2004/01/16 富士経済

エンプラ市場調査を実施
−用途拡大が期待されるエンプラ市場の動向と応用製品の使用実態を調査−
  
http://release.nikkei.co.jp/detail.cfm?relID=62889

 総合マーケティングビジネスの(株)富士経済(東京都中央区日本橋小伝馬町 社長 原 務 03−3664−5811)は、「海外重合拠点の新設」が活発化しているエンジニアリングプラスチック業界の動向を調査した。報告書「2004年 エンプラ市場の展望とグローバル戦略」では、ワールドワイドという観点から各種エンプラ市場の動向を詳細にまとめた。

●エンプラ市場の現状
 日本国内の素材メーカーは、自動車、電気・電子、家電、産業機器といったエンドユーザーが海外に生産シフトをするのに合わせて、年々現地供給体制を強化している。
 エンプラメーカー各社は事業の拡大を図る為に日本及びアジア市場を軸に生産・販売の両面においてグローバル展開を加速している。特に成長性の高い中国・アジア市場では日米欧亜のエンプラメーカー間の競争が激化している。
 エンプラ樹脂は、汎用エンプラ、スーパーエンプラともに樹脂特有の耐熱性や耐薬品性など、機能性に見合った用途で採用が進んでおり、一部を除いて今後も市場拡大が見込まれる。
 地域別では日米欧の市場規模が大きいものの、ユーザーによるアジアへの生産がシフトしている事から、
エンプラの需要地域もさらにアジアへシフトする傾向が強まっている。特に中国は、日米欧のみならず台湾や東南アジアからの生産シフトも加わり、汎用エンプラ主体に世界の中で最も需要が伸長している。さらに中国へ成形加工に関する技術移転が進む事で、将来はスーパーエンプラの需要も本格化すると予想される。
 一方、用途分野別ではエレクトロニクス分野はIT不況による影響を受け、2001年はエンプラ需要も低迷したが、2002年以降は回復し、現在デジタル家電を中心とした需要は好調に推移している。
 自動車分野においても年々軽量化、リサイクル、低コスト化を背景にして、欧米を中心に金属代替によるエンプラ化が進んでいる。 
 エンプラ樹脂メーカーは、これらユーザー企業のグローバル展開に伴い、海外への事業展開を強化しており、今ワールドワイド市場における「現地生産対応」と「コスト競争」がますます活発化すると予想される。

エンプラ樹脂の需要推移(ワールドワイド数量ベース)

  汎用エンプラ   2003年見込み   552万4,000トン  
      2006年予測   637万4,000トン  
  スーパーエンプラ   2003年見込み    29万3,000トン  
      2006年予測    36万5,000トン  

 調査対象品目25品目における2003年エンプラのワールドワイド市場規模見込みは、数量ベースで581万7,000トンと推定される。


汎用エンプラ2003年市場規模(金額)

 エンプラ樹脂別に、現状の金額ベースの市場規模と今後の成長動向を見ると汎用エンプラはスーパーエンプラよりも金額ベースの市場規模が大きい。高機能のスーパーエンプラは、汎用エンプラと比べ高単価であるが採用用途が限定されており、金額市場の規模はフッ素樹脂などを除けば何れも1,000億円を下回っている。
 2008年伸長率は、汎用エンプラが概ね130%前後であるのに対し、スーパーエンプラの中にはポリアミドPA9T(PA9T)、シンジオタクチックポリスチレン(SPS)、ポリベンズイミダゾール(PBI)、熱可塑性ポリイミド(TPI)、液晶ポリマー(LCP)など、今後目覚しい伸び率を期待される樹脂が多く見られる。
 汎用エンプラではポリカーボネート(PC)が金額規模 6,290億円と最大であり、伸長率も高く、今後有望な市場である。PCに次いで有望なのはポリアミド6(PA6)とPA66であり、ともに金額規模4,000億円程度と類似した傾向を示している。その他のポリブチレンテレフタレート(PBT)やポリアセタール(POM)などは、ほぼ110%〜130%程度の伸長率と見込まれている。スーパーエンプラの中では、フッ素樹脂が金額ベースで2,670億円と唯一1,000億円以上の市場規模となっておりこれにポリアミド11,12(PA11,12)が846億円と続いている。両方とも高価格で、120%程度の伸長率である点では共通している。スーパーエンプラの中で、今後の伸長率が極めて高いと予想される樹脂は、ポリアミド9T(PA9T)、SPS、PBI、TPI、LCPなどである。特にPA9Tは自動車向けで2005年以降需要が急激に拡大する可能性がある。どの樹脂も新規用途開拓を行っている最中であり、まだ金額市場規模が小さい。今後生産規模の拡大に伴い、金属代替を目的としたコストと性能のバランスにより、どの程度新規用途展開を加速してゆけるかが重要な点になっていくと考えられる。

