「人民網日本語版」2011年10月12日

中国の中小企業、7割以上が今後6カ月間利益無し

 浙江省温州市でこのほど、何十社もの社長が夜逃げする事件が発生し、中国の中小企業の苦境に注目が集まった。
 
 北京大学国家発展研究院が10日、アリババ(中国)と共同で発表した報告によると、小企業の72.45%が今後6カ月間利益が全く無いか、又は小幅の赤字となる見通しと回答し、小企業の経営者が今、2008年の金融危機時よりも未来に対して悲観的な見方をしていることがわかった。北京晨報が伝えた。

 ▽企業の利益、今年は大幅下落

 北京大学国家発展研究院とアリババ集団は今年9月、珠江デルタの6県・市(広州、深セン、東莞、中山、仏山、江門)の小企業95社と銀行15行を訪れて調査を行ったほか、インターネットを通じて珠江デルタの小企業2889社に対するアンケート調査を行った。

 これらの企業のほとんどは売上高が3千万元以下、職員数が100人以下の企業だ。アリババ集団の胡暁明副総裁は、「中国小企業の代表とも言えるこれらの企業は強い生命力を持っているが、効果的な指導と融資による支援に欠ける。小企業の生命線はマイナス要素に徐々に蝕まれている」と語る。
データによると、今後6ヶ月間の見通しについて、「利益が無い」又は「小幅の赤字」と答えた小企業は72.45%にのぼり、「大幅な赤字」又は「廃業においこまれる」とした小企業は3.29%だった。

 事実、利益減少は小企業にとって今年最大の難題だ。統計によると今年、小企業の利益減少は深刻で、平均利益は昨年比30%から40%減となっている。

 ▽コスト増と受注減の挟み撃ち

 原材料、人件費の上昇は依然として小企業の利益を圧迫する主な要素だ。ほとんどの業界で原材料コストが昨年比20%-50%増となった。珠江デルタの小企業では職員賃金が昨年比20%-30%増加、中には賃金が2倍以上となり、4-5千元に達したケースもある。

 今年はさらに受注の大幅減という問題も増えた。報告によると、欧州・米国の債務危機の影響を受け、珠江デルタの小企業の受注量は昨年比30%減となっている。さらにベトナム・インドなどの企業が低価格で受注の争奪戦に参加しており、国内の小企業にはもう値下げの余地が残っていない。このほか、不動産市場の調整により、国内の建材・関連商品の受注が徐々に減少しつつある。

 受注減少の影響が直接響くのは工場の稼働率だ。現在珠江デルタの小企業における平均稼働率は70.92%にまで下落した。

▽専門家:小企業向けの減税政策を打ち出すべき

 北京大学国家発展研究院の周其仁院長(中央銀行通貨政策委員会委員)は、次のように述べる。

 温州企業の社長夜逃げは、ここ数年のインフレで資産価格が急上昇し、企業が大量の資金を動かしたことで資金チェーンが断裂してしまったことが原因だ。中国は安定した通貨政策を維持しなければならない。インフレを徹底的に押さえ込むことで初めて、小企業の生存環境を好転させることができる。

 世界的にも景気後退のリスクが高まっている。大口商品の価格は下がり始め、欧州・米国の債務危機を受けて世界は経済の見通しを調整しつつある。中国国内ではインフレの「頭」はすでに下がったものの、まだ「尻尾」が動いている状態だ。

 小企業の特徴は、生産物と生産要素の両面において価格決定権がないことだ。インフレがまだ収まらない今、これら企業への圧力は特に大きい。このため、政策決定においては、融資難の問題を拡大してはならず、通貨緩和も良くない。資産価格が高ければ、資金が産業に向かわず、中小企業にも流れない。通貨が安定し、金融が安定し、資産価格の上昇が抑えられてこそ、初めて改善することができる。

 政府は小企業向けの減税措置を取るべきだ。増値税、営業税などは減税が可能だ。減税は金融政策よりも普遍性があり、各費用を引き下げることもできる。

 

2011/9/30

中国経済が直面する6つのリスク=国務院発展研究センター

 中国国務院発展研究センターの盧中原副主任は28日、「本センターはこのほど一部地区を対象とする調査により、中小企業への貸し渋りが深刻化しているが、いわゆる倒産ブームは生じていないことを明らかにした」と語った。中国新聞社が報じた。

 近頃、温州の起業家が資金調達に駆け回っており、大陸部中小企業の景況に注目が集まっている。某メディアは、温州中小企業促進会の周徳文会長の「状況は予想より深刻である」とする発言を引用した。

 盧副主任は、「中国の金融体系・資本市場の不完全性が、中小企業への貸し渋りの主因となっている。だが調査によると、多くの中小企業の資金繰りに問題が生じている原因は、主要業務以外の分野に大量の資金を投じていることである」と指摘した。

 「大陸部中小企業が直面している最大の課題はコスト増で、さらに貸し渋りが重なり、経営が困難になっている。ゆえに温州の現在の状況が、注目を集めているのだ」

 盧副主任によると、小企業の経営圧迫の他に、中国経済の発展は以下の5つのリスクに直面している。

 1、米国の量的緩和政策は世界経済を大きく左右する重大要因であり、中国の経済発展の外部環境に不確定要素が存在する。

2、国内の外貨流動性の高まり、コスト増や海外輸入による要因が重なって生じる総合的影響により、中国のインフレ圧力が激化している。

 3、国内で石油・電力が不足し、資源価格の形成メカニズムに不備が存在している。関連の改革の必要性が高まっている。

 4、次世代の技術革命と産業革命を迎え、中国は構造調整をさらに加速化させる必要がある。

 5、地方の財政金融リスクが顕在化し始めている。中国は中央・地方税政の良性循環を促すメカニズムを整える必要がある。

 盧副主任は 「短期的に、中国のマクロ政策調整は継続するべきだ。ただし中長期的に見ると、中国経済の健康的発展を維持する必要がある。改革開放・経済のモデルチェンジを推進し、市場の経済体制を整備し、全面的・調和的・持続可能な経済発展方式を講じるべきだ」と指摘する。