化学工業日報 2000/8/29

住友化学、韓国でLCDフィルター用顔料分散レジスト生産

 住友化学工業は、液晶ディスプレー用カラーフィルター(CF)に用いられる顔料分散レジストを韓国で生産する。現地子会社・東友ファインケムの益山(イクサン)工場において今夏中にも新設備が完成、操業を開始する。同社は関連会社であるCFメーカー、新エスティーアイテクノロジー向けに限って同レジストを製造しているが今回、大阪工場との2元供給体制が構築されるとともに、初めて外部企業にも販売する。当面は一部パネルメーカーに限定されるものの、外販市場への参入として注目を浴びそうだ。住友化学は、アジア経済の急回復と歩調を合わせ、韓国の精密化学品事業で数年後に2000億ウォンの売上高達成を目指している。この一環として電子薬品やファインケミカル製品の生産体制強化を進めており、昨年も平沢(ピョンタク)に約7万平方メートルの工場用地を取得し、工場建設を進めている。


1997/9/25 住友化学

米・オーリン社とのフォトレジストの事業提携について

 住友化学は、このほど、半導体製造用感光樹脂であるフォトレジストについて、米国・オーリン社と事業提携することといたしました。

 提携の具体的内容は次のとおりです。

1. オーリン社に対し、住友化学の技術によるi 線用フォトレジストについて、欧米地域における独占製造実施権を供与する。
2. 同時に、欧米地域におけるi 線用フォトレジストの非独占販売権を供与する。
3. 住友化学は、欧米での販売用に、オーリン社にi 線用フォトレジストを製造委託する権利を有する。

 オーリン社は化学品・金属を主たる事業分野とするメーカーで、フォトレジストについては欧米における強力な販売網と技術サービスによって、欧米でのトップシェアを有しています。 一方、住友化学は、中間体の合成研究から生産・販売まで一貫体制を構築し、フォトレジスト事業を強力に推進しており、特にi 線用は世界的な優位性を持っているため、かねてより、日本・韓国に次いで欧米での生産体制の確立を検討していました。
 今回の提携により、住友化学は、欧米での生産体制を短期間で確立することが可能になるとともに、オーリン社の販売網と技術サービス組織を活用することで、当社の販売ルートとの相乗効果により、i 線用フォトレジストの拡販を期待しています。
 今後、住友化学は、i 線用フォトレジストでの海外展開を進めつつ、エキシマレーザーや電子線などの次世代フォトレジストについても開発スピードをさらにアップし、フォトレジスト全体として、事業の拡充を一層進めてまいりたいと考えています。

〜オーリン社の概要〜

(1 ) 社名   オーリン コーポレーション (Olin Corporation)
(2 ) 本社所在地   コネチカット州 ノーウォーク
(3 ) 代表者   D.W.Griffin (CEO)
(4 ) 資本金   546 百万ドル
(5 ) 売上高   2 ,638 百万ドル(1996 年)
(6 ) 従業員   9 ,300 人
(7 ) 事業内容   レジスト、電子薬品含む化学品および金属製造業

 


