日本経済新聞 2009/9/15

豪のLNG事業、欧米石油3社がCO2地下貯留

 米シェブロン、米エクソンモービル、英蘭ロイヤル・ダッチ・シェルの石油大手3社はオーストラリア北西部沖の海底ガス田「ゴーゴ ン」事業で発生する二酸化炭素(CO2)の回収・貯留(CCS)技術の事業化に取り組む。液化天然ガス(LNG)設備の建設地の地下に40年間で約1億2 千万トンのCO2を封じ込める計画で、豪政府も資金面などで支援する。

 シェブロンなど3社は14日、ゴーゴン事業への着手を正式決定したと発表した。投資総額は約430億豪ドル(約3兆3700億円)。2014年から年間 1500万トンのLNG生産を始め、日本や中国向けなどに供給する。権益の1%を取得する東京ガスは14日、投資額が約340億円になると発表した。

 

2009/9/14 日本経済新聞夕刊

欧米石油3社 豪で3兆円LNG事業
 年産1500万トン 3割、日本向けに

 オーストラリアで大型海底ガス田の開発が本格化してきた。米シェブロンなど欧米の石油大手3社は14日、北西部沖での事業開発を決定したと発表した。投資額は豪資源関連事業では過去最大となる約430億豪ドル(約3兆3700億円)。大阪ガス、東京ガスなど日本勢が年間生産量の3割弱を受け取る見通し。ガス田では豪エネルギー大手ウッドサイドや国際石油開発帝石も事業着手の準備を進めており、アジアの需要増をにらみ開発が加速しそうだ。

                  North west Shelf                   

 シェブロンが開発するのは50%の権益を持つ北西部沖「ゴーゴン」事業で、埋蔵量は液化天然ガス(LNG)換算で約8億3千万トン(約40兆立方フィーと)と世界最大規模。それぞれ25%の権益を持つ米エクソンモービル、英蘭ロイヤル・ダッチ・シェルとともに、年間生産能力1500万トンのLNG設備を建設し、2014年から生産を始める。
 シェブロンはゴーゴン事業で大阪ガス、東京ガスに14年からの25年間、2社合計で年間247万5千トンのLNGを供給する長期契約を結んでいる。大阪ガスがシェブロンから1.25%の権益を取得し、400億〜500億円の投資額を負担する一方、東京ガスも1%の権益を取得し約300億円を負担する。

東京ガス 当社の参画比率(1%)に応じた約4億3千万オーストラリアドル(約340 億円)を投資いたします。

 中部電力もシェブロンと年間150万トンの供給で基本合意しており、長期契約と権益取得、投資負担についての交渉を進めている。これら日本勢3社には国際協力銀行(JBIC)や大手邦銀が融資する見込みで、日本が米欧石油大手3社に次ぐ投資主体となる。
 ゴーゴン開発では中国石油天然気(ペトロチャイナ)がエクソンモービル、シェルと合わせて年間425万トンの長期購入契約を結んでいる。エクソンはインド、シェルは北米にも輸出する予定。これまで豪州産LNGはほとんどが日本向けに輸出されていた。

米石油大手エクソンモービルと中国石油天然ガス(ペトロチャイナ)は2009年8月18日、オーストラリアにあるゴーゴンプロジェクトの液化天然ガス(LNG)について、410億ドル規模の供給契約を結ぶことで合意した。
ペトロチャイナはエクソンとの契約により、西オーストラリア州沖合にあるゴーゴンLNGプロジェクトから、20年間にわたりLNGを
年間225万トン購入する。

シェルグループは2008年11月24日、PetroChina International Company Limitedと Shell Eastern LNGが拘束力を有する売買契約(SPA)に調印したと発表した。主な供給源はオーストラリアの Gorgon project。契約期間は20年、シェルは毎年200万トンのLNGをペトロチャイナに供給することになる。

 一方、ウッドサイドは北西部沖の「ブラウズ」(埋蔵量約2億9千万トン)と北部沖「グレーター・サンライズ」(同1億6千万トン)の両事業で、年内にもLNG設備の建設地を選定する。投資額は合わせて600億豪ドルを超えると見られている。「サンライズ」事業では大阪ガスが10%の権益を保有する。

Browse LNG Developmen

Browse is a world-scale development which forms part of Woodsides LNG strategy.

