ユーロ危機                        経緯

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2011/11/4

G20、欧州支援を継続 IMF財源の具体策先送り

 日米欧に新興国を加えた20カ国・地域(G20)が仏カンヌで開いた首脳会議は4日午後(日本時間同日夜)、首脳宣言を採択して閉幕した。ギリシャ情勢の混迷で世界経済の先行きが一段と不透明になるなか、欧州債務・金融危機の回避で結束。欧州首脳が先に合意したギリシャ支援策などを歓迎し、欧州支援を継続する姿勢を打ち出したが、国際通貨基金(IMF)の財源活用の具体策の決定は先送りした。

欧州危機で金融市場の緊張が高まり、新興国経済に成長鈍化の兆し

・世界経済が直面する喫緊の課題に協調して行動

・欧州連合(EU)が合意したギリシャの債務削減などの包括対策の速やかな実施を要請

・イタリアが財政健全化に向けて国際通貨基金(IMF)の監視を受け入れたことを歓迎

・通貨安競争の回避に向け、市場で決定される為替制度への迅速な移行を確認

・IMFの資金基盤強化の検討を各国財務相に指示

・行動計画で、日本は2010年代半ばまでに消費税率を10%に引き上げると明記

 首脳宣言は「世界の景気回復は先進国で弱まり、新興国にも成長鈍化の兆候がある」と世界経済に警戒感を表明。「欧州の国家債務リスクで金融市場の緊張が増大した」とも指摘し、欧州危機の克服が各国にとって喫緊の課題との認識を示した。
 成長持続に向けて各国が協調する方針を明記。先進国に対しては財政健全化を着実に達成するよう求めた一方、中国などを念頭に大幅な経常黒字国について為替レートの柔軟化と内需の拡大を促した。
 欧州債務危機に関連し、まずはユーロ圏各国が市場の信認と金融の安定で結束するよう求め、早期の信頼回復に期待を表明した。そのうえで、IMFの基盤拡充を通じて欧州支援を継続する姿勢を確認した。ただIMFについてはどのような強化策をとるかについて決着に至らず、各国の財務相に対し、来年2月の次回財務相会合までに具体的な結論を得るよう求めるにとどまった。
 IMFによる財政再建状況の監視を受け入れるイタリアの決定に歓迎の意向も表明。このほか金融規制の強化を巡っては、ヘッジファンドなど「シャドーバンキング(影の銀行)」への監督を強化する方針を明記。農産品やエネルギー価格の上昇に対しては、監視を強める方向で一致した。

 


 

財政危機に陥っているギリシャのパパンドレウ政権は5日未明(日本時間同日朝)、国会の信任投票で153対145で信任された。首相は、信任を得た上で2大政党の大連立ができるなら、辞職の用意があると明言した。

ギリシャ国民投票

ギリシャのパパンドレウ首相は3日、緊急閣議を開き、12月4日に予定していた国民投票を撤回する意向を明らかにした。

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 財政危機に陥っているギリシャのパパンドレウ首相は10月31日、ユーロ圏各国がまとめた支援策を受け入れるかについて、国民投票を行う意向を表明した。実施には国会の承認が必要。国民投票で受け入れ反対が多数を占めれば、国家破綻(債務不履行=デフォルト)や、ユーロ圏からの離脱の可能性も出てくる。

 ロイター通信などによると、首相は与党議員を前に「国民が自分たちのことを決める。それが民主主義のやり方だ。私は国民の判断を信じる」と述べた。支援策が否定されれば、欧州連合(EU)などからの支援が続かず、国家破綻が現実になる可能性がある。首相にとっては大きな賭けだ。

欧州首脳による債務危機の「包括戦略」合意から1週間もたたないうちに、債務問題への懸念が再び強まってきた。米国で欧州国債に積極投資した金融大手MFグローバル・ホールディングスが破綻したのに続き、ギリシャのパパンドレウ首相が欧州連合(EU)などによる支援策の受け入れの是非を国民投票にかける意向を表明。「寝耳に水」の国民投票構想発表で同国の財政再建が遅れる懸念が強まり、1日の欧州市場は大荒れとなった。

 「全く無責任な話だ」。仏与党の有力議員のエストロジ氏は1日、パパンドレウ首相による国民投票の実施表明を痛烈に批判した。ギリシャ国内でも首相に反発する与党議員の離党が発覚。1月にも実施される見通しの国民投票がギリシャ内外で波紋を広げている。