1996/11/5 住友化学/和光純薬

KrF エキシマレジストにおける提携について

 住友化学と和光純薬は、このたび、半導体製造用感光樹脂であるフォトレジストの次世代高集積度用フッ化クリプトンエキシマレーザーフォトレジスト(KrF エキシマレジスト)に関し、両社で協力して事業を推進することで合意いたしました。
 具体的には、和光純薬が保有するKrF エキシマレジストに関する技術を住友化学にライセンスし、両社にて、生産管理・品質管理を含む生産技術の共有化、研究・開発面での交流、特許をはじめとする知的財産の有効活用など、本レジストの研究開発、生産、販売の各面にわたって、提携して事業を進めることにしています。
 住友化学は、総合化学メーカーとしての利点を生かし、研究開発から生産・販売まで一貫体制のもと、フォトレジスト事業を強力に推進しています。なかでも、高集積度対応のi 線用最先端フォトレジストは、高感度・高解像度などの商品特性や顧客ニーズに合致したカスタムメイドの製品として高い評価を受け、世界シェアの約6 割を占めるに至っています。
 今後、半導体の高集積化の進展に伴い、それを支える微細加工技術は、現在の最先端i 線から将来はKrF エキシマ、
ArF (フッ化アルゴン)エキシマ、電子線さらにはX 線へと急速に移行していくものと予想されています。住友化学は、これらの技術進歩に対応する研究開発に着実に取組んでおり、次世代のKrF エキシマレジストについては、既にネガ型レジスト等のサンプル供給を始めています。
 一方、和光純薬は、試薬のトップメーカーとして、半導体洗浄用高純度薬品の開発、供給を通じ半導体業界に深く貢献する一方、その幅広い技術力を生かし、最先端フォトレジスト事業に進出すべく、10 年間にわたり研究・開発を進めてきました。その結果、和光純薬は、現在、KrF エキシマレジストに関する多数の重要な特許を世界的に保有するとともに、KrF エキシマレジストの量産工場も完成し、ポジ型レジストのサンプル供給を進めるなど、半導体業界でその技術力が高く評価されています。
 今回の住友化学と和光純薬の提携により、KrF エキシマレジストに関し、特許をはじめとする知的財産の効率活用はもちろん、研究・開発、生産技術、テクニカルサービス活動などについて、最先端の技術を総合化することが可能になりました。今後、両社は、半導体業界からの様々な要望に対し,よりスピーデイーにかつ総合的に対応し,トータルサービスの一層の向上を図り、KrF エキシマレジスト事業の拡大を目指していく考えです。


日刊工業新聞 2003/6/19

住化、ArFレジストを強化−07年に10倍の100億円目指す

 住友化学工業は、感光性樹脂(フォトレジスト)事業を強化する。フッ化アルゴン(ArF)エキシマレーザーを光源とする露光装置に対応した同樹脂について年間15億―20億円を投じて、微細加工に適した製品など顧客の要求に沿った開発を進める。一世代前の同樹脂で出遅れた同社だが、先行したArFレジストでは世界市場シェアで約50%。首位を維持して07年にはArFの売上高で現在比約10倍増となる100億円程度を目指す。

 ArFレジストは、回路線幅が100ナノ(1ナノは10億分の1)メートル以下と微細な高密度集積回路(LSI)の基板上に露光を使って回路経路を転写する工程で必要な塗布材料。

 住友化学はアクリル系樹脂をベースに触媒を組み合わせた精密重合と解析を強みに、大阪工場(大阪市此花区)では回路線幅で90ナノメートルまでの製品を量産化。


1996/6/17 住友化学

韓国におけるフォトレジストの生産開始について

 住友化学は、このほど、半導体製造用感光性樹脂であるフォトレジストについて、1997 年夏完成を目途に、韓国に新工場を建設することといたしました。
 住友化学は、かねてから、総合化学メーカーとしての利点を生かし、研究開発から生産・販売まで一貫した体制のもと、フォトレジストの事業展開を進めております。なかでも、高集積半導体対応のi 線用フォトレジスト「スミレジストPFI 」シリーズは、高感度、高解像度などの優れた機能と顧客ニーズに合致したカスタムメイドの製品として、世界の半導体メーカーから高い評価を得ております。
 今後、半導体の64 メガビット超の高集積化が進むにつれ、i 線用フォトレジストの需要の急増が予想されています。特に、韓国では、半導体産業の成長が著しく、これに対応する高品質の材料が求められていることから、住友化学は、今般、最新鋭の製造設備を韓国内に新設し、これら時代の要請に応えることとしたものです。
 住友化学は、フォトレジスト事業について、販売面では、日本・アジア・アメリカ・ヨーロッパの四極に拠点を設けるなど、これまでからも世界的な事業戦略を進めておりますが、今回の韓国での生産体制整備を機に、顧客サービスの向上と一層の事業拡大を図っていく考えです。
 なお、韓国内での、フォトレジストの生産ならびに販売については、住友化学の関係会社で電子工業用高純度薬品の生産・販売会社である「
東友半導体薬品株式会社」が行うこととしています。