The Browse gas fields include the Torosa, Brecknock, and Calliance discoveries which are located 425km north-west of Broome, Western Australia. The fields contain a combined contingent resource of about 14 trillion cubic feet of dry gas and 370 million barrels of condensate (as at 31 December 2008).

Since 2002, Woodside, as Operator, and its Browse joint venturers have evaluated several options for the location of the developments LNG processing facilities. This evaluation has involved environment, social, technical and economic studies and consultation with Traditional Owners, conservation groups, business and industry organisations, community groups and all tiers of government.

Following the evaluation process, two options remain under consideration. These are the State Governments proposed LNG precinct in the James Price Point coastal area in the Kimberley or existing Woodside-operated facilities located near Karratha.

Joint venturers:Woodside Energy Ltd (operator), BHP Billiton (North West Shelf) Pty Ltd, BP Developments Australia Pty Ltd., Chevron Australia Pty Ltd, Shell Development Australia Pty Ltd.

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Sunrise

The Sunrise Gas Development lies in the Timor Sea north of Australia and includes the Sunrise and Troubadour fields.

The joint venture has spent about A$250 million on exploration, appraisal, marketing, technical and commercial feasibility studies since the fields were discovered in the mid-1970s.

Following ratification of key agreements between Australia and Timor-Leste in February 2007, a development team was reconstituted to review all available data to determine if further appraisal work is required.

Development options include a brownfields expansion of the Wickham Point Bayu Undan LNG plant at Darwin. Development is contingent on the project receiving legal, regulatory and fiscal certainty from the Timor-Leste and Australian governments.

Location: 450km north-west of Darwin, Northern Territory
Water depth: 90 to 550 metres
Permits: NT/RL2, NT/RL4, JPDA 03-19, JPDA 03-20
Discovered: 1974 Troubadour
1974 Sunrise

Joint venturers: Company Equity %
 Woodside (operator) 33.44
 Conoco Phillips 30
 Shell 26.56
 Osaka Gas  10

 ウッドサイドは東京ガス、関西電力とともに約120億豪ドルを投じて北西部沖「プルート」事業(同約1億トン)の開発も進める。年間生産量430万トンのうち、東ガス、関電に合計375万トンを供給する計画で、11年の生産開始に向け全体の7割の工事が完了した。
 国際石油開発帝石は北西部沖「イクシス」事業
(同約26千万トン)で、仏トタルと組み総額2兆円を投じる計画の詰めを急いでいる。約850キロメートルのパイプラインを敷設。北部ダーウィンに建設する設備で15年から年間800万トンを生産、日本への搬出を始める。

1Ichthys プロジェクト参加権益比率(WA-285-P 鉱区参加権益比率)
     インペックス西豪州ブラウズ石油梶F
76%(オペレーター)
     
Total E&P Australia24
2) 可採埋蔵量:
    天然ガス
12.8 兆立方フィート(含LPG)、コンデンセート5 2,700 万バレル
    (原油換算合計約
30 億バレル※)
     ※オーストラリア政府へ報告しているイクシスガス・コンデンセート田全体の埋蔵量
3) 生産開始(予定):
    
2014 年内乃至2015 年のできるだけ早い時期
4) 生産量(予定):
    
LNG 年間800 万トン超、LPG 年間160 万トンおよびコンデンセート日量10 万バレル(ピーク時)。
    これらは、現在のオーストラリアの
LNG 年間生産量の約50%、LPG 年間生産量の約60%、原油(含コ
    ンデンセート)日産量の約
20%を占める。
    
LNG の生産規模は、わが国のLNG 総輸入量(2007 年実績)の1 割強を占める。


 豪州からアジアヘの輸出は世界の
LNG貿易量の4割。温暖化ガス排出量の少ない天然ガスがエネルギー源として注目を集めており、現在、LNG換算で約22億トンの世界の消費量は約32億トンにまで伸びる見込み。

