日本経済新聞 2008/1/19

フマキラー、アースが筆頭株主 8.5%超取得 統合構想、波乱含み

 殺虫剤最大手のアース製薬が3位のフマキラーの筆頭株主になったことが18日、明らかになった。アースはフマキラー株を市場で買い進めていたが、今週後半に創業者一族の大下高明・相談役の保有株数を上回った。アースは将来の経営統合を見据え、今後も株式を買い増す意向。これに対してフマキラー-は抵抗する構えをみせており、今後の展開は波乱含みだ。
 大下高明氏は現時点で250万株(発行済み株式数の8.5%)を保有している。アースの保有株数が「今週後半に250万株をわずかながら超えた」(首脳)ことで、筆頭株主が交代した。
 アースは過去1年、株式を買い進めながら非公式に経営統合を打診してきた。だが、フマキラーは「正式な提案は受けていない」(幹部)としており、独立路線を維持する構え。アースは資本関係の強化をてこに、経営統合に向け働きかけを強める考えだ。
 アースを動かしているのは、国内で過熱気味の販売促進競争から脱却したいとの思惑だ。フマキラーとの統合が実現すれば1千億円強の国内殺虫剤市場のシェアは約6割。広告宣伝費などをスリム化できるうえ、推定で約5千億円あり、成長が見込める海外の殺虫剤市場に余剰資金を振り向けられる利点がある。
 さらに海外市場ではフマキラーの営業基盤が生かせる。フマキラーは約80カ国で商品を販売しており、海外売上高比率は2008年3月期見通しで28%。1割に満たないアースにとり、そのインフラは魅力的だ。
 ただ、フマキラーは事前警告型の買収防衛策を導入済み。海外でフマキラーと業務提携している消臭芳香剤大手のエステーもフマキラー株の取得を進め、07年9月末時点で発行済み株式の4.8%を持つ第三位株主だ。

エステー
2005年1月 フマキラーインドネシアで消臭芳香剤を生産・販売


 

2008/01/21 アース製薬

1月19日(土)付の新聞報道について

 1月19日(土)付の日本経済新聞において、当社がフマキラー株式会社の筆頭株主となり、同社に向けて経営統合を呼びかけるという内容の記事が掲載されましたが、同社へ正式に経営統合を申し入れした事実はございません。当社の同社株式の取得は経営統合を目的としたものではなく、あくまでも純投資が目的であります。

アース製薬
 1892 木村秀哉が大阪で創業
 1910 兵庫県赤穂市に工場建設
 1916 炭酸マグネシウム国産化に成功
 1925 竃リ村製薬所設立
 1929 家庭用殺虫剤アース発売
 1940 アース渦巻 発売
 1953 アースエアゾール発売
 1964 アース製薬に改称
 1970 大塚グループ資本参加


Wikipedia
家庭用殺虫剤業界において、もっとも売り上げの比重が高いものは蚊対策商品であり、以下ゴキブリ用、ダニ用と続く。
シェアはリキッドタイプの蚊取り器の先駆となったアースノーマットやゴキブリホイホイなどのヒット商品を持つアース製薬が約40%、以下、
西日本に強い販路を持ち、蚊取り線香やキンチョールなどロングセラー品を持つ大日本除虫菊(金鳥)が25%、
蚊取り器ブランドのベープなどを擁するフマキラーが15%、
大正製薬の殺虫剤事業終了に伴い、同社からワイパアの商標貸与によって業界に参入した白元及び白元グループ、
中外製薬のOTC部門撤退に伴ってバルサン事業を譲受し、加えて独自商品の開発で市場を確保しつつあるライオンの5社で全国シェアの9割以上を寡占している。
その他、零細企業は100以上を数え、蚊取り線香の産地として知られる和歌山県有田市近辺に約30社が集中する。

日本家庭用殺虫剤工業会

アース製薬(株)  
オカモト(株)  
加賀インセクティサイド(株) 和歌山
紀陽除虫菊(株) 和歌山
(株)キンエイクリエイト 和歌山
キング化学(株) 和歌山
(株)児玉兄弟商会 和歌山
三和インセクティサイド(株) 和歌山
住化エンビロサイエンス(株) 住友化学 70.6%、有恒社 29.4%
大日本除虫菊(株)  
(株)立石春洋堂 東大阪市
東洋除虫菊(株) 和歌山
内外除虫菊(株) 和歌山
(株)白元 大正製薬の殺虫剤事業終了に伴い、同社からワイパアの商標貸与
フマキラー(株)  
ユーアイかとり(株) 和歌山
ライオン(株) 中外製薬のOTC部門撤退に伴ってバルサン事業を譲受
ライオンケミカル(株) 明治28年(1895)和歌山県有田村(現在有田市)にて創業。
1973 ライオン歯磨
1991 ジョンソンがライオンかとりの経営に乗り出し株式所得
 1995 ジョンソンケミカル(株)に、2001、ライオンケミカル(株)に改称。

国内の家庭用殺虫剤市場 

  1,000億円市場として安定(2007年推計 995億円:フマキラー推定)

   種類別  
   電池式   75億円
   マット式   18
   リキッド式  139
   線香   92
   蝿・蚊エアゾール  113
   ゴキブリ 〃  129
   不快害虫 〃  155
   医薬品扱い  115
   その他  158
   (合計)  995
 
害虫別  
 蚊  388億円
 蚊・蝿  113
 ゴキブリ  209
 ダニ   59
 蟻・蜂その他不快害虫  154
 ねずみ   42
 その他   30
 (合計)  995
   

全世界殺虫剤市場 約6,000億円(小売ベース)

    アジア 日本  17%
インドネシア   4
インド   5
その他  24
合計  50%
  北米  20%
  中南米  13%
  欧州・アフリカ  17%
  合計 100%
       
       

フマキラー

   インド Fumakilla India
     設立 1996/4
     出資 フマキラー 48% →74%(2006/12)
         Freight Master Engineering 52% →26%

   インドネシア P.T. Fumakilla Indonesia
     設立 1990

    マレーシア Fumakilla Malaysia Berhad
     設立 1976

明治23年 / 大下回春堂 創業(薬種商)。
大正9年 / 専売特許殺虫剤「強力フマキラー」を開発、製造販売。
大正13年 / 大下回春堂 創立。
昭和25年 / 大下回春堂を資本金1,000万円の株式会社に改組。
昭和37年 / 資本金1億円に増資。社名をフマキラー株式会社に変更。
昭和38年 / 世界ではじめての電気蚊取「ベープ」を開発。