信越シリコーン
『シラン? シロキサン? シリコーン?』
多結晶シリコン
http://www.silicone.jp/j/sil_news/bn/95/images/qa_95.pdf
カタログなどによく出てくるシランやシロキサンという言葉。それぞれの意味、そしてシリコーンとどう違うのかがわかりにくい、といった声がしばしば聞かれます。しかし、これらの言葉は、シリコーンの基本的な構造と密接な関係をもっていますので、今一度おさらいしておきましよう。
シラン
シランとは、金属ケイ素を原料に主に直説法と呼ばれる合成法で作られるモノマーの有機ケイ素化合物のこと。この製造方法によって種々のクロロシラン類が同時に得られますが、なかでもシリコーン工業で重要なのは、ジメチルジクロロシランC2H6Cl2Si
/ (CH3)2SiCl2 といわれるものです。
これらのシラン類に特殊基を導入すると、医薬品の合成に利用される「シリル化剤」や有機と無機を結合する「シランカップリング剤」などの製品になり、加水分解・重合を行えば直鎖状ポリマーである「シリコーンオイル」が生み出されます。
また、シランは、半導体シリコーンの原料でもあり、工業用材料として重要なものになっています。
シロキサン
シロキサンとは、ケイ素(Si)と酸素(O)が交互に結合してポリマーが形成された状態のことをいい、シロキサン結合と呼ばれるシリコーンの主骨格となっています。炭素結合(C−C)の結合エネルギーが356KJ/molであるのに対し、シロキサン結合(Si−O)は444KJ/molと大きく、非常に安定しているのが特長です。また、シロキサン結合は結合角が広く、らせん構造をしており、これらの分子構造がシリコーンの特長を生み出しているわけです。
シリコーン
シロキサン結合に有機基がついたオルガノポリシロキサンをべ一スとした材料を総称して、シリコーンと呼びます。しかし広い意味では、酸素を持たないモノマーのシラン類や、有機ケイ素化合物すべてをシリコーンと称する場合もあります。シリコーンポリマーは、シロキサン結合が主骨格であるため耐熱性や耐候性、化学的安定性などに優れ、さらに有機基(主にメチル基CH3)を持つことからはっ水性や離型性といった独特の界面特性をも備えているのです。
シリコーンとシリコン
よく混同されるのですが、シリコンとシリコーンは別のものです。シリコン(Silicon)は半導体材料としてよく知られる元素の一つケイ素(Si)のこと。それに対して、シリコーン(Silicone)はケイ素をもとにつくり出された人工化合物なのです。
ーーーー
シリコーン工業会ホームページから
シリコーン(Silicone)は、ケイ素と酸素からなるシロキサン結合(≡Si-O-Si≡)を骨格とし、そのケイ素(Si)にメチル(-CH3)を主体とする有機基が結合したポリマーで、天然には存在しません。無機質のシロキサン結合と有機基との結び付きにより、炭素-炭素結合を持つ有機化合物やポリマーと比較し数多くの優れた特性をもっています。
耐熱・耐寒性 耐候性
電気絶縁性 化学的安定性 撥水性
消泡性 離型性
形状はオイル、エマルジョン、レジン、ワニス、ゴムおよびパウダーなどと極めて多様で、用途も多岐にわたり、いろいろな分野で利用されています。
シリコンの製造工程と製品案内
住友チタニウム http://www.sumitomo-ti.co.jp/silicon/silicon.html
1960年わが国で初めてシリコンの工業生産を開始。
高度情報社会に必要不可欠な半導体材料、環境にやさしい太陽電池素材など、
私たちは21世紀の基礎素材メーカーとして、より豊かな未来の実現に貢献します。
●シリコン事業
シリコンは酸素に次いで地殻中に豊富にある元素で、推定では地殻を構成する元素中の約28%を占めると言われています。金属シリコンは、1960年代から半導体材料として利用されるようになり、以来マルチメディア社会に向かって急速に成長を続けるエレクトロニクス産業を支える最重要素材になりました。
半導体材料としてシリコンを利用する場合、多結晶シリコンにはきわめて高い純度が求められます。当社では独自の研究開発、技術力の向上により、純度イレブンナイン(99.999999999%)と呼ばれる超高純度多結晶シリコンを製造しています。
また、多結晶シリコンは、地球環境保全が求められる現代社会において、環境にやさしい太陽電池の素材として市場の注目を集めています。
●製造工程
多結晶シリコンは、金属シリコンに水素および四塩化珪素を反応させ三塩化シラン(トリクロロシラン 4SiHCl3)とし、これを蒸留精製後、反応炉で水素と反応させて、太い棒状に析出させて製造します。
多結晶シリコンの製造工程は大別して、次の4工程に区分されます。
