ABS   biopiracy

ABSとは?】
今、人間活動に欠かせない自然資源やたくさんの生き物たちが、かつてないほどのスピードで減少しています。それを解決するべく、1992 年地球サミットで署名が開始し、"生物多様性条約"が誕生しました。

条約が出来て17年が経ちましたが、今も、世界中が集まる国際会議の場では具体的な取り組みやルール作りのための熱い議論がかわされており、世界の動向は刻一刻と変化しています。

このような中、生物多様性条約の履行確保において現在最も注目を集めているのが"遺伝資源"の問題(正式名称:遺伝資源へのアクセスとその利用から生じる利益の公正かつ衡平な配分。通称:ABS(Access and Benefit-sharing))です。

私たちの生活には植物などに含まれる有用な成分を利用することで生まれた製品があふれています。これらから企業が得られる利益も膨大です。しかしその一方で、遺伝資源をもともと保有していた国(主に開発途上国)に利益が還元されていない現状や、富の行き先がバイオテクノロジーの発展した先進国のみであるといった指摘も存在します。このような先進国と途上国の対立はこの問題の大きなひとつの側面であり、交渉を難航させる原因になっているのです。
生物多様性条約の締結国会議で議論されているABSとは、南北問題と強く関係しているのです。

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2009年4月22日 日経エコロジー

資生堂やファイザーも冷や汗 企業にリスクもたらす遺伝資源

来年開かれる生物多様性条約第10回締約国会議(COP10)では、「名古屋議定書」の採択もにらんだ遺伝資源の国際ルール作りが大きな焦点になる。食品や医薬品、化粧品会社は遺伝資源利用のリスクが増えている。

フーディアが原料の日本のダイエット食品

 やせることをうたったり、滋養強壮をアピールする健康食品、はたまた薬用効果がある化粧品。暮らしに入り込んだこうした食品や医薬品、化粧品の遺 伝資源を巡る問題がクローズアップされている。遺伝資源の保有国(途上国)と利用国(先進国)で利益をどう分配するかについて国際的な枠組みを作ること が、来年、日本が議長国を務める生物多様性条約第10回締約国会議(COP10)の大きな議題になるからだ。

 2月の専門家会合を受けて4月の作業部会では、資源の勝手な持ち出しを防ぐため、「資源保有国に国内法がある場合、資源の認証書を発行し、利用国は認証を受けたことを開示する。無い場合は仲裁制度を作る仕組みを議論した」(外務省地球環境課)。

 遺伝資源とは、熱帯雨林などに眠る微生物など生物資源のこと。先進国はそれを利用し、医薬品や食品を開発してきた。生物多様性条約はこうした遺伝 資源に対し、「アクセスと公平な利益配分(ABS)」を掲げている。「利用国はその遺伝資源の保有国と事前同意を得て、契約を結び、利益を公平に配分する こと」を定める。

 しかし、実際はABSは守られてこなかった。途上国は契約を担保する国内法を持たないことが多かったからだ。2002年制定のボンガイドラインは事前同意の基準などを示したものの、途上国は法的拘束力がないことに不満を募らせてきた。

NGOが問題視して批判

 こうした中、ABSを巡って企業が訴えられる例も出てきた。植物のフーディアの例だ。アフリカ南部に住むサン族が長期の狩りに出ても空腹にならな いように伝統的に食べてきた。これを南アフリカの国立研究機関CSIRが特許を取得し、英ファイトフォン社に使用許可を与えた。同社は食欲抑制効果のある 成分を抽出し、米ファイザーや英蘭ユニリーバとライセンス契約を結んだ。

 しかし、サン族と合意を得ていないことをNGO(非政府組織)が問題視した。結局、2002年にCSIRやファイザー、ユニリーバは交渉を経てサン族と合意を結ぶに至った。

