第6日 | 第1試合 | サンワード貿易(札幌市)vs.三菱ふそう川崎(川崎市) | ||
第8日 | 第3試合 | 三菱ふそう川崎(川崎市)vs.JR東日本(東京都) | ||
第9日 | 第4試合 | 日本新薬(京都市)vs.三菱ふそう川崎(川崎市) | ||
第10日 | 第2試合 | 三菱ふそう川崎(川崎市)vs.三菱自動車岡崎(岡崎市) | ||
第11日 | 決勝 | 三菱ふそう川崎(川崎市)vs.シダックス(調布市) |
第11日(9/2) 決勝 写真
三菱ふそう川崎(川崎市)vs.シダックス(調布市)
三菱ふそう川崎、3年ぶり2回目の優勝!!
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 計 | |
三菱ふそう川崎 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 5 | 0 | 0 | 5 |
シダックス | 0 | 0 | 2 | 0 | 1 | 0 | 0 | 0 | 1 | 4 |
●1回表
1番伊藤、外角低めのフォークに空振り三振。1アウト。
●2回表
1番伊藤、カウント2-1から外角に沈むフォークに空振り三振。3アウト。
●3回裏
1番庄田、フルカウントから外角のストレートをピッチャー返し!強烈なゴロはショート・伊藤がさばいて1アウト。
●5回表
1番伊藤、内角のフォークを捕らえるも、ライト正面へのライナーに倒れて1アウト。
●7回表
1番伊藤、内角のストレートが右腿に当たりデッドボール。1アウト一、二塁でチャンス拡大!
2番根岸、外角に外れるストレートを見送りフォアボール!1アウト満塁、長打が出れば同点のチャンス!
3番渡部、フルカウントから外角に外れるスライダーを見切り、押し出しのフォアボール!三菱ふそう川崎、1点を返してなおも1アウト満塁!
4番西郷、高めに浮いたフォークを見逃さず、センター前にタイムリーヒット!三菱ふそう川崎、同点に追い付き、なおも1アウト一、三塁!!
5番・代打の石塚、初球にスクイズ成功!三菱ふそう川崎、ついに逆転!!2アウト二塁。
6番高根沢、内角高めのストレートを弾き返し、レフト前にタイムリーヒット!三菱ふそう川崎、一挙5点の猛攻で2アウト一塁。
●8回表
1番伊藤、外角のストレートを流して三遊間を抜けるヒット! 2アウト一塁。
2番根岸への3球目、一塁ランナー・伊藤がスタート!盗塁が決まって2アウト二塁。
2番根岸、フルカウントから内角のストレートをピッチャー返し!セカンド・パチェコがダイビングキャッチでゴロを抑え、ホームに突入した二塁ランナー・伊藤が寸前でタッチアウト!追加点を許さず!
三菱ふそう川崎、底力で再び頂点
◇スタンドに歓喜の渦
一気の逆転でV。これぞ神奈川野球の底力――。第74回都市対抗野球大会(毎日新聞社、日本野球連盟主催)は2日、決勝戦で川崎市・三菱ふそう川崎と野村克也・前阪神監督率いる東京都調布市・シダックスが対戦。3点リードされた三菱ふそう川崎は七回表、西郷泰之選手の適時打や石塚信寿選手の決勝スクイズなどで一挙5点を奪い、粘るシダックスを5―4で降し3年ぶり2回目の優勝を飾った。県勢の優勝は2年連続で、全国最多の20回目。三菱ふそう川崎からは、橋戸賞(最優秀選手賞)に谷村逸郎投手、若獅子賞(新人賞)に五嶋貴幸投手が選ばれた。
驚愕(きょうがく)の垣野マジックだった。3点をリードされた七回、1死満塁から押し出しで1点を返すと、4番の西郷泰之選手が中前に同点2点適時打を放つ。「やっと打てました」。主砲のドーム初打点に、妻美保さん(34)は長男の凛太郎ちゃん(1歳11カ月)を抱きながら涙を浮かべた。1死一、三塁。「打て!打て!」。逆転の好機に、黄色のうちわが打ち振られ、総立ちになるスタンド。外野席までとどろく声援。その時。
「ええっ」。スタンドにさらなるどよめきが走った。応援団を指導していた田中徹団長(34)も思わずグラウンドに見入った。代打の代打、石塚信寿選手が、代わったばかりの左投手の1球目に飛びついた。「1球で決めてやろうと思った」。言葉通り、外角高めのボール球にバットを当てる。投手前に転がるボール。渡部英紀選手が三塁から生還した。
