2002/12/11 旭化成/三菱瓦斯化学
PPEパウダー・変性PPE樹脂のシンガポールでの商業運転開始について
旭化成プラスチックスシンガポール(Asahi Kasei
Plastics Singapore Pte Ltd. 旭化成100%出資)と三菱ガス化学株式会社の合弁会社であるポリキシレノールシンガポール(Polyxylenol
Singapore Pte Ltd.
PPEパウダーの製造)及び旭化成プラスチックスシンガポール(変性PPE樹脂の製造)は、それぞれの製造設備建設を進めてまいりましたが、2002年12月6日より商業運転を開始しましたのでお知らせします。
1.背景
(1) 旭化成は、千葉県袖ヶ浦市に年産能力35,000トンの変性PPE樹脂製造設備を有する、米国GEプラスチック社に次ぐ世界第2位のメーカーです。
変性PPE樹脂は、家電・OA製品、自動車製品の好調を背景としてアジアを中心に需要が増大しており、また日系ユーザーのアジアへの製造工場移転が加速していることから、変性PPE樹脂の安定供給とユーザーに密着した用途開発体制が望まれており、今回の計画はこれに対応するものです。
また、旭化成は世界四極(欧州、北米、アジア<タイ・中国>、日本)においてコンパウンド拠点及び販売拠点を整備してまいりましたが、今回の製造設備建設は、各コンパウンド拠点にベースポリマーを供給する機能樹脂・コンパウンド事業の強化・拡大策のひとつでもあります。
(2) 三菱ガス化学(MGC)は、四日市工場に年産能力変性PPE樹脂換算10,000トン相当の製造設備を有し、モノマーからPPEパウダーまでを一貫生産している世界第3位のメーカーです。変性PPE樹脂の製造及び販売は三菱エンジニアリングプラスチックス株式会社(MEP)が担当しています。
今回の共同製造設備建設は、エンジニアリングプラスチックスを三菱ガス化学の重点事業として拡大する方策の一環であり、三菱ガス化学では、既に他のエンプラ事業(ポリカーボネート樹脂、ポリアセタール樹脂)についても海外生産を確立しており、両樹脂ともフル生産となっていることから現在増設プラントの建設工事を進めています。今回の商業運転入りで、アジアにおけるエンプラ事業がより一層強化されるものと考えています。
2.現地会社の概要
(1) 旭化成プラスチックスシンガポール(Asahi
Kasei Plastics Singapore Pte Ltd)略称:APS
代表者 | :水谷 茂 | |
設立日 | :2000年11月3日 | |
工場住所 | :20 Sakra Road, Jurong Island. Singapore 627889 | |
事業内容 | :・2.6キシレノール及び変性PPE樹脂(ザイロンR)の製造・販売 ・ポリアセタール樹脂(テナックR、テナックR−C)、ナイロン66樹脂(レオナR)の販売 |
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生産能力 | :変性PPE樹脂:年産48,000トン | |
資本金 | :46百万US$ | |
出資構成 | :旭化成 100% |
(2) ポリキシレノールシンガポール(Polyxylenol
Singapore Pte Ltd) 略称:PXS
代表者 | :水谷 茂 | |
設立日 | :2000年11月11日 | |
工場住所 | :20 Sakra Road, Jurong Island. Singapore 627889 | |
事業内容 | :PPEパウダーの製造 | |
製品引取 | :出資比率に応じて、出資者が引き取る。 | |
生産能力 | :年産30,000トン | |
資本金 | :35百万US$ | |
出資構成 | :旭化成プラスチックスシンガポール 70% 三菱ガス化学 30% |
<参考資料>
変性PPE(ポリフェニレンエーテル)樹脂について
1.変性PPE樹脂の製法
メタノールとフェノールを主原料として、2.6キシレノールというモノマーをまず作ります。
これを重合して、PPEパウダーという固体にします。
PPEパウダーは成形が困難なため、PPEパウダーにPS(ポリスチレン)等をコンパウンドしたものを変性PPE樹脂と称しています。
注 MGCは日本へ (四日市のPPEパウダーは2002/12で休止)
2.変性PPE樹脂の特徴
変性PPE樹脂は、エンジニアリングプラスチックの一つです。
(エンジニアリングプラスチックとは、汎用の熱可塑性樹脂に比べて、強度、耐熱性などに優れ、主に電気・電子製品の機構部品や自動車部品として使用される機能性の高い樹脂のことです。)
変性PPE樹脂は、耐熱性、難燃性、寸法安定性、機械的特性等に優れた、性能バランスの良い樹脂です。
また、PS以外にも様々な樹脂で変性させることにより、通常の変性PPE樹脂にない特性を付与することも可能です。
3.変性PPE樹脂の主用途
パソコン・プリンター・FAX・DVD等の情報通信機器のハウジングおよび機構部品(シャーシ等)、TV等の家電製品のハウジングおよび内部部品、自動車の内外装部品(インストウルメンタルパネル、ホイールキャップ等)、自動販売機内部部品等が主な用途です。
朝日新聞インターネット 2002/12/23
住友化学、シンガポールでエチレン生産倍増へ
住友化学工業は、国際石油資本(メジャー)と検討していたシンガポールの石油化学コンビナート拡張計画を近く正式決定する。石化製品の原料になるエチレンが年間100万トン生産できる中核設備を新設する予定。既存の施設と合わせた生産量は200万トンとなり、国際競争力が高まる。
計画は英・オランダ系のロイヤル・ダッチ・シェルなどと共同で展開しているコンビナートの第3期分。投資額は2000億円以上とみられる。今後、エチレンからできる樹脂など様々な石化製品の事業化計画を詰める。
当初は05年の完成を見込んでいたが、一時的な需要の冷え込みで交渉が長引き、稼働時期は1、2年遅れる見通し。
中国を中心に、アジアでは石油化学製品の需要が拡大傾向をたどっており、シンガポールはその中継地点として欧米勢が大規模なコンビナートを稼働している。世界で最も安くエチレンを生産するとされる中東諸国に対しても、住友は輸送面でのコストの低さなどで対抗していく。