橋梁談合事件

橋梁談合事件とは、2005年に発覚した鋼鉄製橋梁の建設工事(公共工事)の受注に絡んで、橋梁メーカーが談合を行っていたとされる独占禁止法違反容疑の事件である。

2003年、2004年の国発注の鋼鉄製橋梁工事においてK会、A会という2つの談合組織に属する47社は入札談合(受注調整)を行い、実績などを元に受注業者、入札価格をあらかじめ決め、受注予定者が受注できるようにし、競争を実質的に制限した独占禁止法違反の容疑で談合組織の幹事会社の関係者が逮捕された。

これらの談合を行っていた背景として、鋼鉄製橋梁の市場規模の縮小傾向があったとされている。摘発当時で年間約3500億円、受注高は約48万トンの市場規模があったが、近年では公共工事が減少し、橋梁の分野においてもPC(プレストレストコンクリート)橋のシェア拡大などによりメーカーの経営環境が厳しくなり、談合での高値受注によりメーカの共存共栄を図ったとされる。

なお談合組織に属する47社は国土交通省地方整備局が2000年度から2004年度に発注した工事の約8割(工事金額では約9割)を受注、橋梁メーカーの大多数が談合に荷担し、アウトサイダーと呼称するメーカーに対しては安値落札などの排除工作を行っていたとされる。

談合組織は元総会屋により恐喝を受けるなどしたため1991年に一旦解散の後、再結成したと言われている。

* K会(旧・紅葉会):17社が加盟。先発メーカー。
o 横河ブリッジ・石川島播磨重工業・三菱重工業・新日本製鐵・日立造船・川崎重工業・JFEエンジニアリング・宮地鐵工所・東京鉄骨橋梁など

* A会(旧・東会(あずまかい)):30社が加盟。後発メーカー。
o 川田工業・栗本鐵工所・住友金属工業・高田機工・コミヤマ工業など

経緯 [編集]

* 2004年10月5日:公正取引委員会はメーカー各社に立入り検査。
* 2005年5月23日:公正取引委員会は談合組織の幹事会社8社を独占禁止法違反で刑事告発。東京高等検察庁が捜査を開始。
* 2005年5月26日:東京高検は幹事会社など11社の担当者14人を独占禁止法違反(不当な取引制限)の容疑で逮捕。
* 2005年6月15日:公正取引委員会は18社と担当者8人を追加告発し、東京高検は26社を起訴。
* 2005年6月29日:公正取引委員会は日本道路公団の橋梁建設における独占禁止法違反容疑でメーカー3社を刑事告発。
* 2005年7月12日:東京高検は元公団理事とメーカ担当者4人を逮捕
* 2005年7月25日:東京地検特捜部は日本道路公団副総裁を独占禁止法違反幇助と背任の容疑で逮捕。
* 2007年1月15日:国土交通省は建設業法に基づき23社に対し45日間の業務停止命令を出した。

o 処分を受けたのは以下23社
+ 横河ブリッジ
+ 石川島播磨重工業(現:IHI)
+ 住友重機械工業
+ JFEエンジニアリング
+ 東京鐵骨橋梁
+ 三井造船
+ サクラダ
+ 滝上工業
+ JST
+ トピー工業
+ 川鉄橋梁鉄構
+ 高田機工
+ 栗本鉄工所
+ 松尾橋梁
+ 駒井鉄工
+ 片山ストラテック
+ ハルテック
+ 日本橋梁
+ 日本車輌製造
+ 川崎重工業
+ 日立造船
+ 佐藤鉄工
+ 川田工業


平成18年3月27日
公正取引委員会

鋼橋上部工事等の入札参加業者に対する課徴金納付命令について

公正取引委員会は,平成18年3月24日,国土交通省の関東地方整備局,東北地方整備局及び北陸地方整備局が発注する鋼 橋上部工事並びに日本道路公団が発注する鋼橋上部工工事の入札参加業者44社に対し,改正独占禁 止法の経過措置による改正前の独占禁止法第48条の2第1項の規定に基づき,次のとおり課徴金の納付命令を行った。

