2012年2月28日 三井化学
ウレタン事業に関するSABIC社との提携検討開始及び事業再構築について
当社(社長:田中 稔一)は、サウジ基礎産業公社(Saudi Basic Industries Corporation、本社:サウジアラビア王国リヤド、CEO:Mohammed Al-Mady)との間で、ポリウレタン原料であるTDI及びMDIの製造技術ライセンス供与契約を締結するとともに、将来の事業提携の検討を行うことに合意しましたので、これらを含めたウレタン事業の再構築について、下記のとおりお知らせ致します。
1. ライセンス供与契約の概要
・ライセンス対象技術 : 当社が保有するTDI及びMDI製造技術
・契約締結日 : 2012年2月26日
・プラント運転開始時期 : 2016年(予定)
・立地 : サウジアラビア王国Al-Jubail地区
2. SABIC社との事業提携検討
当社は、SABIC社との間でウレタン事業における提携を検討することに合意いたしました。当社がSABIC社をウレタン事業の提携先とした理由は次のとおりです。
@ SABIC社は、ポリウレタン事業への参入を強く希望しており、また当社のTDI・MDI製造技術を高く評価し、当社からの技術ライセンスを希望していること
A 中東において安価な原燃料をベースとした競争力あるTDI・MDIの供給拠点を確保できること
B 当社ウレタン事業の川下に当たるコーティング・機能材及びシステムハウス向けに、競争力あるTDI・MDIを入手できること
SABIC社は、今後当社技術により世界で最も競争力のあるTDI及びMDIプラントの建設に向けた基本設計を開始します。
当社は、SABIC社との事業提携の検討を行い、プラント基本設計終了予定の2013年度を目途に、経済性等を精査の上、同社との合弁事業への参画を含めた提携最終案につき決定する予定です。
3. PPGの生産効率化
ポリウレタン原料の一つであるPPG(ポリプロピレングリコール)については、中長期的には国内需要が漸減するものと見込まれます。
そのため、当社は90%出資の子会社(日本曹達10%)である千葉ポリオールでのPPG生産(能力2.8万トン/年)を2012年6月をもって停止し、従来の国内3拠点体制から、名古屋工場及び徳山分工場の2拠点体制と致します。
これにより、生産効率化による一層のコストダウンを実施し、収益力の向上を図ってまいります。
4. 今後のウレタン事業の方向性
TDI及びMDIは、既存の国内拠点、韓国の錦湖三井化学及び上記のサウジアラビアでの新設プラントでの最適生産体制を取り、将来的には海外拠点からの供給をメインにしてまいります。一方、重点5事業の一つであるコーティング・機能材については、積極的な海外投資を含め、更なる事業の強化を図ります。
また、大牟田工場及び鹿島工場を中心とした国内拠点においては、先般実施した固定資産の減損による減価償却負担軽減とともに、2015年度までに2010
年度比80億円以上のコストダウンを目指して最大限前倒しで各種施策を実行しており、このうち30億円を2011年度末までに削減する見込みです。
今後は、更なるコストダウンと交易条件の改善に努め収益力を向上させるとともに、SABIC社へのライセンス供与に関するマザー工場としての役割も果たしてまいります。
さらに、工場の基盤強化策として、中長期的には農薬・メガネレンズモノマーなどの機能化学品や、塗料・接着剤などに用いられる高付加価値のイソシアネートへの投資により工場のポートフォリオを変革すべく、現有事業の拡大と新規製品の開発を加速してまいります。
参考資料
【SABIC社の概要】
名称 : サウジアラビア基礎産業公社(Saudi Basic Industries
Corporation)
所在地 : サウジアラビア王国 リヤド市
事業内容 : 総合化学、鉄鋼
資本金 : 30 billionサウジアラビア・リヤル(約6400億円)
売上高 : 190billionサウジアラビア・リヤル(約4兆円、2011年)
株主構成 : サウジアラビア政府(70%)、その他(30%)
設立 : 1976年9月
【千葉ポリオールの概要】
名称 : 千葉ポリオール株式会社
所在地 : 千葉県市原市五井南海岸12-41
事業内容 : PPGの製造 (製品は当社が全量引き取り販売)
資本金 : 1億円 (三井化学90%、日本曹達10%出資)
設立 : 1985年6月
【当社グループのポリウレタン材料生産能力(2012年2月現在)】
(単位:t /年)
TDI | MDI | PPG | |
---|---|---|---|
大牟田工場 | 120,000 | 60,000 | - |
