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2016/6/14  日経

テルモ、米脳血管医療機器メーカー買収 400億円投じ首位追う

テルモは米国の脳血管医療機器メーカーを買収する。脳動脈瘤(りゅう)をカテーテル(医療用細管)を通じて血管から治療する器具を開発する企業で、買収額は約 400億円。カテーテルを使った脳血管手術は患者への負担が小さく年率10%のペースで市場が伸びている。テルモは同領域の世界シェアで16%と3位グループにあるが、買収をてこに首位を目指す。

米子会社を通じて買収するのはシークエント・メディカル(カリフォルニア州)。同社の全株式を取得する。買収手続きは7月に完了する見通しだ。テルモのM&A(合併・買収)案件では、2011年に約2100億円で買収した輸血関連機器のカリディアンBCT(現テルモBCT)に次ぐ過去2番目の規模になる。

07年設立のシークエント社は脳動脈瘤治療の次世代機器を開発・販売する企業で、欧州で10年に同機器の製造販売の承認を取得している。すでに3000症例に使われた実績がある。米国では臨床試験(治験)を実施中だ。数年後には米国での承認取得も目指している。

機器はニッケルチタン製でメッシュ状の形をしている。太ももからカテーテルで脳の血管まで運び、こぶの中で広げて詰める仕組み。血流が流れ込まなくなり、破裂するのを防ぐ。世界でもシークエント社が先行している技術という。

脳動脈瘤の治療では主に、手術で頭を開きクリップでこぶをはさんで破裂しないようにする方法と、カテーテルを挿入してこぶの中にコイルを詰める方法の2種類がある。テルモはコイルを使った方式で06年に同コイルを開発・製造するマイクロベンション(カリフォルニア州)を買収して、脳血管治療領域に本格参入した。

コイルによる治療もカテーテルで血管内から治療するため身体負担は小さいが、複数回に分けて詰める手間が必要で、手術に2〜3時間かかるのが一般的だった。今回の買収を通じて、メッシュ状の器具を使えるようになれば、血管内で1回膨らますだけで済み、手術に必要な時間も1時間以内に抑えられるという。

開頭手術が必要ない治療法は、患者への身体の負担を小さくできる。入院日数も減らせ、医療費削減の効果も見込める。

シークエント社を取り込み、次世代機器を製品群に加えてメドトロニック(アイルランド)など首位グループを追う。脳血管治療機器の世界市場は毎年10%近く伸び、15年は22億ドル(約2400億円)規模とみられる。医療機器の中でも成長分野の1つ。将来的にはマイクロベンションとシークエント社を統合し、脳血管治療の開発体制を強化する計画だ。

 

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2016年06月14日  テルモ

テルモ、脳動脈瘤用塞栓デバイスを開発する米国Sequent Medical社を買収
―重点分野である脳血管内治療領域の成長を加速―

テルモは、6月12日、脳動脈瘤治療に用いる新形状塞栓デバイスを開発し、世界で初めて製品化した米国のSequent Medical社(米国カリフォルニア州)の全株式を取得するための契約を締結しましたのでお知らせします。
買収金額は一時金が280百万米ドル、一定の条件達成に応じて支払うマイルストンが最大で100百万米ドルになる見込みです。
テルモは、今後の新しい成長戦略の方針の1つとして、成長と競争力が期待できる事業分野における世界的プレゼンスを拡大することを掲げております。本買収の脳血管内治療(ニューロバスキュラー)はカテーテル治療に並ぶ重点分野であり、本買収により、テルモグループの成長を加速させます。

