2008・9・11            他記事

腎臓結石の乳児、発症例7省に拡大…同一粉ミルク使用

  甘粛省で6月28日以来、1歳未満の乳児14人が腎臓結石を発症していた件に絡み、7つの省で同様の症状が乳児に出ていたことが分かった。いずれも長期にわたって同一商品の粉ミルクを使用していた。広州日報などが伝えた。

   これまでに、同じ粉ミルクを使用した乳児で腎臓結石患者が確認されたのは甘粛省、湖南省、湖北省、山東省、安徽省、江西省、江蘇省の7つの省。これま で、南京市では、10人の患者が出た。湖北省武漢同済医院(病院)では、2007年は同症状の乳児患者が1例しかなかったが、08年には6人を治療したと いう。

  8日に発症者多発を明らかにした甘粛省蘭州市の中国人民解放軍第一医院泌尿科の李文輝医師は、乳児の結石は尿酸を多く含んでいたが比較的珍しいタイプで、脂肪やたんぱく質の摂取量が不足しために代謝異常が発生したとの見方を示した。

  中国では2003年から04年にかけて、安徽省で生産された劣悪な品質の粉ミルクが原因で、同省内だけで10人以上の乳児が死亡した事件が発生し、「毒ミルク事件」として大きな問題になった。

  2008年の乳児の腎臓結石多発は、使用していた粉ミルクとなんらかの関係があるとの考えが見方りつつあり、被害範囲は03−04年の「毒ミルク事件」より広まるとの観測も出ている。

  中国では4月、国外ブランドの粉ミルクが5−30%、国内ブランドは10−20%値上がりした。腎臓結石の多発との関係が疑われている粉ミルクは安価な商品で、収入が少ない家庭が多い農村部の購入者が多かったという。

  写真は北京市内で4月に開催された妊娠した女性と児童のための商品展示即売会。羊の乳を加えた高級商品がよく売れたという。一方、粉ミルクの値上がりは貧困な家庭の家計への影響が大きかったとされる。

2008/9/11

甘粛省で死者出ていた―粉ミルク疑惑の乳児腎臓結石

 甘粛省衛生庁は11日、乳児に腎臓結石が多発していることに関連して記者会見を開き、調査結果を発表した。2008年になり、省内で59人が発症し、うち1人が死亡していたという。中国新聞社が伝えた。

  同省蘭州市内の病院では、08年前半に腎臓結石の患者16人を治療した。大部分は生後5−11カ月の乳児で病状は重く、腎機能に障害を受けた患者もいた。

  省内全域の症例を調べたところ、06、07両年の発症はなし。08年になり59人が発症し、うち1人が死亡していた。患者の大部分は農村部の子どもだったという。

  腎臓結石は成人に多い病気で、児童や乳幼児の発症は比較的少ない。これまでに、発症した乳児は河北省に本社を置く大手メーカーの三鹿集団の粉ミルクを使用していたとされている。

  記者会見で同省報道官は、製造元の企業名を出さず「衛生監督機構はすでに、某企業の生産条件、品質チェック能力の調査などを行なっており、製品サンプルは国の機関に送って検査中」と説明した。

 

2008/9/12

ミルク製造元がメラミン混入認める―乳児の腎臓結石

  新華社電によると、石家荘三鹿集団股フェン有限公司は11日夜、8月6日以前に出荷した同社製の乳幼児用粉ミルクにメラミンが混入していたとして、該当製品700トンをすべて回収することを決めたと発表した。

  これまで、同社製の粉ミルクを使っていた乳児に腎臓結石が多発してたことが明らかになっていた。症例は甘粛省、湖南省、湖北省、山東省、安徽省、江西省、江蘇省など、多くの地域に広がっている。

  甘粛省衛生庁は、2008年になり同省内の乳幼児で、腎臓結石による死亡例があることを確認した。同庁は、06年、07年に省内に発症例はなく、08年になってから59の発症例があったとした。

  中国衛生部の専門家によると、メラミンは泌尿器の結石をもたらす可能性があるという。

  07年春には、中国から米国に輸出されたペットフードにメラミンが含まれていたことで、ペットが死亡する事件があった。

   メラミンは窒素を多く含む有機化合物で、食品に混入していると、たんぱく質含有量の測定で、実際よりも高い数値が得られる場合がある。07年のペット フード問題では、使用した粉末たんぱくのメーカーが、たんぱく質純度を高くみせかけるためにメラミンを混入したとされている。

