2010/11/26
国際協力銀行(JBIC)と三井住友銀行は、住友商事が全権益を持つ南米ボリビアのサンクリストバル亜鉛・鉛・銀鉱山に対して協調融資を組成する。金額は2億5300万ドル(約210億円)で期間は約5年。採掘などの事業資金に充てる。同鉱山は、防食塗料や自動車バッテリーなどに使う亜鉛 と鉛について、日本の全輸入量の1割強を生産しており、資金面で安定的な運営を支援する。
2006年09月26日 住友商事
ボリビア共和国サン・クリストバル銀・亜鉛・鉛鉱山への資本参加について
住友商事株式会社(東京都中央区 社長:岡
素之)は、掲題サン・クリストバル鉱山の権益を保有するミネラ・サン・クリストバル社に資本参加することにつき、同社の親会社である米国のエイペックス・
シルバー社(CEO:ジェフ・クレベンジャー)と概要下記の通り合意に達しました。
現在残る手続きを急いでおり、9月末を目処に全て完了予定です。
【プロジェクト及び資本参加についての概要】
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・プロジェクト参画経緯と目的: 住友商事は予てよりサン・クリストバルプロジェクト向けプロジェクトファイナンスに必要とされる鉱石の対日長期販売において協働しておりましたが、本件実施に次の様な意義を認め参画を決断致しました。
1) | 本件は、今後5年以内に開発される銀・亜鉛鉱山としては、世界最大級の規模であり2007年第三四半期の建設完了と共にフル生産に入れる計画。従 い中国を中心に需要が拡大し現在価格が高騰している亜鉛・鉛資源の需給緩和に向けて世界の精練業界から大いに期待されている。世界市場において本件から生 産される銀・亜鉛・鉛精鉱の拡販に参画し自動車用鋼板、ダイカスト部品に代表される世界的な亜鉛の需給逼迫の緩和と業界の進展に貢献できる。 |
2) | 日本とボリビアは、およそ14,000人超の日系人の存在や長年のODA供与を通じて伝統的に良好な外交関係にある。今回の権益購入が両国の関係 促進の一助になるだけでなく米国も含めた三カ国共同案件が実現する事は、同国の安定的経済発展の為にも意義深いと考える。ポトシ県は、アンデス山脈の高地 にある低開発地域だが、本件開発により地域内での雇用創出と同時に地域の道路、電力・通信設備、学校等インフラ整備等でも地域貢献できるプロジェクトとな る。 |
3) | 将来の需要急増が予想されているリチウム鉱石の賦存が、未探鉱ながらも鉱区内に確認されており非常に将来性の有望な鉱山であると言える。 |
4) | 今回の権益取得と同時にエイペックス・シルバー社とstrategic partnershipを構築して同社がボリビア、ペルー、メキシコ、アルゼンチンに保有する探鉱案件権益への35%の参画option(参画交渉最優先権)を同時に獲得できる。 |
当社と致しましては、インドネシア国バツ・ヒジャウ銅鉱山やチリ・ペルー等において保有する銅資源上流権益を筆頭に、アラスカのPogo金鉱山、マダガスカルでのニッケル開発検討、カザフスタンでのウラン鉱山の開発投資等、非鉄分野・非石 化エネルギー分野での多様な鉱物資源、エネルギー資源に意欲的に取り組んでいます。本件参画による銀・亜鉛上流権益、更に上記optionから派生しうる 新規鉱山権益を加えることにより、非鉄金属鉱山事業における地歩を一層堅固なものにできる。また、工業化社会の発展に必要不可欠な金属資源とエネルギーの 確保とその長期安定供給において役割を果たしていきたいと考えております。
・添付別紙1: ボリビアの概観とカントリーリスクについて
1) | ボリビアは、鉱物資源に恵まれ、16 世紀からの銀の産地として知られている。鉱業は、長い歴史と伝統を誇る産業で、就業人口が多い上、外資を歓迎している分野だけに、国有化の対象にはなって おらず今後実施が検討されている新鉱業法の策定に当たっても国内外の投資家にヒアリング実施を予定する等、穏健な政策策定手法の導入を検討している。 | ||
2) | 必要資金は国際協力銀行殿と民間金融機関の協調融資により調達し、ボリビアのポリティカル・リスクにつき、株式に関し独立行政法人日本貿易保険殿による投資保険、融資債権に関し国際協力銀行殿のポリティカル・リスク負担特約付融資・保証を活用する予定。 | ||
3) | ボリビア共和国概観(出所:外務省、世銀、国立統計局等) | ||
a) | 面積 | : 109km²(日本の約3倍)内陸国 | |
b) | 人口 | : 886万人(2005年) | |
c) | 首都 | : ラパス | |
d) | 一人当たりGDP | : 960ドル(2004年) | |
e) | GDP成長率 | : 3.6%(同上) | |
f) | インフレ率 | : 4.6%(同上) | |
