日本経済新聞 2007/1/12

電子材料メーカーの製造設備 償却期間、短縮相次ぐ 業績好調で前倒し計上

 製造設備の減価償却期間を短縮する電子材料メーカーが相次いでいる。信越化学工業が半導体シリコンウエハーを5年から3年に、昭和電工も国内のハードディスク(HD)を6年から3年に短縮した。電子材料は設備の陳腐化が早く、好調時に費用を前倒し計上して将来のリスクに備える。来年度の税制改正大綱で、法定耐用年数の短縮が盛り込まれたため、償却期間短縮の動きは一段と広がりそうだ。
 信越化、昭電工、日本ゼオンは税法の法定耐用年数よりも償却期間を短くする。信越化は2007年3月期から償却期間を変更。この影響で今期の償却費は245億円増える。金川千尋社長は「ウエハーは市況の波が激しい。これで価格競争になってもとことん戦える」と話す。
 昭電工は2006年12月期から国内HD設備の償却期間を短縮。前期の償却費は29億円増えた。昨年12月に完成したシンガポールのHD工場も3年償却の方針。今期の償却費は前期(380億円強)から100億円強増える見通し。
 ゼオンは07年3月期から、液晶パネルの視野角を広げる位相差フィルム設備の償却期間を短縮する。現在は法定耐用年数と同じ8年だが、5年程度にする方向だ。
 来年度の税制大綱では、薄型パネル、薄型パネル用フィルム材料、半導体フォトレジストの3種類について、法定耐用年数を従来の8−10年から5年に短縮する措置を盛り込んだ。法定耐用年数が短くなれば、年間の損金計上額が増え、税負担を軽減できる。
 液晶用光学フィルムの世界最大手、日東電は「具体的な影響額は試算中」としているが、仮に07年3月期の償却年数を5年に短縮すると、償却費が30億−40億円ほど増える計算。半導体フォトレジスト大手のJSRも3−4億円増える。
 凸版印刷も液晶パネル用カラーフィルターのすべての工場で、すでに償却期間を5年間にしているが、来期以降に5年未満にする方向で検討している。
 減価償却の期間短縮の背景には、企業業績が順調に伸びていることがある。償却を早めることで、財務墓盤を強固にし、激化する国際競争に備える狙いがある。

減価償却期間を短縮する電子材料メーカー
(償却費増加額は年間当たり、単位億円)

  適用
決算期
対象製品 償却年数 償却費
増加額
信越化 07/3 半導体シリコンウエハー 5年→3年 245
昭電工 06/12 ハードデイスク 6年→3年 29
ゼオン 08/3 液晶用位相差フィルム 8年→5年程度 6-7
日東電 08/3 液晶用光学フイルム 7年→5年 30-40程度
JSR 08/3 半導体フォトレジスト 8年→5年 3-4
凸版 08/3 液晶用カラーフィルター 5年→5年未満 不明