朝日新聞 1974/10/2

サリドマイド訴訟 和解交渉が合意 賠償、最高4000万円
 年金支払いは満15.5歳から 医療・教育環境を整備 

 和解交渉を進めていたサリドマイド訴訟原告団63家族と、被告の国(厚生省)、大日本製薬は、1日までの交渉で大筋について合意に達した。今月中旬にも原告と被告間で確認書に調印、続いて訴訟終結のための和解調書に調印する段取りである。昨年12月に和解交渉に入って9カ月余、日本でサリドマイド児が出現して15年ぶりにやっと、争いに終止符が打たれ、救済がスタートすることになった。また、被告側は訴訟を起こしていない被害児とその家族に対しても、「同一条件で救済する」としている。しかし、非原告被害者がサリドマイドド児かどうかの認定、障害ランクの判定などむずかしい問題が残されている。さらに、サリドマイド児だけでなく、他の先天障害児福祉も軌道に乗せると意義づけた訴訟だけに、サリドマイド問題はこれで終わるのではなく、新たな出発点に立つことになる。

サリドマイド訴訟
サリドマイド系睡眠薬「イソミン」、サリドマイドを含んだ胃腸薬「
プロパンM錠」(大日本製薬)と、同系睡眠薬「新ナイトS」(セイセー薬品工業=倒産)の副作用で、サリドマイド奇形児が生まれたことについて、被害家族が国と両社を相手に起した損害賠償請求の民事訴訟。
訴訟を起していない被害児を含めた生存被害児総数について、国は200人以内とみているが、約500人とか、千人以上という説もあってはっきりしていない。

「衷心より遺憾の意」 国が表明

 確認書の中で、国はサリドマイド禍を起こした責任について、「衷心より遺憾の意を表します」と明記することになった。官庁式表現だが、国は「おわびするという意味だ」と交渉の席で繰り返し、原告団は表現に不満を残しながらも了承、国の陳謝の意がはじめて明文化される。
 和解内容は、各被害児・家族に対する金銭賠償と、被害児に対する福祉対策の二本柱になっている。金銭賠償は、原告被害児を障害の程度によって3ランクに分け、Aランク4000万円、Bランク3300万円、Cランク2800万円とした。こしのほか、弁護士費用として原告に対する賠償金総額の10%と、訴訟費用を被告側が支払う。

 この2800万円から4000万円の賠償額は、日本の薬害訴訟では最高額。イギリスのサリドマイド訴訟(昨年7月解決)では、被害児443人とその家族に総額2500万ポンド(約132億5千万円)、1家族当たり約3千万円が支払われた。
 公害被害者に対する賠償では、昨年3月の熊本水俣病判決による被害者本人への賠償額が1800万円ー1600万円。このほか症状、障害によって月額6万円ー2万円の終身生活保償金が支払われている。
 また航空機、食品、医療事故では、5千万円ー1千万円の補償はいまでは珍し<ない。

 賠償金の支払い方は、原則として一時金と年金に振り分けて2本立てとした。一時金は和解成立後直ちに支払われるが、年金は支払い基金を設け、被害児が満15.5歳に達した時点から支払いを始める。一人月額10万円程度の終身払いになる見込みで、物価上昇に応じてスライドさせる。

 金銭賠償と並んで原告側が重視している福祉対策は、原告団が示していた「福祉要求」に沿って実施することを被告側が確約した。被害者の実態調査や健康診断、治療など今後の医療関係費の被告負担、補装・補助具の研究開発と支給、教育環境の整備などで、被害児の成長や生活環境の変化に伴って新しい問題が生ずることも予想し、すべての具体策を現段階で固定的に決めることを避けた。
 ただ、被害児の日常生活での不便を軽減するため、自宅に足踏み式水栓などをつけることにし、大日本製薬が賠償金とは別に3千万円を支出する。
 また、被害児に対する日常の福祉活動の中心となる「サリドマイド福祉センター」の運営資金として、大日本製薬が当面2千万円を拠出する。

