日刊工業新聞 2003/2/17

大日本インキ、バイエルの米子会社部門買収で顔料事業を強化

 大日本インキ化学工業は、同社全額出資の米国子会社であるサンケミカルを通じて進めていた独バイエルの米国子会社であるバイエルポリマーの有機顔料事業の買収が完了した。米連邦取引委員会(FTC)の審査を経て買収認可を取得した。買収額は明らかにしていない。

 これに伴いサンケミカルは、FTCからの要請を受け、同社が持つ高機能有機顔料であるペリレン事業をスイスのチバ・スペシャルティ・ケミカルズグループに売却する。売却額は明らかにしていない。

 大日本インキが買収したのは、バイエルポリマーのブッシー・パーク工場の有機顔料プラントや研究所、営業権および知的財産権など。バイエル側の従業員140人はサンケミカルに移管する。

 顔料生産量世界首位の大日本インキは、今回の買収で高機能有機顔料であるペリレンやキナクリドンなどの製品ラインアップを拡充することで、顔料事業の強化を図る。

* ペリレン 自動車塗料向けや工業製品用途で使う顔料


2003/2/6 Sun Chemical

Sun Chemical Completes Acquisition of Bayer's High Performance Organic Pigment Business

Sun Chemical Corporation, a $3 billion specialty chemicals company and the world's leading manufacturer of printing inks and organic pigments, today announced the completion of its acquisition of Bayer Polymers LLC's high performance organic pigment business located in Bushy Park, South Carolina.

The business is a leading supplier of high performance organic pigments used in coatings for automotive, industrial and architectural applications and for coloring plastics and fibers. The portion of the Bushy Park facility being acquired by Sun manufactures IndofastR carbazole violet, PerrindoR perylene, QuindoR quinacridone, and PalomarR phthalocyanine pigments and includes the wastewater treatment plant for the Bushy Park site. Approximately 140 Bayer employees work in the high performance organic pigment business. They and the business will be integrated into Sun Chemical's Performance Pigments Group.

"This is a great addition to Sun Chemical's leading position in high performance pigments and enables us to better serve customers in the automotive finishes, industrial coatings, and other markets requiring high performance color applications," said Wes Lucas, Chairman, President and CEO of Sun Chemical.

Brian Leen, Vice President and General Manager, Performance Pigments Group, added, "The acquisition of Bayer's perylene, quinacridone and specialty phthalocyanine blue business will substantially enhance our technology portfolio. The addition of top industry professionals from Bayer's labs and facilities will greatly expand our overall capabilities."

In response to Federal Trade Commission requirements for this acquisition,
Sun Chemical has agreed to divest its current perylene products line. The Ciba Specialty Chemicals Group will assume Sun's inventory and the toll manufacture of these products. The deal is expected to close Feb. 7. Details were not disclosed.

About Sun Chemical... Sun Chemical is a leading specialty chemicals company with leadership positions in packaging, publications, coatings, and pigments. It is the world's largest producer of printing inks and performance pigments. Sun Chemical has over $3 billion in sales, supports customers in countries around the world, serves the industry with 13,000 people, and operates 300 facilities throughout North America, Europe, Latin America and the Caribbean.

The Sun Chemical Group of companies includes such well-known names as Coates Lorilleux, Usher-Walker, Gibbon, Swale, Hartmann, Kohl & Madden, and US Ink. Sun Chemical has headquarters in Fort Lee, New Jersey, U.S.A.; Watford, England; and Weesp, the Netherlands. In addition, Sun Chemical has many joint ventures, with the largest being its $1.5 billion Kodak Polychrome Graphics (KPG) joint venture with Eastman Kodak. KPG is a world leader in prepress products, services, and equipment.


2002/2/20 大日本インキ化学

バイエル米国子会社の有機顔料事業の買収について

 当社は、
100%出資のグラフィックアーツ材料メーカー、米サンケミカルを通じて、独バイエルの米国子会社であるバイエルコーポレーションと、同社の米国における有機顔料事業を買収することでこのほど基本的合意に達しました。なおこの買収は、関係当局に認可を申請中で、両社では4月1日の完了を目指しています。
 当社は日米欧アの世界4極において有機顔料の生産拠点を持ち、同事業において世界に確固たる基盤を保持しています。しかし、その主力は印刷インキ、塗料、プラスチックなどに使われるフタロシアニン、アゾなどが中心であり、自動車用、工業用などに使われるペリレン、キナクリドンなどは世界市場においてチバ・スペシャリティ、BASFなどの西欧メーカーに若干の遅れをとっていることから、近年、その強化が課題となっていました。
 今回の買収は、手薄であった米国における自動車用、工業用などの有機顔料事業の強化策の一環として実施されたものです。買収の対象は
サウスカロライナ州にあるバイエルコーポレーションのBushy Park工場の有機顔料プラント、同工場内の研究所、試験設備、パイロットプラント、営業権および知的財産権などが含まれています。なお、この買収にともない、約180名の人員がサンケミカルに移管されます。


2002/2/19 Sun Chemical

Sun Chemical To Acquire Bayer Corporation's Organic Pigments Plant Located at Bushy Park, South Carolina

Sun Chemical Corporation, the world's leading manufacturer of printing inks and organic pigments, has agreed to purchase Bayer Corporation's organic pigments business, located in Bushy Park, South Carolina. Pending approval by regulatory groups, transfer of ownership is expected April 1, 2002.

