(AAー酢酸 続き)

2002/5/1 信越化学発表                                     
「日本酢ビ・ポバール株式会社」が正式発足

 本年2月25日に記者発表を行った通り、平成14年5月1日、「日本酢ビ・ポバール株式会社」が正式に発足した。同社は、
信越化学工業株式会社(東京都千代田区)とユニチカ株式会社(大阪市中央区)が、共同で行ってきた酢ビ・ポバール事業のそれぞれの販売部門と本事業の生産子会社2社(信越酢酸ビニル株式会社、ユニチカケミカル株式会社、2社とも大阪府堺市)の統合会社で、5月1日に会社登記を行ったもの。
 本件は、信越化学工業(株)とユニチカ(株)のシナジー効果を強化するための事業統合であり、「日本酢ビ・ポバール株式会社」は、酢ビ・ポバール業界の業界トップクラスとしての存続を目指す。なお、代表取締役社長には、旧信越酢酸ビニル株式会社代表取締役社長の岡本浩一氏、代表取締役専務には、元ユニチカ化成品事業本部長、豊西重和氏が就任した。

「日本酢ビ・ポバール株式会社」の概要は以下の通り。
■統合会社の概要

  社名 : 日本酢ビ・ポバール株式会社
  JAPAN VAM&POVAL CO.,LTD(略称JVP)
  所在地 : 本社:大阪府堺市築港新町3丁11番地の1
   TEL: 072-245-1131 FAX: 072-245-8144
  資本金 : 20億円
  株主 : 信越化学工業(株) 50%、ユニチカ(株) 50%
  代表者 : 代表取締役社長 岡本 浩一
  事業内容 : 酢酸ビニルモノマー、ポバール、その他カルボン酸ビニル、酢酸の生産・販売

(2002/02/25 信越化学工業発表)

酢ビ・ポバール事業の統合に関するお知らせ

 当社は、ユニチカ株式会社(兵庫県尼崎市)と昭和43年以来共同で酢ビ・ポバール事業を行ってきましたが、激変する経済環境に対応して収益力を強化するため、平成14年5月1日から両社それぞれの販売部門と生産子会社2社(
信越酢酸ビニル株式会社、ユニチカケミカル株式会社)を統合し、「日本酢ビ・ポバール株式会社」(概要は末尾添付)として発足させることとしました。
 これに伴い、当社は、平成14年2月22日開催の取締役会において、当社の酢ビ・ポバール販売部門を分割して信越酢酸ビニル株式会社に承継すること、信越酢酸ビニル株式会社とユニチカケミカル株式会社が合併して「日本酢ビ・ポバール株式会社」と商号変更すること、日本酢ビ・ポバール株式会社に対する当社とユニチカ株式会社の出資比率をそれぞれ50%とするために、当社・ユニチカ株式会社間で信越酢酸ビニル株式会社とユニチカケミカル株式会社の株式を相互に売買することを決定いたしましたので、お知らせいたします。


(ご参考)統合会社の概要

1.社名   日本酢ビ・ポバール株式会社
2.本社、工場所在地   大阪府堺市
3.資本金   20億円
4.株主   信越化学工業株式会社50%、ユニチカ株式会社50%
5.事業内容   酢酸ビニルモノマー等のカルボン酸ビニルモノマー及び
ポリビニルアルコールの製造及び販売
6.代表取締役   岡本浩一(現、信越酢酸ビニル株式会社代表取締役社長)
豊西重和(現、ユニチカ株式会社化成品事業本部長)
7.従業員   約170名
8.年商   約100億円
9.能力   酢ビ120,000トン/年、ポバール40,000トン/年

 


信越酢酸ビニル株式会社は、エチレン法による酢酸ビニルモノマーの製造会社として、信越化学工業(株)とユニチカ(株)により1968年12月に設立されました。

1970年6月の操業開始以来、絶えずコストダウンに努め、反応熱回収システムの確立、ユーティリティ設備の改善などによって省資源・省エネルギーを図ってきました。現在では世界屈指の高能率を誇る工場になっています。

当社は、製品の酢酸ビニルモノマーを姉妹会社ユニチカケミカル(株)にポバール原料として供給するとともに、信越化学工業(株)、ユニチカ(株)を通じて一般用途向けにも販売しています。

