2012 年10 月25 日 住友金属鉱山/三井物産
ゴロ・ニッケルプロジェクトへの出資比率変更について
住友金属鉱山と三井物産は、カナダのニッケル生産大手であるヴァーレカナダ社(Vale Canada
Limited)とニューカレドニアにおいて共同で推進しているゴロ・ニッケルプロジェクト(Goro
Nickel Cobalt Project)において、設備トラブル等に伴う工事費用に関し、現時点での追加出資による負担を行わないこととしました。これにより、ゴロ・プロジェクトの運営主体であるヴァーレニューカレドニア社(Vale
Nouvelle Calédonie S.A.S )に対する両社合計の出資比率は21%から14.5%に低下いたします。
ゴロ・プロジェクトは試運転段階での設備トラブルもあり、当初想定していた本格的な生産開始が遅延していましたが、このたび補修工事が完了し2012
年末には本格的に生産を開始する運びとなっています。一方で、試運転段階の設備トラブルに伴う補修・改良工事の費用が多額に及んだことから、住友金属鉱山および三井物産は、その負担についてヴァーレカナダ社と協議の結果、本設備トラブルにより発生した総事業費46
億米ドルを超える費用負担のための追加出資については行わないことで、ヴァーレカナダ社と合意いたしました。なお、合意内容には、ゴロ・プロジェクトの今後の操業状況次第で、両社がヴァーレニューカレドニア社への合計出資比率を再び21%に引上げるオプションも含まれています。
住友金属鉱山および三井物産は、ゴロ・プロジェクトへの出資を目的として、オランダにスミックニッケルネザーランド社(Sumic Nickel
Netherlands b.v.、以下「スミック」)を設立しておりますが、今回の合意により、ゴロ・プロジェクトの運営主体であるヴァーレニューカレドニア社に対するスミックの出資比率は14.5%となります。
なお、これに伴い住友金属鉱山はヴァーレニューカレドニア社を持分法適用会社から除外する予定です。また、三井物産はスミックを通じ持分法を適用していたヴァーレニューカレドニア社を連結対象外とする予定です。
また、住友金属鉱山および三井物産にはそれぞれ出資比率の低下による損益が2012 年度第3
四半期以降に発生しますが、各連結業績に与える影響については現在精査中です。
本プロジェクトは「※HPAL法」を用いた、世界最大級のニッケル開発プロジェクトであり、開発対象のニッケル資源量についても世界最大規模のものが期待されることから、今回の合意にかかわらず、住友金属鉱山および三井物産は今後も本プロジェクトを推進してまいります。
※ HPAL法=高圧酸浸出法(High Pressure Acid Leaching)
(参考)
1.ヴァーレニューカレドニア社の概要(2012 年9 月30 日現在)
1) 商号 Vale Nouvelle Calédonie S.A.S(フランス法人、本社 パリ)
2) 代表者 Ricardo Carvalho
3) 事業内容 酸化ニッケル製造
4) 株主 Vale Canada Limited(74%)、Sumic Nickel Netherlands b.v.*(21%)、
SPMSC**(5%)
*Sumic は2005 年4 月8 日にヴァーレニューカレドニア株式を取得。
**SPMSC : Société de Participation Minière du Sud Calédonien
の略。ニューカレドニア南部州(50%)、北部州(25%)、
島嶼州(25%)により設立された合弁会社。
2.スミックニッケルネザーランド社の概要(2012 年9 月30 日現在)
1) 商号 Sumic Nickel Netherlands b. v(オランダ法人、本社 アムステルダム)
2) 代表者 土田 直行
3) 事業内容 ニッケル、コバルト開発事業への投資ならびに製品販売
4) 株主 住友金属鉱山株式会社 52.38%、三井物産株式会社 47.62%
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ニューカレドニアニッケルプロジェクトへの参画に関する本契約の締結について
住友金属鉱山と三井物産とは、カナダのニッケル生産大手であるInco Limited
と、インコ社がニューカレドニアで開発を推進しているゴロ・ニッケルプロジェクト(Goro Nickel Cobalt Project
総事業費約18.78億ドル)への参画について、4月8日に本契約を締結いたしました。
昨年10月にMOU(合意趣意書)を締結し、参画の基本合意に達したのち、条件の細部について協議を進めて参りましたが、このたびインコ社との間で最終合意が整ったものです。
住友および三井は、このプロジェクトへの出資を目的として、オランダに新会社「Sumic Nickel Netherlands b.v.」を設立いたしました(出資比率:住友52.38%、三井47.62%)。両社は新会社を通じて、ゴロ・プロジェクトの運営主体であるゴロ・ニッケル社(Goro
