2008年イグ・

日経 2013/10/24

水素社会 
 世界発の水素発電所 石炭火力並みコスト視野

 「水素発電が普及すれば、海外から大型タンカーで燃料の水素を大量に輸入してコストを下げられる」ー 千代田化工建設の岡田佳巳技師長はこう語る。岡田氏は2015年に世界初となる水素の輸入・供総基地を川崎市に建設するプロジェクトを担う。基地には100億円を投資し世界初の大型水素発電所も稼働させる予定だ。
 水素発電は既存の天然ガス火力癸電所の設備を基本的に利用できる。水素はロケット燃料にも使われるように熱量がガスの2倍以上。発電所ではガスに混ぜて燃やす。千代田化工の発電所では水素の比率は最大7割だ。出力は9万キロワットで、標準家庭3万世帯分の電力をまかなえる。

大量輸送で先行
 発電コストは石油火力(1キロワット時22円)より低く、有害なガスの排出は激減する。必要な水素は年2億立方メートル(約1万8000トン)。燃料電池車の普及台数で約17万台分に相当するほど多くの量の水素を使う。
 千代田化工が水素発電で先行できるのは水素を大量に輸送・安定供給できる世界唯一の技術があるからだ。海外の油田で採掘時に発生するガスに含まれる水素を有機溶剤に溶かして常温輸送し、川崎の基地の事用設備で水素だけを取り出す。年産能力は6億立方メートルで、1立方メートル当たりの水素価格は約30円を見込む。
 岡田技師長は「川崎の水素発電所で実績を示し、他社のガス火力に供給したい」と語る。大量調達で水素価格を同20円に下げられれば、発電コストは石炭火力並み(1キロワット時約10円)に近づく。

2013年5月31日
水素社会の実現に向けて「大規模水素貯蔵・輸送システム」の実証に成功

当社は、子安オフィス・リサーチパークにて実施していた有機ケミカルハイドライド法による「大規模水素貯蔵・輸送システム」の実証試験で所期の性能を確認することができましたので、お知らせいたします。

今回の実証試験は、トルエンに水素を固定(水素化反応)させ、メチルシクロヘキサン(常温常圧の液体)に変換して貯蔵・輸送し、当社が開発した脱水素触媒を用いて、このメチルシクロヘキサンから、再び水素として取り出し(脱水素反応)、供給するシステムを対象としたものです。LNGや液化水素などのような極低温技術を必要とせず、通常の石油タンクやタンカーを利用できる一連の工程を「大規模水素貯蔵・輸送システム」として確立することで、これまで困難とされてきた水素の大量輸送や長期貯蔵が、商業ベースで可能であることを実証できました。

今後、当社は「SPERA水素」(「スペラ」 ラテン語で「希望せよ」という意味を持つ言葉)の愛称のもと、水素供給事業実現を目指してまいります。

2013/9/30

千代田化工、世界初の大型水素基地 燃料電池車用

千代田化工建設は2015年度に川崎市で、世界初となる水素燃料の大型供給基地を建設する。エコカーの本命とされる燃料電池車に1日当たり4万台分に充填する量を供給でき、燃料コストを3割下げられる。投資額は300億円程度。燃料電池車はトヨタ自動車とホンダが15年に一般消費者向けの市販車を発売する計画だ。大阪ガスなども水素燃料の低コスト技術を開発している。燃料電池車の普及に向けたインフラが世界に先駆けて整うことになる。
 
水素燃料を巡る主な動き
千代田化工建設
2015年度に川崎市に世界最大級の水素供給基地を建設
川崎重工業
水素輸送船開発。ロシアで水素工場の建設を検討
大阪ガス
今年度にも都市ガスから従来の3倍の水素を生産する装置を開発、発売
JX日鉱日石エネルギー
化石燃料から水素を従来より2割多く取り出す装置を開発
大陽日酸
水素ステーションの主要機器をパッケージ化し価格半減
神戸製鋼所
燃料電池車に高圧水素を充填する圧縮機を開発
 