 被告側が昨年12月、東京地裁原告団に和解を申し入れ、はじめて因果関係と責任を認める態度を明らかにしたため和解交渉に入った。今年4月被告側は金銭賠償案と福祉対策案を一括提示したが、原告団はどちらも不満だとして返上、交渉は中断された。しかし、両当事者の間では打開の糸口がつかめない情勢だったため、5月末、園田裁判長が新たに金銭賠償案を提示、この案に被告側は同意、原告側も残る福祉対策などが納得できるものになることを条件に受け入れることにした。
 再開後の交渉では、年金支払い開始の時期と、確認書に盛り込む被告の「責任の表現」で難航した。年金支払い時期について、原告側は当初から「和解成立時」を主張したが、被告、とくに国は、「年金の性格上、サリドマイド児が親の保護下を離れる満18歳から」に固執してきた。しかし、最終段階で国は一般の年金と異なる側面を無視できなくなり、支払い開始年齢を引き下げる譲歩案を示した。原告団としては、5年間据え置きとなれば目減りが激しいと考えて譲らなかったわけだが、国が柔軟な態度に出たため不満としながらも歩み寄った。
 また、責任を表す言葉として、国は「遺憾の意を表します」と書くことを主張。原告団から「お詫びする、となぜ素直に書けないか」と詰め寄られると、「官庁用語例ではこれしかない」と固執していたが「陳謝と変わりない」という説明で、最終段階で「衷心より」の言葉を加えて折り合った。

1974/10/8 毎日新聞

サリドマイド訴訟 11年ぶり和解成立 国・会社が責任認める
 13日調印 賠償金や年金給付

 サリドマイド訴訟は、全国サリドマイド原告団の被害者63家族と、被告側の国(厚生省)および大日本製薬株式会社との間で和解交渉を進めてきたが、7日、東京千代田区の都道府県会館で開かれた三者の最終交渉で国及び大日本製薬は「サリドマイド禍を生ぜしめた責任を認め、衷心より遺憾の意を表す」という内容の確認書作成に合意するとともに@損害賠償は3ランクにわけ支払うAサリドマイド福祉センターを設立するB年金を支給する、などの点も確認した。これによって現在、東京地裁など全国の8地裁で審理されているサリドマイド訴訟は実質的な和解が成立、38年に初めて提訴されて以来11年ぶりにピリオドが打たれた。13日に双方の代表が出席して確認書に調印、原告側は訴訟を終結する。原告以外の被害児についても国と同社は申出に基づいて認定、原告並みに準用したい、としている。

非訴訟被害者に準用
 和解交渉は、46年2月、国と大日本製薬が東京地裁へ和解を申し入れたのに基づいて、昨年12月から始まった。賠償、因果関係と責任問題が交渉の三本柱。
 とくに責任問題、因果関係が最大のポイントだった。
 原告側は初め、国と大日本製薬の責任を別々に分けて表現した原告案を示したが、被告側が拒否。形の上では双方の折衷案で合意となった。また原告側は「すべての責任」を要求したが、「すべて」の字句は削られた。
 さらに「遺憾の意」のくだりでも、原告側は、当初、素直な「陳謝」を要求したが「官庁用語にない」ことでけられた。しかし、字句の違いこそあれ、被告側は、サリドマイドの服用により障害児を発生させたことを認め、さらに、サリドマイドの催奇形性の有無について確認を怠り「レンツ警告」(西ドイツのレンツ博士がサリドマイドと奇形の因果関係について警告)後の処置についても落度があった責任を認めた結果となった。
 また、「何ら格別の救済措置を講じなかったことを反省し、衷心より遺憾の意を表す」こととし、「衷心の意」を覚書で「おわびの意味である」ことを記することになった。
 損害賠償の点では6月15日の交渉で、「東京地裁が示した案を受諾する」ことでまとまった。Aランク(最重症)4000万円、Bランク(重症)3300万円、Cランク(中症)2800万円の3つの段階に分け支払われる。ランクづけの判定は裁判所があっせんする土屋弘吉・横浜市大教授を座長とする6人の判定委を設け、現在実質的な作業は終わっている。
 賠償に伴う福祉政策の要求については、サリドマイド福祉センターを設立、設立の原資として大日本製薬が5億円をきょ出することで合意した。
 また、60年間の年金支給も決まった。年金は原告が一人につき1500万円をきょ出、Aランクの被害児は特に2千万円のきょ出を認め、それぞれについて約8万円と約11万円の年金コースとなる。物価スライド分は、消費者物価指数に応じて被告側が負担し、年金の支給は原告が資金をきょ出した時点から3年後に始める。
 さらに原告団が訴訟のために使った費用のうち大日本製薬は訴訟費用を除いて2億4千万円を支払うほか福祉施策として医療費の給付や補助具、補装具として被害児の家庭と通学教育施設内に自動排泄処理便器、特殊机、特殊水栓、高性能補聴器を交付、負担額として3千万円を同社が負担することが決まった。被告側は障害児の成長に伴って予想される住居、教育、職業のあっせんにも努力する。
 原告以外の被害者家族は、申請によって認定後、原告並みに準用したい、としているが、奇形児を死産させた約800家族への補償については、いまのところ考えられていない。