強打が自慢のチームで、まさかの決勝スクイズ。「来るかなとは思ったが……。捕手に伝えようと思っていたら、すぐ打たれた」。野村克也監督は試合後、うなだれた。
優勝を目指し、先発を任されたのは佐藤大士投手。千葉から駆けつけた姉の岡松泰子さん(28)は「最後まで試合は分からない、信じるだけです」。しかし三回裏、相手の主砲・キンデラン選手に2ランを浴びる。「すごいホームラン……。でもまだ三回だから」と垣野多鶴監督の妻久美子さん(52)は逆転を信じる。
そしてVを呼び寄せた七回の大逆転劇。試合の命運は救援した谷村逸郎投手に肩にかかった。「谷村がんばれーっ」。八回、脅威のキンデラン、パチェコ両選手を打ち取ると「良かった」。妻和代さん(31)はうっすら涙を浮かべた。
九回裏2死。「あと一人!あと一人!」。大コールがこだまする中、最後の打者が放った強烈なゴロを梅原大介選手が横っ飛びで好捕。送球を西郷一塁手がガッチリと受け止めた瞬間、スタンドに白、水色、ピンクの紙テープが舞った。「投打がかみ合った」と垣野監督。最高の舞台で見せた最高のゲームに、スタンドの歓喜はいつまでも続いた。
◇議会から駆け付け
○…三塁側・三菱ふそう川崎の応援席では、川崎市の阿部孝夫市長(59)、東山芳孝副市長(64)ら市幹部と市議会正副議長が駆けつけた。2日は9月議会初日。午前11時半に閉会した後、面談など予定を前倒しして駆けつけた坂本茂議長(53)は「(サッカーJ1の)ヴェルディを調布に持っていかれており、野球までやられるわけにいかない」と必死に声援を送っていた。
◇先生たち頑張って
○…三塁側スタンドで声を張り上げていたのが、川崎市中原区木月1丁目子ども会野球チームの選手たち=写真。毎年、野球教室で三菱ふそうの選手たちに教えてもらっており、普段は同地区に住む三菱ふそうの田中徹応援団長がコーチを務めている。キャプテンで同市立住吉小6年の山崎舞さん(12)は「気さくな梅原大介内野手のファン。今まで優しく指導してくれた選手たちに頑張ってほしい」と話していた。
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◇結果出せ良かった−−西沢祐介・三菱ふそう川崎主将
うれしい。最高です。勝因はチーム全員で一気に5点取れたこと。今大会はここ一番で(適時打が)出たのが大きかった。主将としての役割を果たせたか分からないけれど、結果が出たので良かった。
◇七回に勝利確信−−垣野多鶴・三菱ふそう川崎監督
(七回の)スクイズが決まった時に勝利を確信した。逆にあの回に勝ち越さなければ負けていただろう。大会を通して優勝できた一番の要因は、投打のバランスが良かったことだ。
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■ヒーロー
◇“若大将”我慢の一打−−三菱ふそう川崎・佐々木勉二塁手
「決勝で打てて良かった」。身長186センチ、長身の9番打者はそう胸をなで下ろした。七回表、左翼手の頭上を越える二塁打を放つ。チーム初めての長打。3連続四死球を絡め5得点の逆転につながった。
6年目、24歳。30代の実績あるベテランが連なる打線で、今季から3番を任されるようになった。「大卒の新人もみな年下になった。引っ張っていかなきゃという気持ちは出てきた」。県予選4試合は2本塁打5打点の活躍。「打席に入ったら投手しか見えなくなる」。集中力とひたむきさで打線を引っ張った。
しかし本大会では1回戦こそ2安打を放ったものの、以後決勝までノーヒット。打率は2割台に下がり、準々決勝からは打順も9番になった。「下位には下位の責任がある」と腐らず、打席に立ち続けた。
「最後にチームに貢献できました」。我慢を続けた若大将の一打が、チームの逆転勝利をもたらした。
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■ヒーロー
