2006年08月31日 Chemnet Tokyo METI発表
韓国・台湾産ポリエス短繊維への反ダンピング課税の延長検討
帝人ファイバー、東レ、ユニチカの3社申請「損害いぜん大きい」
財務省と経産省は31日、韓国と台湾産のポリエステル短繊維に対するアンチピング(不当廉売)課税の延長を検討するため調査を開始すると発表した。
帝人ファイバー、東レ、ユニチカファイバーの3社から、課税期間延長の申請があり、検討した結果「関税定率法に基づく調査を行うに足る十分な証拠を備えている」と判断した。
両省は韓国・台湾産ポリエステル短繊維に対して、2002年7月26日から6.0−13.5%のダンピング関税を課している。07年6月末に課税期限が切れるため、ダンピングの継続や、再発の恐れなど、1年以内の終了予定で課税延長の調査を行うことにした。
帝人ファイバー、東レ、ユニチカファイバーの申請3社の国内総生産高に占めるシェアは82%。
韓国、台湾とも過剰生産能力を持ち、韓国産については製造原価を大きく下回る価格で日本に輸出している。正常価格(平均値)であるキログラム当たり156-158円に対して、輸出価格は同94−102円とこれを大きく下回っている。
一方、これによる損害は大きく、日本国内の生産量(申請3社)は2001年の67,811トンから05年は62,419トンへと6%減少し、雇用は128.1人から106.6人へと17%減少した。稼働率は低下し、競争力強化につながる設備投資も行える状況にないなど「重大な損害を受けている」と3社は訴えている。
なお、韓国産のポリエステル短繊維については、米国・ECでも不当廉売関税が延長して課されているという。
2002年07月19日 Chemnet Tokyo
ポリエス短繊維、韓国・台湾へのダンピングマージンが確定
韓国、台湾産ポリエステル短繊維の不当廉売に対する、わが国政府のダンピングマージン率が確定した。経産省が19日開催した産構審特殊貿易措置小委員会(小委員長、松下満雄成蹊大教授)に報告、了承された。
その結果、韓国に対しては供給者30社のうち、4社にはダンピングの事実なしとして「シロ」裁定を下したが、1社には6.0%、その他には13.5%のダンピングマージンを課す。また台湾(13社)は全社に対して10.3%のダンピングマージン(CIF価格に対する率)をかけるとする案が了承された。
調査対象期間は、ダンピングの事実は2000年4月ー01年3月(1年間)、損害の事実については1998年4月ー01年3月(3年間)とした。
質問状を送付した韓国の供給者30社のうち、5社からは十分な回答を得、現地調査も実施できた。その他の供給者は回答がないか、不十分だった。しかしそれでも「知ることができた事実」としてダンピングマージンを算定した。
台湾は質問状を送付した13社のうち3社から十分な回答が提出された。この3社はわが国への輸入シェアが96%を占めているため、これを台湾全体とみなして差し支えないとし、その他の供給者についても3社のダンピングマージンを採用した。
ダンピング輸入量の合計は、98年度4,659トン(内需に占めるシェア5.9%)、99年度9,466トン(同11.3%)、00年度6,465トン(同7.8%)だった。
日本国内の販売価格(1s当り)は
◇98年度=国産品200.6円、韓国産品137.1円、台湾産品158.4円
◇99年度=国産品185.3円、韓国産品120.1円、台湾産品138.8円
◇00年度=国産品175.1円、韓国産品113.7円、台湾産品138.9円
この期間中の調査対象貨物の売上高は98年度の142億円から00年度129億円にと8.9%減少し、営業利益は1億円から▲4億円と、黒字から赤字に転じた。
ダンピング提訴は、01年2月28日、帝人、東レ、クラレ、東洋紡績、ユニチカファイバーの5社から受け、国内、海外の生産者、輸入業者、利用者など合計328社を対象に調査を行った。
なお、「ダンピングなし」と裁定された、韓国メーカー4社は次の通り。
◇サムヨン・シンセティクス◇ソンリム◇デヤン・インダストリアル◇ヒュビス・コーポレーション。