3地整発注関係
(1) 高田機工株式会社ほか39社,新日本製鐵株式会社ほか4社,川崎製鉄株式会社(平成15年4月1日付けでJFEスチール株式会社に商号変更した。以下同じ。)及び冨士車輌株式会社ほか3社の50社(以下「3地整50社」という。)は,石川島播磨重工業株式会社ほか16社及び株式会社アルス製作所ほか32社により構成される,鋼橋上部工事の受注に関する調整を行うための,K会又はA会と称する会を設け,各社が営業責任者級の者等を登録し,それぞれ,毎年度末に,各社が登録した者が出席するK会又はA会と称する会の会合において,幹事社を選出し,遅くとも平成14年4月1日(川鉄橋梁鉄構株式会社にあっては平成15年4月1日)以降,平成17年3月31日(一部事業者にあっては平成15年3月31日ほか)まで,3地整発注の鋼橋上部工事について,受注価格の低落防止及び安定した利益の確保を図るため
ア 各社の過去の受注実績等に基づき,K会及びA会と称する会の幹事社が割り付けた者又は共同企業体を受注すべき者(以下1において「受注予定者」という。)とする
イ 受注すべき価格は,受注予定者(受注予定者が共同企業体である場合にあってはその代表者)が定め,受注予定者以外の者は,受注予定者がその定めた価格で受注できるよう協力する
旨の合意の下に,受注予定者を決定し,受注予定者が受注できるようにしていた。
(2) 3地整50社は,前記(1)により,3地整発注の鋼橋上部工事の大部分を受注していた。
(3) 平成16年10月5日,本件について,当委員会が独占禁止法の規定に基づき審査を開始したところ,住友金属工業株式会社は平成16年10月27日ころ以降,株式会社神戸製鋼所は平成16年10月29日ころ以降,それぞれ,前記(1)の合意から離脱している。
2 公団発注関係
(1) JFEエンジニアリング株式会社ほか39社,三菱重工業株式会社ほか4社,川崎製鉄株式会社及び冨士車輌株式会社ほか3社の50社(以下「公団50社」という。)は,遅くとも平成14年4月1日(川鉄橋梁鉄構株式会社にあっては平成15年4月1日)以降,平成17年3月31日(一部事業者にあっては平成15年3月31日ほか)まで,公団発注の鋼橋上部工工事について,受注価格の低落防止及び安定した利益の確保を図るため
ア 石川島播磨重工業株式会社の営業責任者級の者らから落札を予定する者又は共同企業体である旨の連絡を受けた者又は共同企業体を受注すべき者(以下2において「受注予定者」という。)とする
イ 受注すべき価格は,受注予定者(受注予定者が共同企業体である場合にあってはその代表者)が定め,受注予定者以外の者は,受注予定者がその定めた価格で受注できるよう協力する
旨の合意の下に,受注予定者を決定し,受注予定者が受注できるようにしていた。
(2) 公団50社は,前記(1)により,公団発注の鋼橋上部工工事の大部分を受注していた。
(3) 平成16年10月5日,本件について,当委員会が独占禁止法の規定に基づき審査を開始したところ,住友金属工業株式会社は平成16年10月27日ころ以降,株式会社神戸製鋼所は平成16年10月29日ころ以降,それぞれ,前記(1)の合意から離脱している。

 

東綱橋梁株式会社に対する課徴金納付命令について

平成18年9月13日
公正取引委員会

桜井鉄工株式会社に対する課徴金の納付を命ずる審決について
(日本道路公団発注の鋼橋上部工工事の入札談合)
平成20年11月21日

株式会社宮地鐵工所に対する課徴金の納付を命ずる審決について
(日本道路公団発注の鋼橋上部工工事の入札談合)
平成20年10月16日

三菱重工業株式会社及び新日本製鐵株式会社に対する課徴金納付命令について
(鋼橋上部工事等の入札談合)
平成21年12月18日

三菱重工と新日鉄に課徴金10億円命じる 橋梁談合で公取委

 国土交通省と旧日本道路公団発注の鋼鉄製橋梁(きょうりょう)工事を巡る談合事件で、公正取引委員会は18日、三菱重工業と新日本製鉄に独占禁止法違反 (不当な取引制限)で計約10億円の課徴金納付を命じた。違反会社に対する公取委の課徴金納付命令が出そろい、同事件での課徴金総額は49社に141億 2167万円となった。

