2023/8/1 中国政府はレアメタル=希少金属であるガリウムとゲルマニウムの関連品目について、2023年8月1日から輸出規制に踏み切った。多くの人にとってあまり聞いたことがない、ガリウムとゲルマニウム。実は半導体やLED、太陽電池などさまざまな電子部品の製造に欠かせない材料で、中国が圧倒的なシェアを誇っている。

半導体の材料となるレアメタル(希少金属)であるガリウム(8種類)と樹脂や電化製品などに使われるゲルマニウム(6種類)の関連製品、
さらに次世代半導体の基板などに使われる窒化ガリウムの輸出規制を始める。

中国政府は、このレアメタル、ガリウムとゲルマニウムの関連品目について、2023年8月1日から、「輸出管理法」などに基づいて、輸出規制に踏み切った。

関連品目を輸出する企業に対し、最終的な利用者や用途を示すなどした上で、政府の審査を受けて許可を得ることを義務づけるとしていて、違反した場合には処罰するとしている。

今回の措置について、中国政府は、国家の安全と利益を守るためだとしている。

2023/10/20 2023 年 10 月 20 日、黒鉛及びその関連品目を輸出許可対象とする旨発表した。12 月 1 日より実施予定。
本措置は、2006 年より実施している黒鉛等の輸出規制の内容を修正したものである。

今回の措置は、黒鉛及びその関連製品として、3 種類の高純度・高強度・高密度の人造黒鉛とその製品、6 種類の天然片状黒鉛と関連製品が含まれる(SCMP23.10.20)。
・具体的には、純度が 99.9%以上、強度が 30MPa 以上、密度が 1 立方センチメートル当たり 1.73g 以上の人造黒鉛材料と関連製品と、天然の片状黒鉛(球状黒鉛、膨張黒鉛含む)である

商務部によると、今回の規制は、2006 年以来 7 つの黒鉛関連製品に課せられていた一時的な輸出規制を更新し、最適化したもので、そのうち 5 つは機微度が低いため、新規則の下で削除された(SCMP23.10.20)。今回の措置により、鉄鋼や冶金、化学業界で使用される種類の黒鉛については、規制対象から外す

2023/12/21 中国商務省は2023/12/21日、レアアースを使った高性能磁石などの製造技術の輸出を禁止し、レアアースの精錬などに関連する技術についても輸出を制限すると発表しました。

レアアースを使った高性能磁石は、EVのモーターなど、幅広い製品に使われていますが、中国が世界のレアアースの産出量のおよそ7割を占めているほか、アメリカや日本など各国が高性能磁石を製造するためのレアアースの精錬や加工といった工程を中国に依存しています。

中国としては、こうした技術を囲い込むことで、半導体などの先端技術をめぐり、中国への輸出規制を強めるアメリカをけん制する狙いがあるとみられます。

中国は、ハイテク製品にかかわる鉱物資源の輸出規制を強化していて、12月からEVの電池などに使われる黒鉛の関連製品の輸出規制に踏み切ったほか、ことし8月には半導体の材料として使われるガリウムとゲルマニウムの関連製品の輸出規制も実施しています。
2024/8/15 レアメタル(希少金属)の一種であるアンチモニーなどの輸出を9月15日から規制すると発表した。国益と安全保障を守ることが狙い。

アンチモニーは難燃剤のほか、バッテリー、軍需物資に使われる戦略金属。米地質調査所によると、昨年は世界の鉱山生産の48%を中国が占めた。
中国は昨年以降、相次いで輸出規制を導入。レアアース(希土類)磁石の製造技術の輸出を禁止すると表明したほか、一部のグラファイト(黒鉛)製品の輸出や、半導体産業で広く利用されるガリウム、ゲルマニウム関連製品の輸出も規制している。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

中国、レアアース磁石製造技術の輸出を禁止 安全保障理由に
By Siyi Liu, Dominique Patton
2023年12月22日午後 5:34 GMT+98ヶ月前更新





