電気自動車大手テスラの製造方式は、トヨタなど既存の自動車メーカーとはまったく異なる。経営コンサルタントの竹内一正さんは「テスラは『ギガプレス』と呼ばれる大型の鋳造機を使って車のボディを溶接なしで作っている。こうした常識破りを繰り返すことで、テスラは爆発的な成長を続けている」という――。

「おもちゃの車を作るように、フルサイズの車を作る」

自動車は約3万点に上る部品の集合体だ。トヨタなどの自動車メーカーは、膨大な数の部品をすり合わせ技術で統合し、快適な乗り心地と信頼性を実現してきた。ところが、イーロン・マスクはこの部品の集合体であるクルマを、「文字通りおもちゃの車を作るのと同じように、フルサイズの車を作ろうとしている」と語っている。

テスラのSUV「モデルY」のリア部のアンダーボディは、アルミ合金の一体鋳造で作り出している。モデル3の車体下部はフロント、バッテリーパック、リアの3つで構成されていて、リア部のアンダーボディは後輪のサスペンションなどを構成する部分になる。

モデル3のアンダーボディの一体鋳造を可能にしたのは全長20メートル、総重量400トン強の巨大な鋳造機「ギガプレス」だ。イタリアのIDRA社が製造したギガプレスは、高温で溶融したアルミ合金を金型に流し込んで型締力6000トンで成型する。

ギガプレス登場以前のモデルYのリア部のアンダーボディは、70回におよぶプレス加工、押出成形、鋳造を必要としていたが、それをギガプレスは約100秒で一気に作ってしまう。ギガプレスを使うことで、「製造スペースを30%削減し、約1000台あったロボットから300台を削減できた」とイーロンは胸を張った。

           https://lowcarb.style/2021/12/05/tesla-megacast-2/

すでにテスラはモデルYのリア部だけでなくフロント部のアンダーボディもギガプレスで一体鋳造して作り出しており、製造コストは40%削減が可能となった。

まさに、おもちゃの車を作るように、フルサイズの車を作りつつある。これは自動車のものづくりを根底から変える可能性がある。