2024 年8月7日 住友化学株式会社 本件ブログ
当社は
2024
年
8
月
7
日付で、サウジアラビアン・オイル・カンパニー(サウジ・アラムコ社)との間で株式売却契約を締結し、以下の実施について合意に至りました。
@
ラービグ・リファイニング・アンド・ペトロケミカル・カンパニー(ペトロ・ラービグ社)の資本体制を見直し、当社はペトロ・ラービグ社株式の当社持分約22.5%をサウジ・アラムコ社に売却いたします(売却対価は1株当たり7サウジリヤル。総額約702百万米ドル)。これに伴い、ペトロ・ラービグ社に対する持分比率は売却前のサウジ・アラムコ社37.5%、当社37.5%、一般株主25%から、サウジ・アラムコ社60%、当社15%、一般株主25%に再編されます。
A
上記再編の完了を前提として、後日ペトロ・ラービグ社と合意し、公表される予定の方法によって、当社の株式売却対価約702百万米ドルと、それに加えてサウジ・アラムコ社から同額をペトロ・ラービグ社へ拠出します。
B
ペトロ・ラービグ社の財務改善策として当社およびサウジ・アラムコ社の両社は、それぞれ
750
百万米ドル、合計
1,500
百万米ドルの貸付金の債権放棄を実施します(実施予定時期は、2024
年8月に1,000
百万米ドル、2025
年1月に
500
百万米ドル)。
上記の再編は規制当局および第三者の承認を含む条件を前提としています。また、ペトロ・ラービグ社に対する支援策の実施に際しては、規制当局およびペトロ・ラービグ社の借入銀行による承認等、必要な手続きを行った上で進めることになります。
本契約に伴う当社業績への影響について、下記の通りお知らせいたします。
1.当社によるペトロ・ラービグ社株式の売却および持分比率の低下
上述の条件を前提として、当社は2026年3月期において、ペトロ・ラービグ社株式の当社持分約22.5%をサウジ・アラムコ社に売却し、当社のペトロ・ラービグ社に対する持分比率は売却前の37.5%から売却後は15%に低下する予定です。
なお、当該株式売却後も、当社はペトロ・ラービグ社に対する重要な影響力を維持することから、ペトロ・ラービグ社は引き続き当社の持分法適用関連会社となる見込みであり、当社はペトロ・ラービグ社の再建プランを支援いたします。
本売却に伴う売却損益については連結業績、単独業績ともに、その影響は軽微となる見込みです。ただし、今後のペトロ・ラービグ社の業績動向などにより影響額が変動する可能性があり、開示が必要となった場合には速やかにお知らせいたします。
2.連結決算における債権放棄に伴う損失および持分法による投資利益(非経常要因)の計上
2025
年3月期第2四半期連結会計期間において、税引前損益として約
270
億円の損失を計上する見込みです。
当社およびサウジ・アラムコ社は、それぞれペトロ・ラービグ社に対する貸付金
750
百万米ドルについて債権放棄を実施することに合意いたしました(両社合計で
1,500
百万米ドル)。これに伴い、当社は、債権放棄に伴う損失約
1,090
億円(金融費用)と、債務免除に伴うペトロ・ラービグ社に係る持分法による投資利益(非経常要因)約
820
億円を計上する見込みであり、その純額は約
270億円の損失となります。
3.個別決算における債権放棄に伴う特別損失の計上
2025
年3月期第2四半期会計期間の個別決算において、債権放棄に伴う損失約
1,090
億円を特別損失として計上する見込みです。
4.今後の見通し
現時点で、上記の債権放棄による損失および持分法による投資利益(非経常要因)を含め、4月30日に公表した2025年3月期連結業績予想に変更はありません。
なお、他の業績変動要素も合わせて業績予想の修正が必要と判明した場合には速やかに開示いたします。
※上記の損益計上額は1米ドルあたり145円での概算値となっており、この為替レートは2025年3月期決算で実際に適用する為替レートとは異なります。
(参考)ペトロ・ラービグ社の概要
社
名:
Rabigh Refining & Petrochemical Company
所在地:
サウジアラビア王国
ラービグ
設
立:
2005年9月
President & CEO:
Othman A. Al-Ghamdi
資本金
:
16,710百万サウジアラビア・リヤル(2024年6月30日現在)
持株比率:
住友化学
37.5%、サウジ・アラムコ社
37.5%、一般投資家
25%
事業内容:
石油製品・石油化学製品の製造・販売
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Hussain A. Al Qahtani, Aramco
Senior Vice President of Fuels, said: “Aramco continues to
identify opportunities to strengthen its downstream value chain, secure
placement of its upstream crude oil with affiliated refineries, and
convert more of its hydrocarbons into high-value materials. By
increasing our shareholding, we expect to achieve even closer
integration with Petro Rabigh and facilitate its turnaround strategy. We
look forward to building on our existing relationship with Petro Rabigh,
in alignment with our strategic goals.” Seiji Takeuchi, Sumitomo Chemical Senior Managing Executive Officer, said: “Amid the evolving business landscape in both the refining and petrochemical sectors, Aramco and Sumitomo Chemical have considered options to find an appropriate turnaround strategy for Petro Rabigh and identify an appropriate framework to facilitate Petro Rabigh’s future plans. We believe this transaction, which aligns with the strategic directions Aramco and Sumitomo Chemical are respectively pursuing, will significantly enhance Petro Rabigh's financial position.”