 


<クラレポバール>の概要

ポバールの生産

 ポバールは1924年にドイツで発明され、日本で発展した樹脂です。日本は世界一のポバール生産国であり、なかでもクラレは最大量(世界の約25%)を生産しています。ポバールはエチレン、酢酸、酸素から合成された酢酸ビニルモノマーを原料とし、重合とけん化反応を行って生産されます。
 1950年代のポバール量産当初は、原料の酢酸ビニルはアセチレンから生産されていましたが、1960年代の終わりごろから、酢酸ビニルは石油由来のエチレンから生産され始めました。現在では、<クラレポバール>の原料の酢酸ビニルは、すべてこのエチレン法が採用されています。


1) 重合反応(Polymerization)
 酢酸ビニルモノマー(VAc)分子を幾つもつないで、ポリ酢酸ビニル(PVAc)にする反応を重合反応といいます。酢酸ビニル分子のつながった数を重合度であらわします。重合度はポバール水溶液の粘度、皮膜の強度に大きく影響します。この重合度の段階で他のモノマーを共重合させることが可能であり、これによりポバールの物性を変えることができます。

2) けん化反応(Saponification)
 ポリ酢酸ビニルの酢酸基を水酸基に置き換えポバールを合成する反応をけん化(鹸化)反応といいます。ポバール中の酢酸基と水酸基の合計数に対する水酸基の百分率をけん化度であらわします。けん化度の高い順に完全けん化、中間けん化、部分けん化ポバールなどといいます。ポバールのけん化度は水への溶解性、皮膜の耐水性などに影響を与えます。



2001/7/9 クラレ

クラリアント社PVA関連事業の買収について

 当社は、クラリアント社のポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルブチラール(PVB)事業を買収することを決定し、本日クラリアント社と契約を締結致しました。
 ドイツ・フランクフルト近郊のヘキスト工業団地に本拠を置くこの事業は、PVA及びPVBの生産・マーケティングにおいて欧州市場のリーダー的な存在であります。なお、両社は本件に関する取引条件については開示しないことで合意しております。またこの買収は所管当局の正式な承認を受けた後に実行されます。

 本件は、PVA、EVOH(商標:<エバール>)、ビニロン繊維(クラロン及び<クラロンK-II>)、及びビニロンフィルム等に代表される当社の“基幹事業”の1つである“酢ビ・ポバール系事業”を拡大する戦略に合致したものです。長年にわたって培われた経験を生かして当該事業を一層拡大するとともに、事業に携わる全ての従業員に明るい希望をもたらすものと確信しております。これまで当社は“酢ビ・ポバール系事業”をコア中のコア事業として強化、拡大して来ました。この買収により、欧州における当社のプレゼンスを飛躍的に高め、当該事業をグローバルに展開致します。

 当社はPVA、EVOH、ビニロン繊維及びビニロンフィルム等における世界のリーディングカンパニーであり、この買収によってその地位をさらに高めることができます。当社は国内に2工場(岡山県岡山市・新潟県北蒲原郡中条町)とシンガポールに合弁で1工場を持っておりますが、これによりグローバルな成長に不可欠な第4の生産拠点を獲得することになります。
 加えて欧州における酢ビ・ポバール系の川下事業への展開も図ります。

 一方、買収による様々なシナジーも期待できます。日欧の有機的な連携により、研究開発の強化、及び効率化を推進します。さらには既存の生産拠点もあわせた適地生産によって、競争力を強化するとともに、国内で開発、生産する差別化銘柄の欧州市場での拡販に繋げていきます。

 買収後の事業運営に当たっては、当社の欧州統括会社であるクラレヨーロッパGmbHの下に新会社を設立し、全ての従業員を受け入れる予定です。

1.新会社の概要

  (1)社名(予定) : Kuraray Specialities Europe GmbH
  (クラレ スペシャリティーズ ヨーロッパ)
 
  (2)資本金 : 未定 → 2,000万ユーロ 
 (*クラレヨーロッパ社100%出資)
  (3)社 長 : 未定 →Dr.Gerd Lepper
  (4)本 社 : 未定 →ドイツ・フランクフルト
  (5)工場所在地 : Frankfurt, Germany  
  (6)事業内容 : PVA及び関連製品の製造・販売  
  (7)生産能力 : PVA 50,000トン/年
  PVB 16,000トン/年
 
