2010/09/03 日揮

スペインで太陽熱発電事業を実施
―日本企業初の太陽熱発電事業への参画−

 日揮株式会社は、スペインのAbengoa Solarと共同で、同国における新規太陽熱発電事業の実施を決定しましたので、お知らせします。

 本事業は、スペイン南部Cordobaに50MWの太陽熱発電所2基(合計100MW)を新たに建設し、同国内向けに売電する事業です。発電所の建設および事業運営は当社が26%、Abengoa Solarが74%を出資する新事業会社を通じて実施します。操業は2012年からを予定し、電力買取りは温暖化ガス削減と再生可能エネルギー促進を目的としてスペインで法制化されている優遇買取価格制度である Feed in Tariffが適用されます。本事業は日本企業による初の商業用太陽熱発電事業となります。

 総事業費は約5億ユーロ以上の規模が見込まれ、このうち3億5,000万ユーロは三井住友銀行、香港上海銀行、みずほコーポレート銀行、BNPパリバ銀行によるプロジェクト・ファイナンス融資を受ける予定です。また、独立行政法人 日本貿易保険が本事業に対して地球環境保険枠を適用し、海外事業資金貸付保険の付保を行う予定です。

 太陽熱発電は太陽光エネルギーを鏡で集光、オイルなどの熱媒体を集熱設備で加熱、その加熱された熱媒体で蒸気を発生させ蒸気タービンを駆動する発電方式です。化石燃料をほとんど使用しない為、温暖化ガス削減に貢献する発電方式として世界的に注目されています。本事業により約 52,000世帯分の一般家庭用電力が賄われ、年間63,000トンの温暖化ガス削減に貢献します。

 当社は設計・調達・建設(EPC)ビジネスで培った多様な技術や知見を活かし、
アラブ首長国連邦、サウジアラビアの発電・造水事業中国の海水淡水化事業フィリピンのバイオエタノール製造・発電事業などに参画しています。多くのプロジェクトマネジメント経験に加え、今回の事業を通じて太陽エネルギー発電の事業ノウハウと技術知見を深め、環境と地域への貢献を視野に、新たな事業投資の展開に注力します。

アベンゴア・ソーラー社
 アベンゴア・ソーラー社はスペイン アベンゴア社(Abongoa S.A.)の子会社として太陽エネルギーに関する事業・技術開発に特化した会社です。既に発電容量として193MWの太陽熱発電プラントを稼働させており、450MW分を建設中です。
       
www.abengoasolar.com

 アベンゴア社は1941年に設立されたスペイン証券取引所の上場会社です。太陽エネルギー、バイオエネルギー、環境、IT、インフラ分野の設計・建設という5つのビジネスユニットに分かれており、70ヵ国以上で実績を保有しています。 
       
www.abengoa.com

参考

 2009/7/17 DESERTEC プロジェクト スタート

 2010/2/26 アラブ諸国、太陽エネルギー輸出国に?

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水・発電事業(IWPP、分散型発電) 

@Taweelah B IWPP Project(U.A.E. アブダビ)
パートナー: アブダビ水・電力庁(ADWEA)、丸紅株式会社、BTU社(米国)、
パワーテック社(マレーシア)

事業概要
アブダビ首長国タウィーラ地区(アブダビ北東約80km)で稼動中の100万 kW火力発電設備および日量45万トンの造水設備を買収し、さらに100万kWの複合火力発電設備および日量30万トンの造水設備を新たに建設、総出力 200万kWの発電設備および日量75万トンの造水設備を20年間にわたって操業。新規設備には、熱効率に優れた最新鋭の複合火力発電設備を導入することにより、環境への配慮を図っていきます。

ATaweelah A2 IWPP Project(U.A.E. アブダビ)
パートナー: アブダビ水・電力庁(ADWEA)、アブダビ国営エネルギー会社(TAQA)、丸紅株式会社

事業概要
アブダビ首長国タウィーラ地区における発電・造水事業。710MWの発電設備及び日量約23万トンの造水設備で構成されます。発電設備には高効率ガスタービンを用いたコンバインドサイクルが採用されており、環境保全、エネルギー利用効率の点での配慮もされています。当社は、2008年よりこの事業に参画し、事業の発展に寄与しています。

B  Rabigh IWSPP Project(サウジアラビア ラービグ)
パートナー: 丸紅株式会社、伊藤忠商事株式会社、ACWAパワー社(サウジアラビア)