中国は21日、レアアース(希土類)の抽出・分離技術の輸出を禁止した。7月6日撮影(2023年 ロイター/Florence Lo/Illustration/File Photo)


[北京 21日 ロイター] - 中国は21日、レアアース(希土類)磁石の製造技術の輸出を禁止した。抽出・分離技術に続く措置となる。

中国商務省は2022年12月、サマリウムコバルト磁石、ネオジム・鉄・ホウ素磁石、セリウム磁石の製造技術を国家安全保障と公共の利益の保護などを目的とする「輸出禁止・制限技術カタログ」に追加する方向でパブリックコメントを募集していた。
このリストでは、レアアース・カルシウム・オキシボレートとレアアース金属の製造技術も禁止しており、レアアース合金材料の製造に関する従来の禁止項目に追加された。
米ワイオミング州で希土類の鉱山を開発するアメリカン・レア・アース(ARR.AX)
, opens new tabのドン・シュワルツ最高経営責任者(CEO)は中国が「市場の支配的立場の維持に突き動かされている」と指摘した。
カナダのレアアース企業、ネオ・パフォーマンス・マテリアルズ(NEO.TO)
, opens new tabの元CEO、コンスタンティン・カラヤノポロス氏は中国政府が何年も前からレアアース技術の輸出を抑制してきたと指摘。「誰もが既に分かっていたことが正式に発表されただけの話だ」とした。
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中国のレアメタル戦略 ガリウム・ゲルマニウム規制の狙いは?

2023年8月1日 18時34分

「もし厳しく管理されると世界のサプライチェーン=製品の供給網の大混乱につながる」中国から日本にガリウムを輸入している商社の担当者のことばです。

中国政府はレアメタル=希少金属であるガリウムとゲルマニウムの関連品目について、2023年8月1日から輸出規制に踏み切りました。多くの人にとってあまり聞いたことがない、ガリウムとゲルマニウム。実は半導体やLED、太陽電池などさまざまな電子部品の製造に欠かせない材料で、中国が圧倒的なシェアを誇っています。

重要鉱物を「武器」に中国がねらっているのは何なのか。日本も巻き込まれつつある危機のマグニチュードを深掘りします。(中国レアメタル規制取材班)
どんな用途に使われる?
そもそもガリウムとゲルマニウムというのはどのようなものなのでしょうか。どちらも産出量が少なかったり、抽出が難しい金属、レアメタルに属します。
ガリウム
まずガリウムです。アルミニウムなどの採掘の副産物として抽出されます。

LEDや半導体の材料などとして使われるほか、高速での信号処理が可能な特徴があることから、携帯電話の5Gの基地局の部材にも使われています。

また、EV向けのパワー半導体など、次世代の半導体の材料として需要拡大が期待されています。
ゲルマニウム
また、ゲルマニウムは、赤外線を通す性質があり、赤外線カメラの部品やレンズとして使われるほか、太陽電池、光ファイバー、それに半導体の材料としても使われています。
中国が圧倒的シェア
アメリカ地質調査所によりますと、世界で生産されたガリウムは550トンで、そのうちの98%余りにあたる540トンを中国が生産しています(2022年)。また、ゲルマニウムは埋蔵量でみると中国が世界の41%を占め、アメリカに次いで第2位となっています(2016年)。
中国 輸出規制に踏み切る
中国政府は、このレアメタル、ガリウムとゲルマニウムの関連品目について、2023年8月1日から、「輸出管理法」などに基づいて、輸出規制に踏み切りました。

関連品目を輸出する企業に対し、最終的な利用者や用途を示すなどした上で、政府の審査を受けて許可を得ることを義務づけるとしていて、違反した場合には処罰するとしています。

