2024/08/09 |

Infineon Technologies、マレーシアに世界最大かつ最も効率的なSiCパワー半導体工場を開設 

  • マレーシア首相とケダ州首相がインフィニオンのマネジメントと第1フェーズの開設式に参加
  • 新工場はパワー半導体の世界的リーダーとしてのインフィニオンの役割を強化
  • 継続的な拡大は顧客の強いコミットメントと重要な新規案件によって支えられている
  • 100%グリーン電力で運用し、高度なエネルギー効率とサステナブルな実務を導入

 世界的な脱炭素化の取り組みがパワー半導体の需要を牽引する中、インフィニオン テクノロジーズ は、世界最大かつ最も競争力のある200mm  炭化ケイ素 (SiC) パワー半導体工場となるマレーシアのKulimの新工場の第1フェーズを正式に開設しました。マレーシアのアンワル首相 (YAB Dato' Seri Anwar Ibrahim) およびケダ州のサヌシ首相 (YAB Dato' Seri Haji Muhammad Sanusi Haji Mohd Nor) が参加し、インフィニオンのCEOであるヨッヘン ハネベック (Jochen Hanebeck) ともに象徴的な製造開始を執り行いました。

 

 

 

 

一番下が第3工場
(真ん中の写真の右端)

左側が第1フェーズ
右の空き地が第2フェーズ

高効率の200mm SiCパワー半導体工場は、インフィニオンのパワー半導体の世界的リーダーとしての役割を強化します。20億ユーロを投資する同工場の第1フェーズは、SiCパワー半導体の製造に重点を置き、窒化ガリウム (GaN) エピタキシーを含む予定です。SiC半導体は、電気をより効率的にスイッチングし、より小型の設計が可能であるため、高出力アプリケーションに革命をもたらし、電気自動車、急速充電ステーション、鉄道、再生可能エネルギーシステム、AIデータセンターなどの効率を高めます。今回の第1フェーズで900人の高付加価値雇用が創出されます。第2フェーズでは、最大50億ユーロを投資し、世界最大かつ最も効率的な200mm SiCパワー半導体工場が建設されます。両フェーズを合わせたプロジェクト全体では最大4,000人の雇用が創出されます。

Infineonは1973年に、Siemensの半導体グループの一部としてマレーシアのマラッカ州工場で操業を開始し、その後Siemens AGから独立した。

マレーシアにおけるInfineonの事業は主に以下の3つに分かれている。

  • Infineon Technologies (Kulim) Sdn Bhd:フロントエンド業務(ウェーハ製造)。ケダ州クリム
  • Infineon Technologies (M) Sdn. Bhd.:先端ロジック系半導体を用いたマイクロエレクトロニクス製品のバックエンド業務。マラッカ州バトゥ・ブレンダム自由貿易区。
  • Infineon Technologies (Advanced Logic) Sdn. Bhd.:電力、ディスクリートおよびセンサー半導体を用いたマイクロエレクトロニクス製品のバックエンド業務。マラッカ州バトゥ・ブレンダム自由貿易区。

インフィニオンテクノロジーズは2006/09/12、クリムハイテクパーク内に、同社としてはアジア初のパワー半導体向け前工程工場をオープンしたことを発表した。

イ ンフィニオンはクリムのパワー半導体工場に約10億米ドル(現地通貨で約38億リンギット相当)を投資している。最大生産能力は月間ウェハ投入量にして約10万枚(ウェハ径200mm)となっている。新工場では産業用・車載用のパワー半導体製品とロジック半導体製品が生産される予定。

クリムにある第1工場の優れた成長実績や安定性、そしてマレーシア投資開発庁(MIDA)の支援を追い風に、Infineonの役員会はウェーハ製造施設の拡大を決定しました。第2工場施設は、エネルギー効率化および自動車産業向けのメガトレンド技術に重点を置いた製造コンピテンシー・センターとなる。

Infineonは2022年2月、クリム拠点に20億ユーロを投じ、第3製造棟としてSiC/GaN半導体の前工程工場を建設すると発表。(今回の 第3工場第1フェーズ)

Infineon Technologiesは2023年8月3日、マレーシアに200mmウエハーSiC(炭化ケイ素)工場を新設する計画を発表した。第3製造棟建設の第2段階として今後5年で最大50億ユーロの追加投資を行う予定。完成すれば、「世界最大」の200mmウエハーSiCパワー半導体工場となる予定。なお、Infineonは既存および新規顧客から、車載および産業用アプリケーションにおける約50億ユーロの新規デザインウィンおよび、約10億ユーロの前払いを獲得しているという。

 インフィニオンのCEOであるヨッヘン ハネベックは「SiCのような革新的な技術に基づく次世代パワー半導体は、脱炭素化と気候保護を実現するために必須のものです。インフィニオンの技術は、電気自動車、太陽光および風力発電システム、AIデータセンターなど、ユビキタス アプリケーションのエネルギー効率を高めます。そのため、顧客の強いコミットメントに支えられ、このマレーシアの最大かつ最も効率的なハイテクSiC生産施設に投資しています。半導体の需要は絶え間なく増加するため、クリムへの投資は顧客にとって非常に魅力的といえます。また、グリーン転換に必要な重要部品のサプライチェーンの弾力性も高まります」と述べています。