●規模も大きく今後とも成長市場
  ポリカーボネート(PC)   2003年市場規模見込み   6,290億円  
  ポリアミド6  (PA6)   2003年市場規模見込み    4,100億円  
  ポリアミド66 (PA66)   2003年市場規模見込み   4,020億円  

 PCは、2002年、2003年とIT関連の需要回復やDVDなどのディスク需要が増え、自動車向けでも需要は少しずつ増え2003年は206.4万トンの需要となった。2004年以降は、日本、アメリカ、ヨーロッパでは年2%〜3%の需要増加が見込まれるが、日本を除くアジアでは年10%以上の需要増加が見込まれ、ワールドワイド全体では需要が6%程度増加すると予測される。

●今後有望市場
  ポリブチレンテレフタレート(PBT)   2003年市場規模見込み   2,500億円  
   自動車向け需要の拡大、電気電子分野向け需要の回復、PBTの低価格化によって増加が見込まれる。中国におけるPBT生産の拡大により、この2〜3年でアジアでは大きな動きとなると予測される。
  その他には、          
  ポリアセタール(POM)   2003年市場規模見込み   2,210億円  
  変性ポリフェニレンエーテル(m−PPE)   2003年市場規模見込み   1,200億円  
  GF強化ポリエチレンテレフタレート(GF−PET)   2003年市場規模   480億円  
  などがあげられる。          


スーパーエンプラ(100億円以上)

●今後の期待市場
  液晶ポリマー(LCP)   2003年市場規模見込み   238億円  
  ポリアミド(PA6T)   2003年市場規模見込み   199億円  
  ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)   2003年市場規模見込み   194億円  

 LCPはSMT対応向けの需要が多く、主に携帯電話やノートパソコンといったIT関連機器の市場動向に左右される傾向にある。2004年以降も中国を主体としたアジア市場を牽引して、当該市場は年率10%以上と市場規模は拡大傾向で推移すると予想される。


世界主要4地域別汎用エンプラ/スーパーエンプラ需要構成(2003年数量ベース)

●エンプラ25品目全体 2003年見込み 
  アメリカ   174万2,628トン   (対前年伸び率予測 3.0%)
  欧州   164万6,853トン   (対前年伸び率予測 2.8%)
  日本     75万9,640トン   (対前年伸び率予測 3.1%)
  日本を除くアジア   155万4,276トン   (対前年伸び率予測10.9%)
           
●汎用エンプラ8品目全体
  アメリカ   164万1,900トン   (対前年伸び率予測 2.9%)
  欧州   156万9,300トン   (対前年伸び率予測 2.7%)
  日本         69万8,500トン   (対前年伸び率予測 2.7%)
  日本を除くアジア   150万400トン   (対前年伸び率予測10.7%)
           
●スーパーエンプラ17品目全体
  アメリカ    10万  728トン   (対前年伸び率予測 4.1%)
  欧州     7万7,535トン   (対前年伸び率予測 4.6%)
  日本         6万1,140トン   (対前年伸び率予測 7.8%)
  日本を除くアジア     5万3,876トン   (対前年伸び率予測15.7%)

