製薬業界の現状と展望   http://www.seiyaku-navi.co.jp/tenbou/tenbou16.html

海外で吹き荒れるM&Aの嵐

海外の製薬業界では、大手メーカー同士の合併が相次いでいる。規模拡大によって年々、高騰する研究開発費を確保し、幅広い分野で新薬をラインアップしようという狙いからだ。ただ、革新的なクスリの開発は、必ずしも規模と結びつかないとする見方もある。

● 海外では巨大製薬企業が続々、誕生している

企業名 医薬品
売上高
備考
(1)グラクソ・スミスクライン(英) 235億600万ドル 95年にグラクソ(英)がウエルカム(英)を買収。さらに00年1月スミスクライン・ビーチャム(英)と合併。世界最大の製薬メーカーに。
(2)ファイザー(米) 225億6700万ドル 00年6月ワーナー・ランバート(米)と合併。
02年 ファルマシアを合併 (追加)
(3)メルク(米) 202億2500万ドル 他社とは一線を画し、独立路線を歩む。84年に日本の万有製薬を子会社化。
(4)アストラゼネカ(英) 156億9800万ドル 99年にアストラ(スウェーデン)とゼネカ(英)が合併。
(5)ブリストル・マイヤーズ スクイブ(米) 144億ドル 89年にブリストル・マイヤーズ(米)とスクイブ(米)が合併。
(6)アベンティス(独/仏) 132億7700万ドル 99年にヘキスト(独)とローヌ・プーラン(仏)のライフサイエンス部門が合併。ヘキストは95年にもマリオン・メレル・ダウ(米)を吸収、Hoechst Pharma, Roussel Uclaf と統合し Hoechst Marion Roussel 設立。
(7)ジョンソン&ジョンソン(米) 119億5400万ドル  
(8)ロシュ(スイス) 110億8700万ドル 01年12月に中外製薬を傘下に収めることを発表。

03年2月 ビタミン事業をDSMに譲渡、医薬専業へ。

2001/5 Novartis acquires Roche stake

(9)ノバルティス(スイス) 110億4000万ドル 96年にチバ(スイス)とサンド(スイス)が合併。

2001/5 Novartis acquires Roche stake

2003/3 ノバルティス ロシュ株を買い増し

(10)ファルマシア(米) 108億2400万ドル 95年にファルマシア(スウェーデン)とアップジョン(米)が合併。99年12月にモンサントと合併。
02年 ファイザーに吸収合併、モンサントを分離 (追加)
(11)アメリカン・ホーム・プロダクツ(米) 107億9800万ドル  
(12)イーライリリー(米) 101億8000万ドル  
(13)シェリング・プラウ(米) 83億4600万ドル  
(14)バイエル(独) 58億7700万ドル  
(15)ベーリンガーインゲルハイム(独) 56億3600万ドル  
(16)サノフィ・サンテラボ(仏) 55億4200万ドル 99年にサノフィ(仏)とサンテラボ(仏)が合併。
(17)シェーリング(独) 43億100万ドル 00年に三井製薬を買収。
(18)アボット(米) 40億6200万ドル  

※「医薬ランキング2001年版」月刊ミクス増刊号


10年ほど前から、海外の製薬業界では大型のM&Aが立て続けに起こっている。製薬メーカーのランキングも大幅に入れ替わり、今後なお再編の可能性がある。新薬の開発にかかる費用が年々、高騰する中で、幅広い分野において自社製品をラインアップしていくには、より多くの研究開発費を確保しなければならない。まさに規模の論理が各社をM&Aに駆り立てているのである。
現在、医薬品売上高が100億ドルを超える製薬メーカーが世界には12社あり、研究開発費が年間20億ドルを超えるメーカーも10社に及ぶ。
ただ、研究開発費に比例して画期的新薬が生み出されるのかといえば、必ずしもそうとはいえない。中小メーカーが生み出した新薬を大手メーカーが販売するケースは国内外ともいろいろあるし、創薬ではベンチャー企業、臨床開発では専門の受託企業(CRO)と提携する動きも世界的に広がっている。


日経ヘルス 2000/02/17


「グラクソ」「スミスクライン」が合併、最大の製薬会社へ 

 イギリスの大手製薬会社の「
グラクソ・ウエルカム」(Glaxo Wellcome)と、「スミスクライン・ビ−チャム」(Smithkline Beecham)の両社は、1月17日、合併することに合意した、と発表した。
 