 今回出された課徴金納付命令の内訳は、三菱重工が約7億1800万円、新日鉄が約2億8200万円。公取委は 2005年、各社に排除勧告していた。

 同事件では、公取委の告発を受け東京高検が05年に独禁法違反罪で違反会社などを起訴。これまで 26社の罰金刑と担当者10人の執行猶予付き有罪判決が確定、旧公団の元副総裁と元理事の2人が東京高裁で執行猶予付き有罪判決を受け上告している。(日 経ネットより)

    万円    
1 横河ブリッジ 85,440    
2 宮地鐵工所  79,626 60,367  
3 川田工業  77,036    
4 JFEエンジニアリング 75,397    
5 石川島播磨重工業 71,474   石川島播磨の役員には、課徴金による損害及び弁護士費用の合計金7億8621万4000円。
被告役員は伊藤 源嗣社長を含む橋梁担当役員、コンプライアンス役員合計4名の役員
6 東京鐵骨橋梁 65,709    
7 高田機工 59,392    
8 川崎重工業  56,969    
9 住友重機械工業  51,348   住友重機の役員には合計5億1,348万円の課徴金プラス弁護士報酬4000万円を加算した5億5348万円の会社への返還請求である。被告は当時の日納 義郎社長を含む橋梁担当役員、コンプライアンス役員,その他の役員合計10名。
10 トピー工業  50,134    
11 松尾橋梁  48,883    
12 栗本鐵工所 45,777    
13 日立造船  45,709   国土交通省発注の鋼鉄製橋梁工事をめぐる談合事件で、談合の事実を知っていたのに防止策を講じなかったとして、日立造船の株主が当時の役員4人に約9億5千万円の返還を求めた株主代表訴訟は21日、4人が解決金計約2億円を支払うことなどを条件に、大阪地裁(西川知一郎裁判長)で和解した。
 和解条項によると、日立造船が談合の原因調査や再発防止のため、社内に「談合防止コンプライアンス検証・提言委員会」を設置。 3人の委員のうち1人は原告が推薦する弁護士とする。また、解決金は委員会の運営や談合防止マニュアル整備などの施策に充てるとしている。

日立造船は、指名停止による損害金5億円、課徴金による損害金4.5億円、合計9.5億円

14 三井造船  45,571   三井造船株式会社の役員に対し,連帯して金5億0128万1000円。
課徴金相当額である4億5571万円及び弁護士費用として同金額の10パーセントに相当する4557万1000円の合計5億0128万1000円である
被告役員は岡野利道社長を含む橋梁担当役員、コンプライアンス役員合計7名の役員
15 日本車輌製造  39,298    
16 瀧上工業  34,787    
17 駒井鉄工  32,644    
18 片山ストラテック  30,712    
19 日本鉄塔工業  27,074    
20 佐藤鉄工  26,057    
21 サクラダ 25.013    
22 日本橋梁 24,671    
23 神戸製鋼所 20,146    その結果,神戸製鋼所は,国や地方公共団体らから長期間の指名停止措置を受けて多額の受注損を被り,平成18年3月27日には公正取引委員会から総額金 2億0146万円の課徴金納付命令を受けた(全額納付済み)。
 原告は神戸製鋼所の株主であるところ,神戸製鋼所の社長,会長,法務担当取締役,鋼橋工事部門担当取締役ら合計6名が,長年違法な談合行為を容認(黙 認)して,談合を防止する真に実効性ある内部統制システム構築を怠ったとして,株主を代表して会社が被った損害(上記課徴金額)を会社に対して賠償するよ う求めた(平成18年6月27日提訴)。

神戸製鋼所の役員5名に対して課徴金相当分2億0146万円を、住友金属工業株式会社の役員3名には課徴金相当分1億3505万の損害を会社に払えという株主代表訴訟である