 エンプラ全体の世界主要4地域別需要は、アメリカと欧州で需要が高く、市場規模も拮抗している。しかし、日本を除くアジアも汎用エンプラを中心に欧米市場に迫る勢いで需要が伸長しており、将来アジア市場は欧米市場を上回り世界トップのエンプラ需要地域になると予想される。
 スーパーエンプラも欧米市場の需要が高いものの、日本やアジアはエレクトロニクス産業が盛んであることから、汎用エンプラほどウエイトに開きはない。
 スーパーエンプラも日本を含めたアジアでの成長性が高く、今後は生産拠点及び技術移転にともない欧米との需要量の差は徐々に縮まると予想される。


調査方法 (株)富士経済専門調査員によるヒアリング対象40社

調査期間  2003年10月〜12月

調査のポイント
(1)汎用、スーパーエンプラにおけるタイプ別マーケット推移の実態と今後の見通し
(2)ワールドワイド地域別、用途分野別に見られる需要の実態と今後の見通し
(3)新規用途への展開と可能性、競合状況及び技術的な課題・問題点
(4)参入メーカーの近年の動向及び海外進出状況

資料タイトル :「2004年 エンプラ市場の展望とグローバル戦略」


2004/01/16  富士経済

バイオ関連市場調査を実施
2010年、バイオ事業市場は1兆1,170億円と2003年から56%成長すると予測
   
http://release.nikkei.co.jp/detail.cfm?relID=62888

 総合マーケティングビジネスの(株)富士経済(東京都中央区日本橋小伝馬町 社長 原 務 03−3664−5811)は、バイオ事業の代表的企業51社の実態と戦略を調査した。今回の調査は、バイオ事業を研究支援市場と医療市場に限定した。研究支援市場では、解析機器・試薬、受託サービス、バイオインフォマティクスの3品目、医療市場では遺伝子診断、モノクローナル抗体診断薬、バイオ医薬について市場規模を集計し、その将来予測を行なった。
 このほどその結果を報告書「バイオ関連企業要覧2003」(A4判 123ページ)にまとめた。

<はじめに>
 バイオ産業の基礎となる分子生物学は80年代末以降大きく飛躍を遂げた。「ヒトゲノム」解析は30億文字にのぼる「ヒトゲノム」を米国セレーラ社が解析し終えた。今後はゲノム解析の応用に移る。遺伝子が作る蛋白質が、人体内でどんな働きをするのかを解明し病気の治療や創薬に役立てる研究がいっそう盛んになり、遺伝子の個人差を調べ、薬の種類や量を決める「テーラーメード医療」も実現するであろう。日本の研究は水準が高くすそ野も広いが、ビジネス面の立ち上がりが遅れている。

【 2003年市場の現状 】
●研究支援市場は2003年見込2,092億円で、受託サービス、バイオインフォマティクス市場は前年比10%以上の伸びを示している。解析機器・試薬市場はDNAシーケンサー(遺伝子配列解析装置)市場の落ち込みにより2003年は前年比5%の伸びに留まっている。全体としては前年比10%弱の伸びは示しているが市場は落ち着きつつある。この市場は大型プロジェクト(遺伝子多型解析などの国家プロジェクト)が一段落したため、全体として伸び率は減少傾向にある。特に解析機器・試薬市場の伸び率の低下が目立つ。

*解析機器・試薬市場
 市場の牽引役であったDNAシーケンサーの伸び率が減少する。大幅な伸びが期待されたDNAチップ、ラブオンチップ(遺伝子、蛋白解析用電気泳動システムをマイクロ化、オート化したシステム)が小幅に留まる見込みのためである。装置で伸びているのは蛋白分析を行う質量分析装置である。
試薬で伸びているのは遺伝子発現抑制システムとして現在注目されているRNAi(特定の遺伝子の蛋白発現を抑制することにより、遺伝子の機能解析を行う方法)と細胞シグナル伝達関連試薬である。

*バイオインフォマティクス市場(データベース、ソフトウェアを使用した遺伝子、蛋白解析の方法)
 ハード市場は減少傾向にあり、ソフトウェア、それに伴うシステム開発の市場も減速しつつあるため、各社ともデータベース、Webサービス、受託解析に注力している。

