毎日新聞 2006/9/14

CO2地中貯留:削減の切り札だが、環境への影響は不透明

 温室効果ガスの二酸化炭素(CO2)を海底などの地中に封じ込める−−。環境省は温暖化対策の一環として、この貯留技術(CCS)導入に向けた検討を始めた。CO2を大幅に削減する切り札と期待される一方、海中に漏れ出すことによる環境悪化を懸念する声があるほか、省エネという地道な努力を後退させる恐れも指摘されている。

 ◆温暖化防止に期待…世界で2兆トン可能

 ◆漏れ出る懸念

 ◆コストも膨大…「省エネが王道」の声

 貯留には利点もある。石油や天然ガスの産出量が減ってきた油田では、CO2を押し込んで石油を噴出させる技術が開発されている。


(財)地球環境産業技術研究機構(RITE)

CO2地中貯留プロジェクト
 
http://www.rite.or.jp/Japanese/project/tityu/tityu.html

【CO2地中貯留の概念】

CO2地中貯留の方法としては安全性や技術面および処理可能量の面から地中帯水層への貯留が有望視されている。帯水層とは地層を構成する粒子間の空隙が大きく、地下水のキャップロックに覆われた構造(トラップ)をもつ構造性帯水層とトラップをもたない非構造性の帯水層に分類される。本プロジェクトでは深度1100m程度に分布する不透水性キャップロックを伴う構造性帯水層への小規模CO2圧入実証試験を計画している。 

 


日本経済新聞 2008/2/22

発電所で発生するCO2 欧州、地中封入相次ぐ
 仏トタル 施設を改造し試験
 独エーオン 回収プラント建設


 高圧ポンプを使って地下深くに送り込んだC02は、微小な穴がたくさん開いている地下の岩石に浸透。その際、C02が岩石の成分と化学反応で一体化し、半永久的に地下にとじ込められる。地表に噴き出てくる恐れはないという。封じ込めに適した地層は仏独のほかポーランドなど欧州各国で確認されている。
 トタルはこの原理を応用し、火力発電所で発生するCO2を約2キロ離れた立て坑までパイプラインで運び、地下約4.5キロの地層に年間15万トンのC02を送り込む計画だ。

 RWEは独北部に2014年をメドに新設する出力400メガワットの発電施設で発生する年間約220万トンのC02を地中に注入する。現在、候補地の地層の調査などを進めており、年内に立地先を決める。投資額は10億ユーロ(約1580億円)を見込む。
 エーオンはスウェーデン南部のカールスハムに新たな発電施設を建設。同施設では排ガスに含まれるCO2の約9割を冷却アンモニアを使って集め、年間約1万5千トンを地下に送って封じ込める計画だ。