鹿島工場 | 117,000 | - | - |
錦湖三井化学(株) (韓国) |
- | 155,000 (欄外 注) |
- |
名古屋工場 | - | - | 57,000 |
徳山分工場 | - | - | 50,000 |
千葉ポリオール(株) | - | - | 28,000 2012/6停止 |
(注)錦湖三井化学では、MDIの生産能力増強を決定しております。
増強後の生産能力は200,000t/年となり、2013年1月に営業運転開始の予定です。
【ポリウレタンの製造フロー概略】
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SABIC社へのTDI・MDI製造技術ライセンス供与について
当社(社長:田中 稔一)は、サウジ基礎産業公社(Saudi Basic Industries
Corporation、本社:サウジアラビア王国リヤド、CEO:Mohammed Al-Mady)との間で、ポリウレタン原料であるTDI及びMDIの製造技術ライセンス供与契約を締結しましたので、下記のとおりお知らせ致します。
1. 技術ライセンスの概要
ライセンス対象技術 : 当社保有のTDI及びMDI製造技術
契約締結日 : 2012年2月26日
プラント運転開始時期 : 2016年(予定)
立地 : サウジアラビア王国Al-Jubail地区
許諾範囲 :
TDI トルエンを出発原料とした中間体(DNT,TDA,ホスゲン)を含むTDIに係る全ての製造技術
MDI ベンゼンを出発原料とした中間体(ニトロベンゼン,アニリン、MDA、ホスゲン)を含むMDIに係る全ての製造技術
2. 技術ライセンス供与の背景
当社のTDI及びMDI製造技術は、長年にわたるTDI/MDIの製造を通じ、高品質な製品を安定的かつ安全に製造できる技術として、高い評価を受けております。当社技術ライセンスを通じ、SABIC社は競争力のあるTDI及びMDIを製造し、ポリウレタン事業への参入を実現する予定です。
なお、本契約を通じ、SABIC社との将来のウレタン事業提携についても検討する予定です。
<SABIC社の概要>
名称 : サウジアラビア基礎産業公社(Saudi Basic Industries Corporation)
所在地 : サウジアラビア王国 リヤド市
事業内容 : 総合化学、鉄鋼など
資本金 : 30 billionサウジアラビア・リヤル(約6400億円)
売上高 : 190 billionサウジアラビア・リヤル(約4兆円、2011年度)
株主構成 : サウジアラビア政府(70%)、その他(30%)
設立 : 1976年9月
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AMEinfo
Sabic acquires license to manufacture TDI and
MDI from Mitsui, eyes global leadership in polyurethane
The Saudi Basic Industries Corporation (Sabic) has signed a TDI and MDI
technology license agreement with Mitsui Chemicals, Inc., in keeping with the
company's strategic plan to be a global leader in polyurethane and serve its
customers with value-added services, solutions and products.
Under the agreement, Mitsui will provide manufacturing technology for producing
TDI and MDI, which are both raw materials for producing polyurethane. The
agreement also provides for joint technology development in TDI/MDI.
The agreement was signed by Mohamed Al-Mady, Sabic Vice Chairman and CEO, and
Toshikazu Tanaka, Mitsui Chemicals President and CEO, at Sabic's headquarters in
Riyadh on February 26.