新社名は「グラクソ・スミスクライン」(Glaxo Smithkline)で、世界の市場シェアの7.3%を占め、年間売上げ246億ドル(2兆6000億円)、年間研究費40億ドル(4200億円)という、世界最大の製薬グル−プが誕生することになる。
 新会社のCEO(最高経営責任者)には、スミスクラインのナンバ−2の
ジャン・ピエ−ル・ガルニエ氏が就任、グラクソのトップ、リチャ−ド・サイクス氏は会長になる。また、研究部門のヘッドには、スミスクラインのヤマダ・タダタカ氏が就任する。
 「グラクソ・スミスクライン」社は、本部はロンドンに置くが、実際の活動は、アメリカ各地の拠点が中心となる。
 製薬業界では、いま、研究開発や新薬販売にかかるコストを削減するために、大型合併の動きが急激に進んでいる。
 最近では、ファルマシア・アプジョン社とモンサント社とが合併計画を発表し、ファイザ−社はワ−ナ−・ランパ−ト社の吸収をねらっている。後者の合併が成立すると、市場シェアが6%になり、グラクソ・スミスクラインに次ぐ大型製薬会社となる。
 「グラクソ・スミスクライン」社は、今年半ばまでに合併を完了する、予定と言われている。
 両社の製品は、相互補完的な関係にあるものが多く、その結果,新会社の製品は非常に幅が広くなり、およそ人間がかかる病気の治療薬をほとんどカバ−することになる、と関係者は言っている。
 なかでも、呼吸器疾患の薬、抗ウイルス剤、抗生物質、ワクチン、中枢神経系の治療薬では、世界を大きくリ−ドすることになる、という。



2002/11/7
 日経 CEOインタビュー


TAP Pharmaceutical Products Inc.         http://www.tap.com/

TAP began in 1977 as a joint venture between two global pharmaceutical leaders Abbott Laboratories, based in the United States, and Takeda Chemical Industries, Ltd., based in Japan. TAP was created as a kind of virtualpharmaceutical company-designed, for example, without any internal discovery organization or manufacturing facilities. From the beginning, the companys corporate structure and business model were unique. TAP went outside for new compounds, and by doing so, developed a flexible and versatile culture. At first, TAP acquired early-stage drug compounds solely from one of its parent companies, Takeda. Today TAP works with both Abbott and Takeda, and searches the world for in-licensing opportunities, focusing its efforts on rapid, high-quality drug development, and marketing and sales in North America.


2002/2/15 武田薬品

タケダ・ファルマ有限会社の経営権取得について

当社は、ドイツ時間2月14日、当社の100%子会社である武田ヨーロッパ・ホールディングス株式会社とドイツのグリュネンタール有限会社の50%づつ出資の合弁会社「タケダ・ファルマ有限会社」(アーヘン、ドイツ)の持分について、グリュネンタール有限会社より、同社の全持分を譲り受ける契約に調印いたしました。

 タケダ・ファルマ有限会社は、オーストリアとスイスにそれぞれ、100%所有の販売子会社である「タケダ・ファルマ・オーストリア有限会社」、「タケダ・ファルマ・スイス株式会社」を所有しており、この持分譲り受けに伴い、両社の経営権も当社が取得することとなります。

 本件は、ドイツおよびオーストリアの独占禁止法関係当局による審査を受けることになります。当局の許可取得後、タケダ・ファルマ有限会社は、武田ヨーロッパ・ホールディングス株式会社の100%子会社となります。

 タケダ・ファルマ有限会社とグリュネンタール有限会社は、今後も友好関係を維持してまいります。

[3社の概要]

タケダ・ファルマ有限会社

社名: Takeda Pharma G.m.b.H.
設立: 1981年12月
所在地: アーヘン、ドイツ
資本金: 10百万ドイツ・マルク
代表取締役: Erich Brunn、波田 典亮
2001年度
売上:
約200百万ユーロ(約390百万ドイツ・マルク)-----監査前
(タケダ・ファルマ・オーストリア有限会社、タケダ・ファルマ・スイス株式会社の売上を含む)
主要品目:    Enantone(日本での商品名:リュープリン)
Agopton(同上:タケプロン)
Blopress(同上:ブロプレス)
Actos(同上:アクトス)
Ixense(日本:未発売)

タケダ・ファルマ・オーストリア有限会社

社名: Takeda Pharma Ges.m.b.H.
設立: 1993年12月
所在地: ウィーン、オーストリア
資本金: 1百万オーストリア・シリング
代表取締役: Helmut Hasibeder
主要品目: Enantone(日本での商品名:リュープリン)
Agopton(同上:タケプロン)
Blopress(同上:ブロプレス)
Actos(同上:アクトス)
Ixense(日本:未発売)

タケダ・ファルマ・スイス株式会社

社名: Takeda Pharma AG
設立: 1998年9月
所在地: ラーヘン、スイス
資本金: 250千スイス・フラン
代表取締役: Wolfgang Jakob
主要品目: Agopton(同上:タケプロン)
Blopress(同上:ブロプレス)
Actos(同上:アクトス)