24 ハルテック 19,037    
25 巴コーポレーション 18,454    
26 宇部興産機械 16,255    
27 古河機械金属 14,160    
28 佐世保重工業 13,565    
29 住友金属工業 13,505   裏金づくりや社員のかかわった談合事件などの影響で、鉄鋼大手の住友金属工業が損害を受けたのは当時の役員らの責任だとして、同社の株主4人が下妻博・現会長(関西経済連合会会長)ら14人に約78億円の損害賠償を求めた株主代表訴訟が30日、大阪地裁で和解した。14人が連帯して2億3千万円を会社に支払い、それを原資に、社外委員でつくるコンプライアンス(法令順守)委員会を社内に置く。

 原告は、大阪の市民団体「株主オンブズマン」のメンバーら。コンプライアンス委員会は外部委員3人で構成され、一連の事件の原因を再調査し、監査体制の見直しを含めた再発防止策を提言する。

 訴えによると、住金は1999年3月期からの6年間に約34億円の裏金をつくっていたことが大阪国税局の調査で判明。オンブズマン側は、追徴課税分などを加えた約66億9千万円が会社への損害となったと主張した。また、05年に発覚した橋梁工事談合事件などに関連して公正取引委員会から11億円余りの課徴金などを命じられ、会社に損害が生じたと訴えていた。

1 被告下妻博及び被告末光邦彦は、訴外住友金属工業株式会社に対し、連帯して金76億7176万円及びこれに対する本訴状送達の日の翌日から支払済みま で年5分の割合による金員を支払え。
2 被告小島又雄、被告田尻文宏、被告岸田達、被告川田洋輝、及び被告作田頴治は、訴外住友金属工業株式会社に対し、連帯して金66億9460万円及びこ れに対する本訴状送達の日の翌日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
3 被告飯吉猛及び被告天谷雅俊は、訴外住友金属工業株式会社に対し、連帯して金9億7716万円及びこれに対する本訴状送達の日の翌日から支払済みまで 年5分の割合による金員を支払え。
4 訴訟費用は被告らの負担とする

住友金属は、大阪国税局から、平成11年3月期より同16年3月期までの6年間に約41億円の所得隠しを指摘され、そのうち上記34億円を「使途秘匿金」 として認定され、重加算税を含めて約18億円を追徴課税(更正処分)させられた。これは、住友金属が上記34億円の支出先を明らかにしなかったため、大阪 国税局から「使途秘匿金」と認定されたものである。
そして、住友金属は、上記処分に従って、平成17年8月4日までに、約18億円の全額を納付した。

(1) 違法な受注工作に費やした裏金
34億円もの莫大な金銭を支出したのであるから、この金銭の全額が違法な支出による損害である。
(2) 「使途秘匿金」と認定されたことによって支出した税金
「使途秘匿金」との認定を受けることによ り、支出額の96.90%に該当する税金(32億9460万円)を支払わなければならないことになる。
以上により、合計66億9460万円が住友金属の損害となった。

3) 住友金属は、冷間圧延ステンレス鋼板及び鋼帯の販売価格を上げるため、他5社(新日本製鉄、日新製鋼、JFEスチール、日本冶金工業、日本金属)と、価格 カルテルを計4回に渡り締結した。
平成17年3月9日、公正取引委員会は、住友金属を含む6社に対して、計67億7672万円の課徴金の納付を命じた。この内、住友金属が命じられた 課徴金の額は、金9億7716万円であった。

30 川鉄橋梁鉄構 11,558    
31 名村造船所 10,704    
32 函館どつく 9,421    
33 大島造船所 5,876    
34 サノヤス・ヒシノ明昌 5,864    
35 JFEスチール 5,153    
36 釧路製作所 4,953    
37 楢崎製作所 4,907    
38 豊平製鋼 4,224    
39 アルス製作所 4,156    
40 東日本鉄工 3,094    
41 東海鋼材工業 2,770    
42 冨士車輌     2,387    
43 桜井鉄工     1,756 1378  
44 酒井鉄工所      382    
  合 計  1,291,048    
      -19,637  
  栗本鉄工所 32,659    
  東綱橋梁 5640    
         
         
  三菱重工業 71,804    鋼鉄製橋梁談合事件を巡り、独占禁止法違反(不当な取引制限)で有罪が確定した三菱重工業の株主が、西岡喬元社長ら当時の役員7人を相手取り、指名停止措置による受注減などで被った損害35億円を同社に賠償するよう求めた株主代表訴訟は31日、東京地裁(渡部勇次裁判長)で和解が成立した。元社長らが解決金1億6000万円を同社に支払う。