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2011年 11月 1日

MFグローバルが経営破たん、欧州ソブリン債への積極投資で痛手

 ◎ジョン・コーザイン氏率いるMFグローバル、連邦破産法11条の適用を申請。
 ◎規制当局、以前から同社の存続能力に「重大な懸念」表明。
 ◎インタラクティブ・ブローカーズへの資産売却協議が決裂。
 ◎破たんによる市場への影響は限定的。
 ◎ユーロ圏債券への積極投資が裏目に。

 米先物ブローカーのMFグローバル・ホールディングスは31日、ニューヨーク市マンハッタンの裁判所に連邦破産法11条の適用を申請した。

 同社はゴールドマン・サックスの最高経営責任者(CEO)や上院議員、ニュージャージー州知事を歴任したジョン・コーザイン氏(64歳)がCEOを務めており、積極的なリスクテイクを通じて同社を「ミニゴールドマン」に変身させようとした同氏の野望は、欧州債務危機のあおりで打ち砕かれる形となった。

 コーザイン氏はリスクの高い自己勘定売買を推進。低金利と欧州ソブリン債への積極投資で痛手を受けた。

 規制当局は以前からMFグローバルの存続能力に「重大な懸念」を抱いており、イタリアやポルトガル、スペインなどのソブリン債に対するエクスポージャーの公表を求められてから、わずか1週間足らずでのあっという間の破たん劇となった。

 同社に対しては多くの企業が関心を示しており、バークレイズ、シティグループ)、ドイツ銀行、ジェフェリーズ・グループ、JPモルガン・チェース、マッコーリー・グループ、ステート・ストリート 、ウェルズ・ファーゴなどの名が買い手候補として挙がっていた。

 しかし、関係筋によると、インタラクティブ・ブローカーズ・グループへの資産売却をめぐる協議が決裂した後、連邦破産法11条の申請に踏み切った。

 同社のブラッドレイ・アベロウ最高執行責任者(COO)は裁判所に提出した文書の中で、「規制当局に定められた期限までの限られた時間で達成できる他の選択肢がなかった」と説明した。

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      2011/10/28毎日新聞

 

包括戦略 

ギリシャ改革案
 女性年金支給開始 60歳→65歳
 一定額以上の受給者への支給額減額
 公務員3万人の削減、給与カットも
 民間企業の賃下げのための規制緩和
 保有不動産からの利益に対する課税の導入
 付加価値税 21%→23% 実施済み
 ガス(DEPA)、通信(OTE)など国営企業の民営化
 公共事業の凍結、削減(2011年度は前年比3.3%減)
 軍事費の大幅削減

過去の主なデフォルト 2011/10/28 毎日新聞

    デフォルト総額
  (億ドル)
 
1998 ロシア 727.09 石油、天然ガス価格アップで回復
ウクライナ 12.71  
1999 パキスタン 16.27  
エクアドル 66.04  
2000 ペルー 48.70  
2001 アルゼンチン 822.68 穀物価格アップで回復
2003 ウルグアイ 57.44  
2005 ドミニカ 16.22  
2010 ジャマイカ 79.00  
今回 ギリシャ 政府債務
4,821.75 
うち国債残高   資源なし
 3,838.11
イタリア 政府債務
3兆ドル
 

              イタリアGDP 20,551.1億ドル(2010年:IMF)

2011/10/27 日本経済新聞夕刊

EU 包括戦略合意
 ギリシャ債務削減 民間50%で決着、安定基金100兆円超 銀行 資本増強11兆円

 欧州連合(EU)は27日未明(日本時間同日午前)、欧州債務危機克服に向けた「包括戦略」で合意した。焦点となっていたギリシャ国債の元本削減など民間負担の割合を21%から50%に大幅に修正。ギリシャの無秩序なデフォルト(債務不履行)という最悪の事態を回避し、大幅な債務削減の道筋が整った。安全網である欧州金融安定基金(EFSF)の実質的な規模を1兆ユーロ(約106兆円)規模へと拡大することでも合意した。

 合意はギリシヤなどの債務・財政赤字問題の打開を目指すとともに、金融システムの混乱を避ける包括的な内容となった。EUはこの合意結果を11月上旬の20カ国・地域(G20)首脳会議(サミット)に報告、EFSF拡大で国際通貨基金(IMF)や日米新興国を含む国際協調体制の構築をめざす。
 EUは26日夜、加盟27カ国の首脳会議、ユーロ圏17カ国の首脳会議を相い次いで開催。約10時間の協議を経て27日未明に閉幕した。EU首脳会議では欧州銀行の大幅な資本増強で合意。EUの銀行監督機関、欧州銀行監督機構(EBA)は6月末時点の暫定値として総額で1064億ユーロ(約11兆円)の資本増強が必要になると発表した。

