2008年4月8日 松下電器

次世代創薬ソリューション モジュラーHTSシステムの共同販売推進契約を締結
  北米市場展開を本格推進

パナソニック ファクトリーソリューションズ株式会社、その米国販売会社であるパナソニック ファクトリーソリューションズ アメリカ社およびKalypsys社は、現在共同開発中で新薬開発期間を大幅に短縮可能な次世代ハイスループット・スクリーニング(HTS)システムについて北米市場での販売、マーケティング、アプリケーションサポートを共に推進する目的で共同販売推進契約を締結しました。これは新薬候補物質を高速でスクリーニングするモジュラータイプのHTSシステムで、従来のシステムでは困難であった1536Well高密度プレートに完全対応したシステムとなっています。

両社は、2006年9月に締結した共同開発契約にもとづき、創薬分野の研究機関・製薬企業の新薬開発やライフサイエンス研究における現在および将来のニーズを把握するためのマーケティング、それを具現化する新たなオートメーションプラットフォームの技術開発、商品化を進めてきました。

今回の契約では、新システムのリリースを見据えて、コラボレーションの範囲をさらに拡大し、北米市場においてオートメーション分野に強みを持つパナソニック ファクトリーソリューションズが販売・マーケティング・メカニカルフィールドサービスを、新薬開発技術に強みを持つKalypsysがアプリケーション開発・アプリケーションフィールドサービスを担い、開発中の新製品を北米市場へ共同で上市する事に合意しました。両社の強みを融合したコラボレーションが業界に新しいビジネスソリューションをもたらすものと期待しています。また、契約にもとづき共同開発商品の販売においてKalypsysはロイヤリティを受取る事になります。

現在開発中の「モジュラーHTSシステム」は2008年4月に米国セント・ルイスで開催されるSociety for Biomolecular Sciences(SBS)にて新製品リリースを予定しています。

ハイスループット・スクリーニング
(HTS:high-throughput screening)  
http://www.chikennavi.net/word/hts.htm

アッセイロボットを利用して、創薬資源となる良好なリード化合物を発見し、かつ、不良なリード化合物を早期にふるい落とすための技術。

創薬の初期の段階を効率化する上で大変重要な役割を担っています。

コンビナトリアル・ケミストリーによって、ある有望化合物のさまざまなリード化合物、また、その周辺化合物が、幾段階もの化学反応や酵素反応を経て、短時間のうちに作られます。
それらの大量に作られた化合物の中から、ハイスループット・スクリーニングにより、生物活性のある化合物が選別されます。

先端の製薬会社はそれぞれ自社で、数十万から数百万の化合物ライブラリーを持っています。
そのなかからリード化合物を見つけるのに、このハイスループットスクリーニングは欠かせません。

また、医薬品候補の化合物群から薬として最適な化合物を抽出する場合、薬物動態がよく、毒性の低いものを選んでいく必要がありますが、それもこの手法により、迅速に行えるようになっています。

今や、化合物を1つ1つ段階を追って人の手で検証していく時代ではなくなっているのです

 

概要;
1. フレキシブルな拡張性
モジュールサイズをコンパクトに規格化し、さまざまな機能が盛り込まれこれまでのスクリーニング分野に留まらず、新薬開発プロセスにおいて、分注機能を核とした拡張性を持つ広範囲のアプリケーションに容易に対応

2. 高精度なアッセイ(生化学実験)データ取得と稼動信頼性の向上
従来プロセスで課題となっていたエッジエフェクト(プレート内液体の蒸発バラつきや細胞の培養バラつき)を抑える機能を持つと共に、分注ノズルの詰まり防止機能、計測データを用いたアッセイ状況の管理(Zプライム管理)により稼動信頼性を向上

3. ハイスループットの追求
双方向ベルトコンベアプレート搬送システムにより、処理能力は1536Wellプレートで1枚あたり約1分という高速処理を実現

パナソニック ファクトリーソリューションズとKalypsysは、コラボレーションを通じて、これまでの課題を解決するHTSシステムを提供すると共に、設備・プロセス・ソリューションの三位一体で新たな創薬ソリューションを提供してまいります。

【パナソニック ファクトリーソリューションズ株式会社について】

パナソニック ファクトリーソリューションズは、松下グループの中でFA事業を担当しているドメインで、電子部品実装、半導体実装、工法プロセスなど最適なソリューションを提供しています。回路形成技術を核としたモノづくりプロセスの改革により、お客様の事業発展に貢献することをミッションとし、多様化が進むモノづくり現場のニーズに対応しています。
中でも、主力の電子部品実装事業では、高速モジュラーマウンターで業界トップレベルの占有率を誇ります。こうしたFA事業で培った高精度位置決め・画像処理・分注技術を応用し、新薬を開発するプロセスの自動化・タクトアップを実現する創薬支援ロボットにも新規事業として取り組んでいます。

<会社概要>

本社所在地 大阪府門真市松葉町2番7号
設立 2003年
代表者 社長 武本義郎
従業員数 3,300名
ホームページ http://panasonic.co.jp/pfsc/

【Kalypsys, Inc.について】

Kalypsys社は、アメリカ サンディエゴを拠点とする製薬会社で、新薬開発のプロセスを常に革新し続けています。新薬の初期構想段階から臨床に至るまで、Kalypsys社は科学的な知識と技術をシームレスに統合し、高速で効率的かつ効果的に低分子新薬の開発をしている点において他社の追随を許していません。Kalypsys社は新薬開発のターゲットを炎症性、腫瘍性、心臓血管および代謝性疾病用の薬に置いており、自社開発品に加え、大手製薬会社とも連携、新しい治療法の開発・商品化を推進しています。

<会社概要>

本社所在地 10402 Wateridge Circle San Diego, CA 92121
設立 2001年
代表者 Richard Heyman, PhD
従業員数 125名
ホームページ http://www.kalypsys.com/

  ノバルティスグループから独立