The Bushy Park, South Carolina, facility manufactures Bayer's IndofastR, PerrindoR, Quindo, and PalomarR pigments. These organic pigments are used in coatings for automotive, industrial and architectural applications and for coloring plastics and fibers. The Bushy Park facility employs approximately 180 people.

Sun Chemical is a leading specialty chemical company, and is the world's largest producer of printing inks and performance pigments. Sun Chemical has over $3 billion in sales, supports customers in countries around the world, serves the industry with 13,000 people, and operates 300 manufacturing, sales, service and technical facilities throughout North America, Europe, Latin America and the Caribbean. The Sun Chemical family of companies includes such well-known brands as Coates Lorilleux, Usher-Walker, Gibbon, Swale, Hartmann, Kohl & Madden, Heritage, and US Ink. Sun Chemical has headquarters in Fort Lee, New Jersey, U.S.A.; Watford, England; and Soest, the Netherlands. In addition, Sun Chemical's joint venture with Eastman Kodak, Kodak Polychrome Graphics, is a world leader in prepress products.

Sun Chemical Corporation in the U.S. and Sun Chemical Limited in England are subsidiaries of Sun Chemical Group B.V., the Netherlands. For more information about Sun Chemical, please visit our web site at
http://www.sunchemical.com.


2001/5/21 大日本インキ化学

有機顔料およびインキ中間体の中国生産計画について

 当社は今後大きな成長が見込まれる中国・アジア地域における印刷インキ事業の一層の飛躍を目指し、その主原料である有機顔料、インキ中間体の生産を中国において行うこととしました。これは2010年度をめどに設備投資額約50億円により有機顔料年産1万トン、インキ中間体年産9,000トンの生産体制を段階的に構築するものです。
 印刷インキの世界需要は日米欧の市場が成熟化する中で、アジア市場は年率約7%の成長と好調に推移しており、特に中国では同10%と飛躍的に増加しています。同地域では日米欧からの各種製品の生産移転により印刷物のカラー化が進行し、より高品質なプロセスインキに対するニーズが高まっています。また、印刷方式も従来の枚葉印刷から、より生産性の高いオフ輪印刷への移行が進んでいます。一方、国際商品である有機顔料もまた、その用途の6割強を印刷インキ向けが占めていることから、アジア地域における成長率が他地域に比べ高くなっており、同地域への高品質な顔料およびインキ中間体の安定供給が求められています。
 当社はこれらの状況下にあって、印刷インキ、有機顔料のリーディングメーカーとして品質、価格、供給など様々な面で、アジアのユーザーの要求に応えうる国際競争力を確保するため、アジアにおける最適地生産に向けて検討を重ねてきました。
 このたびの計画は、顔料の製造に適した良質な水が確保できる
中国江蘇省南通市に新会社「南通迪愛生色料有限公司」(Nangton DIC Colour Ltd.)を資本金2,070万USドル(邦貨約24億円)で本年7月に設立するものです。第一期としてアゾ顔料(黄・紅)年産2,500トン設備と、インキ中間体(黄・紅)年産4,500トン設備を2002年9月に完成させる予定です。
 新会社はプラント稼働後、インキ中間体を東南アジアの当社グループの印刷インキ生産拠点を中心に供給するとともに、欧州・アジア地域への顔料輸出を行うことにより、2010年には60億円の売上を目指します。
 当社は、アジア地域における印刷インキ事業について現在13カ国に22社を擁していますが、アジア地域の好調な需要を受け、現地法人各社ともほぼフル稼働状態にあります。このため、関係会社間での生産品目の分業化による生産効率の向上、増設などを検討しており、今回の新会社設立により今後の需要増加をカバーする原料供給体制が構築されることから、当社グラフィックアーツ事業のアジア地域でのさらなる飛躍が期待されます。
 なお有機顔料は、チバ・スペシャリティ、クラリアント、BASFなど世界の大手化学メーカーが参入しており、当社は
日本(鹿島工場)、米国(サンケミカル社)、デンマーク(サンケミカルA/S社)、インド(スダルシャン社、当社29%出資)の世界4極に生産拠点を持ち、世界市場の約28%を占めています。