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 資生堂もABS問題でリスクを負った経験がある。インドネシアの生薬で51件の特許を取得したところ、現地のNGOがABSに抵触すると主張し、 2002年に全特許を取り下げた。実際は違法な使用ではなかったが、「企業イメージが傷付くことを恐れ、取り下げた」(広報部)。Kemukus Piper cubeba and Sambiloto Andrographis panicurata

The Shiseido Corporation of Japan, a multinational cosmetic and skincare company, had patented eleven traditional Jamu healing herbs. Under pressure from public protests Shiseido cancelled the patents it had of the Indonesian spices. In the last two and half years the Japanese cosmetics company has been bombarded with campaign messages from Pesticide Action Network (PAN) Indonesia and other concerned civil society organisations.

 

Pesticide Action Network (PAN) Indonesia launched a boycott campaign (April 2000) against the Japanese manufacturing company Shiseido Co Ltd. Shiseido have stolen and patented nine Indonesian herbs that originate from tribal indigenous peoples 先住民 in Indonesia. The herbs have been passed down through their ancestors and used for healing since ancient times. They include remedies for anti-ageing agents, hair tonics and skin preparations. Shiseido even has the audacity to cultivate the herbs on plantations in Indonesia, for they will not grow in Japan. They are manufacturing various skin and hair care products and have given no consideration whatsoever to the people who rightfully own the intellectual property. This is a clear case of Biopiracy.

 COP10ではABSの国際的枠組みが策定される。議定書の形をとるかどうか、企業にどの程度の影響が生じるかは不明だが、遺伝資源をリスク管理の観点から早急にとらえ直す必要があるだろう。

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発明の名称 養毛料  
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開平10−7535
公開日 平成10年(1998)1月13日
出願番号 特願平8−185325
出願日 平成8年(1996)6月27日
特許請求の範囲
【請求項1】 インドネシアで民間薬または生薬として使用されることのあるチャベ・ジャワ(Cabe Jawa)由来の抽出物を有効成分として含んでなる養毛料。
発明の詳細な説明
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、特定の植物抽出物を有効成分とする養毛料に関する。本発明の養毛料は、具体的には、医薬品、医薬部外品、および化粧品分野において利用される。
【0002】
【従 来の技術】従来より、禿や脱毛の原因としては、毛根、皮脂腺等の器官における男性ホルモンの活性化、毛包への血流量の低下、皮脂の分泌過剰、過酸化物の生 成等による頭皮の異常等が考えられている。このため従来の養毛料には、前記の原因を取り除いたり、または、軽減する作用を持つ化合物が一般に配合されてい る。
【0003】例えば、ビタミンB、ビタミンE等のビタミン類、セリン、メチオニン等のアミノ酸類、センブリエキス、アセチルコリン誘導体など の血管拡張剤、紫根エキス、ヒノキチオール等の抗炎症剤、エストラジオールなどの女性ホルモン剤、セファランチンなどの皮膚機能亢進剤などが配合され、脱 毛症の予防および治療に用いられている。
【0004】また、当該技術分野の関連のある先行技術としては、上記以外に天然物成分を利用するものとし て、コショウ(胡椒)、シマツリシ(紫茉莉子)、フヒョウ(浮萍)等の薬用植物の1種以上の由来する抽出物を配合した皮脂抑制剤(特開平3−220129 号公報参照)や、胡椒および地黄等をはじめとする15種の薬用天然物を特定の割合で混合し、エタノールおよび酢酸含有水溶液に浸して調製した養毛剤(特開 平3−44312号公報参照)も提案されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記のように種々の試みがな されているにもかかわらず、従来の養毛剤ではその脱毛防止、発毛効果等の養毛作用は必ずしも充分なものではなかった。これはおそらく、脱毛の原因がさまざ まであり、また発毛の機構も非常に複雑であるためと考えられている。このような脱毛の原因の多様性を考慮すれば、さらなる新規養毛料の提供が望まれるであ ろう。
【0006】従って、本発明の目的は、前記多様な脱毛の原因に対処すべく、優れた脱毛防止効果及び発毛促進効果を有する養毛料を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記観点から、有効物質の探索対象を広く海外にも求めて検討を行ってきた。その結果、インドネシアで民間薬または生薬として使用されることのあるチャベ・ジャワ(Cabe Jawa)由来の抽出物が優れた養毛作用を示すことを見い出した。なお、チャベ・ジャワはコショウ科(Piperaceae)に属する植物で、ピパーレトロフラクタム(Piper retrofractum Vahl.)とみなされている植物に由来する。したがって、チャベ・ジャワは既に養毛剤の1成分としての使用が提案されているコショウ(Piper nigrum L.)とはその科および属において共通する植物に由来する。しかしながら、チャベ・ジャワからの抽出物は、コショウからの抽出物に比べて有意に優れた養毛作用を示すことが判明した。
【0008】したがって本発明によれば、チャベ・ジャワ(Cabe Jawa)由来の抽出物を有効成分として含んでなる養毛料が提供される。
【0009】 本発明にいう抽出物は、上記チャベ・ジャワの市販品をそのまま、或いは必要により乾燥した後、そのままもしくは粉砕して溶媒抽出に供して得ることができ る。