 事件では東京高裁が07年9月、同社に罰金5億6000万円の判決を言い渡した。和解内容には、同社が▽事件の原因調査と再発防止策の策定を1年間をめどに行う▽「談合防止コンプライアンス検証・提言委員会」(仮称)を設置する▽和解金を委員会や談合防止を図るのに必要な施策の費用に充てる−−ことなどを盛り込んだ。

三菱重工は、当面は、指名停止による損害合計金30億円になった。

2007年09月25日  東京高等裁判所は21日、三菱重工業の鋼製橋梁工事の入札に関する独占禁止法違反で、 同社に罰金5億6000万円を命じる判決を言い渡した。同社は上告しないとしている。

  新日本製鐵 28,270    
  合 計 100,074    
    1,412,167万円    

21045 8023 2383
課徴金納付命令の対象事業者及び課徴金額
3億2659
事業者名 本店の所在地 代表者名
課徴金額(万円)
3地整 公団 総額
株式会社
東京都港区港南二丁目
16番5号
代表取締役
大宮 英明
7,298 64,506
株式会社
東京都千代田区丸の内
二丁目6番1号
代表取締役
宗岡 正二
10,815 17,455
18,113 81,961

国土交通省発注の鉄鋼橋梁工事を巡る談合事件。公正取引委員会の告発を受け、談合に直接関わっていた担当者ら11社14人が逮捕された。受注調整し ていたとされる47社には、主要重工メーカー6社すべてが名を連ねた。

中でも三菱重工業と川崎重工業は、告発された法人8社には含 まれていなかったものの、過去に深く関与していたために逮捕者を出し、国交省は8?5カ月の指名停止処分を決めた。

 

株主オンブズマンのメンバーは、2005年7月1日、橋梁談合の件で、三菱重工、石川島播 磨重工業、三井造船、住友重機械工業、日立造船、新日本製鐵の6社に対し、株主代表訴訟の通知をしました。
 その後弁護団が結成され、これを一つの母体として、2005年12月7日、「談合防止支援センター」準備会が発足しました。そして、2005年12月 16日、「談合防止支援センター」準備会は、国土交通省近畿地方整備局発注の橋梁談合事件について、公正取引委員会に対し、三菱重工外35社を独禁法45 条に基づき申告しました。

http://www.zephyr.dti.ne.jp/~kmorioka/koinfo.html

 

 

弁護士阪口徳雄の自由発言 2006/3/2

橋梁談合株主代表訴訟の提訴

昨日(3/1)の弁護団会議で橋梁談合株主代表訴訟を3/22)の午前に提訴することを決めた
対象企業は三菱重工の役員(東京地裁)と日立造船の役員(大阪地裁)である。

それ以外の4社の企業の役員への株主代表訴訟は東京の弁護団が結成でき次第に提訴する予定。
あそらく、5月か6月になるだろう。更にあと3社も追加するつもりで、準備中だ。

三菱重工と日立造船の株主代表訴訟の訴状案がほぼ完成しつつある。あと被告の役員に誰と誰を入れるかの絞りこみに入った。次回の弁護団会議で決定することになる。

なお被告の役員の責任論が主要な争点となる。
その三菱重工の訴状(案)の一部を紹介する

【本件橋梁談合は,昭和30年代から連綿と組織的に行われてきたものであり,特に,三菱重工業は平成12年度まで東京鐵骨橋梁及び宮地鐵工所とともにK会の執行部を独占する地位にあり,旧公団発注の鋼橋上部工事に関する入札談合においても,ゼネコン事件を契機に旧公団OBが入札談合の割付役を担うようになった後は,同社の担当者を旧公団OBを補助して割付作業を分担させるなど入札談合組織の枢要な地位を占めていた。このように,三菱重工業は,本件談合行為をその事業の一環として行い,多額の収益を上げていた。

被告らは,いずれも三菱重工業の社長,鉄構建設事業本部長、法務担当取締役・・・などであり,入札談合の実態を知りうる地位にあった。また,本件橋梁談合は被告らの了承がなければ実行し得ない性質のものであった。・・・・】