1.本買収の意義

テルモは、本買収により得られる新規治療デバイスの米国市場参入機会を最大限に活用し、市場拡大が見込まれる脳血管内治療におけるプレゼンスの向上を目指します。
脳血管内治療市場は毎年拡大しており、2018年には約3000億円規模※1になると見込まれています。その中でも、脳動脈瘤治療に使用される新形状塞栓デバイスは、大きな市場拡大が期待されます。
テルモは、脳血管内治療を重要な成長領域と捉え、2006年のマイクロベンション社(米国カリフォルニア州、MicroVention, Inc.)買収により市場に参入しました。以降、脳動脈瘤治療に使用する塞栓コイルと、関連するカテーテルやステントを中心に製品ラインアップを揃え、総合ニューロカンパニーとしてグローバルで事業を拡大しています。
シークエント社は、脳動脈瘤治療の新たな選択肢として期待される新形状塞栓デバイスを開発し、世界で初めて製品化を実現しました。2010年には、欧州での販売に必要なCEマーク認証を取得し、既にドイツ、イギリスなどで販売を開始しています。また、米国での販売開始に向けた治験を他社に先駆けて実施しています。世界最大の市場である米国にいち早く導入を図ることで、先行者として、より優位な地位を築くことが期待されます。
市場規模拡大以上の成長を続けているテルモニューロバスキュラー事業の製品ラインアップに、シークエント社が開発する新形状塞栓デバイスを加えることで、テルモは、脳血管内治療におけるさらなる成長を目指します。

※1:テルモ推定

2.シークエント社の脳動脈瘤治療デバイス「WEB」

シークエント社が開発している新形状塞栓デバイス「WEB」は、脳動脈瘤の塞栓術治療に使用されます。シークエント社独自の技術により、形状記憶合金が細かく編み込まれており、専用のカテーテルを通して脳動脈瘤に留置されることで、瘤内への血液の流入を抑えます。
既に販売されている欧州を中心とする地域では、WEBの形状と取扱いの簡便さから、破裂した脳動脈瘤の緊急手術や、既存の塞栓術では治療が難しいとされる血管分岐部に瘤がある「分岐部病変」、瘤の入口部が広い「ワイドネック型」などの症例においても使用され、脳動脈瘤治療の新たな選択肢として期待されています。

3.シークエント社概要

会社名:Sequent Medical, Inc.(シークエントメディカル)
代表者:Thomas C. Wilder, President and CEO
設立:2007年
本社所在地:Aliso Viejo, California(米国カリフォルニア州、アリソ・ビエホ)
主な事業内容:脳動脈瘤治療デバイスの開発・製造・販売
社員数:約80人(2016年4月現在)
 http://www.sequentmedical.com/

4.今後の見通し

規制当局の承認を前提に、株式取得手続きは2016年7月から8月を目途に完了予定です。本買収に伴うテルモの業績、財務状態に与える影響については現在精査中であり、完了次第、速やかにお知らせします。

(ご参考)脳動脈瘤の治療

脳動脈瘤の治療は、主に瘤への血流を遮断する方法がとられます。その治療法には大きく分けて、手術で頭を開きクリップで瘤をはさむ外科的治療と、脚などの血管から挿入したカテーテルを通して、コイルやステントなどを留置する血管内治療があります。

血管内治療の例(塞栓デバイスとしてコイルを使用する場合)

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2006.02.28
 
米国マイクロベンション社の全株式取得に関するお知らせ
     カテーテルによる脳血管内治療分野に本格参入
 
テルモは、脳動脈瘤の治療機器メーカーである MicroVention Inc.(米国カリフォルニア州)の全株式を取得することで合意し、本日契約を締結しましたので、お知らせいたします。
 

1.買収に至る背景
マイクロベンション社は、脳動脈瘤の治療につかうコイルの専門メーカーで、現在世界で約15%のシェアを有しています。脳動脈瘤の治療には、外科的治療(開頭手術)と血管カテーテルを使用した経血管的治療(血管内手術)の2種類がありますが、近年は開頭手術より、体にメスを入れないで治療できる血管内手術が世界的に年々増加しております。
血管内カテーテルの分野で世界的な事業展開を図っているテルモは、今回のマイクロベンション社の株式取得により、従来の放射線科領域の血管造影および心臓血管治療の領域に加え、新たに脳血管内治療の領域に進出し、カテーテル事業をさらに強化することとしたものです。

テルモは、血管を通じて各種の診断や治療を行うカテーテル分野を成長事業の一つとして位置づけています。これまでも血管の診断に用いるガイドワイヤーや血管造影用カテーテル、さらに心筋梗塞の治療に使われるPTCA用拡張カテーテルなど、数多くの製品を展開してきました。中でも近年は治療分野に注力しており、昨年4月には、腹部大動脈瘤を治療するステントグラフトを欧州で発売するなど事業の拡大を図っています。
今回、脳動脈瘤の治療機器であるコイル※を製品ラインアップに加えることにより、従来のカテーテル事業をさらに脳血管の分野へと拡大強化することができ、グローバルでの競争力強化と事業の成長が期待できます。

