先進国 途上国
クロロフルオロカーボン(CFC)
 (オゾン層破壊効果高い)
  • CFC-12 CCl2F2
  • CFC-115 C2F5Cl など多数
96年までに全廃 2010年までに廃止
ハイドロクロロフルオロカーボン(HCFC)
(HCFC22が温室効果の高い
    副産物HFC23を発生)

京都議定書 規制対象外
  温暖化防止の抜け穴)

20年の原則全廃
→ 規制強化
2040年全廃 
→2013年に消費量の増加を凍結
  (基準量:2009年と10年の平均)
  2015年から2030年にかけて段階的に削減
ハイドロフルオロカーボン(HFC)への転換 (温暖化ガス)

京都議定書が排出抑制を定める温暖化ガス6種類
 CO2、メタン、亜酸化窒素(N2O)、
 フッ素系ガスの代替フロン(HFC類)、
 パーフルオロカーボン(PFC類)、
 六フッ化硫黄(SF6)


2007/9/22

代替フロン「HCFC」、全廃10年前倒し モントリオール会合

 オゾン層の保護策を話し合うモントリオール議定書締約国会合は21日、オゾン層の破壊能力が残る代替フロン物質、ハイドロクロロフルオロカーボン(HCFC)の発展途上国の全廃期限を、現状の2040年から10年前倒しし、30年とすることを決めた。
 17日からカナダ・モントリオールで開かれていた会合では、途上国のHCFC規制について議論。全廃期限の前倒しのほか、2013年に消費量の増加を凍結し、2015年から2030年にかけて段階的に削減することで合意した。

合意によると、途上国はまず、2009年と10年の平均を基準量として13年以降、生産と消費量を凍結。段階的に量を減らして、30年に一部の用途を除いて全廃する。

20年の原則全廃が決まっている先進国のHCFCについても一部、規制が強化された。

オゾン層破壊能力が高いクロロフルオロカーボン(CFC)については、先進国は96年までに全廃、途上国も2010年までに廃止することが決まっている。
ただ、代わりとなるHCFCは途上国での使用が急増。その生産量の大半を占めるHCFC22は、副生産物として、温室効果が二酸化炭素(CO2)の1万倍以上と高いハイドロフルオロカーボン(HFC)23を発生させるため、削減が課題になっていた。
会合では当初、世界のHCFCの消費量の3分の1を占める中国が「生産設備をCFCからHCFCに転換したばかり」と前倒しに反発、交渉は難航した。


2007/9/24 日本経済新聞

モントリオール会合 代替フロン「HCFC」全廃前倒し
 温暖化が促した規制強化 京都議定書の抜け穴を補完

 オゾン層保護を話し合うモントリオール議定書締約国会合は代替フロンの規制強化を決めた。発展途上国で代替フロンの消費量が急増、オゾン層の回復が予想より遅れる懸念があったためだが、温暖化防止という側面も強化を後押しした。京都議定書で規制の対象外だった代替フロンの排出抑制につながり、京都議定書を補完した格好だ。
 規制強化を決めたのは、
ハイドロクロロフルオロカーボン(HCFC)と呼ばれる代替フロンの一種。途上国の全廃期限を2040年から30年に前倒しするほか、先進国に生産量の削減を義務付けた。途上国への輸出を制限、全世界でオゾン層を全く壊さないハイドロフルオロカーボン(HFC)への転換を促す。
 当初、世界最大のHCFC生産・消費国である中国が規制強化に反対し、合意は難しいとみられていた。しかし資金援助などの見返りに中国は賛成に傾いた。HCFCの消費量急増に歯止めがかかり、遅れが心配されたオゾン層の回復時期が「数年早まる」〈環境省フロン等対策推進室)という。
 規制強化が検討された理由は、オゾン層保護だけではない。実はHCFCの急増が温暖化の進行を左右しかねない状況になっている。HCFCが大気中に放出された場合、温室効果は二酸化炭素(CO2)の約2千倍。.ところが温暖化防止の国際的な枠組みである
京都議定書では規制の対象になっていない。
 対象外となっているのは、HCFCの規制はモントリオール議定書の役割だとして、京都議定書とすみ分けているため。一方、HFCは京都議定書で規制の対象で、CO2やメタンとともに温暖化ガスとして位置づけられている。HCFCは温暖化防止の抜け穴との指摘があった。
 今回決まった全廃期限の前倒しは温暖化防止にもつながるとの評価が高い。ただ代替品であるHFCの消費量が今後急増する心配もある。京都議定書で一定の歯止めがかかるものの、使い終わった機器に含まれる代替フロンを大気中に出さないよう回収・分解する対策の強化が大切だ。


日本経済新聞 2007/9/23

温暖化ガス 除去装置に補助 経産省 代替フロンなど対象

 経済産業省は2008年度から二酸化炭素(C02)以外の温暖化ガスの排出削減を強化する。代替フロンなどフツ素系ガスを排出する企業がガスの除去装置を導入する場合などに、購入費用の最大3分の2を補助する。経産省はC02換算で最大年間500万トン程度の削減を見込む。
 京都議定書が排出抑制を定める温暖化ガスはCO2のほか、メタンや亜酸化窒素(N2O)、フッ素系ガスの代替フロン(HFC類)とパーフルオロカーボン(PFC類)、六フッ化硫黄(SF6)の6種類。今回の事業はフッ素系の3種類が対象。これらはC02のそれぞれ1,300倍、6,500倍、23,900倍の温暖化効果がある。エアコンや冷蔵庫の冷媒や、半導体製造などに使われている。
 経産省は08年度予算で31億円を要求。温暖化効果の小さいガスを使う装置に替えたり、代替フロンなどを取り除く装置を導入する場合などに費用を補助する。こうした機器は高額で企業の導入負担が重いため、経産省は補助金で導入を後押しする必要があると判断した。08年度に50社程度を公募する計画。