2013/9/17  GISTセミナー

TPPの一側面:米国製造業イノベーション構想と知的財産  Thomas Kato

 

米国製造業イノベーション構想

出発点はObamaの個人構想  雇用対策としての製造業復活構想

NAFTAの反省(メキシコ)雇用面ではマイナス、
中国の競争力
Technology Spill-over  下請けが単なる組み立てから技術開発へ、模倣、盗用も 自殺行為!

以前にClintonは産業振興の必要性を認識し、Science Advisor (Technology)

Obama manufacturingに焦点

ドイツ  基礎研究 Max Planc     米国では政府機関、大学
     応用研究 Fraunhofer研究所  米国では欠けている ここを補充
     製造   民間
 

反対論(金融中心) Summers、Geithner、Christina Romer経済諮問会議(CEA)議長

Biden副大統領、Ron Blume 参与の助言で、Summers とRomerの退任後、
2012/1の演説 Economy recovery and growth begins with manufacturing.

2011/11 Alan KruegerがCEA議長就任
  海外Trans-plant の遠因は海外賃金の安さだけではなく、米国に労働力をスキルアップする教育インフラが欠けていること

従来の考え

失業は一過性
 GDP 1%増が100万人の雇用
雇用があれば何でもよい。
Innovation誕生拠点が米国にあれば、低賃金国で生産すればよい(Appleモデル)
先進国で雇用がサービスにシフトするのは当然

2012/3 Bernanke議長 
 雇用減は労働者のスキル不足からくる構造的なもので、解決は難しい。

Obama政権

2011/6 AMI (Advanced Manufacturing in America )構想

米国で必要なのは、産業政策でなく、イノベーション政策

その後、AMP構想(Advanced Manufacturing Partnership)と改称

 Obama これは世界競争に立ち向かう米国製品をより良く、より廉価に製造することを意味する。

10年間で50のinstitute 設立

効果の歯止め IPR(Intellectual Property Right) Trade secret も

射程外  企業間取引  Trans-plant 引き戻しに税制ほか
     海外でのR&D  

◎ TPPに依存しない体制づくり

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TPPへのきっかけ

 Globalization  Apple, Boeingなど 

 2010年にアジア新興国向けの米国輸出が欧州向けを上回る。

 Clinton国務長官 「Pivotが移転」

 米 Navy     太平洋へのRebalance

関税問題は一部
  知財、サービス、政府企業、越境サービス(Amazonの日本での税不払い)
  投資のISD条項は問題なし。(但し、日本の法曹人口減、外国法専門家の減は問題)

  米国も砂糖関税(68%)は譲る気はない。トラックの25%も頑張る。

米国議会の承認は難しい?

  Fast track authorityは2007年に失効 (議会は通商条約のyes or no の判断のみで、内容修正は不可)

  Anti-Counterfeiting Trade Agreement(ACTA:模倣品・海賊版拡散防止条約)承認得られず。
   (欧州議会も批准を承認せず)

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TPPの特許権に関する米国案(2011/2公開)

国際条約の遵守
 WTOのTRIPS協定

違反は制裁対象

国際協定はWTOの規定以上のものに限る。
従がって、TPP規定はWTO規定以上のものであり、これを破ればWTO制裁対象となる。
仮にWTOを脱退しても、守る必要がある。

特許権対象
 新規性、進歩性、産業上の利用可能性の要件を満たした、
 技術全領域の、物または方法に関わる全ての発明

  植物、動物
  人または動物の治療についての、診断方法、治療方法、外科的方法

診断方法、治療方法、外科的方法は日本では対象外
(日本では当初、物質特許も認めなかった。米国の医薬品の脅威)

米国では特許対象
 但し、1996年改正で、医師等の医療行為は差止め・損害賠償請求の対象から除外
 バイオテクノロジー特許などについては、対象となる。

微生物

微生物を使った技術も特許になるとした最高裁の1979年のChakrabarty判決
(GEの微生物を使って原油を分解する技術)

2010/6に米最高裁はビジネスメソッド特許の一般的な是非については判断を保留した。
これがTPPではどうなるか?

公知情報 申請日までの12か月の公開は認める。

著作権(米国案)

2000/10施行 Digital Millennium Copyright Act

オンラインで著作権侵害行為が発生したときに当該コンテンツを削除すればプロバイダは免責されるという規定
これにより、Google等は著作権違反を回避

Fair use は認めない。
 但し、米韓FTAではこれを認めている。

 


ウイキペディア 貿易促進権限 

貿易促進権限(Trade Promotion Authority;TPA)は、1990年代まではファスト・トラック権限(fast track negotiating authority、早期一括採決方式)と呼ばれていたもので、アメリカ合衆国議会への事前通告等の条件を課す代わりに、議会は、大統領と外国政府との通商合意の個別内容の修正を求めずに一括承認するか不承認とするものである。

アメリカ合衆国憲法第2章第2条第2項では、大統領は上院の助言と承認を得て条約を締結する権限を有するとされるが、同憲法第1章第8条第3項では、連邦議会の立法権限として諸外国との通商を規制する権限も認めている。

ジョージ・W・ブッシュ政権は、2002年8月に成立したTPA法(2002年超党派貿易促進権限法)によって貿易促進権限(TPA)を得た。 これによって、議会への事前通告や交渉内容の限定などの条件を満たす限り、議会側は行政府の結んだ外国政府との通商合意について、個々の内容の修正を求めず迅速な審議により一括して諾否のみ決することとされた。

TPAは2005年6月に延長され、再延長が議会に働きかけられたが果たされず、2007年7月1日に失効したまま現在に至っている。