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2015年、イタリアのタイヤメーカーとして有名なピレリは、当時中国の国有企業である 中国化工集団(ChemChina) を中心とした投資グループに買収された。
買収額は約 77 億ドル規模とされ、ChemChina が主要株主の地位を確立した。
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この買収によりピレリは財務基盤を強化しつつ、中国市場・アジア市場への生産・販売体制を強化する戦略の道筋が付いた。
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2018年には、ピレリが中国の Hixih Group と合弁で中国のタイヤ工場に関与するため、49%の出資権利を取得 する契約を締結した。管理運営権も握り、最大で 70%まで出資比率を引き上げる権利を持つ内容。
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2020年代前半には、ピレリの大株主構造は以下のように整理されていた:
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中国資本(Sinochem / Marco Polo International Italy): 約 37%(筆頭株主)
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イタリア投資会社 Camfin(Marco Tronchetti Provera 関連): 約 14〜26%
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その他投資家・公募株などが残りを保有
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また中国政府系の シルクロード基金(Silk Road Fund) も 9% 程度の株式を保有していたが、これを売却する動きも報じられている。
2023〜2025
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ピレリに対する中国資本の影響力を巡り、イタリア政府は 戦略的分野としてGolden Power権限を行使し、中国側の経営影響力を制限 した。これは技術情報や任命権に関する介入を監視するもの。
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2025年4月、ピレリの取締役会は、Sinochem の出資比率(約37%)にもかかわらず、会計基準上の「支配権」を認めない方針を決議した。これは 米国など海外市場での規制対応を見据え、ガバナンス上の独立性を強調する動き 。
この決定は Sinochem 側の反対を受けているが、実際には中国資本の株式比率は維持しつつも 経営支配力としての評価を低下させる 形に変わっている。
2025年〜2026年
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2025年末にはピレリが 転換社債を株式化 し、既存株主の持ち分が相対的に希薄化した。この結果、Sinochem の持ち分は約 37% → 34.1% へ低下し、Camfin 側も若干比率を減少した。
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2026年1月、Sinochem はガバナンス紛争を解決するための「構造化された提案」を提示したと報じられているが、Camfin との対立は依然として続いている。イタリア政府のさらなる介入も可能性として挙げられている。
最新の主要株主構造(2026年初時点)
株主(主要投資家) 保有比率(概算) 備考 Sinochem Holdings Corporation Ltd. 約 34.1% 中国系国有企業(Marco Polo International Italy 経由)最大株主 CAMFIN S.p.A. 約 20.2% イタリア投資会社(Marco Tronchetti Provera 関連) Nuova Fourb S.R.L. 約 5.1% 関連投資会社・系列保有株 Longmarch Holding S.A R.L. 約 3.1% 投資主体の保有(Camfin関連とされる場合あり) 機関投資家(例:Vanguard等) 数%台 海外機関投資家などが分散保有 その他(フリー・フロート) 残余 公募株・個人投資家等による分散保有 1) 最大株主は引き続き中国系資本
Sinochem(中国化工集団系) は依然として 単独最大株主 であり、35%弱でトップです。
→ ただし、株主比率 ≠ 経営支配権の確定評価であり、ガバナンス上は独立性・「支配権認定」を巡る対立が続いている。2) イタリア側 Camfin の存在感
Camfin は イタリアの主要株主 であり、Marco Tronchetti Provera 系の影響力として現在も 20%台の株式を保有。
→ 同社は今後 29.9% まで持分を増やす方針も伝えられている。3) その他株主(機関・投資家分散)
海外機関投資家や公募株主が分散しており、全体の 30〜40%前後を占めるとの業界データもある。