◇体動く限り野球したい−−三菱ふそう川崎・西郷泰之一塁手
「自分の出来がよくなかった分、みんなに助けられての優勝です」。選手として2年連続で都市対抗を制した13年目のベテランは、優勝の瞬間、両手を突き上げ、マウンドに駆け寄った。
昨年は、優勝したいすゞ自動車の補強選手として、決勝戦で勝敗を決める本塁打を放つなど大活躍した。
それが今年の県予選は打率2割1分4厘。ドームに来てからも、好機で安打がでず、「調子は最悪。僕が打っていれば楽な試合もあったのに」と準々決勝のサヨナラ勝ちで勢いに乗るチームの中で苦しんでいた。
しかし、決勝戦でチームに流れを引き寄せたのは、やはり主砲の一打だった。3点リードされた七回、押し出し四球で2点差となり、更に1死満塁の好機。打席に入る前にバットでスパイクを2度軽くたたいた。「チャンスで回してくれた仲間のためにも打ちたい」。初球を中前へ同点適時打。結果を出し、一塁で小さくこぶしを握り締めた。
試合後、喜び合うナインから離れ一人でベンチ裏へ。「涙腺が緩んじゃって」。照れくさそうに笑うベテランは大会中に31歳になった。「野球が好きなんで、体が動く限り野球がしたい」。社会人野球のトップに立っても情熱は尽きることがない。
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◇喜びに沸く選手たち
伊藤祐樹内野手
うれしいのひと言。受け身にならないようにした。
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◇「感動ありがとう」−−阿部・川崎市長
東京ドームで試合を観戦した川崎市の阿部孝夫市長は「黒獅子旗が川崎市に来るということは、市民を元気づける大変明るいニュース。私も市民の皆さんと力いっぱい応援し、勝利の感動を味わいました。垣野監督をはじめ選手のみなさん、129万市民に大きな感動をありがとうございます」とコメントした。
◇県民に明るいメッセージ−−松沢知事
松沢成文知事の話 3年ぶり2回目の優勝、誠におめでとうございます。昨年に続き、神奈川に黒獅子旗が渡ってまいりました。強豪ひしめく県予選を突破し、本大会で厳しい試合を勝ち抜いてつかまれました日本一の栄冠までのご活躍は、860万県民に明るく力強いメッセージとなり、明日への夢につながることと思います。選手、監督の皆様のご努力、ご関係の皆様のご尽力に深く敬意を表し、心よりお祝い申し上げます。
三菱ふそう川崎(川崎市)vs.三菱自動車岡崎(岡崎市)
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 計 | |
三菱ふそう川崎 | 1 | 1 | 2 | 0 | 0 | 0 | 1 | 0 | 2 | 7 |
三菱自動車岡崎 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 |
神奈川勢「補強」も粒ぞろい
前夜、三菱重工横浜クから補強の斎藤が逆転サヨナラ本塁打を放って勝ち進んだ川崎市。この日
は日産自動車から加わった伊藤の先頭打者本塁打でスタートした。垣野監督が「(岡崎市の)藤田はいい投手だが、伊藤がうまくリズムを崩してくれた」とにんまりした先制攻撃。それだけではない。伊藤は二回に追加点をもぎ取る適時打も放つなど計3安打。斎藤も4安打で、2人でチームの全安打の半分近くを打った。4番の西郷は「きのうも今日も、2人がいなかったら勝ててませんね」と苦笑した。
有カチームがひしめく神奈川予選は例年、火花を散らす戦いが繰り広げられる。今年は、伊藤、斎藤の所属チームを含めて五つの有カチームが三つの代表の座を争った。昨年、黒獅子旗を得たいすず自動車が姿を消しても、代表争いのし烈さは変わらない。
ここ5年で4回優勝チームを出した神奈川。その地区レベルの高さは、粒ぞろいの補強選手がそろうことでもある。
「今日は同じ三菱系列の会社が相手だったので、ベンチも少しやりにくそうだった。僕は関係ないので、気楽でした」と伊藤。点差はワンサイドに見えるが、川崎市も再三好機をつぶす展開だった。自前の選手がぎこちなくても、3年ぶりの優勝に王手をかけられたのは(「オール神奈川」の底カあればこそだ。
