バイオサイド事業におけるアライアンスについて
大日本インキ化学工業株式会社(以下DIC)と三愛石油株式会社(以下三愛)は、このほど、バイオサイド事業での競争力の強化を目指して、同事業の生産面でのアライアンスを行うことで合意しました。
バイオサイド−いわゆる工業用防菌剤・防黴(カビ)剤は、製品の品質劣化や腐敗を引き起こす原因となる有害微生物から製品の材質を保護し耐久性を持たせるために使用されるものです。日本のバイオサイド市場は、社会的に「抗菌」等へのニーズが増加していることもあり、年間約200億円と拡大基調にあります。しかし、その主要ユーザーである塗料や金属加工油業界等での厳しい価格競争のあおりを受け、強力な値下げ要求にさらされるとともに、取り扱いメーカーが国内80社以上にも上ることから過当競争が激化しており、各社とも採算の確保が急務となっています。
このような環境の下、両社はそれぞれ単独でバイオサイド事業の収益性の改善を図ってきましたが、両社の販売製品が同等であることから、生産拠点を集約・共有化し、効率的な生産体制の構築を目指してアライアンスを行うものです。
DICは鹿島工場(茨城県神栖町)から2001年3月までに湿式粉砕機2基を、三愛は日野工場(東京都日野市)から2000年12月までに生産設備のすべてを、三愛の子会社である東洋理研株式会社(茨城県牛堀町)に移転・集約します。
このアライアンスにより両社は、約10%と業界でトップシェアを占めることとなりますが、さらに原料の共同購入、フレキシブルな生産対応による在庫管理、物流統合など抜本的な合理化を進め、競争力の一層の強化により業界での主導的地位を確立することを期しています。今後、DICは木材・塗料向け、三愛は金属加工油・洗浄剤向けとそれぞれの得意分野における積極的な拡販を推進し、2002年には両社で25億円の売上高を目指します。
また生産部門のアライアンスにとどまらず、品番の統廃合や処方・規格の統一、新製品の共同開発、相互協力による技術サービスの強化など、技術開発でのアライアンスも今後検討して行く方針で、将来的には営業におけるアライアンスも視野に入れています。
化学工業日報 2003/5/12
東洋インキ、抗菌剤事業に進出へ
東洋インキ製造は、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)などの感染防御に有効な天然系抗菌剤を、ベンチャー企業の鳳凰堂(東京都品川区、土田裕三社長)と共同開発した。天然の笹から抽出したエキスを主成分にしたもので、抗菌剤分野に新規参入する。関連特許は出願ずみ。現在、鳳凰堂と共同で新抗菌剤の用途開発を進めており、医療や食品包装材など付加価値の高い分野への製品展開を目指す。