 燃料電池車は水素と酸素を反応させてつくる電気でモーターを回して走り、有害なガスを出さない。国内で25年に約200万台が普及する見通しだ。政府は水素燃料の充填拠点「水素ステーション」を15年度までに100カ所整備する計画。
 水素燃料は現在、石油から化学品を生産する工程で取り出すためにコストが高く、1立方メートル当たり約120円。千代田化工の基地で大量供給すれば同80円に下がる。設備改良などで同じ走行距離でガソリン並みとなる同60円に近づける方針。
 千代田化工は水素を有機溶剤のトルエンに溶かして常温の液体にし、再び取り出す世界唯一の技術を持つ。産油国で原油採掘時に出る水素を液体にして船で持ち込む。川崎の基地では大型設備を導入、触媒でトルエンと水素を分離させる。水素を遠隔地に輸送するための極低温での液化も不要でコストが下がる。
 川崎基地の供給能力は年6億立方メートル。首都圏の水素ステーションを中心に圧縮、あるいは液化して専用車で配送する。燃料電池車はタンクに約50立方メートルの水素を圧縮して蓄え、約500キロ走行できる。同基地からの供給は普及台数で50万台強分の燃料に相当する。水素は石油精製に使われるため製油所にも供給する。

 川崎重工業はオーストラリアで石炭から水素を取り出し日本に輸入する計画を進める。ロシアでは25年にも水素工場を建設する方針。投資額は200億〜300億円の見通しだ。割安な水力発電の電力で水を電気分解し水素を量産する。
 大ガスは今年度中にも水素ステーションで都市ガスから水素を1時間当たり300立方メートル生産できる装置を実用化する。生産量は従来の3倍で、コストを低減できる。
 燃料電池車は米ゼネラル・モーターズ(GM)や独ダイムラーなども実用化を急ぎ、世界各地で20年以降の普及が期待される。水素燃料の生産・輸送など関連ビジネスは国内外で成長を見込める。

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2013年09月17日

世界初の「水素発電所」を東京湾岸に建設、2015年に90MWで商用化へ

次世代のクリーンエネルギーとして注目を集める「水素」の商用プロジェクトが本格的に始まる。川崎市と千代田化工建設が2015年をメドに、東京湾岸に「水素供給グリッド」を構築するのと合わせて、世界で初めて商用レベルの「水素発電所」を建設する構想を打ち出した。

 川崎市と千代田化工建設は共同で「水素エネルギーフロンティア国家戦略特区」を国に提案した。東京湾岸の川崎市臨海部に大規模な水素エネルギーの供給拠点を構築する計画で、中核になるのは「水素供給グリッド」と「水素発電所」の2つである。いずれも2年後の2015年に実現を目指す。

 水素発電所は世界で初めて商用レベルの設備を建設する。発電規模は90MW(メガワット)を予定している。CO2を排出しない発電設備として、原子力を代替する期待がかかる。年間に利用する水素は6.3億N立方メートルを見込んでいる(N立方メートル=圧力・温度・湿度に左右されないガスの実量を表す単位)。

 さらに水素とLNG(液化天然ガス)を混焼させた発電方法も試して、発電量などのデータ収集と燃焼ノウハウの蓄積に取り組む。混焼発電を実用化できれば、LNGを燃料に使う火力発電所に水素を供給して、CO2排出量の削減を図ることができる。

 一方の水素供給グリッドは大量の水素を輸送・貯蔵する技術を生かして、川崎市臨海部の各種の施設へ水素を供給できるようにする)。年間の水素利用量は発電所を上回る7億N立方メートルを想定している。

 水素を輸送・貯蔵する方法としては「有機ケミカルハイドライド法」を採用する。ガスの状態にある水素を液体に転換する方法の一種で、トルエンとメチルシクロヘキサン(MCH)という2種類の液体を使う。

 トルエンと水素を反応させるとMCHになり、MCHの状態で常温・常圧のまま輸送したり貯蔵したりすることが可能になる。水素を利用する場合には逆の反応(脱水素)でMCHからガスにして取り出す。この脱水素には大量の熱が必要になるため、水素発電所の排熱を再利用する計画だ。

 すでに千代田化工建設が有機ケミカルハイドライド法を使った水素の輸送・貯蔵システムの実証試験を進めている。同じ神奈川県内の横浜市にある事業所にデモプラントと貯蔵タンクを建設して、大量輸送や長期貯蔵が可能なことを確認済みである(図3)。
chiyoda_suiso_sj.jpg 図3 「大規模水素貯蔵・輸送システム」のデモプラント(左)と貯蔵タンク(右)。出典:千代田化工建設