*受託サービス市場
 主力のオリゴ合成の伸びは価格競争により減少傾向にあり、遺伝子のシーケンスも同様な傾向にある。そのため各社ともDNAチップなどの遺伝子発現解析、蛋白合成、蛋白解析に注力している。また解析機器企業の自社のシステムを使用した受託サービスへの新規参入が目立つ。

●医療市場は新製品の発売がなく低迷していたが、2003年見込では5,060億円で、メイン市場であるバイオ医薬品の分子標的治療薬や抗体医薬が伸びたため前年比10%近い伸びを示した。

*バイオ医薬品
 新製品がなく低迷していたが、分子標的治療薬「イレッサ」「ハーセプチン」「リツキサン」、抗体医薬「ノレミケード」の伸びによって2003年は10%近い伸びが見込まれる。

*モノクローナル抗体診断薬
 免疫血清検査市場がメイン市場で、保険点数の引き下げなどで低迷している。2002年以降伸び率が増加したのは、インフルエンザ抗原キットが伸びたためである。

*遺伝子診断
 2001年に日赤がHCV(C型肝炎ウイルス),HBV(B型肝炎ウイルス),HIV(エイズウイルス)の3項目をPCR(遺伝子増幅法のひとつ)法で実施することになったため、大きな伸びを示したが、その後は新規項目の上市がなく低迷している。


【 バイオ事業の将来市場 】
●研究支援市場は2010年予測3,070億円で2003年見込みから47%市場が拡大すると予測する。
*解析機器・試薬市場
 DNAシーケンサーによって大きく伸びてきた市場であるが、普及の限界に来ており今後の伸びは期待出来ない。またDNAチップ、ラブオンチップも市場全体を牽引できるほどの伸びはない。蛋白解析の質量分析装置はある程度伸びるが、今後蛋白分野で画期的なシステムの開発がない限り市場は5%程度の伸びに留まると思われる。

*バイオインフォマティクス
 ソフトウェア、システム開発、データベース、Webサービス、解析受託を中心に今後2〜3年は8%前後の伸びは期待出来るが、ターゲットとなる製薬企業が限定されているため、2007年以降は5%程度の伸びになると予測される。

*受託サービス
 遺伝子発現解析、蛋白解析を中心に今後2〜3年はまだ伸びると思われるが、需要の見込める多型解析(塩基の差異によるヒトの個性を解析するもので、薬剤感受性、生活習慣病の予防などの応用が期待されている。)が本格的にならないこと、メインターゲットとなる製薬企業が限定されるため、2007年以後は5〜6%の伸びになると推測した。

●医療市場は2010年予測8,100億円で、2003年見込みから60%市場が拡大すると予測する。
*バイオ医薬
 本格的なゲノム創薬にはまだ時間が掛かると思われるが、抗体医薬、分子標的治療薬を中心に今後2〜3年は10%以上の伸びが期待出来る。

*モノクローナル抗体診断薬
 メインの市場である免疫血清検査市場が伸びないため、今後の市場は微増と思われる。

*遺伝子診断市場
 既存項目の伸びは期待出来ないが、感染症、癌などを中心とした薬剤感受性検査の市場が少しずつ立ち上がるため、ある程度の市場の伸びは期待出来る。

・調査報告書の構成
 この報告書は3章構成。
 第1章は、バイオビジネス市場の現状をまとめた。2000年から、2003年までの市場規模推移を分析して、分野別・企業別の現状をまとめた。企業別売上とその2003年の伸び率を示した。
 第2章では、バイオビジネス市場の将来についてまとめ、企業別のバイオ事業戦略をまとめた。
 第3章では、研究支援市場の代表的企業32社と、医療市場の代表的企業19社のケーススタディを各企業2−3ページで解説した。

・調査方法
 当社専門調査員によるバイオ市場の代表的企業51社への面接取材による情報収集をベースに、各種公開データ、既刊資料を使用して分析した。

調査時期:2003年9月〜11月

資料タイトル:「バイオ関連市場2003」