脱硫工程

原料である天然ガスは90%程度がメタン(CH4/C1)であり、それ以外にC2以上の炭化水素、N2やCO2などを含 んでいます。また、一般的に天然ガスは硫黄分(S)を数〜数十ppm程度含んでおり、それ以外に塩素分(Cl)あるいは水銀(Hg)を含む場合がありま す。

メタノールプロセスの場合、硫黄分や塩素分は水蒸気改質触媒の触媒毒だけではなくメタノール合成触媒(Cu+ZnO)の触媒毒でもあるため、あらかじめ除去しておく必要があります。

この脱硫工程(Desulfurization)で原料を加熱し脱硫器などに供給して硫黄分など を除去します。この運転温度は除去すべき物質や触媒の種類によっても異なりますが、おおよそ150〜400℃で、触媒の交換時期も含め触媒メーカーの情報 を参考にして決めるのが通例です。

水蒸気改質工程

水蒸気改質工程(Steam reforming)では、メタンを主成分とする天然ガスに改質スチームを加え、高温下(750〜900℃)で改質して水素やCOなどを生成します。この 改質反応(吸熱)に加えCO転化反応(発熱)も起こりますが、総合的には吸熱反応となるので、外部から熱を与える必要があります。そのために改質触媒を通 過する天然ガス+スチームに外部から熱を与えるために、多数の燃焼バーナーと改質触媒を充填した改質管から構成される水蒸気改質炉が採用されます。
水蒸気改質炉を出たプロセスガスは、廃熱ボイラなどで200〜350℃まで冷却されます。この廃熱ボイラではスチームを発生させるようになっており、一部は改質用に残りは外部にエクスポートされます。さらに常温までガスは冷却されて、次の合成ガス圧縮行程に移動します。

合成ガス圧縮工程

合成ガス圧縮工程(Syntgas compression)は合成ガスを圧縮する工程で、主要機器は合成ガス圧縮機と周辺の冷却器および気液分離器、そして圧縮機の駆動機器です。大型のプラントでは、この駆動機器にはスチームタービンが使用されることが一般的です。

メタノール合成工程

メ タノール合成工程は、合成触媒とそれを充填したメタノール合成管、合成ガスを規定の温度まで加熱する加熱器と生成したメタノールを冷却凝縮させるための冷 却器、そしてメタノールを未反応な合成ガスから分離する気液分離器とこの未反応な合成ガスを循環させる循環機から構成されています。
冷却凝縮後、分離されたメタノール+水(粗メタノール)は精製するために、メタノール蒸留工程へと送られます。また、合成ガス中のメタンや余剰となった水素は回収され燃料として水蒸気改質工程に送られます。

メタノール蒸留工程

メ タノール蒸留工程は二本あるいは三本の蒸留塔と、加熱器(リボイラなど)、凝縮器や冷却器、環流槽と環流ポンプなどから構成されています。粗メタノールに は、メタノール以外に水やエタノール、そしてブタノールなどの高級アルコールや炭化水素、溶解したメタンや二酸化炭素などが含まれており、これらを不純物 を除去するのがこのメタノール蒸留工程の目的です。この蒸留操作で大量の熱が使用されますので、環境対策も含め省エネが必要となります。