 

 

2008/09/12  news.searchina.ne.jp

三鹿集団の粉ミルク事件、原乳に毒物を故意に混入か

 12日付新華社電によると、乳幼児に腎臓結石患者が多数出た三鹿集団の粉ミルク事件で、同社本社がある河北省石家荘市当局は8月中に原料乳に何者かが故意に毒物のメラミンを混入させた事件と判断し、同市公安(警察)も捜査を進めていたことが分かった。

  同電によると、三鹿集団は2008年3月以来、消費者から同社製品を使用した乳幼児の◆尿が濁る◆尿中に顆粒がある――などの連絡を受けた。6月中旬には多くの乳幼児が腎臓結石を発症して医療機関で治療を受けているとの情報も得た。

   同集団が製品の品質検査を繰り返したところ、8月上旬に製品からメラミンを検出したため、石家荘市の関連部門に報告した。市共産党委員会と市政府は緊急 会議を行い、疑いがある製品の全面回収とメラミンを含む製品が再度市場に出回ることの絶対阻止を同社に指示。さらに、関係部門が調査した結果、メラミン混 入は人為的に行なわれた「事件」と断定した。

  同市公安は9月12日朝までに、事件に関係する可能性がある78人に事情を聞くなど、捜査を進めている。

  三鹿集団は9月10日までに、問題がある粉ミルク2176トンを封印。すでに出荷された8210トンは回収。さらに約700トンは回収作業中という。また、8月5日以降はメラミンを含んでいないことを確認した上で、粉ミルクを出荷しているという。

   メラミンは窒素を多く含む物質で、食品に加えると通常の検査では、同じく窒素を含むたんぱく質の含有量が実際よりも多く表示される。そのため三鹿集団の 粉ミルクでは、原料乳を水増しすると同時にメラミンを加えて品質検査をパスしようとした、営利目的の犯罪行為があったとみられている。

  中国では07年春、中国から輸出されたペットフードにメラミンが含まれていたことで、米国などでペットが死亡する事件があった。

  中国各地で三鹿集団の粉ミルクを使用した乳幼児に腎臓結石が多発してることが明らかになったのは、9月8日の甘粛省蘭州市での医師の発言がきっかけ。新華社電は、石家荘市当局が8月に問題が明らかになった時点で広く注意を呼びかけなかった理由は伝えていない。


2008年9月13日 asahi

粉ミルクに化学物質 中国当局が「不法分子」78人聴取

 中国の国営新華社通信によると、化学物質メラミンに汚染された三鹿集団(河北省石家荘市)製の粉ミルクを飲んで乳児が腎臓結石になった問題で、河北省石家荘市政府は12日、「不法分子が利益を上げるため、水で薄めた原料の牛乳にメラミンを添加した」とする調査結果を明らかにした。

 地元捜査当局は関係者78人を取り調べており、立件に向け本格捜査に乗り出した。

 衛生省などの調査グループは、病気になった乳児の尿からメラミンの成分を検出しており、「結石は汚染粉ミルクが原因」と結論づけた。

 被害者は中国各地に拡大。北京市衛生局によると、泌尿器系の結石になった乳幼児25人が病院で治療を受けた。上海市内の病院でも乳幼児22人が治療を受けている。三鹿集団は製品の回収を決めたが、被害拡大が懸念されている。


毎日新聞 2008年9月14日

中国:粉ミルク汚染 乳幼児430人が腎臓結石、1人死亡

 【北京・浦松丈二】中国衛生省は13日、大手乳製品メーカー「三鹿集団」(本社・河北省石家荘市)が製造した粉ミルクに有機化合物メラミンが混入 し、同製品を摂取した乳幼児に腎臓結石などの健康被害が生じているとして、同社に生産停止を命じたと発表した。また河北省当局者は同日、粉ミルクの原料の 牛乳にメラミンを混入させた疑いで警察が容疑者19人を拘束したことを明らかにした。

 ◇化合物混入、19人拘束

 中国では粉ミルクを飲んだ乳幼児が腎臓結石となるケースが相次ぎ、これまでに国内各地から報告のあった患者数は432人にのぼる。報道によると、 甘粛省で乳児1人が死亡したほか、北京、上海両市や江蘇、山東、安徽、湖南各省などで発症が確認された。いずれも三鹿集団の製品だった可能性が高い。

 同社でメラミン混入の疑いがあるのは今年3月から8月5日までに製造された粉ミルクで、約700トンが市場に流通しているという。北京の日本大使館によると、同社製の粉ミルクは日本には輸出されていない。