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2024/8/8 日本経済新聞
住友化学、石化立て直し サウジ合弁株一部売却
損失270億円、業績への影響軽減
26年3月期の売却を予定し、売却後も持ち分法適用会社とする。住友化学が売却で得る利益約7億ドル(約1030億円)はラービグに拠出。アラムコも同額を拠出し、ラービグは借入金の返済などに充てる。住友化学、アラムコはそれぞれラービグへの貸付金7.5億ドルも債権放棄する。ラービグは累積損失や借入金を減らして財務体質を改善する。
債権放棄に伴い、住友化学は24年7〜9月期の連結決算で約270億円の損失を計上する。
ラービグは03年に三井化学との経営統合交渉が破談になったのちに推進してきた住友化学にとっての一大プロジェクトだった。同社の海外展開、収益力強化を支えるとともに、日本とサウジの経済協力を象徴する事業とされた。05年設立時は50%ずつ、ラービグの上場後は37.5%ずつと住友化学とアラムコは対等出資の関係を続けてきた。
もともと原料調達の優位性から競争力があるとされたが、設備トラブルなどで安定操業ができず、09年以降のラービグの税前損益を単純合算すると15億ドルの損失と期待外れの結果となった。足元でも中国企業の増産による市況悪化や、安価な重油が多いという精製工程の課題で業績が低迷。住友化学は24年3月期にラービグの持ち分法損失650億円を計上し、過去最大となる3118億円の最終赤字となった。
同日の記者会見で岩田圭一社長はさらに持ち分を減らすかについて「現時点では考えていない」と話した。株式売却後も持ち分法適用会社とするが、保有比率が15%に減り赤字が継続しても業績への影響は軽減される。
7日午後1時の適時開示の直後、住友化学の株価は前日終値から75円90銭(20%)高の458円まで急騰した。東海東京インテリジェンス・ラボの中原周一シニアアナリストは「こんなに早く方針が出るとは思わなかった。納得できるスキームで、住友化学の意見も一部通った形にみえる。難しい交渉をよく通した」と評価する。
住友化学とアラムコはラービグの収益改善に向けて議論してきたが、住友化学は精製装置の高度化などの追加投資はしない方針を貫いていた。出資分を現金化しラービグに還流する今回の仕組みは「できうるほとんど唯一の解だった。現時点で取り得るベストな選択だと考えている」(岩田社長)。
住友化学はラービグと製薬子会社の住友ファーマの業績低迷が大きな要因となり24年3月期は過去最大の赤字となった。住友ファーマはコスト削減などを進め24年4〜6月期のコア営業損益は赤字幅が大きく縮小したが、持続的な成長に向けた道筋はまだ見えない。
ラービグも資本構成を変更するが、「今後どのような姿になっていくかはこれからで、スタート地点についたところだ」(岩田社長)。課題の石油精製設備の高度化も含めラービグの再建は資金力のあるアラムコが主導する形になり、住友化学の関与は薄れる。止血にメドはついたが、中長期的な成長戦略をどう描くか課題は残る。
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2024/8/7 Arab News
Saudi Aramco to acquire majority stake in Petro Rabigh for $702m
Energy giant Aramco is set to acquire an additional 22.5 percent stake in Rabigh
Refining and Petrochemical Co., known as Petro Rabigh, from Tokyo-based Sumitomo
Chemical for $702 million.
This acquisition, priced at SR7 ($1.86) per share, will make Aramco the majority
shareholder in the refining and petrochemical complex on Saudi Arabia!s west
coast, increasing its stake to approximately 60 percent while reducing Sumitomo
Chemical's stake to 15 percent.
Previously, both Aramco and Sumitomo Chemical each owned 37.5 percent of Petro
Rabigh, which was listed on the Saudi Exchange in 2008.
The move is part of Aramco's strategy to expand its
downstream operations and align with Sumitomo Chemical's shift from commodity
chemicals to specialty chemicals.
“Aramco continues to identify opportunities to strengthen its downstream value
chain, secure placement of its upstream crude oil with affiliated refineries,
and convert more of its hydrocarbons into high-value materials,” said Hussain
Al-Qahtani, Aramco senior vice president of fuels.
In a press statement, Aramco also said that this move is expected to improve
Petro Rabigh's balance sheet and cash liquidity, along with enhancing the
profitability of the company.
“By increasing our shareholding, we expect to achieve even closer integration
with Petro Rabigh and facilitate its turnaround strategy,”Al-Qahtani said. “We
look forward to building on our existing relationship with Petro Rabigh, in
alignment with our strategic goals.”
The transaction is subject to customary closing conditions including regulatory
approvals and other third-party approvals, according to the statement.
“Under the terms of the share sale and purchase agreement, all proceeds received
by Sumitomo Chemical from the sale will be injected into Petro Rabigh, through a
mechanism to be agreed with Petro Rabigh,” the joint statement added.
Aramco will match Sumitomo’s $702 million investment, bringing the total
financial injection to $1.4 billion to support Petro Rabigh's future strategy.
Both Aramco and Sumitomo Chemical will implement a phased waiver of $750 million
each in shareholder loans, reducing Petro Rabigh's liabilities by $1.5 billion.
“We believe this transaction, which aligns with the strategic directions Aramco
and Sumitomo Chemical are respectively pursuing, will significantly enhance
Petro Rabigh's financial position,” said Seiji Takeuchi, Sumitomo's chemical
senior managing executive officer.