発電所名は「新居浜北火力発電所」で、住友化学の愛媛工場新居浜地区に建設する。燃料はLNGのほか、住友化学の工場で発生する水素も活用する。投資額は500億円程度を予定している。
住友共同電力は愛媛県内に3カ所の石炭火力発電所を持ち、合計の発電能力は約58万キロワット。石炭に依存した発電はリスクが大きいと判断し、LNG火力発電所を建設することにした。同社は住友化学や住友金属鉱山など、住友グループの愛媛県内の工場に電力を供給しているほか、一部を四国電力に売電している。
読売新聞 2013/2/17 住友金属鉱山 環境への取り組みの歴史
瀬戸内の大煙突、倒壊のおそれ…住金鉱山が解体へ
瀬戸内海・四阪島(愛媛県今治市宮窪町)にある旧四阪島製錬所の大煙突(直径10.5メートル、高さ64.2メートル)が老朽化して倒壊のおそれがあるとして、住友金属鉱山が解体すると発表した。
4月中旬から半年かけて撤去する。
新居浜市の別子銅山では、採鉱した銅を製錬する際に発生した亜硫酸ガスによる煙害対策で、1905年に製錬所を四阪島に移転。大煙突は1924年に完成した。
煙突からの煙は島内の農作物などにも影響したが、煙を中和する工場ができて煙害は解消され、1939年に煙突の役割を終えていた。
四阪島は1915年のピーク時の人口5500人で、煙突は島のシンボル的存在として、漁船航行の目印にもなっていたという。コンクリートのはがれた現在の大煙突は、内部の鉄筋がさびついて劣化。同島で操業する亜鉛工場の従業員に危険があり、同社が解体を決めた。クレーンで最上部から取り崩し、事業費は約6000万円。着工前の3月27日には島民や漁業者らが出席して安全を祈願する。
一般に「四阪島」と呼称されるが、家ノ島、美濃島、明神島、鼠島、梶島の5つの島で構成される。
製錬所造成時に家ノ島と美濃島は埋め立てられ陸続きとなり、家ノ島に精錬所、美濃島には社宅等が設置された。
住友化学は開業100年を迎えた愛媛工場(愛媛県)に、日産自動車が業績のV字回復につなげた再建計画「リバイバルプラン」の業務革新手法を導入する。
日産からコンサルタントを招き、手法を学ぶ。
独自に進めてきた生産・業務活動の改善計画は現場力向上を目的としているのに対して、日産の手法は固定費などを最小化してコスト競争力を高めることに照準を置く。
徹底的に工場基盤を強くし、既存事業の強化や新規事業の育成を加速する。
2017/5/31 日本経済新聞 住友化学発表(2017/5/31)
600億円でLNC基地 住友化学や東ガス、愛媛に
住友化学や住友金属鉱山などは愛媛県に液化天然ガス(LNG)の受け入れ基地とガス火力発電所を建設する。総事業費は600億〜700億円で、2017年度中に着工する。これまで石炭火力発電所を稼働していたが、燃料をLNGに切り替える。LNG基地の運営では東京ガスグループや四国電力が中心になって設立する新会社と連携し運用の効率化を図る。
住友グループの各社が出資する住友共同電力(愛媛県新居浜市)が運営する。住友化学の愛媛工場(同)の敷地内に、発電出力15万キロワットのガス火力発電所やタンカーの係留所、LNGタンクなどを設置。2020年の稼働をめざす。LNG基地の設計などは東ガス傘下の東京ガスエンジニアリングソリューションズが手掛ける。
近隣にある各社の拠点に電力を供給するほか、発電で発生する蒸気も化学プラントの操業などに活用する。新発電所の稼働に伴い、住友共電が新居浜市に持つ石炭火力は、建設から50年以上の設備を停止する。
新居浜市は住友グループの発祥の地。グループの企業が工場や事業所を構える。今後、長期にわたって国内での生産活動を続ける可能性が高いことも、石炭火力からLNGへの転換を後押しした。
ーーー
2013/3/30 日経
住友共同電力、新居浜にLNG発電所 19年度稼働へ
住友化学など住友グループに電力を供給する住友共同電力(愛媛県新居浜市)は29日、液化天然ガス(LNG)の火力発電所を同市に建設すると発表した。2016年度に着工し、19年度の発電開始を目指す。出力は15万キロワットで、愛媛県内にある住友グループ各工場への電力供給体制を強化する。発電所名は「新居浜北火力発電所」で、住友化学の愛媛工場新居浜地区に建設する。燃料はLNGのほか、住友化学の工場で発生する水素も活用する。投資額は500億円程度を予定している。
住友共同電力は愛媛県内に3カ所の石炭火力発電所を持ち、合計の発電能力は約58万キロワット。石炭に依存した発電はリスクが大きいと判断し、LNG火力発電所を建設することにした。同社は住友化学や住友金属鉱山など、住友グループの愛媛県内の工場に電力を供給しているほか、一部を四国電力に売電している。
http://www.meti.go.jp/policy/safety_security/industrial_safety/sangyo/electric/files/nihamakita/shinsasyo.pdf |
住友化学は石油化学事業で低炭素化につながる技術の開発、事業化に向けた研究施設を開設した。炭素循環技術などの研究開発の要となる。石化事業では過去最大の赤字の要因となっていた中東の合弁会社の止血に一定のメドをつけた。同事業の今後の成長を低炭素化技術に託すが、安定的な収益源として育てるには技術開発のスピード感が求められる。
20日、報道陣に公開された「Innovation Center MEGURU」は、研究者同士で交流しやすい環境づくりに力を入れた。フロア中心を吹き抜け構造にし、それぞれの階の間に中2階のようなスペースを設けた。違う階の様子が見やすく自然発生的な交流を期待する。エッセンシャルケミカルズ研究所の森冨悟所長は「研究では日常会話からアイデアが生まれる機会も多い。交流を図るしかけをうまく活用し開発を促進したい」と話す。