2006/3/18

本日(3/18)東京で橋梁談合株主代表訴訟弁護団が17名で結成された。57期、58期の若い弁護士が中心だが、三菱自動車のクレーム隠し株主代表弁護団の経験あるメンバーも入ってくれた。
PL法や欠陥商品などで経験を積んだ弁護士も応援してくれる

大阪の弁護団と合計32名の強力な弁護団ができた。

三菱重工と日立造船は3/22に第1次の提訴するが、それ以外の企業の役員への第2次の代表訴訟は、6月半ばを目途に準備に入った。
最終的には7社か8社になる予定。戦後最大の談合であるから、代表訴訟も最大になる可能性だ。

5月1日施行の会社法に規定する【談合を防止する内部統制システム】のあり方が最大の争点となろう。これらの企業はそれなりに、独禁法コンプライアンス規定を作っている。

しかしそのようなコンプライアンス規定を作り、従業員に何回教育、研修を繰りかえしても談合が発生している。

三菱重工などは公正取引委員会から排除命令などは、橋梁談合で四回目だ。最近の報道でも三菱重工などの談合が報道され始めている。

東京地裁で係属中の五洋建設は、今度の防衛施設庁の談合で略式起訴され、「悪質性が高い」と指名停止12ヶ月になっている。2004年3月、長崎談合事件で、談合しないと誓約しているのに、またもや違反したからだ。

東京地裁で役員は、談合防止の内部統制システムを作り、十分に従業員に研修をしてきたから、責任がないと強弁している。

何回も同じ談合が繰り返されるのは、このような談合コンプライアンスでは【談合容認、黙認コンプライアンス】であることを証明している。

意図的に『ザル』『欠陥』コンプライアンスにしているからであろう。

この訴訟では商品の欠陥でなく、コンプライアンスの欠陥が争点だ。

2006/3/22

三菱重工(東京地裁)日立造船(大阪地裁)への役員への株主代表訴訟を本日(3/22)に提訴した。
橋梁談合では初めての訴訟になる

三菱重工は、当面は、指名停止による損害合計金30億円になった。
日立造船は、指名停止による損害金5億円、課徴金による損害金3億円、合計8億円となった。

2006/6/25

6/27(火)午前10時に大阪地裁と神戸地裁に橋梁談合の第2次追加提訴をする。先日の金曜日の夜の弁護団会議で決まった。三菱重工lな どに次いでだ。(大阪、神戸地裁の司法記者クラブで会見予定)

神戸製鋼所の役員5名に対して課徴金相当分2億0146万円を、住友金属工業株式会社の役員3名には課徴金相当分1億3505万の損害を会社に払えという株主代表訴訟である

課徴金の内容は公正取引委員会のHPに掲載されている

指名停止による損害額や、発注機関からの損害賠償額も調査して判明次第、請求の趣旨を拡大する予定

平成14年4月1日から平成16年10月29日の間に国土交通省の入札工事、道路公団分の入札工事による談合行為が対象である。この2社は公正取引委員会 の調査が入った以降、談合を中止したという。

被告は上記期間に談合を防止すべき役員に限定をした。

神戸製鋼所はの被告は当時の水越浩士社長、橋梁部門担当役員、コンプライアン担当役員合計5名
住金の被告は当時の下妻博社長を、橋梁部門担当役員、コンプライアン担当者役員の合計3名

住金事件の担当は河 野 豊弁護士他2名
神戸製鋼の担当は由良尚文、富田智和、須井康雄弁護士に決まった

東京の本体の橋梁談合の第3次提訴は弁護団で鋭意検討中である。

2006/8/2

7/31に東京弁護団が橋梁談合株主代表訴訟を東京地裁に追加提訴してくれた

今回の東京地裁への提訴は次の通り

住友重機の役員には合計5億1,348万円の課徴金プラス弁護士報酬4000万円を加算した5億5348万円の会社への返還請求である。被告は当時の日納 義郎社長を含む橋梁担当役員、コンプライアンス役員,その他の役員合計10名。

石川島播磨の役員には、課徴金による損害及び弁護士費用の合計金7億8621万4000円。
被告役員は伊藤 源嗣社長を含む橋梁担当役員、コンプライアンス役員合計4名の役員