g) | 失業率 | : 8.69%(同上) | |
h) | 貿易収支(同上) 輸出 : 2,254百万ドル 輸入 : 1,888百万ドル |
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i) | 政体 | : 立憲共和制 | |
j) | 元首 | : エボ・モラレス大統領 | |
k) | 独立 | : 1825年8月6日スペインより独立 | |
l) | ボリビアは、伝統的に農業(大豆、砂糖)、鉱業製品(亜鉛、錫)及び天然ガス等を中心とする一次産品に外貨収入を頼って いる為、国際価格市況変動の影響を受けやすい経済構造になっている。1982年の民政移管を経て85年から新経済政策を導入し構造調整を推進してきたが市 場経済の導入で資源を有し豊かな東部と先住民や貧困層が多い西部の対立調整が課題となっている。2006年1月に誕生した原住民系のモラレス政権は、5月 炭化水素部門の国有化を宣言し現在外資とのガス価格等交渉中。鉱業については、税制を含む「新鉱業法」の立案に向けて作業中。 |
・添付別紙2: サン・クリストバル関連メタル参考データ
亜鉛 | 銀 | 鉛 | リチウム(参考) | |
1.市況推移 | 長期の市況低迷により新規鉱山開発がストップしていたが、最近の中国での需要拡大に生産が追いついていない。 鉱石不足が深刻化し、LME在庫が至上最低水準にまで減少、需給タイトな状況を受け過去最高水準の3,000ドル台で推移している。 需給は、引き続きタイトな状況が続くと見られ高止まりが予想される。 |
銀地金は、供給不足の事態が長期化しており2004年は、7ドル/オンスの水準であった市況は、最近11-15ドル/オンス水準で推移している。 各国政府保有ストックは、限定されており今後とも市況は、強含みで推移すると見られる。 | LME鉛価格は、2003年の500ドル/トン台から需給逼迫と他金属の価格高騰に連れ高した要素もあり1,200-1,300ドル/トン台で推移している。 | 炭酸リチウム、インゴットおよびロッド等製品ごとの価格がある。米国市況において、炭酸リチウムの価格は3.2-3.4ドル/ポンド、リチウムインゴットは約40ドル/ポンドにて推移しており、今後需要増に伴い価格上昇が見込まれている。 |
2.世界の需給 | 近年自動車用鋼板向け需要が急増している。 特に世界一の需要国である中国でのモータリゼーションが進むに伴い需要が益々高まると見られる。 一方で世界一の亜鉛鉱石供給国であった中国が2003-04年に輸入国に転じた事が需給逼迫に拍車をかけている。 |
銀地金は、90年代初頭より慢性的な供給不足にあり、これを各国政府が放出して賄っている状態が続いている。 フィルム用途は、先進国では、デジタルカメラ普及により漸減しているが、中国、インド等では、まだ伸びている一方抗菌剤等工業用需要が拡大している。 |
他のベースメタルと異なり、リサイクル比率が高く地金生産量の50%を占める。 主要用途は、自動車用バッテリーで中国のモータリゼーションの進展の一方リサイクルに回るバッテリーの量が限定される事から需給は、逼迫している。 また環境規制による処理複雑化による鉛生産の困難化により2007年以降需給は、再び世界で逼迫すると見られる。 |
主
用途は特殊ガラス(表示プラウン管)、アルカリ蓄電地(電気自動車用)、電子材料(圧電素子)であり、現在はブラウン管ガラス添加剤、酸化物単結晶用及び
リチウム電池などの需要が拡大しており、特にパソコン、携帯電話、ビデオカメラ電源用電池の材料としての需要拡大が顕著である。 今後自動車用バッテリーとしての需要急拡大も予想され、将来性が期待されるメタルである。 |
3.世界の主要生産国 | 豪州、中国、ペルー、米国、カナダ、中国等 | ペルー、メキシコ、豪州、チリ、中国、ポーランド等 | 豪州、中国、ペルー、米国、ペルー等 | チリ、中国、カナダ、豪州等 |
4.日本の鉱石輸入ソース | 豪州、ペルー、米国、カナダ、メキシコ等 | ペルー、メキシコ | 豪州、米国、ロシア、ペルー等 | チリ、米国等 |
5.主要用途 | 40-50%: 亜鉛メッキ鋼板 15%: 自動車用ダイカスト 15%: 亜鉛合金 10%: 化学用途(医薬品、化粧品) 10%: その他 |
40%: 工業用 30%: 宝飾用 20%: フィルム用途 10%: 通貨・投資用等 |
鉛蓄電池(産業用・自動車用・民生用)、電子部品、ガス管、水道管、ガラス製品等。 日本では、70%強が鉛蓄電池、19%強が無機薬品に使用されている。 | 特殊ガラス(表示ブラウン管)、アルカリ蓄電地(電気 自動車用)、電子材料(圧電素子)、ブラウン管 (テレビ、パソコンモニター)、耐熱ガラス製品、リチウム電池、リチウムイオン二次電池、還元剤、潤滑剤等。 |