決勝の相手、調布市・シダックスは、プロ出身監督とキューバ出身の2人の強打者の力を中心に勝ち進んだ、社会人球界のニューウエーブ。「伝統」の神奈川代表がプライドをかけて対戦する。
三菱ふそう川崎、夢の黒獅子旗へ王手
◇投打パワー全開
強さは本物だ――。第74回都市対抗野球大会(毎日新聞社、日本野球連盟主催)は1日、準決勝2試合が行われ、県勢の川崎市・三菱ふそう川崎は第2試合で岡崎市・三菱自動車岡崎と対戦した。三菱ふそう川崎は伊藤祐樹選手の先頭打者本塁打などで序盤に突き放し、投げては先発・五嶋貴幸投手が2回戦に続き無失点の好投。7―0でスリーダイヤモンド対決を制し、優勝した00年以来3年ぶりの決勝進出を果たした。県勢の決勝進出は昨年の藤沢市・いすゞ自動車に続き2年連続。三菱ふそう川崎は2日午後1時、調布市・シダックスと黒獅子旗をかけて、対戦する。
前日の逆転サヨナラ勝利の勢いそのままに、初回から三菱ふそう川崎打線が爆発した。初回、伊藤選手の打球はぐんぐんと伸びた。「来た」「来た」。先頭打者本塁打に、三塁側スタンドが盛り上がる。垣野多鶴監督の妻久美子さん(52)も「どんどん打って」と興奮気味。
三菱ふそう川崎打線はとどまるところを知らない。続く二回表、斎藤裕次郎選手が二塁打を放ち、2死後、再び伊藤選手。応援団員の小野寺和恵さん(32)の母益子正子さん(54)は「また、打ちますよ」と予言。その瞬間、伊藤選手が右前に適時打を放ち、「ヒット、ヒット。今日もいける」と大喜び。
さらに三回表、4連打で2点を追加するとスタンドの興奮は最高潮に達した。三菱ふそうトラック・バスの堀道夫副社長(60)は「選手は、はつらつとプレーしている。流れをつかみましたね」と満面の笑み。
先発の五嶋投手は安打を許すも、要所を締め得点を与えない。五回裏、連打を浴び無死一、二塁のピンチの場面でも、落ち着いた投球で後続を打ち取る。飯淵仁明部長の妻歌子さん(50)は「以前に比べてピンチの時の度胸がついたよう。今日は抑えてくれる」。八回裏に降板するまで、粘り強い投球で無失点に抑える。
中盤、チャンスであと一本が出なかったが、七回表1死一、三塁から梶山義彦選手が右前適時打。九回表にも西郷泰之選手の二塁打を足がかりに2点を加え、ダメ押し。
最終回、畑山卓見投手が、無死満塁のピンチ。だが、ここから2者連続三振。最後のバッターも一塁ゴロ。自らベースに入り、捕球すると両手でガッツポーズ。決勝進出を決めた。
「優勝を目指して頑張ります」と垣野監督。3年ぶりの黒獅子旗に王手をかけた。
◇気力で負けない−−西沢祐介・三菱ふそう川崎主将
エース以外の投手を、確実に攻略することが出来た。五嶋投手は球に力があった。捕手もうまくリードしていたと思う。決勝戦ではキューバ選手に注意する。接戦になると思うが、気力では、負けないようにしたい。
◇キューバ勢が活躍−−調布市・シダックス
キンデラン、パチェコ両選手の「キューバ大砲」と、元いすゞ自動車主将の藤沢英雄選手らが打線をけん引。投げては野間口貴彦投手らプロ注目の本格派が並ぶ。さい配を振るうのはプロで監督通算1309勝の実績を持つ野村克也監督。
◇日焼けはいまいち
○…三塁側の応援特設ステージに、ハイビスカス柄のシャツを着たチアリーダーとタンクトップ姿の男性応援団員が登場し、サザンオールスターズの「勝手にシンドバッド」に合わせダンスを披露した=写真。“ノリ”のいい曲で盛り上げようと企画した。南国イメージを醸し出すため「メンバーには海で日焼けして来いと注文したけど、冷夏で日焼けできませんでした」と団長の田中徹さん(34)も苦笑い。
◇“優勝請負人”健在−−三菱ふそう川崎・斎藤裕次郎内野手
「優勝請負人」は準決勝戦でも健在だった。九回表の駄目押し中前適時打を含む5打数4安打2打点の活躍を見せた。失策も含め5打席連続出塁に「大舞台で野球をやるのが楽しい」と笑った。