 ギリシャ向け第2次支援の見直しは、ギリシャ国債を保有する民間投資家の負担増が最大の柱だ。新旧の国債交換、国債の再投資を通じギリシャ国債の元本を削減する。投資家の損失負担割合は7月時点で21%だったが、サルコジ仏大統領は「民間側と50%で合意した」と発言。ファンロンパイEU大統領によると、EU・IMFの公的負担は約1000億ユーロ(約10兆6000億円)だ。

 EUと民間側の協議は難航。サルコジ大統領やメルケル独首相、IMFのラガルド専務理事らが民間の窓口である国際金融協会(IIF)のダラーラ専務理事と直接交渉に乗り出し、決着する異例の展開となった。

EU側は当初60%の負担を要請したが、民間側は40%を主張

 EUとIMFの報告書によると、7月時点の支援策を維時したままだとギリシャの債務の国内総生産(GDP)比は2020年時点で約150%と高止まりするが、50%への負担見直しで約120%まで低下する見通しとなった。

 一方、EFSFの実質的な拡大策は、@イタリアやスペインなどの国債を購入する民間投資家が損失を被った場合、EFSFが一部を穴埋めすることで安心して国債を購入してもらう「債務保証」案AEFSFが子会社として設立する特別目的会社(SPC)に、IMFや政府系フアンド(SWF)、民間投資家などに投資してもらう案ーの2つを併用する。

EFSFはユーロ圏17か国で総額7800億ユーロの政府保証をつけているが、実際の融資能力である4400億ユーロは独仏蘭など国債格付けがAAAの6か国の補償額の合計。
仮に仏がAAAの格付けを失うと、それだけで融資能力は1500億ユーロ程度目減りする。

今回のEFSFの実質的規模拡大策は4400億ユーロを元手に、民間・IMF・政府系ファンドなどの外部資金を使って1兆ユーロ規模に対応力を高めるため「レバレッジ」と呼ばれる。
仏の信用力が揺らぐと実質的な対応力は1兆ユーロ規模に届かない。


 EFSFの現在の融資能力は4400億ユーロ程度にとどまるが、民間資金などを加えることでファンロンパイ氏は「2つの案をそれぞれ4〜5倍に増やし、総額で1兆ユーロ規模に拡大できる」とした。ギリシャを発端とする信用不安がイタリア、スペインにも広がる中、安全網の拡大で危機対応力を抜本的に強化する。
 一方、銀行の資本増強は、普通株と内部留保でつくる狭義の中核的自己資本の比率で9%が合否の基準。域内の70行は9月末時点の資産内容を再評価し、EBAは11月中に銀行ごとに必要な資本増強額を公表。各行は12月末までに増資計画を各国当局に提出、12年6月末が資本増強の期限となる。一部の銀行は自己資本比率の引き上げに向け資産圧縮も進めている。
 欧州銀の必要な自己資本増強額は6月時点の暫定値だが、国債は9月時点の時価で評価されているという。国別ではギリシャが300億ユーロとトップ。スペイン(262億ユーロ)、イタリア(148億ユーロ)と続く。

フランス(88)、ポルトガル(78)、ドイツ(52)、ベルギー(41)、・・・ 合計1,064

出所:EBA
国債や貸出債権の価値を市場価格に洗いなおしたうえで、9%の狭義の中核的自己資本を求めた場合に不足する金額

 ユーロ圏首脳会議の声明の原案には「欧州中央銀行(ECB)が十分に支援する」との文言があったものの、ECBによるEFSFへの関与に反対するドイツの主張を踏まえて採択した声明から削除された。

 

 

 


 

毎日新聞 2011/10/16

民間銀行 新旧の国債交換や再投資などによって
       損失負担を、当初の21%から「50〜60%以上に高める

     ↓

銀行の破たん防止対策

     ↓

 

