「新・国家エネルギー戦略」について
平成18年5月31日 資源エネルギー庁 総合政策課
http://www.meti.go.jp/press/20060531004/20060531004.html
原油価格の高騰はじめ世界の厳しいエネルギー情勢を踏まえ、エネルギー安全保障を核とした「新・国家エネルギー戦略」の検討を進めてまいりました。今般、最終とりまとめを行いましたので、公表いたします。
1.「新・国家エネルギー戦略」策定の経緯
経済産業省では、原油価格高騰をはじめ昨今の厳しいエネルギー情勢にかんがみ、エネルギー安全保障を核とした「新・国家エネルギー戦略」の策定を進め、3月30日に中間とりまとめを公表したところです。
その後、総合資源エネルギー調査会総合部会(部会長・黒田昌裕
内閣府経済社会総合研究所 所長)における議論等を踏まえつつ、戦略項目の具体的な内容を最終的にとりまとめました。また、5月31日に行われる経済財政諮問会議において二階経済産業大臣から報告を予定しております。
2.「新・国家エネルギー戦略」の概要 骨子
戦略によって実現を目指す目標は、
@国民に信頼されるエネルギー安全保障の確立、
Aエネルギー問題と環境問題の一体的解決による持続可能な成長基盤の確立、
Bアジア・世界のエネルギー問題克服への積極的貢献の3点となります。
具体的には、以下の具体的な取組を行っていきます。
(1)世界最先端のエネルギー需給構造の確立 | |||
目標:およそ50%ある石油依存度を、2030
年までに40%を下回る水準とする 対応:以下の4つの計画に取り組む。 |
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@ | 省エネルギーフロントランナー計画 | ||
目標:2030 年までに更に30%、エネルギー効率の改善を目指す | |||
対応: | |||
これからの省エネを支える技術戦略の策定、優れた省エネ技術を認定するトップランナー基準の整備とトップランナーに対する支援の強化、中長期的な省エネ型社会システムの検討などにより、技術革新とそれを受け入れる社会システムの好循環を確立する。 | |||
A | 運輸エネルギーの次世代化 | ||
目標: 石油依存度を、2030 年までに80%程度とすることを目指す | |||
対応: | |||
燃費改善、バイオ由来燃料やGTL等新燃料の導入促進、電気自動車・燃料電池車等の開発・普及促進の三つの柱で、目標達成に至るアクションプランを提示した。 また、ブラジルや沖縄で開発・生産されているバイオ由来燃料活用促進、蓄電池の集中的技術開発による電気自動車、燃料電池車の早期導入などの具体策に取り組む。 |
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B | 新エネルギーイノベーション計画 | ||
目標: | |||
太陽光発電コストを2030 年までに火力発電並みに。バイオマスなどを活用した地産地消型取組を支援し地域エネルギー自給率を引き上げる。など。 | |||
対応: | |||
技術力を磨き新たな産業として自立させるための支援策を提示。新エネルギーなどを目で見て触れて理解できる、「次世代エネルギーパーク」の形成の促進、次世代蓄電池をはじめとした革新的なエネルギー技術の開発などの具体策に取り組む。 | |||
C | 原子力立国計画 | ||
目標: | |||
2030年以降においても、発電電力量に占める比率を30〜40%程度以上にする。核燃料サイクル早期確立、高速増殖炉早期実用化に取り組む。 | |||
対応: | |||
供給安定性に優れ、運転中にCO2もほとんど排出しないクリーンなエネルギー源である原子力発電を、安全確保を大前提に推進する。原子力発電推進に向けた投資環境整備、核燃料サイクルの早期確立、国際的な原子力の平和利用の推進などに取り組む。その詳細は、総合資源エネルギー調査会原子力部会の報告にとりまとめ6月中を目途に公表する。 | |||
(2)資源外交、エネルギー環境協力の総合的強化 | |||
@ | 総合資源確保戦略 | ||
目標: 石油自主開発比率を、2030 年までに、引取量ベースで40%程度とする。 | |||
対応: | |||
ODAの積極的活用や投資交流の促進、様々なレベルでの人的交流の拡大など、資源国との総合的な関係強化を図る。このため、資源確保指針の策定を通じ、政策金融、貿易保険、経済協力など政府及び関係機関が一体となった取組を進める。また、本枠組みの下、資源開発を担う中核的企業への支援を強化する。さらに、メタンハイドレードの開発利用、石炭のクリーンな利用など、世界最先端の化石燃料利用国となるための取組の支援に取り組む。 加えて、レアメタルなどの鉱物資源についても、海外における資源開発、供給源の多様化等の施策を、政府及び関係機関一体となって戦略的・総合的に推進する。 |
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A | アジアエネルギー・環境協力戦略 | ||
目標: 省エネをはじめエネルギー協力を展開し、アジアとの共生を目指す。 | |||
対応: | |||
エネルギー需要が急増しつつある中国、インド等アジア諸国に対し、省エネ分野、石炭の有効利用・生産保安分野、新エネ分野、原子力分野など、様々な分野でエネルギー環境協力を戦略的に展開する。 | |||
(3) 緊急時対応の充実 | |||
製品備蓄の導入をはじめとする石油備蓄制度の見直し・機能強化、天然ガスに関する緊急時対応体制の整備 など緊急時対応の充実に取り組む。 | |||
(4) その他 | |||
官民連携した取組を促すため、2100年、2050年と言った超長期の視点から課題を遡及させることによって得られる技術のあるべき姿を踏まえつつ、2030年に向けて解決すべき技術開発課題を、エネルギー技術戦略の形でまとめる。 | |||