クラブチームの三菱重工横浜クラブに所属。01年のクラブ化後、練習は勤務終了後の夕方からとなり、1年間の総練習時間も制限されるようになった。しかし、県予選で2本塁打、7打点の猛打を買われて、三菱ふそう川崎に補強参加。練習量不足を補うため、7月下旬に合流後、初めの2週間はランニング、キャッチボールなどトレーニングに専念した。「けがで迷惑かけないようにだけ考えてました」
そしてドーム。初スタメンの準々決勝での九回裏、「野球人生でも初めて」という逆転サヨナラ2ランを放ち、歓喜でナインに迎えられた。「大会に入ってようやく振れるようになった」
都市対抗出場は9回目。これまで8回のうち補強参加した98年日産、99年東芝で黒獅子旗を手にする幸運を味わっている。
「決勝も一打席ずつ集中してやるだけです」。目指すのは3度目の黒獅子旗だけだ。
日本新薬(京都市)vs.三菱ふそう川崎(川崎市)
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 計 | |
日本新薬 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 |
三菱ふそう川崎 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 2x | 2 |
●1回裏
1番伊藤、内角のストレートに詰まってセカンドゴロ。1アウト。
●3回裏
1番伊藤、フルカウントから外角低めのストレートを引っ掛けてショートゴロ。
●4回表
7番木戸、外角のスライダーを引っ掛け、三遊間深い位置へのゴロ。ショートの肩が勝り、3アウト。三塁に残塁。
●5回裏
1番伊藤、甘く入ったストレートを見逃さずライト前へ痛烈なヒット! 2アウト一、三塁。
●8回裏
1番伊藤、フルカウントから内角高めのストレートを鋭く振り抜くも、ライト正面へのライナー。1アウト。
●9回裏
8番斎藤、外角のストレートを完璧に捉えた打球は高々と舞い上がり、ライトスタンドへ飛び込む劇的な逆転サヨナラ2ランホームラン!
◇思い乗せサヨナラ弾 4強にスタンド歓喜
第74回都市対抗野球大会(毎日新聞社、日本野球連盟主催)は31日、準々決勝4試合が行われ、県勢の川崎市・三菱ふそう川崎は第4試合で京都市・日本新薬と対戦した。三菱ふそう川崎は五回表に本塁打を浴び先制された。しかし、午後11時を過ぎた九回裏、斉藤裕次郎選手の劇的なサヨナラ2ランで、逆転勝ちした。4強入りを果たした三菱ふそう川崎は1日第2試合で岡崎市・三菱自動車岡崎と決勝進出をかけて、激突する。
「2回戦は完勝。今日も力を合わせて応援しましょう!」。川崎市副市長の鈴木真生さん(50)が特設ステージで大きな声を張り上げた。午後8時過ぎに始まった試合にもかかわらず、詰めかけた2000人の応援団がうちわを振って応えた。
先発はエース佐藤大士投手。安打を浴びながらも後続を断った。三回表2死一、三塁のピンチでも、ヒットかと思われた、強い当たりにも飛び上がって捕球しアウト。「いいぞ佐藤!」。私設応援団長の岡本浩太さん(37)は叫んだ。「打線もこれから爆発しますよ」
しかし、打線は一回から無得点が続く。四回裏2死一、二塁で高根沢力選手が投ゴロに倒れると、妻照美さん(29)は「投手が頑張ってるから、打線もこれから来ますよ」。だが五回表、ついに先制本塁打を浴びた。「大丈夫!」。西沢祐介主将の父禎一さん(55)も、そう言って佐藤投手を見守った。
七回から三菱ふそう川崎の大魔神とも言われる谷村逸郎投手がマウンドに立った。元応援団長の小野寺弘さん(40)は「谷村はひじを壊して投げられないときも、黙々とグラウンドを走っていた。ここまで来たのは努力のたまもの。必ず抑えてくれます」。
ドラマは最後に待っていた。桑元孝雄選手が安打で出塁。バントで送り2死二塁。打席には斉藤裕次郎選手が入る。「詰まったかな」。強振した打球はライト方向へ。思わず見入る総立ちのスタンド。
「まさか。まさか。入るか」