毎日 2011/10/15 

欧州危機:揺れる世界経済 EU、ギリシャ債務半減を検討 金融機関に資本増強迫る


 ギリシャの財政負担を軽減するため、欧州連合(EU)などが、ギリシャの債務を最大5割程度削減する方向で本格検討に入ったことが14日、分かった。欧州金融安定化基金(EFSF)の機能拡充がユーロ圏17カ国で承認され、金融機関への資本増強の安全網が整ったことで、ギリシャを「管理型デフォルト(債務不履行)」に軟着陸させる思惑がある。だが、金融機関の信用収縮を誘発するおそれもあり、市場には早くも基金の大規模拡大は避けられないとの懸念も広がっている。

 ◇管理型デフォルト狙い

 ギリシャ国債は危機の深まりに伴って大幅に値を下げ、指標となる10年物国債の利回りは14日の欧州市場でも25%台を推移している。ギリシャ経済は「財政支出の削減が景気悪化、税収減を招き、いずれ行き詰まる」(市場関係者)との見方が強く、放置すれば90年代に中南米諸国やロシアなどで起きた無秩序なデフォルトに陥る可能性がある。欧州諸国が同様の事態に陥れば、世界経済が大混乱するのは必至で、EUは事前に危機対策を講じておく「管理型デフォルト」により、危機の影響を最小限にとどめたい意向が強い。

 ギリシャの債務削減については、ユーロ圏諸国が7月、国債の21%削減で合意している。しかし、ユーロ圏財務相会合のユンケル議長(ルクセンブルク首相)が削減幅の拡大に言及。米メディアによると、ギリシャのパパンドレウ首相は12日の閣議で、「できる限りの債務削減について交渉中だ」と表明。14日にはフランスのバロワン財務相が地元ラジオに「さらなる削減が必要なのは明らかだ」と述べた。国債の削減率は50〜60%への深掘りが検討されていると見られ、23日に予定されているブリュッセルでのEU首脳会議で決定されるという。

 ◇信用収縮の懸念も

 ただし、唐突に債務削減に踏み切れば銀行の経営が一気に悪化し、欧州発の金融危機を招きかねない。EUと国際通貨基金(IMF)は11日、80億ユーロ(約8300億円)のギリシャへの追加融資を11月に実施する方針を固めたが、「債務を削減できる環境が整うまでの時間稼ぎ」(エコノミスト)。今回の基金の機能拡充策では、財政不安国の国債買い支えも盛り込まれており、債務削減の環境が整ったと言える。

 資本増強の枠組みが整ったとはいえ、元本削減は金融機関に大きな負担だ。英紙フィナンシャル・タイムズは「中核的自己資本を6〜9カ月以内に9%に引き上げる案が検討されている」と報じているが、これを実施すれば「欧州全体で2000億〜3000億ユーロ規模の資本増強が必要」(アナリスト)との指摘もある。ドイツ銀行のアッカーマン会長は13日、急激な資本増強をすれば貸し渋りや貸しはがしに出て「信用収縮を招く」との懸念を表明した。

 基金はすでにギリシャ、アイルランド、ポルトガル向けの融資を実行・決定しており、残額は2500億ユーロ前後。イタリアなどに危機が波及すれば、今回の拡充後の規模(4400億ユーロ)でも対処できなくなる。市場では2兆ユーロ規模への拡充が必要との見方が大勢で、新たな火種となりかねない。また、欧州中央銀行(ECB)は昨年5月以降、市場でギリシャ国債を1000億ユーロ(約10兆円)前後購入しているとみられ、債務の大幅な削減は、ECBの資産劣化、ユーロの信認への影響につながる懸念もある。

 

asahi 2011/10/14

日本の大手金融機関、欧州5カ国の国債保有1兆円規模

2011/10/12 毎日新聞

銀行支援 時間勝負 デクシア破綻 連鎖の懸念

   主要銀行が保有する財政不安国(PIIGS:ポルトガル、アイルランド、イタリア、ギリシャ、スペイン)の国債残高

  国債残高 うちギリシャ
  国債
国債残高/
  中核的
  自己資本
ドイツ銀行   94.1億€ 15.1億€ 31.0%
コメルツバンク(独) 173.5億€ 30.4億€ 64.9%
BNPパリバ(仏) 355.4億€ 50.0億€ 64.2%
クレディ・アグリコル(仏) 148.0億€  6.6億€ 32.0%
ソシエテ・ジェネラル(仏) 92.8億€ 26.5億€ 33.4%
デクシア  218.4億€ 34.6億€ 128.5%

