2012年03月22日 日本政策投資銀行/ソニー

ケミカルプロダクツ関連事業の譲渡に向けた基本合意書の締結について

 本日、株式会社日本政策投資銀行(DBJ)及びソニーは、ソニーの100%子会社であるソニーケミカル&インフォメーションデバイス株式会社(SCID)が行っているケミカルプロダクツ関連事業を、ソニーからDBJに譲渡することについての意向を確認する基本合意書を締結しましたので、ここにお知らせ致します。今後、DBJとソニーは、本件取引に関して法的拘束力を有する正式契約を2012年5 月下旬を目処に締結することを目標に、ケミカルプロダクツ関連事業の精査を経た上、詳細な条件について協議してまいります。その後、関係当局の必要な承認及び認可の取得等を条件として、本件取引の2012年度第3四半期中の実施を目指します。

 SCIDは、
1) 異方性導電膜や光学弾性樹脂を代表的な商品とする、接合材料及び光学材料、磁気デバイス等のケミカルプロダクツ関連の製造・販売事業(以下、CP関連事業)と、
2) ソニーグループにて販売を行っている、光ディスクメディア、磁気テープ、ラミネート基板、フェリカカード及び医療用プリントメディア等の製造事業(以下、製造受託事業)
を行っております。

 本件取引の対象は、国内外でのCP関連事業です。なお、製造受託事業は、本件取引の対象外となり、本件取引が実施された場合においても引き続きソニーグループにてその事業を行っていきます。

 SCIDのCP関連事業は、スマートフォン及びタブレットPCを中心に今後も成長が期待できるディスプレイ用接合材料や光学材料といった分野をはじめとして、最先端材料の開発及びプロセス技術の高さをその強みとし、事業拡大の大きな潜在力を有しています。
 ソニーは、重点改革領域の一つである「事業ポートフォリオの改革」を推進する中、CP関連事業については、DBJとの本件取引により更なる成長と高収益体質の持続を図ることが最適であると判断致しました。

 DBJは、2010年度より、企業の付加価値創造を目的とした成長戦略支援への取り組みを開始し、本件取引はその一環として位置付けております。
 DBJ とソニーは、DBJとの本件取引によりCP関連事業の独立を図り、DBJの有する国内外のネットワークの提供や様々な経営資源の補完等により、今後もCP 関連事業の更なる成長が期待できると考えています。

 

ソニーケミカル&インフォメーションデバイス株式会社(SCID)概要

(1)設立年月  1962年3月

(2)所在地  東京都品川区大崎1-11-2 ゲートシティ大崎イーストタワー8F

(3)資本金  5,480百万円 (本発表日時点)

(4)出資比率  ソニー 100% (本発表日時点)

(5)代表者  代表取締役社長 一ノ瀬 隆 (いちのせ たかし)

(6)事業内容  接合材料、光学材料、磁気デバイス等の製造・販売、光ディスクメディア、磁気テープ、
                  ラミネート基板、フェリカカード、医療用プリントメディア等の製造

(7)従業員数  2,917名(2012年3月1日現在)

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日本経済新聞

ソニー、化学事業を政投銀に売却へ 本業に集中  300〜400億円で

 ソニーは液晶画面に使う光学フィルムなどを生産する化学事業を分離して売却する。製造子会社が持つ同事業を日本政策投資銀行に今秋にも譲渡する方針。売却額は300億〜400億円となる見込み。ソニーはテレビ事業の長期不振で2012年3月期の連結最終損益が2200億円の赤字になる見通し。非本業部門を売却して財務体質を強化し、エレクトロニクスなど中核事業に経営資源を集中投下する。

 売却するのは完全子会社「ソニーケミカル&インフォメーションデバイス」の主力事業。政投銀とは22日にも売却に向けた覚書を交わす。6月までに売却額などの詳細を詰め、今秋にも事業を譲渡する。約3000人いる従業員の雇用は維持する。政投銀は海外部門のてこ入れなどで事業拡大を支援し、中期的には株式上場などで保有株を売却して一定の利益を確保する。

 ソニーケミカルは光学関連フィルムや、工業用接着剤などの高機能部材を主に生産しており、11年3月期の売上高は約1100億円。光ディスクや非接触ICチップなどソニーの本業と密接な部門は分離せず、ソニー傘下に残す方向だ。

 ソニーは12年3月期に4期連続の連結最終赤字になる見込み。4月1日付で社長兼最高経営責任者(CEO)に昇格する平井一夫副社長は、経営再建策として本業のエレクトロニクス事業などとの相乗効果が薄い分野や不採算事業からの撤退・売却など「選択と集中」を加速する方針を表明。工業用の両面テープや建材用フィルムなども展開する化学部門の売却は、その第1弾となる。

 政投銀は事業会社に資本参加して事業を再構築し、企業価値を高めてから保有株を売却する再生型の投資事業を進めている。すでにベアリング大手のミネベアなどに資本参加しており、海外でのM&A(合併・買収)の仲介などで経営支援している。