 川崎市と千代田化工建設が提案した国家戦略特区は安倍政権が成長戦略の一環で進めるプロジェクトで、採用されると国の支援を受けながら規制にとらわれない形で事業を進めることができる。第1弾として10月中に数カ所の特区が指定を受けることになっている。

 この特区で水素エネルギーの商用化を大規模に展開しながら、新たな再生可能エネルギーとして固定価格買取制度やグリーン投資減税の対象に水素発電を追加できるようにする狙いだ。合わせて水素ガス関連の規制緩和を求めていく。

ロシアで液化
 割安な余剰電力を使って水を電気分解して水素を大量生産し、必要な時に発電用などのエネルギー源として利用する動きも広がりそうだ。いわば水素が蓄電地の役割を果たす。世界で先行するのが川崎重工業のロシアでのプロジェクトだ。
 川重は現在、ロシア極東地域で、カムチャツカ半島に近いマガダン州に本拠を置く電力大手ルスギドロと水素の液化事業の交渉を進めている。同社の三浦良三理事は「ロシアでは水力発電の余剰電力が安い。日本からの距離も近く、低コストで液化水素を供給できる」と語る。川重も発電用燃料の供給を狙っている。
ロシアの割安な電力を水素に変えて輸入するのと同じ効果が見込める。こうした技術の開発が進めば、日本でも割安な夜間の余剰電力を水素にして昼間に発電用に利用することが容易になる。
 川重は17年にも現地で液化水素生産の実証実験を開始し、その後に200億〜300億円を投資し大型工場(年産9万トン規模)を建設したい考えだ。世界初の液化水素の専用船も開発し、各地に輸送する。水素燃料を千代田化工以上に割安に供給できる可能性がある。
ロシアの水力発電のほか、中東やアフリカといった灼熱地帯の太陽光で発電した割安な電力で電気分解した水素も輸送や貯蔵が可能。水素発電の普及は再生可能エネルギーの利用拡大にも寄与しそうだ。
 日経BPクリーンテック研究所によれば、30年には日本の電力需要に占める水素発電の比率は15%程度に達する。これは欧州の9%、北米の7.3%を大きく上回る。
水素社会に詳しい三井物産戦略研究所の倉林靖夫シニアプロジェクトマネージャーは「日本は輸入の化石燃料に頼るだけに水素のエネルギーとしての利用を急ぐべきだ。輸送など強みの技術を生かせば、世界で事業を拡大し水素社会の実現に貢献できる」と指摘する。


2013年6月24日

川崎重工がマガダンに進出

 第17回サンクトペテルブルク国際経済フォーラムで6月20日、ロシアのエネルギー会社「RAO東エネルギー・システム」、水力発電会社「ルスギドロ:RusHydro」、日本の川崎重工が、マガダン州の液体水素製造工場建設に関する提携契約を結んだ。東エネルギー・システムのセルゲイ・トルストグゾフ社長、ルスギド ロのエフゲニー・ドド社長、川崎重工の村山滋社長が署名を行った。

 日本側は建設費用を負担し、ロシア側はウスチ・スレドネカン水力発電所からの電力供給(定格出力570メガワット)を確保すると、ルスギドロの関係者は 伝えている。川崎重工モスクワ事務所の関係者によると、同社は液化水素を日本と東アジア地域に輸送するという。このプロジェクトは、自家発電や自動車の燃 料に必要だ。日本は電気代が非常に高いため、化学製造した液化水素を代替エネルギー資源として使用する可能性が高いと、エネルギー安全基金のセルゲ イ・ピキン理事長は考える。

 川崎重工は投資額を明らかにしていない。ルスギドロの関係者は、電力供給の代金がまだ定められていないと話す。この提携契約は、プロジェクトの技術的・経済的基盤の構築のみを想定しているにすぎない。

試験的な稼動は2017年の見込み

 1日10トンを生産する試験的施設は2017年に稼働する予定だが、それには25メガワットの電力の供給が必要になる。1日300トンの量産は2024年までに始まる予定で、その際に必要となる電力は700メガワットになるという。
もっと読む:

ロスネフチが千島近海を開発か

 川崎重工は、水素を効果的に使用するために、独自の開発を採用することを計画している。同社は極東ですでに、ルスギドロとコージェネレーション分野で提携している。

 「ルスギドロと川崎重工の共同事業は、ただ極東にエネルギー多量消費型の工場をつくるだけではない。世界でもまれなハイテク企業をつくる」と、ドド社長は代理を通してコメントした。