欧州では7月、銀行の経営健全度を審査するストレステストが行われ、対象90行のうちデクシアを含む82行が「経営環境が悪化しても経営の健全性が保たれる」と認定された。「テストの信頼性が失墜した」

2011/10/12 日本経済新聞

ギリシャ債務削減5割軸、銀行負担を上積み 欧州検討
  EUとIMF、11月上旬に80億ユーロ融資へ

 EUと国際通貨基金(IMF)は11日、ギリシャ政府と同国の財政・経済政策で合意したと発表した。3万人の公務員削減や不動産関連の増税など2012年までの財政再建努力を評価した。ユーロ圏財務相会合などの承認を経て、次回の第6弾融資(80億ユーロ)は11月上旬に実行される予定。ギリシャの債務不履行(デフォルト)はひとまず回避される。

EFSFの機能拡充は、(1)金融支援可能額を現状の約2500億ユーロ(約26兆円)から4400億ユーロ(約45兆円)に引き上げ(2)欧州各国の国債購入(3)財政危機が懸念される国への予防的な金融支援(4)金融機関の資本増強に必要な資金を各国政府に融資−−が柱だ。債務危機がイタリアやスペインなどに波及するのを防ぐとともに、ギリシャ国債などを保有する欧州の金融機関の経営不安を払拭するのが狙いだ。

 9月からアテネ入りしていた欧州委員会、欧州中央銀行(ECB)、IMFは11日に調査を終え、合意内容を明らかにした。ギリシャ政府は12月に国債の償還を控え、11月にも第7弾融資に向けたEU・IMFの調査が再開される見通しだ。

 一方、7月にまとまった第2次ギリシャ支援策に併せた民間負担による債務削減額について、欧州側が民間銀行などの自発的な受け入れを前提に、現行案の21%から大幅に引き上げる検討に入った。独仏の銀行の割合が大きいものの、欧州側は協調した対応をとるため、日米などの一部の通貨当局に打診。削減率を50%程度に設定する案が浮上している。

 これに関してユーロ圏財務相会合議長のユンケル・ルクセンブルク首相は11日のオーストリア国営テレビで、第2次ギリシャ金融支援の中核である民間投資家の負担の見直しを検討していると表明。新旧の国債交換や再投資などによって損失負担の割合を、当初の21%から「50〜60%以上に高めることを議論している」と明言した。

 欧州側は域内銀行によるギリシャ国債保有に伴う損失を計上する償却の加速と、十分な資本増強を迅速に実施し、一気にウミを出すのが得策と判断したもようだ。ただ、個別行がどこまで踏み込んだ債務削減に応じるかは読み切れない。ギリシャ国債を購入してきたECBの扱いも含めて詰めるべき論点は残る。

 国債市場の規模が大きいスペインやイタリアなど他の債務不安国に信用危機が及ぶ事態も懸念される。ドイツのメルケル首相とフランスのサルコジ大統領は9日の会談で域内銀行の増資を果断に進める方針で一致。債務削減率の拡大を想定した準備を進めている。EUは23日の首脳会議で危機克服に向けた包括戦略を打ち出す方針だ。

 欧州側は域内の主要銀行とも擦り合わせを始めたもようだ。ギリシャ向け債権を保有するユーロ圏以外の金融機関への影響も大きい。パリで今週末開く20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議などをにらみ、世界的な金融システムの安定に向けて日米欧などの調整も焦点になる。

スロバキア議会、欧州金融基金拡充策を否決 再採決へ

 財政危機のギリシャなどを支援する緊急融資制度「欧州金融安定化基金」(EFSF)の拡充策が11日夜、スロバキア議会で否決された。13日以降に再び採決する予定。議会関係者によると、最終的には野党などが賛成に回り、承認される可能性があるというが、予断を許さない状況だ。

 採決の対象となったEFSFの拡充策は、欧州の政府債務危機に対応するため、基金の規模を増やし、ユーロ圏の金融機関に対して資本注入をしたり、市場に流通する国債を買い入れたりするもの。

 6〜7月にEUとユーロ圏の首脳会議で決まっていたが、実行に移すにはユーロ圏17カ国すべての議会承認が必要だった。すでに16カ国で承認を終え、スロバキアを残すのみとなっていた。

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2011/10/13
スロバキア議会は、財政危機のギリシャなどを支援する「欧州金融安定化基金(EFSF)」の機能拡充策を可決した。