 同社がある石家荘市政府は「粉ミルクの原料の牛乳を買い取る過程で、不法分子が利益を上げるため牛乳を水で薄め、メラミンを添加した可能性があ る」と説明。一般的に食品のたんぱく質含有量は窒素の測定値を基に計算される。メラミンには窒素が多く含まれており、牛乳を水で薄めたことをごまかすた め、メラミン混入でたんぱく質含有量を多く見せかけようとしたと考えられる。

 メラミンは窒素を多く含む有機化合物で、食品に混入していると、たんぱく質含有量の測定で、実際よりも高い数値が得られる場合がある。

 一方、同社は8月上旬までには混入に気付いていたとみられるが、インターネット上などで「北京五輪開幕(8月8日)直前だったため隠ぺいしたのではないか」と公表遅れに批判が高まっている。

 ◇メラミン

 木工製品の表面材の接着や食器の製造などに利用される合成樹脂の主要原料。体内に摂取すると腎臓障害を引き起こす。07年にはカナダのペットフード会社が原料として輸入した中国産小麦に混入し、米国で同社製品を食べた犬や猫4000匹以上が死んだ。

2007/5/19 中国製医薬品とペットフードから毒性物質 http://www.knak.jp/blog/2007-05-2.htm#syrup

米国とカナダでは今年3月、メラミンが違法に添加されていたペットフードを食べた数百匹の犬と猫が原因不明で死亡した。

FDAは史上最大の製品リコールを行い、中国の2社、江蘇省徐州市の Xuzhou Anying Biologic Technology Development Co. と山東省の Futian Biology Technology Co. Ltd.を突き止めた。

メラミンの添加された両社の製品は成分が小麦グルテンと米プロテインと表示されていたが、実際には単なる小麦粉であった。

FDAの係員が製造した2社を訪問したところ、工場は閉鎖され、機械類も取り去られていたという。

 

米国ではメラミン添加は禁止されているが、中国では、メラミンには栄養価はないが、検査で蛋白質が入っているように見せかける安価な添加物として、動物飼料生産者は何年もの間メラミンを飼料に添加してきたという。

オンタリオの研究者は、小麦グルテンに含まれるシアヌル酸とメラミンが混合すると、動物の腎機能を妨害する結晶を形成するとしている。

窒素を手がかりに推計する在来法

食品タンパク質の測定にはデンマークのビール醸造者ケルダール(Johann Kjeldahl)が19世紀後半に開発した方法が使われている。強い酸で試料を溶かし,有機物質の分解で生じた窒素をアンモニアに変える。アンモニアの量は元の試料が窒素をどれだけ含んでいたかを示し,つまりはタンパク質の量もわかる。「この方法は確実で正確だ」とマサチューセッツ大学アマースト校の食品科学者マクレメンツ(Julian McClements)はいう。さまざまな製品に適用でき,タンパク質の種類も選ばないのが利点だ。
これとは別に,やはり窒素を基にしたデュマ法もよく使われる。この方法では試料を燃やして窒素を放出させる。分析手法の標準を定めている国際分析化学者協会(AOACインターナショナル)は食品含有タンパク質の標準測定方法としてケルダール法とデュマ法を挙げている。
ケルダール法もデュマ法も実績のある確立した検査法かもしれないが,完全に正しいわけではない。どちらも,すべての窒素が食品中のタンパク質(窒素を基本とするアミノ酸からできている)に由来すると仮定している。この仮定は不純物を含まない食品を分析する場合は妥当だ。食品を構成する他の主な要素は炭水化物と脂肪だが,これらは窒素を含んでいない。しかし,検査はタンパク質に由来する窒素とそれ以外の窒素を合わせた総量を検出しており,タンパク質そのものを測定しているわけではない。
というわけで,窒素を豊富に含む化学物質を使えばケルダール法やデュマ法をごまかすことも可能だ。ペットフード事件では,メラミンから発生した窒素とアミノ酸由来の窒素との区別がつかず,試料中のタンパク質が多く計算されてしまった。

メラミンC3H6N6 は尿素 (H2N)2C=Oとアンモニアを高温で反応させて工業的に合成している合成樹脂の原料だ。
メラミンの窒素含有量は67%だ。実に高い。一方、タンパク質は高純度で水分がない状態のものでも、窒素含有量は13%程度だ。通常は10%以下だ。