 ロシアの他のエネルギー会社や化学会社は今のところ、液化水素の産業生産に関する計画は発表していないと、ピキン理事長は話す。発電量の多い水力発電所 から、安価な電力が供給される場所に工場を建設するのは得策だという。マガダン州は特別な電力の価格設定がある場所だと考えられている。電気代は電力消費 者のグループごとに定められるが、電力の販売は制限されている。川崎重工の工場は電力を発注してまかなう。

2013/6/21

RusHydro, RAO Energy System of the East and Kawasaki Heavy Industries sign agreement on construction of liquefied hydrogen plant in the Russian Far East

JSC RusHydro、RAO Energy Systems of the East and Kawasaki Heavy Industries Ltd (Japan) have signed a preliminary agreement on construction of a plant that will produce liquefied hydrogen (LH) in the Russian Far East. The document was signed on June 20th by Evgeny Dod, CEO of RusHydro, Sergei Tolstoguzov, CEO of RAO Energy System of the East and Shigeru Murayama, President of Kawasaki Heavy Industries Ltd at St. Petersburg Economic Forum.

According to the agreement, RusHydro, jointly with its subsidiary, RAO Energy Systems of the East, will supply electric power to the LH plant, whereas Kawasaki Heavy Industries will act as key provider of technology for production, storage and transportation of the liquefied hydrogen. Liquefied hydrogen, to be produced by the facility, will be exported to Japan.

«Energy is the driver of development of regions and the agreement we are signing supports this thesis. We commission new capacity which, in turn, attracts domestic and international investors, interested in developing industrial projects in the region. It is important to underline that cooperation between RusHydro and Kawasaki in the Far East will create not just another high energy consuming industrial entity, but a high tech facility, with only few comparable plants in world. We are talking not only about investment, but about advent of new technologies and advanced production culture», said Evgeny Dod, CEO of RusHydro.

«Today the whole world is interested in hydrogen as cheap- and even more importantly clean- source of energy. That’s why we, together with our Japanese partners, are considering construction of a facility for production of liquefied hydrogen in the regions of the Far East with excess generation capacity, because production of liquefied hydrogen is very energy intensive. In this respect our partnership is very logical because RusHydro and RAO ES of the East has respective capacity close to potential markets and Kawasaki possesses know-how for production and transportation of liquefied hydrogen. As a first step the feasibility study will be developed. If the project will prove to be economically attractive, we, together with Kawasaki and RusHydro, will begin implementation. We are talking about large scale and long term cooperation between Russian and Japanese companies», said Sergei Tolstoguzov, CEO of RAO Energy System of the East.

Masakhiro Ibi, Senior Executive Director of Kawasaki said: «Hydrogen is a source of clean energy. Efficient utilization of this energy already in near future is closely linked to our mission «Kawasaki works as a coherent team for the benefit of the planet». We are steadily expanding our technical capabilities in the spheres of logistics, energy and industrial equipment. Our technologies are also applicable for development of efficient ways of hydrogen utilization. Our partners in the project include the largest Russian hydrogenating company RusHydro and RAO ES of the East with whom we are already cooperating in the field of cogeneration in the Russian Far East. Within the framework of the signed agreement, with the view to utilize energy resources of the region in the most efficient way, we have decided to carry out analysis of economic efficiency and develop feasibility study for production of liquefied hydrogen in the Russian Far East, primarily in Magadan region, with further shipment of hydrogen to Japan. We hope that the project, capable of bringing about revolution in energy sphere in the near future, will allow us to demonstrate our newest technologies in Russia and will significantly contribute to economic development of both our countries».