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発明の名称 皮膚外用剤  
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開平9−87163
公開日 平成9年(1997)3月31日
出願番号 特願平8−203115
出願日 平成8年(1996)7月12日
特許請求の範囲
【請求項1】 メソイ(Mesoyi、学名:Massoia aromatica Becc.)の植物抽出物を配合することを特徴とする皮膚外用剤。
【請求項2】 チロシナーゼ阻害剤である請求項1記載の皮膚外用剤。
【請求項3】 抗老化剤である請求項1記載の皮膚外用剤。
【請求項4】 ヒアルロン酸産生促進剤である請求項3記載の皮膚外用剤。
発明の詳細な説明
【0001】
【発 明の属する技術分野】本発明は特定の植物の抽出物を配合する事により、日焼け後の色素沈着・しみ・そばかす・肝斑等の予防および改善に有効なチロシナーゼ 活性阻害作用を有して皮膚の美白に優れた効果を有すると共に、皮膚のヒアルロン酸産生能を高めて皮膚の老化を防止することのできる皮膚外用剤に関する。

問題を解決するものとして広く種々の物質についてチロシナーゼ活性阻害能およびヒアルロン酸産生促進能を調べた結果、メソイの植物抽出物が優れたチロシナーゼ活性阻害作用およびヒアルロン酸産生促進作用を有していることを見い出し、本発明を完成するに至った。メソイの植物抽出物のチロシナーゼ活性阻害作用およびヒアルロン酸産生促進作用に関する報告はこれまでになく、美白剤、抗老化剤への応用はおろか、皮膚外用剤への応用も全く知られていない。本発明者らは上記知見に基づいて本発明を完成するに至った。
【0010】すなわち本発明は、メソイ(Mesoyi、学名:Massoia aromatica Becc.)の植物抽出物を配合することを特徴とする皮膚外用剤である。本発明の皮膚外用剤は、チロシナーゼ活性阻害剤または抗老化剤であることを好適とし、抗老化剤については、そのなかでもヒアルロン酸産生促進剤であることを好適とする。
【0011】以下、本発明の構成について詳述する。本発明に用いられるメソイは、特にインドネシアの乾性草原、牧草などに生える植物である。本発明に用いられるメソイ抽出物は、メソイの葉、茎、花、樹皮、種子または果実、植物全草等を抽出溶媒と共に浸漬または加熱還流した後、濾過し、濃縮して得られる。本発明に用いられる抽出溶媒は、通常抽出に用いられる溶媒であれば何でもよく、特にメタノール、エタノール等のアルコール類、含水アルコール類、アセトン、酢酸エチルエステル等の有機溶媒を単独あるいは組み合わせて用いることができる。