2011/10/10  日本経済新聞

デクシア、解体を決定 ベルギー部門は国有化
    資産900億ユーロに3国政府保証

 フランス・ベルギー系大手銀行デクシアは10日、前日に開いた取締役会で同行を解体処理することを決定したと発表した。ベルギーの国内銀行部門はベルギー政府に40億ユーロ(約4100億円)で譲渡し、政府管理下に置く。さらに不良資産は「バッドバンク」と呼ぶ受け皿機関に切り離したうえで、仏とトルコ、ルクセンブルクの部門はそれぞれ売却する。

 デクシアはギリシャ危機のあおりで資産が劣化したのに加え、銀行間市場での短期資金の調達に窮した。欧州債務危機で大手行が解体に至る初のケースとなる。

 ベルギー政府が買収する国内部門は小口金融(リテール)を手掛けており、預金者は約400万人。職員は約6千人いる。ベルギー部門の売却で、デクシアの短期資金の需要は140億ユーロ減少するとしている。

 一方でデクシアの取締役会は自治体向け融資を手掛ける仏部門について、仏政府系金融機関である預金供託公庫と郵政(ポスタル)銀行へ譲渡する方向で交渉を始めることを決めた。デクシアは自治体向け融資の大手で、日本の自治体にも一部融資している。

 トルコとルクセンブルクのリテール部門は海外投資家に売却される見込み。地元報道などによると中東の政府系ファンドなどが譲渡先として候補に挙がっている。預金は全額保護される。

 最大の懸案であるデクシアの不良資産はバッドバンクに切り離し、優良部門の財務を改善する。不良債権を含むデクシアの資産900億ユーロにはベルギー、仏、ルクセンブルクが政府保証を付ける。政府保証の割合はベルギーが60.5%、仏が36.5%、ルクセンブルクが3%。3政府は9日までに負担割合で合意した。ベルギーのルテルム首相は10日の記者会見で「公平な分担割合だ」などと語った。

 

2011/10/9 日本経済新聞

大手銀デクシア分割処理へ 仏・ベルギー政府支援

 経営不安が広がっていたフランス・ベルギー系大手銀行のデクシア
Dexia は9日に取締役会を開き、同行を分割・売却する処理を決定する。株主である両国政府はすでにデクシアの支援を決めた。預金は全額保護する。ギリシャに端を発した欧州債務危機が金融システムを揺さぶる中で、デクシアは「解体」と引き換えに政府の支援を受ける初めての大手行となる。

 デクシアが保有する不良資産は「バッドバンク」と呼ぶ受け皿機関に切り離し、比較的健全な部門については財務の改善を目指す。借り手への影響を抑えるため、バッドバンクが保有する資産には仏・ベルギー両国が政府保証を与える方針だ。両政府間で負担の割合などを最終調整している。

 引き取り先が見込める健全な事業は国別に分割して売却する。仏に拠点を置き自治体向け融資などを手掛ける部門は、仏公的金融機関である預金供託公庫とポスタル(郵政)銀行に譲渡して事業を続ける方向だ。

 ルクセンブルクやトルコで主に個人向け小口金融(リテール)事業を手掛ける部門は、海外投資家らに売却することを想定している。ベルギーでのリテール部門については買い手を探す作業が遅れており、一時的に政府の管理下に置く方向で検討を進めている。各国とも預金は全額保護する。

 デクシアは自治体向け融資の大手。リーマン・ショックで2008年に仏やベルギー政府などから金融支援を受けた。最近は南欧諸国の財政危機に伴い資産の劣化が進んでいた。また短期資金を融通する銀行間取引市場への依存度が高く、資金繰りに行き詰まった。

ギリシャやイタリアの国債を大量に保有することから、欧州債務危機に伴って資金調達難に見舞われ株価が42%急落し、フランス、ベルギー政府が支援することを表明していた。

 欧州当局ではデクシアへの対応が遅れると、南欧諸国向けの債権を多く抱える別の銀行の信用問題に波及しかねないとの懸念も高まっていた。

Dexia emerged from the 1996 merger of Credit Local de France SA and Credit Communal de Belgique SA, the biggest municipal lenders in their respective countries.

1999年にベルギー法人となったが、グループの拠点はフランスにある。地方公共団体向け融資を専門とする銀行。ベルギー、フランス政府が株主

 

Oct 10, 2011 Bloomberg

Dexia Breakup Gains Momentum as Belgium Seeks to Buy Local Consumer Unit

Dexia’s breakup, three months after it got a clean bill of health in European Union regulators’ stress tests, has brought Europe’s banking crisis from the continent’s periphery to its center.