●転化工程 (三塩化シランの製造)
●蒸留工程 (三塩化シランの精製)
●還元工程 (多結晶シリコンの製造)
●加工・製品工程 (多結晶シリコンの破砕、洗浄)
※多結晶シリコンの還元工程で副生される四塩化珪素や水素は、回収工程で回収し、再利用されます
信越化学、中国にシリコーン工場 現地需要取り込み
信越化学工業は自動車や電気製品に使う高機能樹脂であるシリコーンの工場を中国に建設する。2012年初めに生産能力が年2万5000トンの設備を稼働させる。同社にとっては中国での初の大型投資となる。現在は日本やタイの拠点から輸出しているが、シリコーン需要は今後も拡大すると見て現 地生産に踏み切る。
信越化学はこれまでカントリーリスクを考慮して中国での大型の投資を手控えてきた。人件費の上昇や為替の変動などリスクは残るが、急増する シリコーン需要を取り込むには現地生産が不可欠と判断した。
主力の塩化ビニール樹脂を除き、現地生産の利点が大きいシリコーン以外の製品についても、中国での生産を検討する。
江蘇省南通市に新会社の「信越有機硅(南通)公司」を設立。約15万平方メートルの工場用地を確保済みで、年内に着工する方針。投資金額は 約85億円。
主に成形用の材料などに使うゴム系製品を生産し、年間約100億円の販売を目指す。輸送費や関税などのコスト削減に加え、納期も短縮できる ため販売量を増やせると見ている。
信越化学は日本や米国、欧州などにシリコーンの生産・販売拠点を持つ。中国工場の建設で、同社のシリコーン生産能力は約3割増える。現地生産が始まっても中国への輸出は継続する。
シリコーンは耐熱性や耐候性に優れ、中国では自動車のシール材やホース向けなどを中心に市場が毎年、10%台後半の伸び率で拡大中。米ダ ウ・コーニングなど大手メーカーも相次ぎ現地生産に乗り出している。
金川社長は中国進出については、こう述べている。(2005/6/12TV朝日「トップに迫る」)
「中国はね、市場としてはこれからの10年、圧倒的に伸びるでしょうね。 非常に魅力的な市場です。
我々は製品の輸出には中国に大変お世話になっていて、たくさん輸出しています。ただし、投資とは別のことなのです。
中国の場合は カントリーリスクというと語弊があるかもしれないが、例えば我々の商品の基礎中の基礎の原料である石油とか電力を、政府が一番コントロールしている。
我々が下流、ダウンストリームでいくら努力して、事業を成功させても、上流で押さえられたらそれで一発で終わり。つまり、我々の経営努力ではできないものがあるところではやってはいけない、というのが私の考え方。
経営努力で克服できるものは経営努力で克服するが、できないものはやらない。
株主にも言うと、多く の、特に長期の投資家は私の意見を理解してくれる。
目先、とにかく儲けろと言う人はあまり理解してくれないと思うが。」同社は1967年にニカラグアで、信越化学33.75%、 三井物産11.25%、現地(ソモサ系)55%出資で、Polimeros Centroamericanos S.A. (POLICASA)を設立した。中米共同市場を対象にPVC年産5千トン、同コンパウンド6千トンを生産するもの で、1970年にスタートした。
同社は中米でも一、二を争う高収益企業に成長したが、1979年の革命勃発で撤退を余儀なくされた。
「この経験は、事業を進めるときにカントリー・リスクは絶対に避けねばならないことを私に教えてくれた」
(金川千尋 「毎日が自分との戦い」)
信越化学は1953年、日本で初めてシリコーンを事業化。以来、シリコーンの優れた特性を活かして、さまざまな製品を開発して来ました。その結果、現在では4,000を超える製品を開発し、電気・電子、建築、自動車、化粧・トイレタリー製品、化学など、さまざまな産業分野のニーズにお応えしています。
また、信越化学はこれまでに国内はもとより、米国、韓国、中国、台湾、シンガポール、タイ、オランダなど世界各国に生産・販売拠点を設置。マーケットに直結した供給体制を整え、世界各地のお客様のニーズにお応えしています。その結果、国内トップ、世界でも有数のシリコーンメーカーに成長しています。
1949年 | シリコーンの基礎研究を開始 |
1953年 | シリコーンの工業生産を開始 |
1976年 | シリコーン電子材料技術研究所を設置 |
1985年 | シンエツ シリコーンズ オブ アメリカを設立 |
1986年 | 韓国シンエツシリコーンを設立 |
1987年 | 台湾シンエツシリコーンを設立 |
1989年 | シンエツ シリコーンズ ヨーロッパを設立 |
1990年 | シンエツ シンガポールを設立 |
1991年 | シンコア シリコーンズを設立 |
2001年 | シンエツシリコーンズタイラ