※脳動脈瘤とコイルについて
脳動脈瘤は破裂すると死亡率の高いクモ膜下出血や脳内出血の原因になります。現在この脳動脈瘤治療は、未破裂・破裂動脈瘤治療を合わせて全世界で年間8万人が治療を受けています。
コイルは血管内手術に使用されるものです。足などの血管から細いチューブ(カテーテル)を挿入し、そのカテーテルを通じてプラチナ製のコイルを脳動脈瘤まで到達させ、瘤の内側に詰めて治療します。また最近では、プラチナ製コイルをコーティングしたものが開発され、より高い治療効果が期待されています。今回買収するマイクロベンション社は、独自のコーティング技術で、競争力のある製品をグローバルに展開しております。
なお、コイルの市場規模は世界で約220億円、年率10%以上で成長しているといわれております。
(記載されている市場規模及び市場シェアについては、当社推定によるものです)

2.マイクロベンション社の概要
(1) 会社名:マイクロベンション社
(2) 代表者:R. Michael Kleine(CEO)
(3) 事業所所在地:本社 米国カリフォルニア州 アリソヴィエホ
(4) 設立:1997年
(5) 事業内容:脳動脈瘤治療コイルの製造・販売
(6) 従業員:127名(2005年10月現在)
(7) 資本金:53.7百万米ドル(約60億円)
(8) 売上高:26.8百万米ドル(約30億円)
(2005年1月〜2005年12月)

3.株式取得の日程
規制当局の承認を前提に、2006年3月末に、手続きを完了する予定です。

4.業績への影響等
本件買収に関わる業績への影響に関しましては、現地における諸法令の確認および会計処理等について検討中ですので、確定次第お知らせいたします。
 

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2013年03月07日

テルモ子会社マイクロベンション社、コスタリカに工場を開業

テルモ株式会社(本社:東京都渋谷区 社長:新宅祐太郎)の脳血管治療用医療機器の専門子会社であるMicroVention, Inc. は、コスタリカに工場を開業し、3月6日現地で開業式を行いました。

マイクロベンション社は、脳動脈瘤のカテーテル治療(血管内手術)で使用するコイルなどの医療機器の開発から販売までを手掛けています。脳血管治療用医療機器の市場は、世界で約1400億円とされており、その半分にあたるコイル市場では、マイクロベンション社はリーディングカンパニーの1社です。この脳血管のカテーテル治療法がグローバルで普及するなか、従来のカリフォルニアの工場に加え、コスタリカに生産拠点を新設し、世界の需要に応えてまいります。コスタリカ工場では、主に脳血管治療用コイル、ステントなどを生産し、グローバルに供給してまいります。


2016/10/18  テルモ                         テルモ、脳動脈瘤用塞栓デバイスを開発する米国Sequent Medical社を買収
 

テルモ、米国セント・ジュード・メディカル社と米国アボット社両社からの止血デバイス事業等買収に関する基本条件に合意

テルモは、米国セント・ジュード・メディカル社 (St. Jude Medical, Inc.) と米国アボット・アボラトリーズ社 (Abbott Laboratories ) の血管内カテーテル術関連事業の買収に関する基本的な条件に合意いたしました。両社は合併に際して反トラスト法の対象として当局から審査を受けており、本買収は両社の合併に伴う事業売却です。両社合併成立を前提に本買収を進めており、買収額は11億2000万米ドルを予定しております。

本買収により、テルモはセント・ジュード・メディカルから世界シェアNo.1の大腿動脈穿刺部止血デバイス「アンジオシール」(Angio-Seal)を取得します。また、同社から大腿動脈穿刺部止血デバイス「フェモシール」(FemoSeal)を、アボット・ラボラトリーズ社から心臓用カテーテルイントロデューサーキット「ヴァド」(Vado Steerable Sheath)も併せて取得します。
※本買収による上記製品は全て反トラスト法の対象です。

