日本経済新聞 2009/5/28 

天然ガス国際価格、一段と下落 供給増、産業需要は低迷
 NY、6年8ヵ月ぶり安値圏

 
天然ガスの国際価格が一段と下落している。指標となるニューヨーク先物市場の価格が6年8カ月ぶりの安値圏にあるほか、アジアの液化天然ガス(LNG)のスポット価格も昨夏に比べ8割安い。新規ガス田からの供給が増えて需給の緩和感が強く、国際商品価格全般の上昇からも取り残された格好だ。原油より発電・産業向けが多いだけに、世界的な産業需要の低迷を反映している。



 大口需要家の電力会社やガス会社などが調達を手控えている。

 一方の供給も過剰感が強い。長期的な需要増を見越して開発が進んでいたロシアやインドネシア、カタールなどの新規ガス田が相次ぎ稼働。数千億ー1兆円の開発コストを回収するためフル操業を続けている。

天然ガス 

天然ガスにはメタン、エタン、プロパン、ブタン、ペンタン以上の炭素化合物、窒素が含まれ、産出する場所によってその割合は少しずつ違ったものになる。 例えば、メタンエタン、プロパン、ブタン、ペンタン以上の炭化水素、窒素のそれぞれの割合は、

ガス田からのガス田ガスは「乾性ガス」とも呼ばれ、メタンが85%-95%と主体を占めその他のエタン、プロパン、ブタンなどは比較的少ない。ガス田ガスは液化されてガス田由来のLNGとなる。このような天然ガス鉱床は遊離性ガス鉱床と呼ばれる。

油田地帯から出る油田(湿性ガス)はメタン成分が多ければ液化されて油田由来のLNGとなり、少ない時はLNGの原料ではなくLPGの原料となる石油ガスであり液化されてLPGとなる。このような天然ガス鉱床は油溶解性ガス鉱床と呼ばれる。

また、原油の精製プラントから生まれるガスは「精製ガス」と呼ばれ、液化されてLPGとなる。

LPGの主成分であるプロパンやブタンは圧力をかけることにより、常温で液体になり、体積は約1/250となる。

LNGの主成分であるメタンはいくら圧力をかけても常温で液体にはならない。このため、温度をマイナス162℃という極低温にすることによって、液化して体積を1/600にする。

ちなみに天然ガスは液化するために約15%のエネルギー損失がある。