三井造船株式会社の役員に対し,連帯して金5億0128万1000円。
課徴金相当額である4億5571万円及び弁護士費用として同金額の10パーセントに相当する4557万1000円の合計5億0128万1000円である
被告役員は岡野利道社長を含む橋梁担当役員、コンプライアンス役員合計7名の役員

誰を被告にするかは、担当弁護士によってかなり違う。担当弁護士の独自性を発揮するやり方で東京弁護団方式だ。

本件談合によって上記の課徴金の損害だけではない。
指名停止による損害やその他の損害が生じている

例えば石川島播磨重工では物流・鉄構事業本部は,平成17年度3月期中間決算での営業損益は63億円の損失に上り同年3月期末決算において,最終的には270億円の受注減を招き,営業損益は27億円の減収であった。

これらの損害額の追加は被告の役員の応訴態度を見て検討することになった。
談合は部下が行い、役員は全く知らぬ、悪いのは部下達と最後まで責任がないなど争うならば、その段階で請求の趣旨を拡張するなど追加提訴を検討する方針だ。

以前に橋梁談合訴訟をした内容は次のブログを参照。

東京弁護団結成(談合23)http://blogs.yahoo.co.jp/abc5def6/30233691.html
三菱重工などの談合訴訟(談合24) http://blogs.yahoo.co.jp/abc5def6/30631902.html
橋梁談合訴訟の追加提訴(談合41)http://blogs.yahoo.co.jp/abc5def6/38335222.html
(三菱重工役員へは当初30億としていたが、その後に35億の株主代表訴訟に変更した)

なお他の橋梁談合企業の役員への代表訴訟は株主が集まれば、順次提訴予定。株主を公募中。

 

2009.12.21

橋梁談合の株主代表訴訟で初の和解

 国土交通省発注の鋼鉄製橋梁工事をめぐる談合事件で、談合の事実を知っていたのに防止策を講じなかったとして、日立造船の株主が当時の役員4人に約9億5千万円の返 還を求めた株主代表訴訟は21日、4人が解決金計約2億円を支払うことなどを条件に、大阪地裁(西川知一郎裁判長)で和解した。
 橋梁談合をめぐる株主代表訴訟はこのほかに全国で6件が係争中で、和解 が成立したのは初めて。
 和解条項によると、日立造船が談合の原因調査や再発防止のため、社内に「談合防止コンプライアンス検証・提言委員会」を設置。 3人の委員のうち1人は原告が推薦する弁護士とする。また、解決金は委員会の運営や談合防止マニュアル整備などの施策に充てるとしている。

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平成22年2月10日

神戸製鋼所橋梁談合株主代表訴訟 和解の報告

1 事案
 神戸製鋼所ら鋼橋工事業者47社は,長年,東日本の国土交通省地方整備局や日本道路公団が発注する鋼橋上部工事の競争入札において,K会やA会と呼ばれ る入札談合組織を構築して違法な談合行為を行ってきたとして,公正取引委員会は,平成17年9月29日,神戸製鋼所に対し,独占禁止法(私的独占の禁止及 び公正取引の確保に関する法律)違反で排除勧告を行った(談合を行ったと認定されたのは,平成14年4月1日から平成16年10月29日まで。神戸製鋼所 は,同日,入札談合組織から離脱。神戸製鋼所は,平成17年11月に橋梁部門から撤退することを表明。)。
 その結果,神戸製鋼所は,国や地方公共団体らから長期間の指名停止措置を受けて多額の受注損を被り,平成18年3月27日には公正取引委員会から総額金 2億0146万円の課徴金納付命令を受けた(全額納付済み)。
 原告は神戸製鋼所の株主であるところ,神戸製鋼所の社長,会長,法務担当取締役,鋼橋工事部門担当取締役ら合計6名が,長年違法な談合行為を容認(黙 認)して,談合を防止する真に実効性ある内部統制システム構築を怠ったとして,株主を代表して会社が被った損害(上記課徴金額)を会社に対して賠償するよ う求めた(平成18年6月27日提訴)。