  (8)従業員 : 約250名(現在の従業員は全員新会社が引き継ぐ)
  (9)年間売上高 : 2003年度目標 約180億円  

2.買収時期 所管当局の正式承認後

3.PVAの主な用途 繊維用糊剤・紙加工剤・接着剤・PVB など

4.PVBの主な用途 自動車及び建築用安全ガラス中間膜・特殊塗料・特殊接着剤 など


(参考資料)

 株式会社クラレ PVA生産能力 : 

日本 124,000トン/年
シンガポール
(ポバールアジア)
40,000トン/年(内、当社分20,000トン)

ポバールアジア社 POVAL ASIA Pte Ltd

1996年 4月   クラレ・日本合成化学工業が合弁でシンガポールでの現地生産決定
1996年10月   50/50JV ポバールアジア社設立 (97年9月 Pulau Sakraで建設着工)
1999年 4月   ポバールアジア社生産開始
    PVA生産能力 :40,000トン/年(各社20,000トン)

 


化学工業日報 2002/7/17

クラレ、PVA樹脂のグローバル展開を強化

 クラレは、ポリビニルアルコール(PVA)樹脂のグローバル展開を強化する。欧州では2005年までに、クラリアントから買収した独フランクフルト工場をボトルネック解消により生産能力を
年7000トン増強、さらに10億−20億円を投資し1万3000トン増強することで合計2万トンの増産体制を構築する。現在、欧州向けに年間1万トンを輸出しているが、能力増強により現地生産体制を強化する。シンガポールでは年内にも次期増設を見定めるとしており、現状の4万トンから6万トン超体制を視野に検討していく。既存の日米欧ア市場だけでなく、とくに中国市場開拓に力を注ぎ、世界トップのポジションを確固たるものとしていく。

 


2003/08/28 クラレ

欧州におけるPVA樹脂生産設備の能力増強について

 当社は2001年12月に設立した欧州現地法人クラレスペシャリティーズヨーロッパ社(KSE社所在地:ドイツ・フランクフルト)において、PVA樹脂(KSE社商標:Mowiol)の欧州市場での需要拡大・用途開拓に対応するため、現有設備能力を年産20,000トン増強し、
年産70,000トンとすることを決定しました。増強工事は2005年初までに完了・稼動する予定です。

 PVA(ポリビニルアルコール)は、1950年に当社がビニロン繊維原料として世界で初めて工業化した特殊樹脂です。その後、水溶性などのユニークな特性を生かした用途開発により、繊維糊剤、紙加工剤、接着剤などに広く用いられています。また自動車フロントガラスの強化フィルム等に用いられるPVB樹脂や、液晶ディスプレイの部材として欠かせない偏光フィルムの原料などとしても、将来にわたる成長が期待されています。

 当社グループはクラレ岡山事業所(岡山市)、同中条事業所(新潟県中条町)、ポバールアジア社(シンガポール)、KSE社の4拠点で合計194,000トン/年の生産設備を有するリーディングカンパニーです。当社グループはPVA樹脂およびその周辺事業(EVOH樹脂「エバール」、ビニロン繊維、新合成繊維「クラロンK−II」など)をコア事業と位置付け、中長期的な拡大・強化を図っています。

 KSE社は、
クラリアント社のPVA関連事業を当社が2001年12月に買収して設立した生産販売会社です。設立以来、欧州において独自の用途開発・販路開拓を進めてきた旧クラリアント社の技術力・マーケティング力を継承し、順調に事業を伸長させています。
 当社グループとしては、KSE社が保有する高度なノウハウと、PVA樹脂のパイオニアとして長年培ってきた当社のノウハウを融合し、新たな商品・新たな用途を創出することで、PVA関連事業のいっそうの拡大を実現していく考えです。

●クラレスペシャリティーズヨーロッパ社での設備増強の概要

  場所 ドイツフランクフルト
  生産能力 現状年産   50,000トン
今回増強 +20,000トン  完了2005年初予定
計年産    70,000トン
  設備投資額 約30億円


