公取委は2011年7月22日、VVFケーブル(主に建物内のブレーカーからコンセント等までの屋内配線として使用)の製造業者及び販売業者に対し、排除措置命令及び課徴金納付命令を出した。
VVFケーブル カルテル | 建設・電販向 電線カルテル |
光ファイバー ケーブル |
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排除 命令 |
課徴金 (千円) |
備考 | 課徴金 (千円) |
課徴金 (千円) |
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矢崎総業 | ○ | 2,460,670 | 30%減額 | 7,261,700 | |
富士電線工業 | ○ | 1,617,180 | |||
弥栄電線 | ○ | 688,950 | |||
協和電線工業 | ○ | 499,100 | |||
愛知電線 | ○ | 326,960 | |||
カワイ電線 | ○ | 323,070 | |||
菅波電線 | ○ | 50,220 | |||
協和電線 | ○ | 0 | 課徴金100万円未満 | ||
住電日立ケーブル (日立電線、住友電工、タツタ電線) |
― | 203,520 | 50%減額 | 2,038,390 | |
住友電工 | 6,762,720 | ||||
古河エレコム (古河電工) |
― | 53,190 | 30%減額 | 465,050 | |
古河電工 | 4,606,020 | ||||
昭和電線 ケーブルシステム |
― | X | 最初に自主申告 | X | 199,030 |
フジクラ・ダイヤケーブル (フジクラ、三菱電線、西日本電線) |
1,073,030 | ||||
フジクラ | 4,411,640 | ||||
住友スリーエム | 120,020 | ||||
アドバンスト・ ケーブルシステムズ (Corning Cable /日立電線) |
X | ||||
合計 | 8社 | 6,222,860 | 10,838,170 | 16,099,430 |
課徴金欄が X
は、調査開始前の最初の自主申告で100%減額となったもの。
減免 最大5社(但し、調査開始後の対象は最大3社)
減額率は@100%、A50%、B〜D30% (但し、調査開始後は全て
30%)
2009/3/2 独禁法改正案 閣議決定
ベアリング大手4社 カルテル容疑 公取委、家宅捜索
自動車や産業用機械など多くの製品で部品として使われているベアリングの販売をめぐり、値上げの時期や値上げ幅を調整する価格カルテルを結んでいた疑い が強まったとして、公正取引委員会は26日、独占禁止法違反(不当な取引制限)容疑で大手メーカー4社の家宅捜索を始めた。犯則調査権に基づく強制調査で、今後、検察当局への刑事告発を視野にカルテルの実態解明を進める。
捜索を受けているのは、日本精工、ジェイテクト、NTN、不二越の本社や営業所など計二十数カ所。
ジェイテクト 2005年5月に光洋精工と豊田工機が合併
NTN 東洋ベアリング→エヌ・テー・エヌ東洋ベアリング→NTN
ベアリングは全体の市場規模が約4500億円と大きく、4社が8割以上のシェアを占めるとされる。カルテルが及ぼす社会的影響が大きいうえ、公取委は、各社の役員クラスがカルテルに関与した疑いもあるとみており、行政調査では不十分と判断した模様だ。
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公取委の強制調査は刑事告発相当事案を担当する犯則審査部が令状に基づき捜索・差し押さえを行なう。
独占禁止法違反被疑事件のうち、犯則事件:法第89条(私的独占、不当な取引制限、事業者団体による競争の実質的制限の罪)、法第90条(国際的協定等、事業者団体の禁止行為、確定排除措置命令・審決違反の罪)及び法第91条の罪(株式保有、役員兼任の制限禁止違反等の罪)に係る事件を調査するため必要があるときには、裁判官の発する許可状により、臨検、捜索又は差押えを行うことができます。これを「犯則調査権限」と呼んでいます。
公正取引委員会は、 | |
・ | 一定の取引分野における競争を実質的に制限する価格カルテル、供給量制限カルテル、市場分割協定、入札談合、共同ボイコット、私的独占その他の違反行為であって、国民生活に広範な影響を及ぼすと考えられる悪質かつ重大な事案 |
・ | 違反を反復して行っている事業者・業界、排除措置に従わない事業者等に係る違反行為のうち、公正取引委員会の行う行政処分によっては独占禁止法の目的が達成できないと考えられる事案 |
について、積極的に刑事処分を求めて告発を行う方針であり、これらの事案に該当すると疑うに足りる相当の理由のある独占禁止法違反被疑事件を犯則調査の対象としています。 | |
改正独禁法により課徴金減免制度が始まったが、これを受けた場合に、刑事罰についても刑事訴追を免ずる規定はない。
これについては2005年10月の公取委方針で、調査開始日前に最初に課徴金の免除に係る報告及び資料の提出を行った事業者(及び調査に協力した個人)については告発を行わないこととするとした。
参考 2008/5/8 公取委、塩ビ管のカルテル疑惑 刑事告発を断念