Nickel SA)の株式をインコ社より取得することにより、プロジェクトに参画します。ゴロ・ニッケル社に対するSumic Nickel Netherlands
b.v.の出資比率は21%で、今後発生するプロジェクト開発費もこの比率で負担して参ります。
また、このプロジェクトへの参加により、住友および三井は、出資比率相当分のニッケルおよびコバルト製品を引き取る権利を保有します。
ゴロ・プロジェクトは、「※HPAL法」を用いた、現在世界で最も注目を集めている世界最大級のニッケル開発プロジェクトです。開発対象のニッケル資源量についても世界最大規模のものが期待されており、長期間にわたる事業を予定しています。プラント建設工事が完了する2007年秋以降、年間約4百万トンの鉱石採掘・処理を行い、酸化ニッケル約60千トン/年(ニッケル地金換算)および炭酸コバルト約4〜5千トン/年(コバルト地金換算)を生産する予定です。
住友は、中期経営計画で発表したとおり、資源・金属事業をコアビジネスとし、「10年後の非鉄メジャークラス入り」を目標として、ニッケル事業についてもコーラルベイ(フィリピン:三井も参加、出資比率18%)でのニッケル精錬プラントによるニッケル中間原料の生産など優良資源の確保を着実に実現しております。このゴロ・プロジェクトへの参画により、さらにニッケル事業の基盤が強化されるものと確信しております。
三井は、ニッケル事業をコアビジネスである金属資源開発関連事業の一つとして位置づけており、本事業参画により資源事業ポートフォリオを拡充し、収益基盤の更なる強化をめざして参ります。
世界のニッケル需要は、IT関連需要の拡大や中国を中心とするアジア地区でのステンレス需要の増加などから、将来的にも安定的な伸びが期待されており、この需要増に対応することが急務となっています。今回のゴロ・プロジェクトへの参画により、国内のみならず東南アジアを中心とした海外向けステンレス鋼原料供給体制の基盤整備が推進されることとなります。住友は今後も安定的な資源の確保と精錬能力の増強につとめ、また三井は堅調な伸びを示すと見込まれるアジア地区でのニッケル供給体制を築くことに注力し、引き続き両社ともコアビジネスである資源・金属事業の拡充・強化に努めて参ります。
※ HPAL法=高圧酸浸出法(High Pressure Acid Leaching)
(参考資料1)ゴロ・ニッケルプロジェクトについて
Inco Ltd社(カナダ)が主体となって開発計画を推進してきた過去最大のニッケル開発事業。フランス領ニューカレドニア島の南端に位置するGoro地区、Prony地区にある大規模ニッケル酸化鉱床を対象に、高圧酸浸出法(High
Pressure Acid Leach=HPAL法)によるニッケル製錬法で、酸化ニッケルおよび炭酸コバルトの生産を計画している。
1990年代半ばからパイロットテストにより周到なプロセス検証を行っており、高水準の技術レベルを保持している。プロジェクトの概要は次の通り。
1.事業主体: Goro Nickel SA(フランス法人)
本社 :フランス共和国パリ
社長 :R. Renton
従業員数:167名(2003年12月現在)
主要株主:INCO社(90%)、SPMSC(10%)
(* SPMSC : Société de Participation Minière du Sud Calédonien)
2.総事業費: 約18.78億米ドル
3.年間鉱石処理量: 約4百万トン
4.年間生産量: ニッケル約60千トン(Ni量換算)
コバルト約4〜5千トン(Co量換算)
5.生産開始時期: 2007年秋を予定
(参考資料2)インコ社の概要
社 名: Inco Limited
設 立: 1902年
本 社: カナダ・オンタリオ州トロント
役 員: 会長 Scott.M.Hand 社長 Peter C Jones
資本金: US$2,891百万(2004年末)
従業員数 : 10,973人(2004年末)
主要事業 :
ニッケル鉱石生産、ニッケル地金生産、加工を含むニッケル関連事業、銅地金の生産、ニッケルの副産物であるコバルト、金、銀、白金族金属の生産を行っている。ノリリスク社(Norilsk Nickel RAO:ロシア)に次ぐ世界2位のニッケル・プロデューサー。
過去3年間の主要製品生産状況:
2003 2002 2001
ニッケル地金(000 t) 237 187 207
銅地金(000 t) 124 91
112
主要鉱山
サドベリー カナダ・オンタリオ 権益100%、世界最大のニッケル硫化鉱床帯ニッケルのほか、銅、コバルト、貴金属を産出
トンプソン カナダ・マニトバ 権益100%
ソロアコ インドネシア・スラウェシ島 権益59% (住友金属鉱山20.1%) ラテライトニッケル鉱床、山元にニッケルマット精錬所を保有
ゴロ : ニューカレドニア
主要精錬所
カッパー・クリフ: カナダ・オンタリオ 権益100% ニッケル、ニッケル製品、銅、金、銀を生産
トンプソン : カナダ・マニトバ 権益100% ニッケル、コバルト、貴金属を生産
ポート・コルボーン: カナダ・オンタリオ 権益100% ニッケルを生産