右翼手が打球を追う。その足が、少しずつゆっくりになり、足を止めた。「入ったー」。絶叫がスタンドにこだました。逆転のサヨナラ2ラン。「思い切り振っただけ。最高です」と斉藤選手。劇的なサヨナラ勝ちで4強に進んだふそう。あとは黒獅子旗までまっしぐらだ。
三菱ふそう川崎(川崎市)vs.JR東日本(東京都)
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 計 | |
三菱ふそう川崎 | 1 | 0 | 0 | 2 | 0 | 0 | 0 | 2 | 1 | 6 |
JR東日本 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 |
●1回表
1番伊藤、外角低めのスライダーを打ち上げ、レフトフライ。1アウト。
●3回表
1番伊藤、内角のストレートに空振り三振。2アウト。
●4回表
1番伊藤、外角のストレートに空振り三振。3アウト。二者残塁。
●7回表
1番伊藤、外角のカーブに巧く合わせ、センター前にポトリと落ちるヒット! 2アウト一塁。
●9回表
1番伊藤、スリーバントを成功させ1アウト二塁に。
三菱ふそう8強入りだ! 第74回都市対抗野球大会(毎日新聞社、日本野球連盟主催)は30日、2回戦3試合が行われ、県勢の横浜市・新日本石油は第2試合で京都市・日本新薬と、川崎市・三菱ふそう川崎は第3試合で東京都・JR東日本と対戦した。三菱ふそうは根岸弘選手の2試合連続ソロ、桑元孝雄選手の2ランなどで6点を奪い快勝。投げては先発の新人・五嶋貴幸投手が要所を締め、優勝した00年以来の準々決勝進出を果たした。新日石は原浩高選手の2ランなど打線が奮起したがリードを守りきれず、九回2死二、三塁のチャンスにもあと一打が出なかった。三菱ふそうは31日第4試合で、新日石を破った京都市・日本新薬と対戦する。
三菱ふそう打線の勢いが止まらなかった。試合は一回表、根岸弘選手の2試合連続ソロで幕を開けた。「またやってくれた」。スタンドは開始直後から大騒ぎ。四回表には渡辺直人選手が適時打を放つなど2点を追加。応援曲「ファイター」が鳴り響く中、川崎商工会議所会頭の佐藤朋佑さん(70)は「ここまでは優勢に進めている。川崎のためにも、このまま頑張れ」と興奮気味。
先発は新人左腕・五嶋投手。母京子さん(51)は29日夜、五嶋投手から「すごい声援だろうから、負けないように頑張るよ」と電話があったという。「少し緊張していたみたい。でもこんな大きい舞台で投げるなんて、本当に親孝行です」。制球に苦しみながらも七回途中まで無失点で切り抜けた。
三菱ふそうの攻撃は、まだまだ終わらない。八回、桑元選手が相手投手の直球をたたき、文句なしの2ラン。その瞬間、三菱ふそうトラック・バスのウィルフリート・ポート社長(44)は「イエス、クワモト!」と絶叫。桑元選手の妻麻里さん(27)は「試合前に『打つ』と言っていた。約束通りです」とにっこり。「ノースリーだけど打つ気満々でした」と桑元選手は振り返る。
七回途中からはエース佐藤大士投手、谷村逸郎投手が無失点に抑え、準々決勝進出が決まった。
「先制、中押し、駄目押しと理想的な試合」と垣野多鶴監督。その目の先にあるのは、3年前と同じ黒獅子旗だけだ。
◇五嶋がふんばった−−西沢祐介・三菱ふそう川崎主将
八回の桑元さんの2点本塁打が効いた。あれで相手も追走する気をなくした。相手は投打ともいいチーム。苦戦すると思っていたが、五嶋投手が、走者を出してもふんばり、点を与えなかったのが勝因だと思う。
サンワード貿易(札幌市)vs.三菱ふそう川崎(川崎市)
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 計 | |
サンワード貿易 | 0 | 0 | 0 | 1 | 1 | 0 | 0 | 0 | 0 | 2 |
三菱ふそう川崎 | 0 | 0 | 1 | 1 | 0 | 0 | 0 | 1 | x | 3 |
●1回裏
1番伊藤、内角低めのストレートを引っ張り右中間を破るツーベースヒット! ノーアウト二塁。
●2回裏
1番伊藤、外角のスライダーにスイングを取られて空振り三振。二者残塁で3アウト!