 

2009/09/14 ブルームバーグ

 米国のシェブロンとエクソンモービル、英・オランダ系ロイヤル・ダッチ・シェルのメジャー(国際石油資本)3社は、 オーストラリアで進めている「ゴーゴン・プロジェクト」の開発を承認した。同プロジェクトで生産した液化天然ガス(LNG)は中国やインド、日本に輸出さ れ、最初の20年間で3000億豪ドル(約23兆円)の収益を見込んでいる。

  同プロジェクトに50%出資し、操業を担当するシェブロンがウェブサイトに14日掲載した資料によると、同プロジェクトのコストは第1段階で430億 豪ドル。豪州北西部沖合にあるバロー島で直ちにLNG工場の建設に着手する。LNG輸出は2014年に開始の予定。

  同プロジェクトは豪州の天然資源プロジェクトとしては少なくとも計画されている10件のうち最大。アジアLNG市場での豪州のシェアを15年までに4 倍に押し上げ、急成長するアジアへのLNG供給で豪州が首位に浮上することにつながる。3社はアジア各国政府が石炭や石油の代替燃料を求める中で、クリー ンエネルギーの需要拡大を見込む。

  エクソンとシェルの同プロジェクトへの出資比率は各25%。
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Pluto

Woodsideは、2007727日、Pluto LNG事業への投資を最終決定した。環境庁に申請中の環境保護対策計画が承認されることを前提にしている。なお、既にPluto とのLNG売買に係わる基本合意書(HOA)を締結していた東京ガス、関西電力は、同じ727日、Pluto からのLNG購入に関して最終合意し、またそれぞれ5%の権益を取得して同事業に参加することを明らかにした。
豪州の新規
LNG案件は、ChevronGorgonを始めとして、コストアップ、従来に増して厳しい環境保護への対処などから、事業の遅延が目立っている。Plutoも同様に、コストアップと環境保護への対処に直面したが、20054月のガス田発見から2年余りで投資を決定するという速やかな事業判断を下した。
今回投資を決めた
Pluto液化設備能力は480万トン/年であるが、Woodsideはこれを1,200万トン/年までの設備拡張が可能として、液化事業を拡張するPlutoハブ計画を進めようとしている。このためPlutoガス田周辺に保有する探鉱鉱区で積極的な探鉱活動を実施し、また近隣の第三者保有の未開発ガス田からのガス受入を交渉する予定である。

液化設備建設場所: Burrup半島のBurrup LNG ParkNWS液化基地に隣接
液化設備能力:
480万トン/年 (稼働率を90%として出荷能力430万トン/年)
          (設備を
1,200万トンまで拡張可能)
ガス田:
PlutoXena
ガス埋蔵量: 5 Tcf Pluto 4.4 Tcf Xena 0.6 Tcf
投資額予想: ・
112億豪ドル;液化設備1トレーン、Burrup Park液化基地の関連施設
・別途、
Xenaガス田タイイン、コンプレッサー、追加開発井等費用が発生
生産開始時期:
2010年末
LNG販売先: 東京ガス、関西電力、その他

 

 

North West Shelf Venture

Located on the Burrup Peninsula near the Port of Dampier and the town of Karratha in Western Australia, the Venture is based on vast undersea natural gas and crude oil resources.

Collectively, the six Venture participants have invested in onshore and offshore oil and gas facilities totaling more than AU$27 billion.

Currently celebrating 25 years as Western Australia's largest producer of domestic gas, the Venture provides about 65 percent of the State's total production. It also accounts for more than 40 percent of Australia's oil and gas production and is a major producer of liquefied natural gas (LNG), natural gas, liquid petroleum gas (LPG), condensate and crude oil.

