別に切断前のロール状材料)を仕入れ、製品に加工したうえで販売している。すでに、中国での偏光フィルムの需要増に対応するため、敷地に余裕のある上海住化高純度金属でも、フィルムを加工するなど、連携を強化していた。さらに、別組織だった2子会社を一体化することで、生産能力の増強といった意思決定の迅速化を目指す。
 新会社は04年度以降、偏光フィルムの製品加工能力の増強に加えて、原反製造設備の新設についても検討する。フィルム原反から、製品加工、販売までの一貫体制を整えることで、中国における偏光フィルム事業を強化する。
 住友化学は、パソコン画面や携帯電話向けに拡大するLCD需要に対応するため、偏光フィルムのアジアにおける生産体制を強化している。今年6月には韓国で子会社を通じ、偏光フィルム原反の新製造設備を完成した。また、台湾でも同じく子会社を通じて原反設備を建設中で、年内の完成を目指している。
 偏光フィルムは、LCDにおいて光の透過方向をコントロールする主要材料で、LCDの用途拡大や大型化などで需要が拡大している。