2013 年1 月18 日

日本触媒 事故調査委員会中間報告

http://www.shokubai.co.jp/ja/news/update/file2_0101.pdf

 

2012 年9 月29 日 14 時35 分頃、株式会社日本触媒姫路製造所において、高純度アクリル酸精製塔のボトム抜出液を一時貯蔵する中間タンク(機番V-3138、公称容量70m3)が爆発・火災を起こし、隣接するアクリル酸タンク、トルエンタンク及び消防車輌にも延焼した。

 

中間タンク(V-3138)の概要

1985 年11 月に設置された公称容量70m3 のコーンルーフ型タンクである。
精製塔の停止時等に精製塔からの抜き出し液を一時貯蔵する中間タンクであり、通常、精製塔ボトム液はV-3138 を経由せず回収塔へ直接供給されるため、当該タンクへの液の出入りはない。
タンク内部には、アクリル酸の凍結防止と当該タンクへ流入した液の冷却を兼ねて、冷却水コイルが設置されている。コイル上面までの液容量は約25m3 である。
アクリル酸は引火性液体であるが、その蒸気は酸素濃度が8vol%以下では燃焼しないため、タンク空間部には7vol%の酸素と93vol%の窒素からなるミックスガス(M-Gas)を供給し、シールしている。
タンクの貯蔵液は送液ポンプ(P-3138C)を介して、同じタンクへ循環されている。循環先はタンク側板下部に設置された液面計ノズル部(液面計リサイクル)及びタンク天板(天板リサイクル)の2 箇所がある。

姫路製造所では、2012 年9 月18 日から20 日の3 日間にわたって全面停電による電気・計装保全工事(全面停電工事)が実施され、その後、各製造設備を順次、スタートさせていた。

後日実施予定の回収塔能力アップテスト準備のため、9 月25 日9 時30 分頃よりV-3138から回収塔への送液を停止し、V-3138 の液溜めを開始した。

V-3138 下部の液はコイルにより冷却されるが、コイル上面より上部の液は冷却されにくくなり、貯蔵液縦方向に不均一な温度分布が生じた。その結果、比較的温度が高い領域において、アクリル酸の二量体(DAA)生成反応が緩やかに進行、この反応熱が温度を徐々に上昇させたと推定される。しかし、V-3138 には温度計が設置されておらず、温度上昇を検知できなかった。

温度の上昇の結果、アクリル酸の重合反応が開始し、重合熱により温度が更に上昇したと推定される。

(1) 中間タンクへ高温の精製塔ボトム液を受け入れ、また、タンクの貯蔵液量を増加したにもかかわらず天板リサイクルを実施しなかったために、冷却不足となり、タンク内でアクリル酸を高温で長時間滞留させることになった。
(2) アクリル酸二量体が、高温時において低温時と比較して早い反応速度で生成することは認識していたものの、その反応熱がタンク貯蔵液の温度上昇まで繋がる潜在的危険性があることを十分に認知していなかったため、タンクの貯蔵液温度の上昇を招いた。
(3) タンク貯蔵液の温度検知および温度監視の不備があったことにより、アクリル酸の重合反応が進行するまで異常な状況を把握できなかった。

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テレビ朝日系列「報道ステーション」(平成24年10月2日)の「工場爆発で作業員語る『通報できなかった理由』」と題する報道、および類似内容の報道への抗議
http://www.shokubai.co.jp/ja/news/news0100.html

 

「報道ステーション」では、

目的は、携帯電話の電波による製造所計器類の誤作動防止及び製造装置の爆発防止のためです。そのため、当社社員を含め、事業者の個人の携帯電話の現場持ち込みは禁止されています。従って本件対応の目的は、専ら安全上の理由によるものです。