日刊工業新聞 2003/1/29

呉羽化学、新中計を策定−PPS・フィルム事業を強化     
説明会資料

 呉羽化学工業は03年度を初年度とする連結中期経営計画を策定した。最終年度の05年度には売上高で02年度比10.7%増の1600億円、営業利益で同75%増の140億円の達成を目指す。不採算の塩化ビニール樹脂や樹脂添加剤から撤退するなど事業の選択を進める一方、市場成長が見込まれるポリフェニレンサルファイド樹脂(PPS)やフィルム事業を強化育成するのが柱。

 向こう3年間の設備投資は320億円を計画。フィルムやPPS、医薬品など高収益部門へ経営資源の集中を図り、目標数値の必達を狙う。

 今後、主力の樹脂製品事業で食品用途向けなどの特殊コーティング・フィルムやハイバリヤー包装材の設備増強を進めるほか、化学製品事業では高付加価値の医薬品を主体に拡大戦略を推進。また、機能製品事業ではPPSやエレクトロニクス関連材料の売上高比率の拡大により、収益力を強化する。


2005/1/17 呉羽化学工業

“新生クレハ大いなる飛躍を目指して”
http://www.kureha.co.jp/topics/h170117-1.pdf


 呉羽化学工業株式会社(社長:田中宏)は、取締役会において、企業理念の制定、会社名の変更、および、新中期経営計画が承認されましたので、お知らせ致します。

1. 「企業理念」の制定について

 当社は、今年度、創立60周年を機に、21世紀を勝ち抜き、持続的成長を成し遂げるためには、自らのアイデンティティー(存在意義)の確立と進むべき方向性を明確にし、なおかつ、それらを社内外に発信することが重要であり、かつ、好機であると捉えました。
 昨年5月に、企画本部長を委員長としたC.I.(コーポレート・アイデンティティー)推進委員会を発足させ、アンケート等で全従業員の参画も図りながら「企業理念」の策定を推進してきました。このたび、策定作業が終了し、以下の通り、「当社の目指すべき方向」、「企業理念」、企業理念に基づく社員の「行動基準」を三位一体として、当社のアイデンティティーとして制定しました。

 * 当社の目指すべき方向
    私たち(クレハ)は、エクセレント・カンパニーを目指し挑戦し続けます。
 * 企業理念
    私たち(クレハ)は、
    ・人と自然を大切にします。
    ・常に変革を行い成長し続けます。
    ・価値ある商品を創出して、社会の発展に貢献します。
 * 行動基準
    地球市民として企業の社会的責任を認識して活動します。
    ・お客様へ:顧客満足を第一に誠意と行動で応えます。
    ・仕事へ:常に進歩と創造にチャレンジします。
    常に変化に対応し、グローバルな視野を持って行動します。
    ・仲間へ:相互の意思を尊重しチームワークを発揮します。

2. 会社名の変更について

 前述の通り、「新生クレハ」の進むべき方向性を明確にし、「企業理念」の制定を踏まえ、本日の取締役会において、会社名を本年10月1日(予定)から「株式会社クレハ」に変更することを、6月の定時株主総会に定款変更として提案することを決議しました。
 新会社名「株式会社クレハ」は、新企業理念のもと、「エクセレント・カンパニーを目指して挑戦し続けるクレハ」の実現の意志を込めた会社名です。また、化学工業にとらわれず、事業拡大を続け飛躍するという強い意志から、あえて化学工業をとりました。
 すなわち、「新たなクレハ・ブランド」を構築し、企業ブランドの向上を図る決意です。

  新会社名 現在の会社名
日本名 株式会社クレハ 呉羽化学工業株式会社
英文名 KUREHA
CORPORATION
KUREHA CHEMICAL
INDUSTRY CO.,LTD

3. 新中期経営計画「Big Jump」(略称:「中計BJ」)について

 2001年度からの「中計DC」(Dynamic Conversion)では、「大胆な変革」を掲げ、コモディティー事業からスペシャリティー・カンパニーへの脱皮を目指し、「選択と集中」の方針のもと、モディファイヤー事業の売却や塩化ビニル事業からの撤退など、事業の再構築を遂行してきました。
 「中計BJ」では、「大いなる飛躍」を掲げ、スペシャリティー事業による業容拡大と収益の最大化を目指した成長戦略を策定しました。
 「大いなる飛躍」とは、既存事業の更なる伸長と研究開発製品の上市による事業拡大であり、新たに制定した企業理念を通して、事業の伸長を牽引する社員の意識や行動を飛躍させるという思いが込められています。「ありたい姿」として、経営目標を「常に変革を行い成長し続け、グローバルに通用する戦略的スペシャリティー・カンパニー」としました。
 運営にあたっては、事業の環境変化のスピードが増していることを勘案し、4年後の2008年度の「ありたい姿」を見据えて、2004年度見込みをベースとして、2006年度計画を定量化しました。また、今後の中期経営計画は、事業環境の変化に即応するために不断の戦略見直しを毎年のローリングを通じ2008年度目標値の「ありたい姿」を「あるべき姿」として定量計画に漸次組み入れます。

中期経営計画Big Jump(2005年4月〜2009年3月)

[連結ベース]
@売上高・営業利益・ROE(株主資本税引後利益率)推移

  2004年度
見込
2006年度
計画
2008年度
目標

売上高(億円)

1,370

1,550

1,800

営業利益(億円)

105

140

200

営業利益率

8%

9%

11%

ROE

5%

7%

10%


Aセグメント別売上高・営業利益単位:億円

セグメント   2004年
見込
2006年度
計画
2008年度
目標

機能製品事業

売上高

265

325

400

営業利益

36

40

70

化学製品事業

売上高

307

305

340

営業利益

35

40

45

樹脂製品事業

売上高

527

605

720

営業利益

16

35

55

その他事業

売上高

271

315

340

営業利益

19

25

30

合計

売上高

1,370

1,550

1,800

営業利益

105

140

200


Bセグメント別主要製品

セグメント 事業内容 主な製品と開発品(斜字)
機能製品
事業
高機能製品、
炭素製品
PPS樹脂、ふっ化ビニリデン樹脂、炭素繊維、球状活性炭、
熱線吸収窓材、光学製品
化学製品
事業
医薬品、農薬
無機・有機薬品、
農材
農業用殺菌剤(“メトコナゾール”・“イプコナゾール”)、
抗悪性腫瘍剤(“クレスチン”)、慢性腎不全用剤(“クレメジン”)、
抗HIV剤、すい臓癌抗体医薬
樹脂製品
事業
食品包装材、
家庭用品、合成繊維
塩化ビニリデン・フィルム(“クレハロン”)、ハイバリアー包装
材(“ベセーラ”)、家庭用食品包装材(“NEW クレラップ”)、
釣糸(“シーガー”)、PGA(ポリグリコール酸樹脂)
その他事業 環境関連、エンジニア
リング関連、運輸・倉
庫関連
産業廃棄物処理、医療廃棄物処理、排水・排気処理システム