【参考資料】

1. PVA樹脂の年間需要量(当社推定)
  世界需要  50万トン強(中国除く)
        約90万トン(中国含む)
   
2. PVA樹脂の主な用途
  ビニロン繊維原料、繊維加工剤、紙加工剤、接着剤、乳化安定剤、フィルム(光学用・繊維包装用他)、PVB樹脂原料など
   
3. クラレグループのPVA樹脂地域別生産能力(年産)
  クラレ岡山事業所・中条事業所   
ポバールアジア社(*)        
クラレスペシャリティーズヨーロッパ社
計                      
124,000トン
 20,000トン
 50,000トン
194,000トン                 
ポバールアジア社(クラレと日本合成化学工業(株)の合弁生産会社)は総生産能力40,000トン、うちクラレ引取り分が20,000トン。
   
4. クラレスペシャリティーズヨーロッパ社の概要
 
(1)名称 Kuraray Specialities Europe GmbH
(2)本社  ドイツフランクフルト                           
(3)生産能力 PVA樹脂“Mowiol”(モヴィオール) 
PVB樹脂“Mowital”(モヴィタール)
年産50,000トン
年産20,000トン
(4)社長  Dr. Gerd Lepper(ゲルド・レッパー)
(5)資本金  20百万ユーロ(*クラレヨーロッパ社100%出資)
(6)従業員  約250名
     
    * クラレヨーロッパ社:クラレ100%出資の欧州統括会社

 


2002/09/19 千代田化工建設  

千代田化工建設、中国向けに自社技術の酢酸製造法をライセンス供与

 千代田化工建設(本社:横浜市、社長 関 誠夫)は、中国貴州省にある貴州水晶有机化工(集団)有限公司との間で自社技術の酢酸製造プロセス(ACETICARプロセス)のライセンス供与、及びPDP(プロセス設計図書作成)契約を締結した。酢酸生産規模は年産
36,000トン。本ライセンス供与はACETICARプロセスの商業化第1号で、当社が引き続き設計、機器調達、及び建設/試運転に係わるスーパーバイジング/技術指導業務等も行っていくことで基本合意されている。

 貴州水晶有机化工(集団)有限公司は最近まで、水銀法により酢酸を製造していたが、排出される各種汚染・有害物質のうち無機・有機水銀を含む排水の環境への影響が、問題となっていた。水銀排出問題の根本的解決策は水銀を使用しないプロセスを導入することであり、本プロジェクトは貴州省猫跳河流域環境総合対策の一環として同工場を水銀を使用しないプロセスにて建設するもの。

 ACETICAR プロセスは当社が開発に成功した新しい
メタノール法酢酸製造プロセスであり、独自に開発した触媒の下、原料メタノールと一酸化炭素が高収率で酢酸に転換される。同触媒の使用により従来のメタノール法に比べ、(1)触媒の取扱いが容易、(2)高い反応器生産性、(3)副生物生成の低減、(4)腐食性の大幅な低下、といった特徴がある。又、ユニークな気泡塔ループリアクターの採用によりスチーム、電力消費量を大幅に低減することができる。

 酢酸は化学繊維、ペットボトル等の原料となる酢酸ビニル、PTA(高純度テレフタル酸)の素材原料として世界的に需要の堅調な伸びが見込まれる。当社は引続きWTO加盟を契機に海外資本の投資が一段と活発となる中、有望なマーケットとして注目を集めている中国を重点地域としてとらえており、今回の受注を契機に同プロセスの需要にはずみがつくものと期待している。

 なお、当社は過去中国で30を超えるプロジェクト遂行実績を積み、特に近年はEPCにおいて業界屈指の実績を誇ると共に、いずれも無事故無災害による遂行で、その高い技術力、プロジェクト管理能力がメジャーを始めとする日欧米顧客に高く評価されている。

 


2003/04/17 昭和電工/協和醗酵工業

酢酸エチル生産の合弁会社設立について

 昭和電工株式会社(本社:東京都港区、社長:大橋 光夫、以下「昭和電工」)と協和発酵工業株式会社(本社:東京都千代田区、社長:平田 正、以下「協和発酵」)は、関係官庁のご了解をいただくことを前提として、
酢酸エチルの生産を目的とする合弁会社(以下「新会社」)を2003年8月を目処に設立することに合意いたしましたので、下記の通りお知らせいたします。新会社は、2004年4月より営業運転を開始する予定です。

