2024/11/14 東ソー   

CO2回収および原料化設備を稼働開始
〜CO2有効利用によるイソシアネート製品の低炭素化〜

東ソーは、このたび南陽事業所(山口県周南市)において二酸化炭素(CO2)回収および原料化設備を新設し、稼働を開始しました。

本設備で回収したCO2は当社主力製品であるイソシアネート製品(MDI等)の原料として使用します。

当社は、イソシアネート原料である⼀酸化炭素(CO)をナフサから製造しています。このたび稼働した設備では、自社技術による回収プロセスを用いて、CO製造過程から発生する燃焼ガス中のCO2を回収し、CO原料として活用します。
年間約4万tのCO2を回収し、ナフサ代替原料として有効利用することで、当社イソシアネート製品の低炭素化に寄与します。

また、CO2回収プロセスでは、自社開発の高耐久性CO2回収アミンを回収剤として採用しました。今後、本設備での運用により当社CO2回収アミンの性能、耐久性を確認すると共に、更なる性能向上および外販に向けた取り組みを推進してまいります。

当社は、長年培ってきたあらゆる技術と経験を結集してイノベーションの創出に挑戦し、CO2の削減と有効利用を達成するとともに、カーボンニュートラル社会の実現に貢献してまいります。

 

稼働した設備の概要

立地   当社 南陽事業所 イソシアネート原料生産設備(COプラント)内
設備概要 CO2回収および原料化設備
完工   2024年10月末
商業運転 2024年11月
CO2回収・有効利用量 約4万t/年


参考

2024.08.28   東ソー

CO2分離膜モジュールによるCO2分離回収プロセスの実用化検討がNEDOプロジェクトに採択


東ソー、国立大学法人 京都工芸繊維大学(繊維学系 谷口育雄教授)、国立大学法人東京工業大学(物質理工学院 応用化学系 小玉聡助教)、および再委託先としてキッツマイクロフィルター、国立大学法人東京農工大学(大学院工学研究院応用化学部門 兼橋真二准教授)は、NEDO(国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)の「カーボンリサイクル・次世代火力発電等技術開発/CO2分離・回収技術の研究開発/二酸化炭素分離膜システム実用化研究開発」プロジェクトの公募に対し、「革新的CO2分離膜モジュールによる効率的CO2分離回収プロセスの実用化検討」を共同で提案し、採択されました。

本事業の委託期間は2024年5月から2026年3月までです。

採択されたプロジェクトの技術開発は、火力発電所や化学産業、セメント産業、鉄鋼産業といった、CO2濃度が10%を超える工程ガスや排気ガスを対象に進めていきます。
共同事業者は、2020年度から実施しているNEDO事業において、アルカノールアミンを高分子マトリックスに担持した高分子膜材料で構成されるCO2分離中空糸膜モジュールの開発に取り組むとともに、東ソーに設置したベンチ設備を活用し、実際の火力発電所から排出される排ガスを使用した実ガス評価によるCO2分離膜モジュールの耐久性試験を行い、その安定性を確認しました。

これまでの成果を踏まえ、本事業では、さらなる技術開発を進めるため、以下の3点に重点を置いて研究を推進してゆきます。
@ ベンチ試験用CO2分離膜モジュールの研究開発
A CO2分離膜モジュールのベンチ試験
B 膜分離システムの社会実装検討

具体的には、CO2分離回収プロセスの実用化に向けて、膜面積の大面積化を実現することで、高い分離効率を維持しながらスケールアップを図るとともに、さらなる耐久性向上を目指した試験を継続します。また、社会実装に向けた具体的な課題の抽出と、それに対する解決策の検討を進めています。さらに、回収したCO2の有効利用プロセスの開発や、他の産業分野への適用可能性の検証も含まれます。

共同事業者は、気候変動問題の解決に貢献すべく、温室効果ガス(GHG)排出量削減に向けた取り組みを強化しています。エネルギー使用の効率化や、GHG排出量の削減、さらにはCO2の分離回収・原料化による有効利用技術の開発を推進し、中長期的な視点で持続可能な社会の実現に貢献してまいります。今後も引き続き、私たちは技術開発を通じて、環境保全と事業成長を両立させる取り組みを進めてまいります。