事業概要
サウジアラビア王国の紅海沿岸に位置するラービグ地区において、住友化学株式会社とサウジアラムコ社(サウジアラビア国営石油会社)が、共同で推進する世界最大級の石油精製と石油化学の統合コンプレックスに対し、360MWの電力、5,580トン/時の水および1,230トン/時の蒸気を供給可能な設備を建設、完成後25年間にわたり操業します。日揮は、本事業を運営する事業会社に25%出資しています。


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2009/12/14

シンガポールのHyflux社と中国の水事業の共同運営で合意

日揮とシンガポールの国際的に水事業を展開するHyfluxは、Hyflux社が中華人民共和国の天津市にて開発中の海水淡水化事業(30年間のBOT)に関し、両者共同で事業運営を行うことに合意しましたので、お知らせいたします。

日揮とHyflux社は、これまで水事業での協業を模索して参りましたが、本事業は両社が共同でおこなう水事業の第一号案件となります。

Hyflux社は、2005年5月に天津市と協業協定を結び、同市に造水能力日量10万トンの海水淡水化プラントを建設し、2009年7月から工業用水の生産を開始、当該エリアの石化コンプレックス等への販売を開始しておりますが、さらに日量5万トン規模の設備増設を計画しており、完成する2011年第3四半期には生産量が日量15万トンの逆浸透膜では中国最大の海水淡水化プラントになる予定です。
今般、日揮とHyflux社は折半出資による持ち株会社(H.J. NewSpring Limited)の設立に合意し、本事業を共同で運営していくことになったものです。

日揮とHyflux社は、本事業において、事業運営のみならず共同で設立する合弁会社にて、海水淡水化プラントの維持管理および運用・保守を行います。なお、日量5万トンの海水淡水化プラントの増設工事はHyflux社傘下のコントラクターが実施する予定です。

天津市のある中国北部地域では、急速な経済成長と人口増加等により、工業用水および生活用水の需要が急速に増加し、慢性的な水不足の状態にあります。さらに、水質汚染の深刻化もこの水不足に拍車をかけており、本事業によりこのような事態の緩和が期待されます。

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2010/04/08

フィリピンで大規模バイオエタノール製造・発電事業を実施

日揮および伊藤忠商事は、フィリピン事業パートナーと共同で、フィリピン最大級のバイオエタノール製造、および電力供給事業に着手いたしましたのでお知らせいたします。事業の概要は以下の通りです。

1. 事業概要: サトウキビを原料とするバイオエタノール(54,000kl/年)の製造・販売事業、およびサトウキビ残渣(バガス)を燃料とする火力発電(最大19MW)による電力販売事業
2. 事業場所: フィリピン共和国ルソン島イザベラ州(マニラより北へ約400km)
3. 事業者 : 日揮および伊藤忠商事を主体にフィリピン事業パートナーも加えた出資者にて設立される新事業会社GREEN FUTURE INNOVATIONS, Inc. (GFII社)
4. 販売開始時期: 2012年2月
5. 事業背景:

フィリピンでは2009年2月にBio-Act-Lawが施行され、自動車用ガソリンにバイオエタノールを現行で5%混合することが義務化されており、2011年には10%を混合することが義務化される見込みです。また、バイオエタノール利用に際しては国内産の優先使用が義務付けられています。しかしながら、現在の同国内バイオエタノール生産量は必要量を大幅に下回る状況にあります。

日揮および伊藤忠商事は、数年前より同国内バイオエタノール事業に関する基本スキームの構築を開始しました。その後、サトウキビ農地の確保(11,000ha)および収穫計画、製造プラント設備、プロジェクトファイナンス構築、販売先の確保など事業の詳細検討を続け、このたび新事業会社GFII社を設立し、事業の最終投資決定に至りました。

本件はフィリピン最大規模のエタノール製造設備となります。また、同国では2010年内に新エネルギー発電法が施行され、各種再生可能エネルギーによる電力供給を優遇する制度が準備されています。バガスを燃料とする電力は同国において再生可能エネルギーとして認定されることから、本エタノール製造設備にバガス燃料による発電設備を併設し、余剰電力の外販も実施します。

本事業で使用するサトウキビの栽培により、現地では約3,000世帯の継続的な雇用創出が期待されるとともに、バガス発電は同国の環境負荷低減につながり、同国の電力不足解消の一助となります。