ンドを設立 アジアシリコーンズモノマーを設立 2001年2月、信越化学はGE/東芝グループと50/50出資
のシリコーンモノマーの製造会社をタイに設立した。 |
2002年 | 浙江信越精細化工を設立 |
2003年 | シンエツ
シリコーンズ オブ アメリカフリーポート工場操業開始 信越有机硅国際貿易 (上海)を設立 シリコーン事業化50周年 |
2004年 | アジアシリコーンズモノマーおよびシンエツシリコーンズ タイランド操業開始 |
2007年 | 信越有机硅国際貿易(上海)が広州支 店を開設 |
2008年 | シンエツ シンガポールがインドに駐 在員事務所を設置 |
2010年 | シンエツ シリコーンズ ヨーロッパがドイツ支店を開設 |
ーーー
2002.6.3
シリコーン製品の製造販売に関する合弁会社を中国に設立
信越化学工業株式会社(本社:東京、社長:金川千尋)は、シリコーン製品の製造販売を手がける現地法人の設立を決定し、このほど、中国政府からの正式設立許可が下りた。信越化学工業のシリコーン事業としては、中国本土には初の工場進出となる。
新法人名は「浙江信越精細化工有限公司」。工場立地は、上海から約90km離れた浙江省の工業団地で、浙江省嘉善への日本法人の進出は初めてとなる。6月6日に開工式(地鎮祭)が行なわれ、工場は2002年末に稼動開始予定。工場用地を含め、投資金額は約4億円で、当初はシリコーンの二次製品である一部のエマルジョン製品、一液型RTVゴムなどを中心に生産・販売し、順次拡大展開を狙う。
新法人はTOPCO International(本社:米国、社長:王 純健)との合弁で設立されるもので、出資比率は、信越化学工業が90%、TOPCO
Internationalが10%。設立当初の売上は10億円/年を見込んでいる。
中国市場向けのシリコーン樹脂の販売が年々伸長してきており、信越化学工業では現地に加工工場を設置する機会を窺っていた。
今回の進出は今後の信越化学工業の中国での事業展開の一つの試金石としての役割も担うことになる。
■合弁会社の概要
社名: 浙江信越精細化工有限公司
所在地: 中国浙江省嘉善県
資本金: 300万US$(約4億円)
株主: 信越化学工業株式会社 90%
TOPCO International 10%
代表者:
董事長 寺尾 英樹 (現 信越化学シリコーン事業本部海外部長)
副董事長 王 純健 (現 TOPCO International
Company 社長)
事業内容: シリコーン製品の製造販売
売上見込: 10億円/年(当初)
稼動時期: 2002年末
ーーー
信越化学の中国の活動
1.シリコーン製品の製造販売
会社名:浙江信越精細化工有限公司
場所 :浙江省嘉善県
出資者:信越化学 90%
米国TOPCO International 10%
製品
:当初はシリコーンの二次製品である一部のエマルジョン製品、
一液型RTVゴムなどを中心に生産・販売し、順次拡大展開を狙う。
設立 :2002/6
発表 :http://www.shinetsu.co.jp/j/news/s20020603.shtml
2.シリコーン製品の販売
会社名:信越有机硅国際貿易(上海)有限公司
場所 :上海市盧湾区
出資者:信越化学 100%
設立 :2003/8
発表 :http://www.silicone.jp/j/news/20030915.html
3.電子・機能部材の製造販売
会社名:蘇州信越聚合物有限公司
場所 :江蘇省呉江市
出資者:信越ポリマー 83.6%
製品
:キーパッド、インターコネクター、シリコーンゴム加工品
設立 :1993/10
4.ラバーコンタクト、インターコネクターなどの販売
会社名:信越聚合物(上海)有限公司
場所 :上海市
出資者:信越ポリマー 100%
設立 :1999/1
備考 :2004年 塩ビコンパウンドの生産開始
http://www.shinpoly.co.jp/ir/release/2004/20040609.html
5.携帯電話向けキーパッドの生産 (取り止め)
会社名:天津信越韓星聚合物有限責任公司
Tianjin Shin-Etsu Hansung Polymer Co., Ltd.
場所 :天津市天津経済開発区
出資者:信越ポリマー 50%
韓星エルコムテック 50%
設立 :2006
http://www.shinpoly.co.jp/ir/release/2006/20060201.html
◎2006/5 設立中止
双方の契約上の条件が折合わず、具体的な進展が見込めないとの双方での判断
http://www.shinpoly.co.jp/ir/release/2006/20060501.html