マレーシアのアンワル首相は「インフィニオンのこの注目すべきプロジェクトは、世界的な半導体ハブとして台頭するマレーシアの位置づけを強化するものです。世界最大かつ最も競争力のあるSiCパワー半導体工場をマレーシアに開設するこの大規模投資は、雇用と機会を創出し、サプライヤー、大学、優秀な人材を惹きつけるでしょう。さらに、電化を促進し、電気自動車や再生可能エネルギーを含む多くのアプリケーションの効率を向上させることで、気候を保護するマレーシアの取り組みを支えます。このように、マレーシアで製造される技術は、将来的に世界的な脱炭素化への取り組みの中心的な役割を果たすことになるでしょう」と述べています。

 ケダ州のサヌシ首相は「インフィニオンがクリムに深く根付いていることは、この地域がハイテク産業の拠点として潜在力を秘めていることの証しです。この投資は、地域社会に高付加価値雇用を創出するだけでなく、地域の経済成長を促進するでしょう。私たちは、ケダ州において最高のビジネス条件を提供し、クリムに優れた半導体施設を設立するインフィニオンの取り組みを支援し続け、エコシステム全体にプラスの波及効果をもたらすことを約束します」と述べています。

 インフィニオンは、総額約50億ユーロの新規案件を獲得し、このクリム第3工場の継続的な拡張のために、既存および新規の顧客から約10億ユーロの前払いを受けています。これらの新規案件獲得には、自動車分野のOEM 6社、再生可能エネルギーおよび産業分野の顧客が含まれています。

 クリム第3工場は(第1、第2工場があるクリム・ハイテク工業団地(KHTP)内にあり、2022年7月に着工した)、インフィニオンのパワー半導体のグローバル コンピテンス センターであるオーストリア Villachの製造拠点と密接な関係にあります。インフィニオンは2023年にすでに、VillachのSiCおよびGaNパワー半導体の生産能力を増強しています。これらのワイドバンドギャップ技術のための「1つのバーチャル ファブ」として、これら2つの製造拠点は迅速な立ち上げとスムーズで高効率な運用を可能にする技術とプロセスを共有しています。また、このプロジェクトは、高い弾力性と柔軟性を提供し、最終的にインフィニオンの顧客に利益をもたらすものです。

 この拡張は、クリムでの200mm製造において実現された優れた規模の経済の恩恵を受けることになります。また、フィラッハとドレスデンの300mmのシリコンベースの半導体製造における主導的地位を補完するものです。このように、インフィニオンは、シリコンだけでなくSiCやGaNなど、パワー半導体の全領域にわたって技術的リーダーシップを強化しています。さらに、クリムにおけるワイドバンドギャップ製造能力への投資は、現地のエコシステムを強化し、インフィニオンが成長中の半導体ハブであるマレーシアにおいて信頼できるパートナーであることを証明するものです。インフィニオンのマレーシアでの事業は、1973年にマラッカで始まりました。2006年には、アジア初の前工程の工場をクリムに開設しました。現在では、マレーシアで16,000人以上の優秀な人材を雇用しています。

 クリム第3工場は、100%グリーン電力で運用され、インフィニオンのカーボンニュートラルの目標を支えるため、最新のエネルギー効率対策を採用しています。排出を回避するため、インフィニオンは最先端の排ガス削減システムと、高効率と極めて低い地球温暖化係数を併せ持つグリーン冷媒を使用しています。持続可能な運用を確実にするその他の施策として、間接材料の最新鋭のリサイクル、最新鋭の水効率とリサイクル プロセスがあります。インフィニオンは、有名なグリーン ビルディング インデックス認証の取得を目指しています。

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Infineon Technologies AGは、自動車メーカーや各種産業向けに半導体を製造する多国籍企業。パワー半導体、特にIGBTおよびパワーMOSFETにおいて世界トップクラスの市場シェアを有する。

ドイツ・ミュンヘン近郊のノイビーベルクに本社を置き、世界30カ国以上に現地法人を持つ。フランクフルト証券取引所上場企業(FWB: IFX)。

1999年に、ドイツの総合電機メーカーでコングロマリットであるシーメンスから分離・独立して誕生した。シーメンスは2009年現在では3パーセント未満を所有。2009年現在、全世界で約2.6万人の従業員を抱えている。2009年9月発表の過去一年間の収入は約30.3億ユーロである。

2006年5月1日に、半導体メモリ部門を新子会社Qimonda AG として分割した。従業員は約1万2000人。設立後すぐにニューヨーク証券取引所に上場したが、2009年1月破産を申請した。

インフィニオンは、自動車用や産業用の他、様々な分野へ、半導体製品の設計、開発、製造、販売、およびシステムソリューションの提供を行っている。またアメリカのカリフォルニア州サンノゼ、シンガポール、東京に子会社を置き、世界展開している。2005年度の決算(9月)では、約67億6000万ユーロの売上高をあげ、従業員数は3万6400人であった。

2011年には、主に携帯電話用のモデムチップを開発販売していた無線ソリューション事業 (WLS) を、約14億米ドルで米国の半導体会社インテルに売却し同事業から撤退した。インフィニオン製のモデムチップはAppleのiPhone 4に採用されるなどの実績を持っていた。

2014年8月20日、米国インターナショナル・レクティファイアーを現金約30億米ドルで買収することで合意した。この買収によりインフィニオンはパワー半導体市場のシェアにおいて、2位の東芝に2倍以上の差をつけて引き離す見通しである。

2016年7月14日、米国クリー (Cree) 社からパワー&RF事業部として分社化した、Wolfspeed社を8億5000万米ドルで買収すると発表。

2020年4月16日、米国の同業サイプレス・セミコンダクターを買収し子会社とした。

メモリーやプロセッサーなどを除いた、半導体市場全体の約3分の2の市場を狙っており、特にパワー半導体に注力している。