 


 

市長記者会見記録 
日時:2013年9月10日(火)午後3時〜午後3時13分
場所:本庁舎2階 講堂
議題:水素エネルギーフロンティア国家戦略特区による新たな成長戦略への提案について(総合企画局)
 

資料:http://www.city.kawasaki.jp/templates/press/cmsfiles/contents/0000050/50657/shiryou3.pd

<内容>
司会:
ただいまより、臨時市長記者会見を始めさせていただきます。
本日の議題は、水素エネルギーフロンティア国家戦略特区による新たな成長戦略への提案についてでございます。
なお、本件につきましては、市長記者会見終了後、担当課からご説明をさせていただく時間を設けさせていただきます。
それでは、まず市長から概要等を説明させていただきます。
市長、よろしくお願いいたします。
市長:
それでは、水素エネルギーフロンティア国家戦略特区の提案についてご説明いたします。
本日、川崎市と千代田化工建設株式会社は、国家戦略特区に関して、水素社会の実現を目指し、水素エネルギーフロンティア国家戦略特区による新たな成長戦略への提案を行ったところでございますので、報告いたします。

国家戦略特区は、日本経済の再生に向けた第三の矢である日本再興戦略の要として、従来の取組の単なる延長線にある焼き直しや寄せ集めでなく、国家戦略としてふさわしいプロジェクトを推進することにより、「民間投資の喚起により日本経済を停滞から再生へ」導くことを目的としています。この度、上記の目的の実現に大きく貢献するプロジェクトを組成するための具体的な提案(アイデア)を募集します。

平成25年8月12(月)〜9月11日(水)の期間で提案を募集し、以下のとおり(62件の)提案がありました。

38 平成25年9月17日 神奈川県

川崎市
 
水素エネルギーフロンティア国家戦略特区による新たな成長戦略への提案〜地球環境への貢献と新たな産業の創出に向けて〜(川崎市・千代田化工建設株式会社提案)

水素社会を支えるインフラの構築

(1)世界初の水素供給グリッドの整備
○海外の原油随伴ガスなどから製造する水素を、「新たな水素の大量貯蔵・輸送技術」(有機ケミカルハイドライド法)を活用し、常温常圧で川崎臨海部に輸送するとともに、臨海部「水素供給グリッド」を企業間連携により 2015 年を目途に新たに整備し、コンビナートにおける水素の産業利用を推進
○水素利用量 年間約 7 億 N ㎥(予定)
(2)世界初の商用水素発電所の建設
○「世界初の商用水素発電所」(9 万 kW=90MW 級)を川崎臨海部に 2015 年を目途に建設し、CO2 を排出しない発電事業を開始するとともに、水素混焼データの収集と燃焼ノウハウを蓄積
○水素利用量 年間約 6.3 億 N ㎥(予定)
(3)水素発電所で発生する排熱の有効活用
○水素発電所で発生する排熱を水素供給グリッドにおいて有効活用することで、脱水素反応プロセスにおける省エネルギー化・高効率化を推進

水素供給モデルの全国展開と他分野への拡大展開
(1)水素モデルの全国展開
○国内他地域のコンビナートや工業地帯において、脱水素プラントを整備し、新たな水素需要を創出するとともに、石油コンビナートにおける事業の再構築を支援
○水素発電所の燃焼実績、ノウハウ等を活用し、国内他地域の既存 LNG 火力発電所への水素混焼の展開を図ることで CO2 の大幅削減と水素需要を拡大
(2)民生部門(市⺠生活・交通分野)への展開とグリーン水素との連携
○市民生活分野(定置型燃料電池)や交通分野(燃料電池自動車(FCV)、燃料電池バス、水素ステーションへの供給)などへ展開するとともに、市街地への安全かつ効率的な水素供給輸送システムを構築
○再生可能エネルギーの発電余剰電力により水素を製造・貯蔵し、必要な時に電力として活用するエネルギーシステムの構築

水素供給モデルの海外展開
○官⺠が連携して水素供給グリッド・水素発電等をシステムも含めた統合パッケージ化し、海外に展開することにより、水素エネルギー分野において国際競争力を得るとともに、関連産業のビジネス機会を創出

 