Dexia SA’s breakup gained momentum as Belgium got approval from France to buy as much as 100 percent of the Belgian consumer-lending unit, three people with knowledge of the talks said.

Belgium’s federal government may pay about 4 billion euros ($5.4 billion) for the division, said one of the people, who declined to be identified because the talks are private. The price was under discussion at a meeting of Dexia’s board of directors in Brussels last night, and an agreement may be announced before markets open, the people said.

The dismantling of Dexia, once the world’s leading lender to municipalities, ends a 15-year cross-border experiment that soured during the credit crunch of 2008, when France and Belgium had to rescue the bank, and became untenable in recent weeks as concern over sovereign debt holdings caused its short-term funding to evaporate. Dexia’s breakup, three months after it got a clean bill of health in European Union stress tests, brought Europe’s banking crisis from the continent’s periphery to its center.

“Dexia is not an isolated problem,” said Cor Kluis, an Utrecht, Netherlands-based analyst at Rabobank International who rates Dexia “reduce.” “The question for all investors in Europe is how politicians are going to handle this, and what they want to see is a coordinated and professional solution. That would be a good opportunity to restore calm.”
Bad Bank

Belgium and France may also have agreed that they will guarantee 60 percent and 40 percent, respectively, of the refinancing of about 120 billion euros of bonds and loans held by Paris- and Brussels-based Dexia, two people said. Proceeds from the sale of Dexia’s profitable units will go to mitigate losses of what will be left of Dexia, which will form a so- called bad bank, two of the people said.

While France and Belgium rushed to protect their local units, they wrestled over responsibility for the troubled assets.

Belgian Prime Minister Yves Leterme and French Prime Minister Francois Fillon, in a joint statement yesterday, said the suggested solution was “the result of intense consultations with all partners involved.” Details weren’t disclosed.

Rescuing Dexia has become critical to preventing contagion in the region’s banking industry. Dexia’s balance sheet, with total assets of about 518 billion euros at the end of June, is about the size of the entire banking system in Greece and larger than the combined assets of financial institutions bailed out in Ireland in the last 2 1/2 years.

Merkel, Sarkozy
Angela Merkel and Nicolas Sarkozy, racing to stamp out the euro debt crisis threatening to engulf the financial system, gave themselves three weeks to devise a plan to recapitalize banks, get Greece on the right track and fix Europe’s economic governance.

“By the end of the month, we will have responded to the crisis issue and to the vision issue,” the French president said in Berlin yesterday at a joint briefing with the German chancellor before they dined at her office.

Dexia emerged from the 1996 merger of Credit Local de France SA and Credit Communal de Belgique SA, the biggest municipal lenders in their respective countries. Unlike Credit Local, which relied exclusively on wholesale funding for its lending, the Belgian unit also operated a local retail bank.


Wholesale Funding
Over the past decade, the Franco-Belgian bank sought to combine with another retail bank in France and elsewhere in Europe to reduce its reliance on market funding. It failed to merge with Italian lender Sanpaolo IMI SpA in 2004.

“Dexia accumulated the worst errors,” said Francois Chaulet, who helps manage 250 million euros at Montsegur Finance in Paris, and doesn’t own Dexia shares. “They were the experts of municipal lending. By getting late into businesses they weren’t able to handle, like securitization and bond insurance in the U.S., they bought all that others didn’t want to buy.”

Dexia’s 18-member board, equally split between France and Belgium, met to review a plan under which the lender would set up a bad bank for its troubled assets, hive off its French municipal loan book into a venture with state-owned La Banque Postale and Caisse des Depots et Consignations, and seek buyers for the remaining units, including Denizbank AS of Turkey and its asset-management division.

The board meeting was the third in less than a month, after ones on Sept. 27 and Oct. 3. Among sticking points for Belgium and France have been which assets to put in the bad bank and what share of borrowings each government should guarantee.
Multinational Complexity

“The situation is more complex than one where you have one bank, one country, one regulator,” said Kluis.

Dexia dropped 17 percent in Brussels on Oct. 6 before being suspended, and will resume trading today. The stock fell 42 percent last week on concern that the breakup will leave shareholders with little of value. It has plunged more than 90 percent since a 2008 bailout.

“Once you go on this road, it won’t end well for shareholders,” Kluis said. “Governments aren’t there to save shareholders.”