6月に稼働を始め、年明けまでに人員や設備を移す。廃プラスチックなどの使用済み資源を分子レベルで分解して化学原料を回収・再利用する「ケミカルリサイクル」などの研究開発を担う。
千葉県の事業所に分散していた複数の研究所のほか、大阪府、茨城県からも人材を集め総勢400人規模となる。集約することで異なる分野の研究者同士での連携や、開発のスピードアップを狙う。電気自動車(EV)など次世代車向けの新素材も開発する。
化学業界は産業別で鉄鋼に次ぎ2番目に二酸化炭素(CO2)排出量が多い。さらに石化は市況の変動が大きく、足元では中国の増産の影響で収益が悪化。市況が戻っても従来と比べ収益の回復幅は小さいという見立てが多く、成長戦略として環境対応による高付加価値化や高機能品の拡充を進めている。
住友化学も低炭素化につながる技術を石化事業の今後の柱に据える。2030年までにケミカルリサイクルや、CO2を回収・利用しプラスチックなどの原料となるメタノールをつくる技術などの開発や実証を目指す。35年までに自社のプラントで展開する。その先は海外に技術供与しライセンス事業の拡大を目指す。新拠点はその要となる。
既に取り組みは進めつつある。車などに使われるアクリル樹脂のケミカルリサイクルでは愛媛県に実証設備を22年に設け、宝飾品などで再利用されているほかライセンス供与も展開。ウレタン樹脂の原料でもCO2排出量が少ない製造技術を他社に供与し、ライセンス収入に加え必要となる触媒もセットで販売する。石化の核を、自社で大型の設備投資をするビジネスから、安定的な収益が見込みやすいライセンス事業にシフトする。
住友化学の中での石化事業の位置づけも変化している。従来は石化の競争力強化が主要戦略の一つで、サウジアラビアの国有石油会社、サウジアラムコとの合弁企業「ペトロ・ラービグ」に多額の投資をしてきた。だが、ラービグは赤字が続き、7日には持ち株比率の引き下げを発表した。長期目標では農薬などが成長領域として集中的に投資する事業とされ、石化の優先度は以前より低くなっている。
環境対応技術の開発にはライバルも力を入れており、安定的な収入源とするには環境貢献の付加価値が高い技術をいかに早く実用化できるかが重要になる。開発や実用化のコスト負担の大きさもあり、化学業界では基礎化学品エチレンなどの環境対応で他社連携も進んでいる。「オープンイノベーションはますます重要になっていくので積極的にやっていきたい」(エッセンシャルケミカルズ研究所の安田剛グループマネージャー)。
実際に低炭素技術が事業として立ち上がるのは30〜35年以降とみられ、収益貢献には時間がかかる。ライセンス事業の売上高も今は100億円に届かないレベルだ。石化では不採算事業の撤退や他社との連携、ラービグの止血策なども進めるが、低炭素技術を収益の柱に育てるまでの過渡期に、どう稼いでいくかの方策も求められている。
ーーーーーーーー
2024/6/27 住友化学
千葉地区新研究棟「Innovation Center MEGURU」の稼働を開始
〜環境負荷低減技術の開発拠点を集約、新たな価値創造を加速〜住友化学は、千葉地区(千葉県袖ケ浦市)で建設を進めていた新研究棟「Innovation Center MEGURU」の竣工式を6月26日に執り行い、同日稼働を開始しました。当該研究棟は、当社の環境負荷低減技術に関わる研究組織を千葉地区において集約・強化するためのものであり、今後、技術や素材の開発をさらに加速し、新たな価値創造につなげてまいります。
2050年のカーボンニュートラル実現を目指す動きが世界的に加速する中、住友化学は、石油化学関連事業について、環境負荷低減技術による価値創造に大きく舵(かじ)を切ることとしています。今回の一連の取り組みは、その中核となる千葉地区での研究開発体制を変革することを目的としたものです。
住友化学の千葉地区は、従来から主に石油化学関連事業の製造・研究拠点として、高分子設計、触媒、プロセス、コンパウンド、加工などの技術に加え、事業化に必要となる実証のためのスケールアップ設備を有してきました。MEGURUでは、今後これらの技術を基盤とし、ケミカルリサイクルやマテリアルリサイクルなどの革新的な技術を生み出し、日本はもとより世界レベルでの社会実装を目指します。
同時に、これまで筑波地区や大阪地区に配置していた、スーパーエンジニアリングプラスチックや機能化学品などの研究に関わる人材や設備を、高分子材料開発の主力拠点でもある千葉地区内のMEGURUに移管、集約します。これにより、社内外の連携を一層強化できる体制を整備し、次世代のモビリティ材料や高速移動通信システム向け材料など、新素材の早期創出につなげていきます。
「MEGURU」という名称には、住友化学の創業精神である、事業を通じて社会課題を解決する姿勢への「原点回帰」と、次世代の「循環型社会」に資する技術革新を進めるという思いが込められています。また、こうした考えに基づいて、本施設では研究者間の交流を促進する空間設計を導入するとともに、建築物省エネルギー表示制度(BELS)の最高ランクを獲得し、「ZEB Ready※」の認証も取得するなど、環境に配慮した設計が施されています。
住友化学は、これまで培ってきた環境負荷低減技術に関する経営資源などを最大限活用しながら、新たな価値創造を実現し、ソリューション提供型ビジネスに重点を置く事業ポートフォリオへの変革を加速してまいります。
※ ZEB Ready:再生可能エネルギーを除き、基準一次エネルギー消費量から50%以上の削減に適合した建築物