 なお、新会社は酢酸エチルの生産活動のみを営むもので、
販売活動は従来通り両社が独自に行います。

1.新会社設立の背景 

 酢酸エチルは、印刷や塗料等の作業環境を改善する溶剤として近年需要が増加しており、今後とも特にトルエン、キシレンなどの芳香族溶剤の代替品として、日本を含むアジア地区の需要増が見込まれている製品です。

 今回の合意は、今後の需要伸長を勘案し、大分コンビナート内での酢酸エチルの生産を数年来模索してきた昭和電工と、化学品事業の構造改革を推進し、生産能力増強と収益性の改善を目指す協和発酵の事業戦略が合致したものです。

 また、今回の計画は、2001年夏に休止した
昭和電工大分コンビナート内の(アセトアルデヒド法)酢酸生産設備を酢酸エチル生産設備に転用することで設備投資額を圧縮し、年産10万トンという世界的な規模の生産設備を共有することによって、高い競争力を有する製品の生産を実現する、「酢酸エチル事業強化策」です。


2.新会社の概要 

  ・会社名   :日本酢酸エチル株式会社(仮称)
  ・本社所在地   :大分県大分市大字中の洲2 (昭和電工 大分コンビナート内)
  ・設立予定日   :2003年8月(予定)
  ・営業運転開始日   :2004年4月(予定)
  ・資本金   :4億円
  ・出資比率   :昭和電工 55%  協和発酵 45%
  ・役員構成   :取締役昭和電工 3名   協和発酵 2名
  ・事業内容   :酢酸エチルの生産
  ・設備能力   :年産10万トン

3.両社の事業戦略

 昭和電工は、酢酸エチルを有機化学品事業の基幹製品の一つと位置づけており、現在、徳山事業所(年産15万トン)と昭和エステリンド・インドネシア社(年産5万トン)で合計20万トンの生産能力(アジア地区第1位、世界第2位)を有しております。

 今回の合意により、大分コンビナートにおいてエチレン〜アセトアルデヒド〜酢酸エチルの一貫生産体制を整えることで、生産能力および競争力増強を図ります。


 昭和電工は、2003年度を初年度とする中期経営計画「プロジェクト・スプラウト」において、「石油化学事業」を再構築事業と位置づけておりますが、本件のようなアライアンスやエチレンプラントの効率化によるコストダウン、有機化学品の競争力強化等を果敢に実施し、更なる収益力強化を進めてまいります。

 協和発酵は、事業ポートフォリオの考え方のもと、化学品事業の構造改革を積極的に進め、事業の収益性改善に鋭意取り組んでおりますが、とりわけ酢酸エチルは、環境に優しい溶剤として今後とも需要増が期待できる製品の一つとして位置づけております。
 今般の合弁会社設立により、本製品の安定供給体制ならびにコスト競争力が一層強化されることとなり、協和発酵の溶剤事業が更に発展を遂げるものと確信しております。
 
 協和発酵は、今後ともライフサイエンスをベースとした医薬事業などの中核事業の強化、拡大を図ることは勿論のこと、化学品事業の構造改革を進めることにより、「協和発酵グループ」全体としての企業価値の増大に邁進する所存です。


2004/04/13  昭和電工/協和醗酵工業

酢酸エチル生産設備の竣工について
http://release.nikkei.co.jp/detail.cfm?relID=69522

 昭和電工株式会社(本社:東京都港区、社長:大橋 光夫、以下 昭和電工)と協和発酵工業株式会社(本社:東京都千代田区、社長:松田 譲、以下 協和発酵)が2003年8月に設立した、酢酸エチルの生産を目的とする合弁会社 日本酢酸エチル株式会社(本社:大分県大分市、社長:西本 浩)は、この度生産設備を完成させ、順調に生産を開始いたしました。

 本日、両親会社社長をはじめ関係者約80名の出席の下、竣工式を行いましたのでお知らせいたします。

 酢酸エチルは、印刷や塗料等の作業環境を改善する溶剤として近年需要が増加しており、特にトルエン、キシレンなどの芳香族溶剤の代替品として、日本を含むアジア地区での需要増が見込まれています。