Standard & Poor’s on Oct. 6 downgraded the credit ratings on three units, Dexia Credit Local, Dexia Bank and Dexia Banque Internationale a Luxembourg, citing the group’s limited access to wholesale funding markets. The ratings are on credit watch with “developing implications,” S&P said.

In 2008, after injecting 6 billion euros, France and Belgium gave Dexia guarantees of as much as 150 billion euros. Belgium covered 60.5 percent of the guarantees, France 36.5 percent and Luxembourg 3 percent.
Ratings at Risk

Belgium’s Aa1 local- and foreign-currency ratings were placed under review for a downgrade by Moody’s Investors Service because of rising funding risks for euro-area nations with high levels of debt and additional bank support measures that are likely to be needed.

The review will focus on the vulnerabilities of Belgian public debt in the current euro-area sovereign crisis and potential costs and contingent liabilities that the government may incur in supporting Dexia, Moody’s said in a statement on Oct. 7. Moody’s will also assess how the risks for the growth outlook of the economy and the government’s fiscal and economic plans may impact the country’s debt trajectory.

For France, the challenge is to rescue a portion of Dexia’s operations without endangering its top credit ratings from Moody’s and S&P. It’s one of six countries in the euro-zone with a AAA rating.

Fire Sale?
A large chunk of the troubled assets are on the balance sheet of Dexia Credit Local, a French unit. Dexia Credit Local carries most of the bank’s 95 billion-euro bond portfolio, which includes 21 billion euros of Greek, Italian, Portuguese, Spanish and Irish sovereign debt. Dexia’s municipal lending units in Italy and Spain, which it agreed to dispose of to win European Commission approval for its 2008 bailout, are also on the French unit’s balance sheet.

“The fair distribution of the burden is a very sensitive and crucial element in the negotiations,” Leterme said on RTL radio on Oct. 6. “To save Dexia, we need a fair division of responsibility.”

Dexia said on Oct. 6 that an investor is interested in its profitable retail and private banking unit in Luxembourg. Belgian daily L’Echo reported that a Qatari sovereign wealth fund was in discussions to buy the unit, Dexia Banque Internationale a Luxembourg, for 900 million euros, without saying where it got the information.

That announcement set off concern that Dexia’s most valuable assets will be sold at fire-sale prices to international buyers in response to a temporary funding squeeze.

Groep Arco, Dexia’s second-biggest Belgian shareholder, said on Oct. 6 that it “opposes a forced sale of good units of the group at very low prices to foreign entities.”

In France, state-owned CDC and La Banque Postale may join with Dexia to create a new company to take over the French municipal lending arm, according to a statement on Oct. 6 from a postal union, whose representatives attended a board meeting where the plan was presented. Paris-based La Poste, the parent of Banque Postale, declined to comment, as did CDC and Dexia.


2011/7/22

ユーロ圏首脳会議、ギリシャ向け第2次金融支援で合意

 欧州連合(EU)のユーロ圏17カ国は21日の首脳会議で、ギリシャ向けの第2次金融支援(追加支援)で合意した。EUと国際通貨基金(IMF)による公的支援は1090億ユーロ。民間金融機関による支援が370億ユーロに達する。仏AFP通信によると、ギリシャ政府などがギリシャ国債を民間金融機関から買い戻す費用も126億ユーロを見込み、第2次支援の総額は約1590億ユーロに達するという。

 ギリシャ支援の柱はEUの金融安全網(セーフティーネット)である欧州金融安定基金(EFSF)の機能拡充が柱。ギリシャ向け融資の返済期間を現在の7年半から最長30年に延長する一方、融資金利を引き下げる。

 ギリシャ国債を保有する域内の銀行など民間金融機関は、償還後にギリシャ国債に再投資したり、既存の保有国債を期間30年の長期国債と交換したりする。公的支援の内訳は不明だが、EUがEFSFなどを活用して総額の3分の2、残りの3分の1をIMFが負担するとみられる。

 ギリシャの債務(借金)は対国内総生産(GDP)比率で約160%と巨額で、債務不履行(デフォルト)に陥るとの見方が金融市場で出ていた。今回の民間負担で格付け会社がギリシャの格付けを債務不履行の水準まで引き下げる可能性は残る。

 

ユーロ圏首脳が合意したギリシャ追加金融支援をめぐり、ギリシャを除く欧州主要銀行は、損失額を54億ユーロ(77億ドル)に抑えた。