2006-5-1
2022年02月21日

AGC、次世代パワー半導体材料開発のノベルクリスタルテクノロジーに追加出資

― 酸化ガリウムウェハの実用化を更に加速 ―

AGCは、次世代パワー半導体材料開発会社である潟mベルクリスタルテクノロジー(本社:埼玉)が2月21日付で実施した、第三者割当増資(AGCを含む7社に総額11.2億円)の一部を引き受けました。

 

パワー半導体は、サーバー・自動車・産業用機械・家電製品など様々な電気・電子機器に組み込まれ、電力の制御を行う電子部品です。パワー半導体の性能は電力制御モジュールの省エネルギー化、軽量・小型化に直結するため、要求性能は年々上昇しており、既存材料であるシリコンよりも電力損失が少なく、耐電圧特性、大電流特性に優れた半導体材料が求められています。

酸化ガリウムはシリコンと比較し、3000倍以上のパワー半導体性能指数*1を有する次世代パワー半導体材料です。また、他の候補材料であるSiC(炭化ケイ素)やGaN(窒化ガリウム)と比較して、更に高電圧・大電流で使用できる可能性があることから、高い注目を集めています。

ノベルクリスタルテクノロジーは現在100mmまでの酸化ガリウムウェハの開発・製造・販売に成功しており、100%に近い世界シェアを有しています。AGCはノベルクリスタルテクノロジーの高い技術力に加え、当社がガラス製造で培った高温溶解、研磨加工、洗浄などの無機材料量産技術を活かすことで、酸化ガリウムの早期量産化を実現できると考え、2018年から共同開発に取り組むと共に出資を行ってきました。3度目となる今回の追加出資により、酸化ガリウムウェハの開発をさらに加速し、2023年の実用化を目指します。

AGCグループは、経営方針 AGC plus 2.0 のもと、エレクトロニクス事業を戦略事業のひとつと位置付けています。今後も大きな需要の伸びが見込まれる半導体関連事業に対し積極的な開発・投資を実施し、半導体産業の発展に貢献していきます。
 

<参考>

■ノベルクリスタルテクノロジー社に関して

ノベルクリスタルテクノロジーは、株式会社タムラ製作所からのカーブアウトベンチャーおよび、国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT)の技術移転ベンチャーとして2015年6月に設立されました。パワー半導体材料である、酸化ガリウム単結晶基板とエピタキシャルウェハの開発・製造・販売およびパワーデバイスの開発を行っています。2017年11月には、タムラ製作所との共同で、世界初の酸化ガリウムエピタキシャル膜を用いたトレンチMOS型パワートランジスタの開発に成功するなど、世界に先駆けて酸化ガリウムを用いたパワー半導体の実用化に向けた取り組みを進めています。
https://www.novelcrystal.co.jp/