Expressing strong optimism over the agreement, Al-Mady said that it would
spearhead a strategic collaboration between the two companies to explore future
possibilities to collaborate in the polyurethane (PU) business.
"The agreement will spur our strategic business plan to penetrate the global
polyurethane market as well as power the ambition and competitive advantage of
our customers for the long term," he said. "It will also enable a fast
development of PU application industries in Saudi Arabia, especially with
regards to thermal insulation which will contribute to employment creation as
well as energy savings."
Al-Mady pointed out that Mitsui Chemicals has a long experience as a
manufacturer of TDI and MDI and has over the years developed pioneering
manufacturing processes. "Through this technology license agreement, we will
strengthen our product capabilities with high quality TDI and MDI and expand
into the polyurethane business," he said
Tanaka commented, "For Mitsui Chemicals, this License Agreement will be the
largest and most extensive one we have ever made. We will support this project
full force on every front and are committed to its success. I hope that it will
be just the first step in a future business partnership with Sabic, which may
include establishment of a strategic supply base for competitive TDI/MDI."
Polyurethane is a resilient, flexible and durable manufactured material that can
take the place of paint, cotton, rubber, metal or wood in thousands of
applications across virtually all fields.
Polyurethane will serve a very rich variety of segments including building and
construction, automotive and transportation, furniture and bedding, sports and
footwear, food packaging, cold chain and refrigeration, and home appliances. The
advantages of polyurethane include strength and flexibility, application
versatility, variable rigidity/firmness, and high performance.
It is yet to disclose the cost of the TDI, MDI and polyurethane projects, their capacities or the development timeframe.
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November05 2010 [Source: ICB]
Saudi group starts talks with technology providers to become an integrated PU
producer
SABIC is planning to move into polyurethane (PU) production as part of a drive
to expand its performance chemical business.
Vice chairman and CEO Mohamed al-Mady said a feasibility study is being carried
out and SABIC is seeking technology to enter the PU market.
SABIC is already in talks with technology providers and a systems house to
produce PU products, he added.
The petrochemical giant would seek to become an integrated producer. "PU is
important for SABIC, and we will implement plans in the near future," said Al-Mady,
speaking at the K2010 trade fair for the plastics and rubber industry in
Dusseldorf, Germany.
He also said SABIC would be interested in entering
polyamide production if a current proposal to do so by another company in
Saudi Arabia did not get the go-ahead. There is no room for two such units in
the Kingdom, he said, while confirming that polyamide would fit with SABIC's
plans to add value to its product portfolio. Saudi Arabia
is looking at car production in the Kingdom, and SABIC wants to be able to
supply this sector if or when it emerges.
The company's recent investment in
polycarbonate (PC) production in Saudi Arabia also fits with this strategy.
Al-Mady said the new PC plant - part of the major
new Saudi Kayan complex, which is being built at Al-Jubail - would come on
stream in the first or second quarter next year.
Three units are already on stream, and 16 more plants are due up in 2011 and
2012, including phenol and cumene.
Al-Mady also revealed that SABIC is considering adding PC capacity in China,
downstream of the recently commissioned Tianjin complex, a joint venture with
Sinopec. This is a key step in plans the company announced in October 2010 to
manufacture polyurethane.