The Venture's operations consist of production from five major oil and gas fields and a number of smaller fields. These include, the North Rankin, Goodwyn, Perseus, Angel and Echo Yodel natural gas fields and the Wanaea, Cossack, Lambert and Hermes crude oil fields. Venture facilities include three fixed offshore platforms; one floating production, storage and offtake vessel; and Australia's largest onshore gas processing facility, near Karratha.

The onshore gas plant consists of five LNG processing plants - or "trains" - a domestic gas plant to supply Western Australia, LPG production units as well as storage and loading facilities for LNG, LPG and condensate.

The Venture has been supplying gas for use in Western Australia since 1984 and following the start of LNG production in 1989, it has safely delivered over 2,500 LNG cargoes to customers around the world.

 

ノース・ウェスト・シェルフ
North West Shelf

西オーストラリア西北部沖の大陸棚

 ピルバラとキンバリー沖にある大陸棚。 エクスマウス湾Exmouth Gulfおよびバロウ島Barrow Islandにおける油田探査に続き、3,700万ヘクタールを越す範囲で集中的な油田調査が行われた。 1963年から空磁気調査、1964年から震動調査が始められた。 1971年にキンバリー沖440キロメートルのスコッツ・リーフScott's Reefで石油が、またノース・ランキンNorth Rankin、グッドウィンGoodwyn、エンジェルAngelでガスが発見された。 1973年までに、継続して開発することが可能な規模の埋蔵量が確認された。 ノース・ランキンのガス田は、1983年までにオーストラリア最大の沖合ガス田となった。 液化石油ガスの国内需要および日本への輸出を目的とし、パースへの1,500キロメートルに及ぶパイプラインが1980年代中頃に敷設された。 日本への輸出は1989年から始まった。

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June 10, 2005  

三井物産・三菱商事、豪North West Shelf プロジェクトのLNG(液化天然ガス)生産設備を拡張

三井物産・三菱商事の折半出資子会社である豪MIMI社は、豪BHP Billiton Petroleum、豪BP Developments Australia、豪ChevronTexaco Australia、豪Shell Development、豪Woodside Energyの企業連合と共に、西オーストラリア州North West Shelf プロジェクトのLNG(液化天然ガス)生産設備を2008年半ばより更に一系列(生産能力、年間約420万トン)拡張する投資 決定を610日に行いました。

昨年
8月に完工した第四液化系列と併せ、現在のLNG生産能力は年間1,170万トンとなりましたが、引続き需要旺盛なアジア市場への供給に向け、2008 年央の立上げを目指し年間420万トンの生産規模を有す第五系列を建設し更なる生産能力増強を図るものです。第五系列により生産能力は約4割増の計年間約 1,590万トンとなり、第五系列及び関連付帯設備建設の総所要資金は約1,600億円(MIMI負担分、約270億円)に上る予定です。

LNG は石炭・石油と比較して環境負荷が低いクリーンなエネルギー源であり、今後世界的にも需要拡大が見込まれており、政治的に安定した豪州からのLNG供給の 増加は、日本のエネルギーの安定供給に寄与する事が期待されます。現在、日本を含むアジア全体のLNG需要は年間約9,000万トン(2004年)であ り、2010年には30%程度増加することが予想されています。

NWSプロジェクトの概要

1. 沿革
NWSプロジェクトは1970年代初頭に西豪州北西部沖合い約130kmにある鉱区で発見された天然ガスの開発案件。LNGの他、原油・コンデンセート・LPG等を生産・販売する豪州最大の総合エネルギープロジェクト。参画比率は各社1/6(16.67%)
1984年にコンデンセート販売を開始、1989年からは日本の電力・ガス会社向けにLNG供給を開始、1989年にはWanaea(ワネア)油田、Cossack(コサック)油田が発見され同油田からの原油及びLPG生産が1995年から開始された。

2. 生産実績・予想
2004年度のLNG・原油・コンデンセート・LPGの生産実績は、合計で原油換算日量約44万バーレル。尚、今回の設備拡張によりLNGの他コンデンセート・LPGも増産され、2009年度の同生産量は合計で原油換算日量約58万バーレルまで増加する見込み。