2 和解の内容 平成22年2月10日付けで和解成立。
(1) 神戸製鋼所は,本件橋梁談合事件の原因調査及び再発防止のために「談合防止コンプライアンス検証・提言委員会」を設置して提言を受け,1年以内に,その提言内容と再発防止策をホームページで公表する。このコンプライアンス委員会のうち3名は外部委員とし,うち1名は原告が推薦する弁護士から選任する。
(2) 上記役員ら6名は,会社に対し,連帯して解決金8800万円を支払う(3月末日までに)。

3 意義
 今まで不祥事企業は弁護士を入れて、外部調査委員会を設置して一応調査してきたが,この外部委員会はいわば身内の弁護士を入れての外部調査であった。今 回のような株主が推薦する外部委員が入るやり方は透明性の観点から今後の不祥事企業の外部調査のあり方に関しての「モデル」となるはずである。
 橋梁談合事件については,東京地裁や大阪地裁でも同様の訴訟が提起されている(三井造船,住友機械重工業,三菱重工業,IHI,日立造船,住友金属)。 既に昨年12月,大阪地裁での日立造船訴訟では,本件と同じように被告役員が会社に対して解決金を支払い,外部委員会を設置して原因調査や再発防止策を策 定することを内容とした和解が成立している。これは昨年6月には大林組談合株主代表訴訟において,大阪地裁で成立した和解の内容に従うものであり,今回の 和解もこの「大林組モデル」に沿ったものである。現在,訴訟中の他の訴訟の帰趨にも影響を与えるものと思われる。

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2010年3月31日

住友金属の株主代表訴訟が和解 会長ら2億円余支払い

 裏金づくりや社員のかかわった談合事件などの影響で、鉄鋼大手の住友金属工業が損害を受けたのは当時の役員らの責任だとして、同社の株主4人が下妻博・現会長(関西経済連合会会長)ら14人に約78億円の損害賠償を求めた株主代表訴訟が30日、大阪地裁で和解した。14人が連帯して2億3千万円を会社に支払い、それを原資に、社外委員でつくるコンプライアンス(法令順守)委員会を社内に置く。

 原告は、大阪の市民団体「株主オンブズマン」のメンバーら。コンプライアンス委員会は外部委員3人で構成され、一連の事件の原因を再調査し、監査体制の見直しを含めた再発防止策を提言する。

 訴えによると、住金は1999年3月期からの6年間に約34億円の裏金をつくっていたことが大阪国税局の調査で判明。オンブズマン側は、追徴課税分などを加えた約66億9千万円が会社への損害となったと主張した。また、05年に発覚した橋梁工事談合事件などに関連して公正取引委員会から11億円余りの課徴金などを命じられ、会社に損害が生じたと訴えていた。

 

2010/3/30 住友金属工業

株主代表訴訟の和解について

2006年以降大阪地方裁判所に提訴され争われて きました当社取締役等に対する株主代表訴訟につきまして、本日、原告株主と取締役等との間で和解が成立致しました。
当社としては、本和解に基づき、これら訴訟の原因となった 事件の調査ならびに再発防止策の策定を行う「検証・提言委員会」を設置し、同委員会の提言も受けて、更なるコンプライアンス体制の強化に取り組んでまいり ます。

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2010年3月31日

三菱重工:株主代表訴訟の和解成立 橋梁談合事件で損害


 鋼鉄製橋梁談合事件を巡り、独占禁止法違反(不当な取引制限)で有罪が確定した三菱重工業の株主が、西岡喬元社長ら当時の役員7人を相手取り、指名停止措置による受注減などで被った損害35億円を同社に賠償するよう求めた株主代表訴訟は31日、東京地裁(渡部勇次裁判長)で和解が成立した。元社長らが解決金1億6000万円を同社に支払う。

 事件では東京高裁が07年9月、同社に罰金5億6000万円の判決を言い渡した。和解内容には、同社が▽事件の原因調査と再発防止策の策定を1年間をめどに行う▽「談合防止コンプライアンス検証・提言委員会」(仮称)を設置する▽和解金を委員会や談合防止を図るのに必要な施策の費用に充てる−−ことなどを盛り込んだ。

 橋梁談合を巡る株主代表訴訟は、日立造船や神戸製鋼所、住友金属工業でも起こされ、既に和解が成立している。