サリドマイド訴訟和解 無責任な薬事行政

 サリドマイド禍をめぐる和解交渉が7日、やっと合意に達した。被害者たちの要求を、被告側がほぼ全面的に認めた形で、被害者の家族に一筋の光がさしたといえる。だが被害家族、被害児の苦しみがこれで終わったことにならない。サリドマイド児の最年長者はすでに中学2年。これらの子供たちは、今後もなお重い十字架を背負って生きなければならないのだ。何度もサリドマイドの危険が叫ばれたのにそれを無視し続けてきた国の責任の大きさははかり知れない。

悲劇防止へ監視を
 わが国でサリドマイドが発売されたのは33年1月。開発国の西ドイツに、3ヶ月遅れただけだった。
 「サリドマイドが奇形に関係がある」と”レンツ警告”(36年11月)があった直後、.西ドイツをはじめ、イギリス、スウェーデンなどサリドマイド発売国は直ちに販売を中止、製品回収に乗り出した。しかし日本だけは、レンツ警告後10カ月間もサリドマイドを売り続けていた。
 メーカーが製品を回収したものの、当初はメーカー、国も因果関係を認めなかった。「国とメーカーに責任がある」と当時の素ODA厚相が言明したのは回収後6年たってから。さらに和解交渉を始めるまでにもう5年、そして交渉期間がまる10カ月---。長い長い和解への”道程”ー被害家族の苦しみはそれだけ深まり、国や、メーカーへの不信感は増大した。レンツ警告後3カ月のとき、厚生省は、まだ1社に対し、サリドマイドの製造認可を出していた(販売はされなかった)。この事実を国は何と説明するのか。

【薬害防止策はないのか】
 薬害事件にからむ”諸悪の根源”は、薬事法にある、と指摘する学者は多い。現行法では、公共の安全、秩序の維持ということから医薬品の製造販売に対して、最小限の規制しか考えられていない。消極的な”秩序維持行政”にしかすぎない、というのである。
 中央薬事審議会は書類審査だけ。ほかの専門家の意見を聞く聴聞会制度や審議会委員が製薬企業との兼職を禁止する条項もない。
 厚生省は現在、薬害救済制度を検討中だが、例えば企業からの基金と国の補助でまかなう基金制にしても、自分の出した薬害について、補償をせずに基金から支払うとなると、メーカーがかえって安易な生産を続けることも考えられる。具体的な薬害防止対策はいまのところないといっていい。

