2012年6月27日 東レ

 完全バイオマス原料由来ポリエチレンテレフタレートの展開に向けたバイオパラキシレンのオフテイク(引取)契約の締結について

 東レは、この度、再生可能化学品および先端バイオ燃料のリーディング企業であるGevo社(本社:米国コロラド州イングルウッド市、 CEO:Patrick Gruber)との間で、同社が建設予定のパイロットプラントで製造するバイオマス原料由来のパラキシレン(バイオPX)を一定量引取るオフテイク契約を締結しました。
 この契約締結によって、東レは完全バイオマス原料由来ポリエチレンテレフタレート(完全バイオPET)に関して世界で初となるパイロットスケールでの実証が可能となり、2013年からエンドユーザーであるパートナーに供試し市場評価を開始する計画です。

 Gevo社は、同社独自の高効率製造技術によるバイオマス原料由来イソブタノール(バイオイソブタノール)の商業製造設備を既に稼動開始しています。同社は、バイオイソブタノールから完全バイオPETの原料のひとつであるバイオPXの合成にラボレベルで成功しており、完全バイオPETに関心を持つエンドユーザーが多いことから、バイオPX製造工程のパイロットレベルへのスケールアップを行う計画をしています。しかし、完全バイオPET製品をエンドユーザーに供給するためには、バイオPXからPETを製造する技術を持つパートナーが必要でした。一方、東レは2011年にGevo社のバイオPXから自社技術により誘導されたテレフタル酸と、市販のバイオエタノール由来のエチレングリコールを原料とした完全バイオPETの重合、繊維化、フィルム化に成功しています。
 今回、Gevo社と東レとの間のバイオPXのオフテイク契約締結によって、バイオPXをパイロットレベルで完全バイオPETに変換するサプライチェーンを構築し、完全バイオPET製品をエンドユーザーに提供することが可能となりました。東レはこのパイロットプラントで製造されるバイオPXを優先的に購入する契約を締結したことで、完全バイオPETの重合、繊維、フィルムのスケールアップ技術の確立を他社に先駆けて行うことが可能となります。

 現在、一般的なPETは、石油を原料とするパラキシレンから誘導されたテレフタル酸と、同じく石油由来のエチレングリコールを重合し、製造されています。このPETは、繊維・フィルム・ボトル用などに世界で年間約5,000万トン生産され、ポリエチレンやポリプロピレンを上回る世界最大需要規模のポリマーに成長している、人類の生活にとって欠かすことのできないポリマーです。石油の枯渇や石油価格の高騰の問題がある中、PETを再生可能なバイオマス原料のみから製造することは重要な課題であり、当社は高分子化学、有機合成化学、バイオテクノロジーといったコア技術を融合させることによって、本課題の解決に対して精力的に取り組んでいます。

 東レは、「全ての事業戦略の軸足を地球環境におき、持続可能な低炭素社会の実現に向けて貢献していく」という経営方針のもと、バイオマス由来ポリマーの研究・開発およびポリ乳酸(PLA)を中心としたバイオマス由来材料事業の拡大を推進しています。バイオマスポリマーの拡大は中期経営課題“プロジェクト AP-G 2013”で掲げる「グリーンイノベーション事業拡大(GR)プロジェクト」においても、その中核を成す重要な取り組みです。
 東レは今後も、コーポレートスローガン“Innovation by Chemistry”のもと、持続可能な循環型社会の発展に向け、「ケミストリーの力」を駆使して新しい先端材料の研究・開発に注力して参ります。

 


2011年11月15日 東レ株式会社

世界初「完全バイオマス原料由来ポリエチレンテレフタレート(PET)繊維」の試作に成功

 東レは、この度、再生可能化学品および先端バイオ燃料のリーディング企業であるGevo社(本社:米国コロラド州イングルウッド市、 CEO:Patrick Gruber)が合成した完全バイオパラキシレンを原料として、世界で初めて「完全バイオマス原料由来ポリエチレンテレフタレート(PET)繊維」の試作に成功しました。

 Gevo社は、バイオマスを原料とし、同社が独自の先端遺伝子技術で改良した微生物を用いた高効率製造プロセスにより製造したバイオイソブタノールから、商業生産に使用されている化学変換反応によるパラキシレンの合成に成功しました。
 東レは、本年6月にこの再生可能なバイオマス原料由来のパラキシレンから自社技術により誘導されたテレフタル酸と、市販のバイオエタノール由来のエチレングリコールを原料とした完全バイオPETの重合に成功しています。また、これにより得られたバイオマス由来PETは、石油由来PETと同等の特性を有していることも確認しています。
 東レは新規技術を更に深化させ、このたび世界で初めて、完全バイオマス原料由来PETの繊維化にも成功しました。

 ポリエチレンテレフタレート(PET)は、最も生産量の大きい石油化学製品の一つです。これを原料とするポリエステル繊維は、世界で年間約4,000万トン生産されています。また、ポリエステル繊維は生活や産業のいたるところで使用されており、当社も主力製品の一つとして国内外で生産販売しています。
 今回の試作は実験室レベルですが、バイオマス原料のみからなるポリエステル繊維の製造が可能であることを証明したことは、持続可能な低炭素社会の実現に貢献する大きな一歩と言えます。
 当社は、今回試作した「完全バイオマス由来PET繊維」を、本年12月に東京ビッグサイトで開催される「エコプロダクツ2011」に出展する予定です。

 東レは、「全ての事業戦略の軸足を地球環境におき、持続可能な低炭素社会の実現に向けて 貢献していく」という経営方針のもと、バイオマス由来ポリマーの研究・開発およびポリ乳酸(PLA)を中心としたバイオマス由来材料事業の拡大を推進しています。バイオマスポリマーの拡大は本年4月からスタートした新しい中期経営課題 プロジェクトAP-G 2013 で掲げる「グリーンイノベーション事業拡大(GR)プロジェクト」においても、その中核を成す重要な取り組みです。
 東レは今後も、コーポレートスローガン“Innovation by Chemistry”のもと、持続可能な循環型社会の発展に向け、「ケミストリーの力」を駆使して新しい先端材料の研究・開発に注力して参ります。

 


Gevo 

Gevo is a leading renewable chemicals and advanced biofuels company. We are developing biobased alternatives to petroleum-based products using a combination of synthetic biology and chemistry. We plan to produce isobutanol, a versatile platform chemical for the liquid fuels and petrochemical market. Isobutanol has broad market applications as a solvent and a gasoline blendstock that can help refiners meet their renewable fuel and clean air obligations. It can also be further processed using well-known chemical processes into jet fuel and feedstocks for the production of synthetic rubber, plastics, and polyesters. Gevo's technology was designed to retrofit existing ethanol plants of all kinds