●4回裏
1番伊藤、フォアボールを選んで2アウト一塁。
2番根岸の打席で一塁ランナー・伊藤が牽制球で挟まれタッチアウト。3アウト。
●7回裏
1番伊藤、外角のストレートを巧く流してレフト前ヒット! ノーアウト一塁。
◇流れ変えた粘投谷村−−辛勝に肩抱き合う応援席
第74回都市対抗野球大会(毎日新聞社、日本野球連盟主催)は28日、1回戦1試合と2回戦2試合が行われ、川崎市・三菱ふそう川崎が第1試合で札幌市・サンワード貿易と対戦した。三菱ふそうは根岸弘選手の右越えソロ本塁打で先制。中盤追いつかれ、攻めては再三チャンスをつぶされるなど苦しい展開だったが、八回に高根沢力選手の中前適時打で勝ち越し。五回途中からリリーフした谷村逸郎投手が1安打無失点に抑え、逃げ切った。三菱ふそうは30日第3試合で東京都・JR東日本と対戦する。
待ちに待った勝ち越し打だった。八回裏、高根沢選手が中前に勝ち越しの適時打を放つと、それまでのうっぷんを晴らすように、応援席に詰め掛けた観衆は総立ちで、互いに肩を抱き合い喜びを爆発させた。高根沢選手の妻、照美さん(29)は息子の元ちゃん(2)を抱きかかえ「よかったー、よかったー」と連呼。すぐに「まだ終わっていない」と気を引き締めた。
いやな展開だった。三菱ふそう川崎は三回に根岸選手の本塁打で先制するも、四回表にサンワード貿易に同点とされる。その裏相手のミスから1点を勝ち越すが、五回表に再び同点に追いつかれる。点を取っては取られる展開に三菱ふそうトラックバス社員、神原陽子さん(34)は「やきもきするけどきっと勝ってくれる」と祈るよう。
五回以降は再三、得点機を作りながらもあと1本が出ない。七回裏1死一、三塁のチャンスも4番西郷泰之選手が併殺に倒れると、バックネット裏で観戦していた日産自動車の久保恭久監督は「ふそうは流れがつかめていない」。応援席でもため息が漏れた。
流れを呼び込んだのは五回から登板した谷村投手の粘りのピッチングだった。七回の1死一、二塁のピンチもストレートで押し、後続を連続三振に打ち取った。
九回、「谷村コール」がスタンドにこだまする中、最後の打者をレフトフライに打ち取ると母昭子さん(63)は両手で顔を覆った。「昨年8月に手術して今年の4月まで投げられなかったのに。お疲れ様ですと言ってやりたい」と目を潤ませた。
応援団長の田中徹さん(34)は「応援団長3年目でドーム初勝利。特別な1勝です。涙が出そうになったけど優勝までとっておきます」と笑顔。苦しみを乗り越えつかんだドームでの3年ぶりの勝利だった。
◇ミスに助けられた−−西沢祐介・三菱ふそう川崎主将
相手のミスに助けられた。根岸の本塁打で先制でき、気持ちは楽になった。中盤以降、もつれてきてからの方が、逆にベンチは盛り上がってきた。谷村も調子はよくなかったが、よく投げた。次も接戦に持ち込みたい。