【難しい薬害訴訟]
 薬害訴訟は続出している。キノホルムによるスモン訴訟、聴力障害を起こしたストマイ事件、眼病を招いたクロロキン訴訟、全身にに強い中毒症状を超こしたコラルジル事件。
 これらの訴訟は、これまでの法津学の守備範囲を越えた新しい現象といわれる。しかし、因果関係を生体的なメカニズムの点から立証することは極めて困難。
 薬学知識の全くない原告が、豊富な資料を抱えるメーカーと、強大な国の行政権力を相手に闘うこと自体の困難さはいうまでもない。民事訴訟としても、企業がかくしている内部資料や、国の持つ資料、情報が公開されないで、被害者側に立証責任を負わすのは問題だ、と指摘する学者もいる。 
 薬害のために、重い十字架を背負わされた子供たちとその親。その苦しみの深さを知っていたら、国は「責任を認める」という表現を固執することもなかったのではないか。国は自らの責任の重大さを反省、今後被害児の福祉の増大にあらゆる努力をしなければならぬ。お金だけで解決する方法ではなく、刑事責任も含めて徹底的に社会的責任を追及されるべきでそのためには薬務行政に国民の厳しい目が必要だろう。

確認書の要旨

1、厚生大臣及び大日本製薬会社は、サリドマイドが催奇形性を有し、その服用によっていわゆるサリドマイド胎芽症児が出生した事実を認める。
2、厚生大臣及び大日本製薬会社は、前記製造から回収に至る一連の過程において、催奇形性の有無についての安金性の確認、レンツ博士の警告後の処置等につき、落度があったことに鑑み、悲惨なサリドマイド禍を生ぜしめたことにつき、薬務行政所管官庁として、及び医薬品業者として、それぞれの責任を認める。
3、また、厚生大臣及ぴ大日本製薬会社は、訴訟上10年余にわたって、因果関係と責任を争い、この間、被済児とその家族に対して何等格別の救済措置を講じなかったことを深く反省し、原告等に対して衷心より遺憾の意を表する。
4、厚生大臣は、確認書成立に伴い、今後医薬品承認の厳格化・副作用情報システム・医藥品の宣伝広告の監督など、医薬品安全性強化の実効をあげるとともに、国民の健康保持のため必要な場合、承認許可の取消し・販売の中止・市場からの回収等の措置をすみやかに講じ、サリドマイド事件にみられるごとき悲惨な薬害が再ぴ生じないよう最善の努力をすることを確約する。
5、大日本製薬会社は、医薬品製造業者の社会的責任を再確認し、再びかかる惨禍が起こることのないよう、医薬品の安全性確保に一層の努力をすることを確約する。
6、厚生大臣及び大日本製薬会社は、以下の各項目の通りの施策を十分に行うことを確認する。
▽損害賠償j金について=
 @サリドマイド被害者に対する損害賠償金はA 4000万円(被害児 3700万円、父母 300万円)、B 3300万円(被害児 3000万円、父母 300万円)、C 2800万円(被害児 2500万円、父母 300万円)とする。
 A被害児が賠償金の一部を被害児の将来の生活の安定を図るための年金として受領したい旨の申出をしたときは、国及び大日本製薬会社は被害児一人当たりの賠償金のうち1500万円(Aランクに該当の被害児で、別段の申出をしたものは2000万円)を財団法人サリドマイド福祉センターに支払い、被害児は財団から長期継続年金を受領する。
 B大日本製薬会社は、原告被害児とその父母に対して10年余に及ぶ訴訟遂行に要した費用(民事訴訟費用法に定める訴訟費用を除く)立替金等に相当する金員の賠償として2億4千万円支払う。
▽サリドマイド福祉センターについて=
 @被害児の健康管理、医療、介護、教育、職業その他将来の生活安定のため必要な事業を行うことを目的とする財団法人を設立するため、大日本製薬会社は、損害賠償の一環として5億円を拠出する。
 A財団の事業はサリドマイドによる全被害児(原告でない被害児を含む)を対象とする。
 B大日本製薬会社は、財団の設立許可後すみやかに初年度の財団運営事務費として2千万円を財団に支払う。
▽福祉施策について=
 @厚生大臣は、サリドマイド被害児に対し、その旨の証明書を交付する。
 A厚生大臣は身体障害者福祉法施行規則に定める障害等級を改正するに際しては、サリドマイド胎芽症が先天性の複合症であるという特殊性が十分反映されるように努める。
 B厚生大臣は、児童福祉法による育成医療は身障児の生活能力を高めるために必要な医療がすべて給付の対象となることを認める。
 C大日本製薬会社は、原告被害児の家庭及び通学教育施設内に、自動排泄処理便器、特殊机、特殊水栓、高性能補聴器を交付するとともに、高性能義肢の試作発注費を負担(計3千万円)する。
▽年金実施について=
 @年金の支給は、各原告被害児のすべてについて、きょ出額が財団に支払われた日から起算して3年を経過した日の属する月から開始され、開始の月から720月を経過した月をもって終了する。

