2012/5/23 ブリヂストン

“2050年を見据えて”「持続可能な」社会の実現に向けたタイヤ将来技術について〜「100%サステナブルマテリアル化」へ〜

 株式会社ブリヂストンは、本日、シンガポールの「WORLD RUBBER SUMMIT 2012」*1 で「100%サステナブルマテリアル化」に向けた当社の取り組みついて、取締役会長 荒川詔四が講演を行いましたが、その内容にあります「持続可能な」社会の実現に向けたタイヤの将来技術について紹介致します。

※1 5月22日から24日まで開催。IRSG(International Rubber Study Group)が主催する「WORLD RUBBER SUMMIT」は、天然ゴムおよび合成ゴムの生産者と消費者が参加し、ゴム業界の主要な動向やゴム産業の将来を形作るための基本的な問題をグローバルに議論する、世界で唯一の専門的なサミット。

 モビリティ関連は資源消費、CO2排出など、環境へのインパクトが大きい分野です。世界最大のタイヤメーカーとして、当社グループの取り組みが地球環境に大きく影響するものと深く認識しています。同時に、当社グループの役割は常に先進的、高品質な製品を安定供給することによって、世界の様々なニーズに対応してくことと考えています。
 このような考え方の下、「持続可能な」社会を実現する上で、当社グループは環境長期目標を策定し、その中でも当社の技術力、開発力を大いに活かすことができる独自の取り組みとして、特に「100%サステナブルマテリアル化」を重要な目標として位置付けています。その達成には技術の進化が必要不可欠ですが、特に新たに求められる技術は「再生可能資源の多様化・拡充」に寄与するものです。具体的には「新しい再生可能資源に『拡げる』」取り組みとして、「天然ゴム生産地域の多様化」に加え、「植物由来補強繊維の多様化・拡充」を図ります。また、「化石資源を再生可能資源に『換える』」取り組みとして、「バイオマス由来合成ゴムの開発」、「バイオマス由来カーボンブラックの開発」、「バイオマス由来新規ゴム配合剤の開発」等に取り組んでいきます。当社グループは2050年に向けてこれらの技術開発を追求し、その開発状況について随時発表してまいります。

 当社グループは、原材料から製品に至るまで、様々な技術開発を行っています。資源の多様化や、再生可能資源の活用、リトレッドなどの3R技術により、「100%サステナブルマテリアル化」するだけでなく、燃費向上を通じたCO2排出量の低減に寄与する技術なども搭載したものが、当社グループの考える将来のタイヤテクノロジーであり、理想のタイヤを通じて、当社グループは、「持続可能な」社会の実現を目指してまいります。

具体的な内容は下記の通りです。

1.ブリヂストンの環境長期目標

ブリヂストンの環境長期目標

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 



【環境長期目標の考え方】

「100%サステナブルマテリアル化」:当社グループの技術力・開発力を活かし、重点的に取り組む領域

「(CO2削減に向けた)グローバル目標への貢献」:既に取り組みを進めており、一定の成果も見られる領域

「生物多様性 ノーネットロス」:上記2つの領域において取り組みを進めた結果として実現を目指す領域


2.「100%サステナブルマテリアル化」に向けた具体的なアクション

「100%サステナブルマテリアル化」に向けた具体的なアクション

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 



3.「100%サステナブル化」を達成するために追求する技術

(1)「新しい再生可能資源に『拡げる』」取り組み

@天然ゴム生産地域の多様化
熱帯での天然ゴム資源に加えて、新たに乾燥帯や温帯で育つ天然ゴム資源となる植物を栽培し活用する技術です。天然ゴム生産の地域的集中を緩和することを目指します。グアユール (米国南西部からメキシコ北部の乾燥地帯が原産の低木で、その幹部などに天然ゴムを含んでいる植物)やロシアタンポポ(一般的なタンポポとは全く異なる植物で、カザフスタンおよびウズベキスタン原産の多年草で、その根部に天然ゴムを含んでいる)がその例です。

A植物由来補強繊維の多様化・拡充

タイヤ用補強繊維は現在、ポリエステルやナイロンなどの原油由来繊維とレーヨンのような植物由来繊維を使用していますが、植物由来繊維の供給性を大幅に向上させることができる「新セルロース※1繊維」の実用化に向けた取り組みをスタートします。

※1 植物細胞の細胞壁および繊維の主成分。天然の植物質の1/3を占め、地球上で最も多く存在する炭水化物。


(2)「化石資源を再生可能資源に『換える』」取り組み
 
@バイオマス由来合成ゴムの開発
バイオマスから作った中間原材料を用いて合成ゴムを得る技術です。これまで蓄積した原材料合成技術を生かして再生可能資源化することを目指します。バイオエタノール由来のブタジエンを用いた合成ゴムがその例です。
 
Aバイオマス由来カーボンブラックの開発
バイオマスから作った中間原材料を用いてカーボンブラックを得る技術です。これまで蓄積した原材料合成技術を生かして再生可能資源化することを目指します。植物油脂類を原料油として用いたカーボンブラックがその例です。
 
Bバイオマス由来新規ゴム材料の開発
バイオマスから得られる基本化合物は糖質からのバイオエタノール、植物油脂類からの脂肪酸 (パーム油から採れる油脂を分解したもの)、木材からのセルロース、リグニン(木材の内、セルロース以外の主成分)など炭素と水素に加えて酸素が多く含まれるものがあります。この多様性を生かして、新規に高性能ゴム材料を開発することに取り組んでいます。

 

ブリヂストンは5月31日、味の素からバイオマスから生成したイソプレンの提供を受け、合成ゴムの重合に成功したと発表した。

材料にバイオマスを使用、味の素が発酵技術を活用してイソプレンを生成、これをブリヂストンが同社の重合触媒技術を使って、合成ゴム〔高シスポリイソプレン〕の重合に成功した。