今回の措置について、中国政府は、国家の安全と利益を守るためだとしています。

中国商務省の※束カクテイ 報道官は、2023年7月の記者会見で輸出規制について次のように説明しています。

※カクは王偏に玉 テイは女偏に亭
中国商務省 束カクテイ 報道官
中国商務省 束カクテイ 報道官
「目的は、国家安全を守ることで国際義務をよりよく履行するためだ。輸出の禁止ではなく関連の規定に適合すれば輸出を許可するもので、特定の国を対象にしてはいない」
あくまで国際的に認められた正当な手続きだと主張したのです。
日米などへのけん制目的
ただ、複数の関係者への取材を総合すると、中国のねらいは先端半導体や製造装置の輸出規制を中国に対して行っているアメリカや、先端半導体の製造装置の輸出管理を7月23日から厳しくした日本などに対し自国で生産される資源をいわば“武器”として利用してけん制するねらいがあることが見えてきました。
日本にもすでに影響が…
ガリウムとゲルマニウムは、日本でも半導体の素材など幅広い用途に使われていてすでに影響が及び始めています。

中国からガリウムを輸入し、日本の取引先に卸している都内の商社を取材しました。
この商社は、ガリウムの地金や化合物、それにガリウムを含む半導体材料などを取り扱っています。

担当者は中国政府の輸出規制の範囲の広さにショックを受けたといいます。
輸入商社「ウイング」 尉遅若旭さん
輸入商社「ウイング」 尉遅若旭さん
「正直言うとびっくりした。過去にも中国の輸出規制はあったが、今回はガリウム単体ではなく、化合物や酸化物など全体になるから対象が非常に広がっている」
現地の担当者が中国の当局に直接、確認したところ、今回の輸出規制が始まるとこれまでの手続きにはなかった申請項目が設けられたり、提出する書類の数が増えたりするなど、輸出手続きが複雑になるという説明を受けたということです。
注文が殺到
発表を受けて日本の取引先からはふだんの発注の5倍から6倍にあたる200キロの原料を1度に送ってほしいという依頼のメールも舞い込んだといいます。
中国政府が輸出規制を明らかにした直後から日本の多くの取引先から今のうちに調達を増やしたいという連絡が相次いでいます。

しかし、輸出規制が始まるまでの1か月間で確保できる量は限られているといいます。

この商社は年間の売り上げのおよそ10億円のうち6割から7割をガリウム関連が占めていることから、今後の中国政府の出方しだいで大きな影響が出ることを懸念しています。
輸入商社「ウイング」 尉遅若旭さん
「ガリウムが生命線なので非常に心配している。政府がどれだけ厳しく管理するのか、どのぐらいの期間で許可が取れるかというのは、全く見えない。こういう主原料は、もし厳しく管理すると当然、世界のサプライチェーンの大混乱につながる」
日本政府も注視
経済産業省も中国の対応と日本への影響を注視しています。
どちらのレアメタルも日本企業が中国に大きく依存していることから、調達しているメーカーに聞き取り調査を行いました。

各社への調査では、ガリウム、ゲルマニウムのいずれも数か月分の在庫を確保できているということですが、先行きは不透明感が漂います。
アメリカの対中半導体規制がきっかけ
中国がこうしたレアメタル規制を打ち出したきっかけだと指摘されるのはアメリカの行動でした。

2022年10月にバイデン政権が打ち出した対中国への半導体輸出規制。

対象は、AI=人工知能やスーパーコンピューターなどに使われ、大量破壊兵器の開発や最新の軍事システムなどに転用が可能な先端半導体や製造装置です。
アメリカの国家安全保障戦略
アメリカは同じ10月に発表した国家安全保障戦略で、中国を「国際秩序を変える意思と能力を兼ね備えた唯一の競合国」と位置づけ、軍事、経済、科学技術などの分野で総合的な抑止力を構築する方針を示しています。


その危機感は、IT大手IBMの施設を訪問した際のバイデン大統領のスピーチに表れています。
アメリカ バイデン大統領
バイデン大統領
「アメリカは現在、不幸なことに先端半導体を全くつくれないのだ。0%だ。一方、中国は先端半導体の生産でわれわれの先を行こうと試みている」