このたびの国家戦略特区については、民間投資の喚起によって日本経済を停滞から再生へ導くことを目的に、国が主体的な役割を担いまして、国や地方自治体、民間が一体となって国の経済成長に大きなインパクトを与えるプロジェクトに取り組むものでございます。今回は、このプロジェクトを組成するためのアイデアと必要な規制改革についての提案を行ったものでございます。
この提案に至る背景としては、現在、我が国において、エネルギー問題の解決と低炭素社会の構築が喫緊の課題となっているわけでございますけれども、川崎市と千代田化工建設株式会社は、新たな水素の大量貯蔵・輸送技術と川崎臨海部の立地ポテンシャルを活用しまして、水素社会の実現を目指すために6月に包括協定を締結いたしました。
また、この8月には、それを進めるために川崎臨海部水素ネットワーク協議会というのを設置しまして、有識者や臨海部立地企業などと具体的な協議を開始したところでございます。こうした中で、いち早く水素社会を実現し、我が国の経済成長や環境・エネルギー問題の解決につなげていきたいと考えまして、今回、国家戦略特区に提案をさせていただいたものでございます。
このたび、提案を行った国家戦略特区の内容としては、資料2のA4の冊子が本編となりますけれども、資料1の概要版で説明を申し上げます。ページ左側の2にありますように、水素社会実現に向けて取り組むプロジェクトの基本方向として、3つのステップを考えております。
まず、第1ステップですけれども、水素社会を支えるインフラの構築でありまして、臨海部水素供給グリッドと世界初の商用水素発電所、これを2015年を目途に整備しまして、水素供給のモデルを構築いたします。構築に当たっては、千代田化工建設の新たな技術を活用いたします。
第2ステップですけれども、こうしたモデルの全国展開、あるいは市民生活分野、交通分野への展開、それとグリーン水素の活用を図り、最終的には、第3ステップとしてこれを川崎発、日本発の水素供給モデルを海外輸出すると。地球環境問題の解決に貢献するとともに、我が国の経済効果を発現するという3段階にわたるものでございます。
また、このようなプロジェクトを推進する上で必要な規制・制度改革要望の項目として、資料1の4にありますとおり、水素発電所により発電した電力の環境価値の認定が大事でございます。それから、グリーン投資減税への水素発電の追加。そして3番目ですが、水底トンネル内の高圧ガス配管の設置に関する新たな基準の設置、この3つを中心として要望いたしました。
今回の水素社会が支えるインフラの構築は、地球環境の保全に資する低炭素社会の構築ですとか、あるいは、新たな基幹的エネルギー源の創出、さらには、我が国の持続的な成長を生み出す新たな産業の創出、こういったことに大きく貢献するものでありますことから、今回の提案を契機として、今後、国と連携を図りながら、産学官で事業の早期実現に向けた取組を進めていきたいと考えております。
なお、本日は、水素エネルギーフロンティア国家戦略特区による新たな成長戦略への提案を川崎市と千代田化工建設で提出したところでございます。
本市としましては、明日、もう一本の提案として、健康医療分野に関する提案を神奈川県、横浜市と共同で提出する予定でございます。現在、資料の最終調整中でございまして、明日、提案提出後、改めて情報提供をいたします。
しかし、明日は朝から市議会の本会議が開催されておりますので、それとの調整を図りながら情報提供をするという形になろうかと思います。
私からは以上でございます。よろしくお願いいたします。
《質疑》
司会:
それでは、質疑応答、お願いします。
幹事社:
では、各社、どうぞ。
記者:では、すみません、国家戦略特区が多分国のほうで選定されるんだと思うんですけれども、提案はどちらにして、それがどのような形になると国家戦略特区とい
う形で選ばれるのかというのを大ざっぱにお伺いしたいんですけれども、この提案というのは。
市長:要するに、提案として、国家戦略特区の担当の内閣府で取りまとめて、最終的には国の政策として決定をするという手続になります。
記者:国が決定する資料として、内閣府に手を挙げた。
市長:そうです。手を挙げてそのための資料を提供しているということでございます。
それと、もう一つ大事なことは、実は国が指定する段階では複数の提案をまとめて指定するということもあり得るということで、例えば多摩川を挟んだ両側をセットにということもあり得るという含みがあります。
記者:これ、見通し的に国はいつごろというような。
市長:いつごろという話でありますか。今年の秋には決定という具合に聞いておりますけれども。
スマートシティ戦略室長:先日の説明会では、10月中旬を1つのめどに第一次の選定といいますか、プロジェクトの組成を行う予定と国から伺っております。
記者:わかりました。すみません、エネルギーと低炭素社会の構築に大きく貢献するという位置づけはわかったんですけれども、市長個人として、このプロジェクトへの期待とか、将来性は......。