2004 年11 月17 日 大日本インキ化学工業

中国・南通におけるオフセットインキプラントの完成について
http://www.dic.co.jp/release/041117-1.pdf

 大日本インキ化学工業株式会社(本社:東京都中央区、社長:小江紘司)は、中国・江蘇省南通市にある100%子会社、南通迪愛生色料有限公司(Nantong DIC Color Co., Ltd.)において、第二期工事が完工したことから、本日、同地において竣工式を行います。第二期では、印刷インキ用ワニスおよびオフセットインキのプラントを新設するとともに、有機顔料およびインキ中間体については生産能力の増強を図っています。
 印刷インキの需要は、中国をはじめとするアジア市場で、輸出製品向けに加え、現地の生活水準の上昇に伴い、印刷物のカラー化が急速に進行しており、高品質なオフセットインキに対するニーズが高まっています。
 このたびの新増設は、中国における高品質の印刷インキへの旺盛な需要に対応するとともに、アジア地域への製品供給を担うために行ったものです。オフセットインキの生産能力は
年産11,000 トンで、ワニスの新設分および有機顔料・インキ中間体の増設分は自家消費に充当します。これにより南通迪愛生色料は、印刷インキの主原料である有機顔料・ワニスから、最終製品である印刷インキまでを一貫生産する体制を確立したこととなります。
 さらに、今後は得意とする色彩化学に関する総合力を活かし、国際競争力のある戦略的な製品を中国・アジア市場に供給していく方針です。
 当社はかねてより、アジア地域の印刷材料事業の売上高を2010 年に1,000 億円規模まで拡大する「アジア1,000 億円計画」を立案し、この実現に向け様々な施策を実施してきました。このたびの南通拠点の新増設もその一翼を担うもので、今後はさらなる需要の伸びが見込まれることから、計画の達成に向けて2010 年に年産20,000 トンの生産体制を構築することとしています。

※ワニス:油脂類、合成樹脂、天然樹脂およびこれらを溶剤に溶かした印刷インキの主要原料の一つで、顔料を分散し、紙などの被印刷物に転移・固着させる働きをするもの。


2001/3/16 東洋インキ製造

▼川崎化成工業株式会社との合弁契約解消並びに合弁会社の解散(清算)に関するお知らせ

 当社は、平成13年3月15日開催の取締役会において、下記の通り川崎化成工業株式会社との顔料用原料生産事業に関する合弁契約の解消を行うことを決議いたしましたので、お知らせいたします。

合弁契約解消の理由

国際市場における競合の激化により価格低下が著しく、今後、合弁会社東洋化成工業株式会社の収益性の維持・向上は困難との判断に至ったため。

合弁契約解消の内容

東洋化成工業株式会社での顔料用原料であるクルードの製造および販売に関る合弁契約の解消と当該社の解散(清算)。

東洋化成工業株式会社の概要

所 在 地 : 神奈川県川崎市川崎区千鳥町1−2
代 表 者 : 代表取締役社長  永島 陸郎
: 代表取締役副社長 庄田 悦久
設立年月日 : 昭和46年8月20日
資 本 金 : 1億円
株主構成 : 川崎化成工業株式会社    50%
: 東洋インキ製造株式会社   50%

日程

平成13年3月15日   取締役会決議
会社解散(清算)の具体的な日程は未定であるが、遅くとも平成14年4月迄には合弁会社における製造を停止し、清算手続きに着手する予定。

今後の見通し

具体的な解散および清算のスケジュールについては、両社にて協議する。また、本件に伴う今期業績への影響はありませんが、東洋化成工業株式会社の清算損失(関連設備の除却損等の一時費用の負担)などが見込まれます。当該金額等、詳細は未定であります。

* 川崎化成  三菱化学グループ

 

 


日刊工業新聞 2003/1/24

日本板硝子、光輝性顔料事業で米社と業務提携

 日本板硝子は23日、パール顔料の世界2大メーカーの一つ、米エンゲルハード社(本社ニュージャージー州)と進めていた光輝性顔料の業務提携が基本合意に達したと発表した。日板は母材となる硝子繊維のガラスフレークで世界トップシェアを持つが、今回の提携で両社は販売チャンネルの活用、新商品の共同開発を進め、世界市場での優位性を高める。

 基本合意は塗装、プラスチック、インク、化粧品用途向けに金属酸化物被覆の開発と市場開拓を両社が共同で行うというもの。今後、この内容をさらに詰め、それぞれが開発した新商品を相互供給し、両社は自社ブランド商品としての販売を目指す。

 エンゲルハード社は世界28カ国に販売、製造拠点を持つ。日板は、エンゲルハード社の販売チャンネルなどを活用し、開発した新顔料商品を世界市場に向け迅速に供給することが可能になる。


