毎日新聞 2008/8/12
カフカス 多様な民族紛争多発
ロシアとグルジアが軍事衝突した南オセチアは、黒海とカスピ海にはさまれたカフカス(英語名コーカサス)地方に位置する。中央を横断するカフカス山脈を境に、北側の北カフカスにはロシアの共和国、南側の南カフカスにはグルジア、アルメニア、アゼルバイジャンの旧ソ連3カ国がある。
カフカスは宗教、言語、民族構成が複雑に入り組み、ソ連時代の共産主義体制下では民族対立は封じられていたが、ソ連がペレストロイカ(立て直し)に着手した80年代以降、各地で民族主義が噴出。91年のソ連崩壊で一気に表面化した。
ここ数年も分離独立を目指す動きや散発的な衝突が続いていただけに、今回再燃した南オセチア紛争が他に「飛び火」する可能性もある。カフカスは、新たな「世界の火薬庫」ともいわれている。
ロシア連邦:少数民族自治的な21の共和国がある。 1.
アディゲ共和国 Adygea、2.
アルタイ共和国 Altai |
@南オセチア紛争
オセット人が多いグルジア共和国南オセチア自治州が90年、同じ民族構成のロシア領北オセチア共和国への編入を求め、グルジアと衝突。92年にロシア、グルジア間で和平合意した。大相撲の露鵬、白露山は北オセチア出身。
Aアブハジア紛争
グルジアからの独立を目指すアブハジアが92年に主権を宣言。紛争になり、10万人が死亡、25万人が難民化した。94年に停戦合意した。大相撲の黒海もアブハジア難民。
Bチェチェン紛争
91年のソ連崩壊後、ロシア南部のチェチェン共和国でイスラム勢力が独立を宣言。これを認めないロシアが94年に軍事介入、96年に停戦合意した(第1次紛争)。しかし、独立強硬派は99年、隣のロシア領ダゲスタン共和国に進攻した。ロシアが再び軍事介入し、00年にチェチェンの首都グロズヌイを制圧した(第2次紛争)。
06年にはロシア政府のチェチェン弾圧を批判してきたロシア人のポリトコフスカヤ記者がモスクワで暗殺された。
C北オセチア・ベスラン学校占拠
04年9月1日、北オセチア共和国北部のベスランで、チェチェン独立派を中心とする武装集団が学校を占拠し、児童、保護者ら約1100人を人質に立てこもった。同3日、ロシア治安部隊が突入し銃撃戦となり、約330人が死亡した。
Dナゴルノカラバフ紛争
88年、アルメニア人が多いアゼルバイジャン共和国ナゴルノカラバフ自治州がアルメニアヘの編入を求め、アゼルバイジャンと衝突。ロシアの仲介で94年に停戦合意した。