2005年7月19日 株式会社そーせい         そーせい

英国のアラキス社の株式取得(子会社化)のお知らせ
http://www.sosei.com/jp/press/pdf/050719-j_press.pdf

 当社は、2005 年7月19 日開催の取締役会において、Arakis Limited(アラキス・リミテッド、英国エセックス<http://www.arakis.com>:以下「アラキス社」)の株式を取得し、子会社とすることを決定いたしましたので下記の通りお知らせいたします。

《概要》
1.株式取得の理由
 当社は、英国エセックスに本拠を置くバイオ医薬品開発企業であるアラキス社の株式を100%取得し、完全子会社とすることを企図して、本件株式取得を実施することといたしました。両社のバイオ医薬品開発事業を統合し、開発パイプラインの拡充および国際的な研究開発体制の強化を図ります。当社は中期的な経営上の目標である「世界トップバイオ企業への成長」を実現するための布石として、本件株式取得による買収を実施いたします。

(戦略的買収の利点)
 アラキス社を戦略的に買収し、事業統合する利点は以下の通りです。

(1)開発パイプラインの拡充:
 統合後の開発パイプラインは、承認申請中1品目、臨床開発段階6品目、前臨床開発段階7品目、基礎研究段階2品目の、全16品目に拡充されます。短期、中期的収益化の可能性を持つ開発品や、国際的製薬企業との提携関係が成立している開発品および全世界的権利を有する開発品が新たに追加されることにより、開発パイプラインのリスクコントロールが強化され、また当社成長性の加速や成長規模の拡大が期待されます。
 アラキス社の主要開発品AD237 は、アンチムスカリンを含有する1日1回吸入の慢性閉塞性肺疾患(COPD)治療剤です。英国ベクチュラ社との共同研究開発の成果として、本開発品はマイルストン合計3億7千5百万ドルとロイヤリティを受け取る条件にて、ノヴァルティス社に世界的権利が本年4 月にアウトライセンスされています。現在、単一療法およびノヴァティス社の保有するベータ・アゴニストQAB149 との複合療法の両面で、開発が進められています。他に、AD923(癌性疼痛、臨床第2相試験)、AD452(リューマチ性関節炎、臨床第1相試験)およびAD337(慢性疼痛、臨床第1相試験)の3つの開発品が臨床開発段階にあります。

(2) 開発品導入手段の強化
 バイオ医薬品企業の成長の源泉は、その企業が保有する開発パイプラインにあります。したがって、開発品を開発パイプラインに導入する手段を強化することは、当社の主要な経営課題となっております。本事業統合により、以下の開発品導入手段が強化されることとなります。
(ア) インライセンス
 従前より当社は積極的にインライセンス活動を実施してまいりましたが、当社とアラキス社の持つ国際的なネットワークを統合することにより、より効果的なインライセンスの機会を得ることが期待されます。
(イ) ドラッグ・リプロファイリングシステム
 アラキス社のドラッグ・リプロファイリングシステムは、「既存医薬品に対する薬理学上のリプロファイリング」を基本コンセプトとしております。当社のDRPR(ドラッグ・リプロファイリング・プラットフォーム)システムと、アラキス社のシステムを統合することにより、より効率的な新規適応発見が期待されることとなります。
(ウ) 新規分子成分(NME)創出
 アラキス社の上記ドラッグ・リプロファイリングシステムは、物理科学的な化合物改良法に関するテクノロジーも内包しており、これを統合することにより当社で従前より活動してきたNME 共同研究開発と合わせて、新規分子成分(NME)の創出力が強化されることが期待されます。

(3) 開発体制の強化
 本事業統合により、欧州における開発体制が大幅に拡充されます。現在構築を計画する米国での開発体制と合わせて、全世界権利を有する開発品に対する臨床開発機能、そしてそれぞれの地域毎の医薬品規制へ対応能力が強化されることとなります。

(4) 財務体質の安全性の維持
 アラキス社は現在約60 億円の資金を有しております。また本買収において、当社が拠出する資金は買収総額の11.09%にとどまります。さらに、両者とも借入金や社債等の有利子負債残高を一切有しておりません。これらのことから、本買収の完了後も財務体質の安全性は維持されます。また本買収の完了後は、現在の計画における研究開発費を中心とする支出の約3年分に相当する資金を有することとなります。

(統合後のマネジメント体制および組織)
 買収完了後アラキス社は、当社の取締役会会長デェイビット・チズウェル、代表執行役社長田村眞一のもと、現在の英国エセックスの本拠地において当社の子会社として存続し、国際的な研究開発事業に携わります。共同創業者であるロビン・バニスターはアラキス社マネージング・ディレクターに就任し、同じく共同創業者のジュリアン・ギルバートはそーせいグループのグループ・ディレクターとして国際的戦略事業開発に携わります。現CEO のケネス・カニンガムおよび現CFO のピーター・キーンは退任いたします。

2.株式取得の主な流れ
(1) 第三者割当増資
 当社は、アラキス社の全株主に対して申し出を行い、申し出に応じた株主に対して1株522,600 円にて計35,630 株の
新株式を割り当てるとともに、調整金総額989,091 円を支払い、その対価としてアラキス社の全株主は同社の株式計894,640 株(発行済株式数の88.91%)を現物出資します。
(2) 株式買取
 当社は、アラキス社の全株主に対して申し出を行い、申し出に応じた株主から、最大で計111,563 株(発行済株式数の11.09%)を、最大で計2,306,448,909 円の対価にて
買い取る予定です。
(3) アラキス社の子会社化
 当社は、上述(1)(2)の取引を通じて、アラキス社の全株主が当社の申し出に応じた場合、同社の
全株式を取得し、同社を完全子会社といたします。当該株式取得はアラキス社株式の100%取得を目指すものですが、申し出に応じた株式数が一定数に満たない場合には当社は本件取引を中止することがあります。

【株式取得スキーム図】

(4) 株式保有について
 本件で発行される新株式の少なくとも93%に関して、株式取得から1年間の原則的保有義務(当社とアラキス株主が任命する証券会社が市場環境を勘案して売却に合意した場合を除きます)があります。なお、割当新株式の効力発生日(2005 年8月30 日)より2年間に、当該割当新株式の全部又は一部を譲渡した場合には、その旨を書面にて当社に報告する旨の確約を取得します。

3.異動する子会社の概要
(1) 商号 アラキス・リミテッド(Arakis Limited)
(2) 事業内容 バイオ医薬品開発
(3) 設立年月日 2000 年3月
(4) 本店所在地 Chesterford Research Park, Saffron Walden, Essex CB10 1XL, UK
(5) 代表者 ケネス・カニンガム(Kenneth Cunningham)
(6) 資本金 138 百万円
(7) 発行済株式総数 1,006,203 株
(8) 総資産 3,552 百万円
(9) 決算期 12月
(10) 従業員数 39名(2005 年7月現在)
(11) 主な事業所 英国エセックス


株式会社そーせい
http://www.sosei.com/jp/

 そーせいは医薬品開発に注力する日本のバイオ医薬品会社で、元ジェネンテック株式会社社長の田村眞一氏により1990 年に設立されました。欧米及び日本の企業からの後期開発段階の化合物や医薬品のインライセンス、独自のDRP(R) (Drug Reprofiling Platform(R):開発保留化合物の新規適応探索)及び国内外の製薬会社や大学などとの新規化合物共同研究によって、開発パイプラインを充実させています。同社は将来の自販体制確立に向けて営業部門の立ち上げにも着手しました。また同社は、過去10 年以上にわたって技術移転事業を展開してきており、そこで培った広範な世界的ネットワークを有しています。