 

朝日新聞 1974/10/14

無策15年 争いには終止符 サリドマイド訴訟、和解の調印

 和解合意にこぎつけた全国サリドマイド訴訟統一原告団と、被告の国(厚生省)大日本製薬は、13日午後1時から東京・平河町の都道府県会館で調印式を行い、合意事項をまとめた確認書と覚書・長期継続年金実施要綱に調印、正式に和解が成立。あいさつに立った大日本製薬の宮武徳次郎社長と齋藤厚相は、サリドマイド禍を起したこと、長年にわたって被害児を放置してきたことをあらためてわび、今後の福祉などに全力を尽くすことを誓った。日本にサリドマイド児が出現して15年、最初の訴訟から11年余で、やっと争いに終止符が打たれた。賠償金総額は、各原告被害児の障害ランクがすべて明らかになった段階で確定するが、いまのところ約23億円とみられ、非訴訟被害家族を含めた賠償金総額は、約60億円ー70億円とみられている。
  損害賠償金は大日本製薬と国が2:1の割合で負担する。

 調印式には原告側が原告63家族のうち被害児29人を含む57家族約100人らが出席。被告側は宮武社長、齋藤厚相、松下厚生省薬務局長らが並んだ。
 原告側の司会で式が進められ、まずあいさつに立った寺坂団長は、「きれいな服はいらない。お金もほしくない。5本の指、聞こえる耳がほしい、という子どもたちのことばを一生忘れず、厚生大臣と大日本製薬社長は確認事項の実現に誠意を尽くすことを誓っていただきたい」と涙にむせびながら再確認を求めた。
 これに対し宮武社長は、「これまでみなさんに救済の手を差しのべることができなかった。みなさんは、さぞ私を憎らしく思うでしょう。それは当然で、心からおわびします」と、涙声でのべ、原告席に向かって深々と頭を下げた。さらに「この場所ではっきり約束したい。もう二度とみなさんのような不幸を起さないよう、薬の製造、販売後の追跡に十二分に注意します。今日は今後の問題をみなさんと解決していく出発の日だと思っています」と決意を表明した。このあと、被害児たちの席を回り、一人一人に「ごめんなさい」と頭を下げて歩いた。
 国を代表してあいさつした斎醸厚相は「被害にあったみなさんに、これまでなんら救済の手をのべられなかったことを率直に反省しています。これで終わるのではなく、被害にあった方々の第二の人生の出発点だと認識しており、確認事頂が実りあるものとなるよう最善の努力をします」と述べた。
 寺坂団長、斎藤厚相、宮坂社長が確認書などに調印、式は午後2時前に終わった。

 なお、調印式終了後、原告団は要旨次のような声明を発表した。
 確認書の中で、被告側は因果関係と責任を認めたうえ、賠償金と物価スライド条項付き年金の支払い、福祉施策の充実と福祉センターの設立を約束した。私たちはこれを一応の成果と評価する。しかし、これから思春期にさしかかる子どもたちの問題、国による福祉施策の実現など課題が山積しており、和解ですべて解決したとはいえない。今後は、訴訟に参加しなかった被害児家族と手を取り合い、他の心身障害者団体とも協力し、確認書に盛られた諸施策の速やかな実現をはかり、国と製薬企業に対し、再び悲惨な薬害を発生させないよう強く要求していく。