現在、本買収はテルモと両社との独占交渉期間中であり、各国競争当局の審査手続きを進めております。本買収が最終的に成立次第、改めて発表いたします。また、本買収によるテルモの業績、財務状態に与える影響については今後精査してまいります。

セント・ジュードとアボットは止血機器での世界シェアが7割近くに達し、各国の独占禁止法に引っかかる可能性があった。テルモはセント・ジュードの止血機器事業を買収することで、同分野では世界シェアがトップ級になる。
 

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Oct. 18, 2016

St. Jude Medical and Abbott to Sell Portion of Vascular Closure and Electrophysiology Businesses to Terumo Corporation

The agreement is an important step toward completion of Abbott's acquisition of St. Jude Medical Abbott's acquisition of St. Jude Medical is expected to close by year-end

Abbott and St. Jude Medical, Inc. announced today an agreement in principle to sell certain products to Terumo Corporation. The transaction reflects a purchase price of approximately $1.12 billion and is subject to the successful completion of Abbott's acquisition of St. Jude Medical and antitrust regulatory approvals. Abbott, St. Jude Medical and Terumo are bound by the terms of an exclusivity agreement.

The divestiture is an all-cash transaction and will include the products globally for St. Jude Medical's Angio-Seal™ and Femoseal™ vascular closure products and Abbott's Vado® Steerable Sheath. Abbott will retain its vascular closure products, which include the Perclose ProGlide® Suture-Mediated Closure System, StarClose SE® Vascular Closure System and Prostar® XL Percutaneous Vascular Surgical System.

Following Abbott's acquisition of St. Jude Medical, the combined business will compete in nearly every area of the cardiovascular market and hold top positions in high-growth segments, including atrial fibrillation, structural heart and heart failure, as well as a leading position in the high-growth neuromodulation market. This combined portfolio will have the depth, breadth and innovation to help patients restore their health, reduce costs for payors and deliver greater value to customers.

Abbott expects to mitigate any impact to its adjusted earnings per share projections related to the sale of these assets to Terumo.

About St. Jude Medical

St. Jude Medical is a leading global medical device manufacturer and is dedicated to transforming the treatment of some of the world's most expensive epidemic diseases. The company does this by developing cost-effective medical technologies that save and improve lives of patients around the world. Headquartered in St. Paul, Minn., St. Jude Medical employs approximately 18,000 people worldwide and has five major areas of focus that include heart failure, atrial fibrillation, neuromodulation, traditional cardiac rhythm management and cardiovascular.


About Abbott

Abbott is a global healthcare company devoted to improving life through the development of products and technologies that span the breadth of healthcare. With a portfolio of leading, science-based offerings in diagnostics, medical devices, nutritionals and branded generic pharmaceuticals, Abbott serves people in more than 150 countries and employs approximately 74,000 people.

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  Angio-Seal™ Evolution™は、標準化されたインプラント留置を特徴としており、手技による圧着力のばらつきを克服し、速やかに止血できるデバイスです。
多くの症例でより効果的な止血が可能です。
  アンジオシール(大腿動脈穿刺部止血ディバイス)は、スーチャー(縫合糸)でつながったアンカーとコラーゲンスポンジにより、穿刺部血管壁の内側からアンカーで、組織側からコラーゲンスポンジを挟み込むことにより止血します。
さらに、コラーゲンが凝固反応を促進し、迅速な止血を行います。体内に留置するアンカー、コラーゲンスポンジ、スーチャーは60日〜90日で生体に吸収されます。
   
     
  心臓用カテーテルイントロデューサーキット「ヴァド」
経血管内にカテーテルを挿入する際に、挿入部位を確保するために使用するシースセット

カテーテルロック機能がカテーテルをしっかりと固定、カテーテルの長時間留置を可能にします。

 Abbott's new Vado steerable sheath is the first and only design on the market that does not use pull wires for deflection.  Our patented TruVectorTM technology is a unique design that uses connected coaxial lumens reinforced with Kevlar to provide superb stability in all planes.  As opposed to traditional pull wire based designs, you can rotate the Vado 360◦ without torque buildup which results in catheter whipping, thus helping you navigate the ablation catheter with precision while creating continuous, smooth lesions.  Highly sensitive handle to tip response puts you in the driver’s seat, providing precise torqueability and maneuverability for even the most challenging cases.