【計画の概要】
1 .生産品目   フォトレジスト
2 .投資額   約20 億円
3 .事業主体   韓国 東友半導体薬品(株)
4 .生産能力   当初10 万ガロン/年
5 .生産開始   1997 年夏(予定)
6 .製造技術   住友化学からライセンス
     
【東友半導体薬品(株)の概要】
1 .社名   東友半導体薬品株式会社
2 .本社   大韓民国全羅北道京城(ソウル)市
3 .社長   ハン ユーサブ
4 .資本金   130 億ウォン
5 .出資比率   韓国・東洋化学工業50 %、住友化学40 %、伊藤忠商事10 %
6 .設立   1991 年12 月
7 .従業員   約100 名
8 .事業内容   電子工業用高純度薬品の製造および販売(韓国内シェア60 %)
9 .売上高   16 ,297 百万ウォン(約20 億円)[ 1995 年12 月期]
10 .工場   全羅北道益山(イクサン)市

1998/2/3 住友化学

韓国・東友半導体薬品の株式取得について

 住友化学は、このほど、韓国における半導体用高純度薬品および半導体用感光樹脂フォトレジストの製造・販売会社である東友半導体薬品株式会社(本社:全羅北道イクサン市)に関し、韓国側親会社である東洋化学株式会社(本社:ソウル市)の出資持株(50 %)を購入し、出資比率を90 %とすることにいたしました。
 住友化学と東洋化学は、1991 年12 月、伊藤忠商事株式会社とともに、半導体用高純度薬品の製造と販売を目的に、東友半導体薬品を設立(出資比率:東洋化学50%、住友化学40%、伊藤忠商事10%)いたしました。東友半導体薬品は、住友化学が供与した製造技術をベースに、東洋化学からの移籍者を中心に事業展開し、現在は韓国内における高純度薬品のトップメーカーに成長しています。さらに、本年からは、住友化学の技術供与によるフォトレジストの製造・販売を本格展開することにしており、半導体用材料メーカーとしての一層の飛躍が期待されています。
 このたび、東洋化学は、自らの事業再編を進める中で、東友半導体薬品の持株を売却することを決定し、住友化学に対して、東友半導体薬品の同社持ち株の買取りを要請してきました。この要請に基づき、両社で交渉を続けてきた結果、住友化学が東洋化学保有の全株式を購入することにしたものです。(東友半導体薬品の新出資比率:住友化学90 %、伊藤忠商事:10 %)
 今後の東友半導体薬品については、従来同様、東洋化学からの既移籍者を含む現地採用者を中心に、既定方針通り事業を進めることといたします。なお、当面の事業運営については、引き続き東洋化学の全面的な協力を得ることで合意しています。
 住友化学は、韓国の重要産業である半導体産業がさらに発展していくものと考えており、今回の株式取得を契機に、新たな先端技術を積極的に東友半導体薬品に投入するとともに、半導体メーカーと従来以上の一体感をもって各種半導体材料を開発することで、韓国半導体産業に貢献していきたいと考えております。

【東友半導体薬品(株)の概要】
1 .社名   東友半導体薬品株式会社(DONG WOO PURE CHEMICALS CO.,LTD.)
2 .本社   大韓民国 全羅北道益山(イクサン)市
3 .社長   韓 義燮(ハン ユーサブ)
4 .資本金   130 億ウォン
5 .設立   1991 年12 月
6 .従業員   109 名(1997 年末)
7 .売上高   458 億ウォン(1997 年12 月期)
8 .事業内容   半導体用高純度薬品およびフォトレジストの製造・販売
     
(参考)
【東洋化学工業(株)の概要】(英語名:Oriental Chemical Industries )
1 .本社   大韓民国ソウル市
2 .社長   李 福永(リー ボクヨン)
3 .資本金   645 億ウォン
4 .設立   1959 年8 月
5 .売上高   4627 億ウォン(1996 年12 月期)
6 .従業員数   約 2050 人
7 .事業内容   ソーダ灰、ボウ硝、過酸化水素等の無機製品、TDI ,PVA 等の石油化学製品、
ゴム薬品、農薬等の製造および販売