市長:大いに期待、世界で初めてになりますので。ですから、そのフィールドとして川崎臨海部が使われて、ここをモデルにして、アラブ等の石油産出地から常温で水素を加工して運んできて、ここで水素を発生させて、それを地域全体のエネルギーとして活用するということで。ですから、臨海部で発電所をつくったり、あるいは、他の企業との共同事業で水素を有効活用するというネットワークをつくって、そして、第二段階としては、さらにそれを民生部門、例えば燃料電池車の普及につなげていく等々の、日本全体、民生部門への広がりを実現して、システムとして、それを最終的には海外展開を図るというプロジェクトになっています。
記者:伺います。明日、また別の特区についてというのがありましたけれども、国家戦略特区に、そこに川崎として2つのプロジェクトに絡むわけですよね。
市長:そうです、はい。
記者:提案としては。
市長:はい。
記者:それは、両方とも認められる可能性、あるいは、どちらかがどちらかの足を引っ張ってしまうような結果にならないかという懸念はありませんか。
市長:そこは、明日出すのは、例のライフイノベーション国際戦略総合特区の延長でありまして、これを国家プロジェクトに格上げするための提案ということですので、これは全く新しいものではないので、認められたものを国家プロジェクトにしてもらうというものです。こちら、水素ネットワークは今回初めて提案いたします。どこかで結びつくかもしれませんけれども。
記者:どちらかがどちらかの足を引っ張るようなことにはならないと。
市長:ないと思いますけどね。ともに最先端の取組で、波及効果は非常に大きいですから。
記者:あともう一つ、ライフサイエンスの話については、東京側、大田区など含めて連携を探っていくことになるだろうというふうにおっしゃっていましたけれども、段取りとしては、まず神奈川県として提案した上でということですか。
市長:まず、東京側で。もちろんそうです。それで、最終的に国が調整をするというところが今回の特徴になっています。
記者:はい、わかりました。
記者:多分、目玉はこの世界初の商用水素発電所、9万キロワットとなると思うのですが、それほど大きい発電量ではないので、モデル事業とかパイロットプラントとして位置づけてこれを展開していくと。
市長:そうです。そういうことです。
記者:わかりました。
市長:要するに、CO2ゼロの発電所ができるというところに意味があると思います。
記者:このあいだ、6月に千代田化工さんとの提携の発表があって、その中身をこの国家戦略特区に乗っけて強力に推進していくということですけれども、規い制緩和の部分で、ここに大きく太線で書いてある3つの中に、市長としてはこの規制改革というか、制度の改革、どの辺が一番ポイントになってくるというふうに思いますか。
市長:やっぱり水素ガスを使った発電所だとか、あるいは民生部門の拡大だとか、それを進めていく上で、例えば発電所について、さっき言ったような環境発電、そういうのに認定してもらうとか、グリーン投資減税、減税のほうの対象に水素発電というのを新たに追加してもらうとか、要するに水素の位置づけを正式に行ってもらうということになろうかと思います。
記者:今までは水素発電については何もなかったので、そういうところに追加せよということですか。
市長:水素発電というのは現実的じゃなかったので、認定がなかったということです。要するに、国のほうでそういうのを今まで予定していなかったということで、これから現実になるということです。そのための手続をやってほしいということです。
幹事社:提案者に1企業が入っているというのは、これはなかなか珍しい形じゃないのかなと思うんですけれども、そこら辺......。
市長:いや、たまたま千代田化工さんという1企業と川崎市とで共同になって、事実は千代田化工さんですから。1企業ですけれども、ネットワークにはたくさんの企業が入ってきて、これからの事業展開には多くの企業が参加してくるということ。技術を持っているのは千代田化工さんということです。ですから、提案は、とにかく千代田化工さんと川崎市とで共同で提案すると、こういうことです。実際の広がりはもっとあります。
幹事社:発電所の場所はもう決まったんですか。
市長:具体的にどこという具合に申し上げられないけれども、大体の見当はできています。
記者:県が再生エネルギー導入条例というのをたしか出したかと思うんですけれども、そのようなものは川崎市としては考えておられるのか。条例を制定されるというのは。
市長:再生エネルギーの条例というか、今の地球温暖化防止条例や何かがそれに当たるわけです。
再生可能エネルギーに限定した条例は、今のところ考えていないです。
幹事社:では、細かい点はまたレクでお聞きすると思います。
市長:では、記者レクのほうで細かい点についてはご質問いただきたいと思います。
司会:それでは、以上をもちまして、市長記者会見を終了いたします。ありがとうございました。