2003/10/16 メルク

メルク(株)、東洋アルミニウム(株)と共同で新規顔料を開発

 メルク株式会社(社長 クラウス・ディール)は、東洋アルミニウム株式会社(社長 今須聖雄)との共同開発計画に基づき、新規意匠性顔料の開発に努めてきたが、その第一段として、主として自動車用塗料市場向けに、アルミニウムフレークに酸化鉄を被膜した赤みのオレンジ色のパール顔料を市場投入する方向で調整にはいった。年内に日米欧にてサンプル出荷の予定。

 メルクが特許申請している新技術により、高い耐腐食性を有するアルミニウムフレークをベースとする為、隠ぺい力が高く、なおかつ、液相法で緻密な金属酸化物を被膜することが可能となり、彩度が高い顔料の製造が可能となった。

 共同開発計画は、東洋アルミニウムのアルミニウムパウダー・ペーストの技術とメルクのパール顔料の技術を融合させた今までにない顔料を開発していこうというもので、赤みのオレンジ色のパール顔料はその第一段となる。今後商品ラインを充実させていく予定。

メルク株式会社: 
  Merck KGaA(本社 ドイツ・ダルムシュタット市)の子会社で1968年2月設立。資本金21億円、2002年売上高(12月決算)475億円。
主な取扱い品目は液晶、顔料、試薬、医薬品。
   
東洋アルミニウム株式会社:
  1999年5月設立(旧 東洋アルミニウム株式会社は1931年4月設立)。資本金80億円、2002年度連結売上高(3月決算)692億円。主な取扱い品目はアルミニウム箔、アルミニウム粉、アルミニウムペースト。

 


日本経済新聞 2004/1/7

蓄光顔料VBに伊藤忠が出資

 伊藤忠商事は運営している中小企業育成ファンドを通じ、蓄光顔料の專門メーカー、
イージーブライト(大阪府寝屋川市)に1億円を出資した。出資比率は25.7%。グループの伊藤忠建材、伊藤忠プラスチックスなどと連携して顔料の用途開発や販路開拓を進め、企業価値を高める。
 イージー社は酸化アルミ系の蓄光顔料メーカーで、ナノテクノロジー(超微細技術)などを活用して従来の蛍光塗料に比べ光量や持続時間が10倍程度ある製品を開発している。中国の合弁工場に加え、今回の資金調達で国内に專用ラインを設ける方針だ。2003年6月に伊藤忠が中心となって組成した「がんばれ日本企業ファンド」の第2号出資案件となる。
 蓄光顔料の市場規模は約600億円。防災関連製品や建設資材、アパレル製品などへの採用が進み、年率7割前後の伸びが続いている。


イージーブライト株式会社   http://www.ez-bright.co.jp/

設   立   平成12年3月10日
資 本 金   55,550,000円
事業内容   蓄光顔料の製造、販売及びアプリケーション開発
本   社   大阪府寝屋川市石津南町13−14  イージーブライトビル
     
会社沿革   1997年 発光体アプリケーションの試作開始
1998年 発光体顔料の研究、試作開始
2000年 イージーブライト株式会社法人設立
2000年 中国江蘇省に直営工場設立

蓄光顔料

弊社の開発した蓄光顔料は、各種材料に無機顔料を添加させ用途に適した諸物性を発揮しています。この蓄光顔料は、これまでの製品と比較して大幅に性能を上げ、初期発光輝度が数倍高く、その残光時間は8〜12時間以上にも延び、物性強度・耐候性にも優れています。従来の蓄光顔料の多くは、水や湿気と反応して急速に性能を落とすために利用用途が限定されていましたが、当社開発の蓄光顔料はそういった問題を見事に解決しています。
また、弊社蓄光顔料は、製造工程でのロスを最小限に抑えた結果、他社の蓄光顔料より安価に市場への供給が可能です。そのうえ粒径を円滑化することによって、分散性を高めているので各種樹脂や材料に練りこみ易く、その応用製品は、屋内・屋外を問わずあらゆる生活空間で無限の可能性を秘めています。


2006年6月16日 化学工業日報

住化カラー、次世代型CCMシステムを開発

 住化カラーはこのほど大阪電気通信大学の協力を得て、次世代型CCMシステムの開発に成功した。シボ加工(凹凸のある表面加工)のような表面形状を変えた材料の色見本をディスプレー上に再現、見る角度を変えて調色シミュレーションできるほか、ディスプレーを複数台結んで遠隔地でも迅速に色のコミュニケーションを図ることが可能であるなど、現在のCCMにない新たな機能を装備したシステム。同社では色見本を作成してやりとりしながら調色する現在の作業形態を大幅に合理化できるとして、数年内にまず10セットの販売を目標に樹脂材料、成形業界向けに受注活動を開始する。