2012/2/28 日本経済新聞
三井化学、サウジ公社とウレタン生産提携
三井化学は28日、中東最大の素材企業のサウジアラビア基礎産業公社(SABIC)と現地でのウレタン原料の生産で提携したと正式発表した。三井が持つ生産技術をSABICに供与。2016年に大型プラントを立ち上げる。自動車部材や住宅建材などに使うウレタンは国内販売が低迷する半面、新興国での需要は拡大している。三井化学は海外にウレタン事業の軸足を移し、市場を開拓する。
新設プラントの年産能力は30万〜50万トンで世界最大規模になるとみられる。総事業費は1000億円を大きく超える見通し。割安の原油、天然ガスを活用できるため生産コストは日本より2〜3割削減できる見通しだ。
今回の提携に合わせて、三井化学は不採算の国内事業を縮小する。ウレタン原料の一つであるポリプロピレングリコールは需要回復が見込めず、生産子会社の千葉ポリオール(千葉県市原市)の設備を6月に停止。同社を年内に解散する。
今回、両社は技術面で提携したが、合弁事業への発展も視野に入れる。三井化学は、数百億円を負担して生産に参画するかを13年度に決める。
三井のウレタン事業は慢性的な赤字に陥っており、12年3月期の同事業の営業赤字は135億円の見通し。今回の提携で得られるライセンス料に加え、国内工場のコスト削減で14年3月期に黒字転換するとしている。
1.事業再構築による特別損失の計上について
当社は、大型市況製品である、ポリウレタン材料事業及びフェノール事業について、抜本的構造改革を検討してまいりました。平成26年2月6日開催の取締役会において、事業再構築策の一環として以下の設備停止を決議いたしました。これに伴い、当第3四半期連結会計期間において、本事業の事業構造改善費用として206億円を特別損失に計上いたしました。この特別損失には、固定資産の減損損失の他、現時点で見込まれる既存設備の撤去に伴う費用等を含んでおります。
(1) ポリウレタン材料事業における一部設備の停止、および鹿島工場閉鎖
@ 概要
当社鹿島工場の全プラント及び大牟田工場ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)プラント(6万t/年)を平成28年12月末を目途に、それぞれ停止いたします。鹿島工場については、トリレンジイソシアネート(TDI)プラント停止に伴い、特殊イソシアネート群及び有機酸プラントの競争力維持が困難となるため、平
成28年12月末を目途に全プラントを停止し、工場を閉鎖いたします。
なお、鹿島工場で生産している特殊イソシアネート群につきましては、プラント停止後は大牟田工場に生産移管いたします。
(鹿島工場のプラント及び生産能力)
・トリレンジイソシアネート(TDI 11.7万t/年)
・特殊イソシアネート群(2,400t/年)
・有機酸(無水マレイン酸 3.2万t/年、フマル酸 1.5万t/年)
TDI及びMDI事業は、中国を中心とするアジアでの大規模な新増設による市況悪化のため収益が低迷しております。
このような環境下、鹿島TDI、大牟田MDIプラントについては、国際競争力が劣位であり、設備能力削減による事業再構築策を実施すべきと判断いたしました。
なお、従前よりコストダウン対策等収益改善策を講じた結果、大牟田TDI、韓国(錦湖三井化学(KMCI))のMDIをはじめとする他の設備は、国際競争力を十分有しており、最適生産体制による同事業での勝ち残りを図ります。
(2) フェノール事業における一部設備の停止
千葉フェノール梶i出資比率
当社:55%、出光興産:45%)のフェノールプラント(CPH、生産能力25万t/年、出光興産叶逞t工場内)を平成26年9月末を目途に、また当社市原工場のビスフェノールAプラント(生産能力9万t/年)を平成26年3月末に、それぞれ停止いたします。
フェノール及びビスフェノールA事業は、中国での新増設ラッシュによる市況悪化のため収益が低迷しております。その中でも国内事業に関しては、国内需要の減少と輸出採算の悪化により稼働率が低下しており、設備能力削減による事業再構築が課題となっております。
このような環境下、千葉フェノール鰍フJVパートナーである出光興産鰍ニ協議を重ねた結果、CPHを停止することに合意いたしました。また、当社市原工場のビスフェノールAプラントについても、国内フェノール事業の再構築の一環として停止することを決定いたしました。
これらにより、国内の需給ギャップは解消され、収益が改善されます。日本からの輸出分は、中国において今5月稼働予定の中国石油化工股份有限公司(Sinopec)と合弁の新規設備により、カバーいたします。合弁会社の製品は、原料、製造プロセス、輸送までコスト競争力が域内トップの優位にあり、同事業に貢献します。