 このため、昭和電工と協和発酵両社は「酢酸エチル事業強化策」として、2001年夏に休止した昭和電工大分コンビナート内の酢酸生産設備(アセトアルデヒド法)を酢酸エチル生産設備へ転用することにより設備投資額を圧縮するとともに、年産10万トンという世界的規模の生産設備を共有することによって、高い競争力の実現を図ります。

 昭和電工大橋社長並びに、協和発酵松田社長は、竣工式において以下の通り挨拶をいたしました。

【昭和電工株式会社 取締役社長 大橋 光夫】
 酢酸エチルは、当社石油化学事業部門におけるコア事業であります。このプラントが順調に稼動することにより、当事業のさらなる飛躍が可能となります。当社は、共同出資者である協和発酵工業(株)と協力しつつ、総力を挙げて、日本酢酸エチル(株)の運営に惜しみない支援を行っていく所存であります。
 県、市をはじめとする、地域の皆様方のこれまでのご支援に感謝するとともに、今後ともご支援、ご鞭撻をお願い申し上げます。

【協和発酵工業株式会社 取締役社長 松田  譲】
 本年4月1日より新生・協和発酵ケミカル(株)が発足しました。同社の溶剤事業において酢酸エチルはコア製品と位置付けており、この競争力を有する大型プラントが稼動を開始したことにより将来の事業発展に大きく寄与するものと確信しております。
 昭和電工と当社の技術の粋を集めて作られたこの設備の設計・建設に携わった方々の努力および県や市地域の皆様方のご支援に感謝しますとともに、今後とも両社の共同事業が更に発展すべくご指導の程よろしくお願いいたします。

(ご参考)
 日本酢酸エチル株式会社の概要
  ・会社名:日本酢酸エチル株式会社
  ・本社所在地:大分県大分市大字中の洲2 (昭和電工(株)大分コンビナート内)
  ・設立日:2003年8月20日
  ・営業運転開始日:2004年4月 1日
  ・資本金:1億円
  ・出資比率:昭和電工(株) 55%
          協和発酵ケミカル(株) 45%
          (2004年4月1日協和発酵工業(株)より協和発酵ケミカル(株)へ承継)
  ・代表者:取締役社長  西本  浩 (昭和電工(株)常務取締役石油化学事業部門長)
  ・役員構成:取締役昭和電工 3名協和発酵 2名
  ・事業内容:酢酸エチルの生産    
  ・設備能力:年産10万トン


日本経済新聞 2004/8/2

クラレ 食品包装樹脂 米生産2倍に

 クラレは透明なケチャップのチューブやゼリーのカップなど主に食品包装に使うガス遮断性樹脂を増産する。約165億円を投じて米テキサス州の子会社に生産ラインを増設、年間生産能力を現在の約2倍の4万7千トンにする。完成予定は2006年3月。自動車用ガソリンタンクや床暖房用パイプなどに用途が拡大、需要が増えているのに対応する。
 クラレは「エバール」の商品名で世界で販売、シェア7割を握る。ベルギー、岡山事業所(岡山県岡山市)でも生産しており、全体の年間生産能力は2006年度に8万1千トンになる見通し。
 ガス遮断性樹脂は酸素などを通常のポリエチレンより通しにくくした。クラレは高機能品を開発しており、柔軟性を高めたタイプは米国のスーパーなどに並ぶ生肉の包装で需要増が続いている。耐熱性を高めたタイプはレトルト包装への浸透を目指す。


Platts 2004/11/8                発表

Japan's Kuraray to buy Rutgers's polyvinyl butyral film business  ポリビニルブチラール

Japan's Kuraray Co Ltd has agreed to buy the polyvinyl butyral film business of Germany's Rutgers AG, Kuraray said in a press release Monday. Rutgers' PVB film division is currently part of HT Troplast AG, a subsidiary of Rutgers AG, and would be sold to Kuraray Specialities Europe GmbH, a fully owned subsidiary of Kuraray.

Sales in Troplast's PVB film segment are estimated at Eur100-mil ($129-mil) annually. The companies hope to proceed with the deal as soon as they secure approval from the German government, which was expected within two months. Kuraray declined to comment on the financial aspects of the deal. PVB film is used in glass for automobiles and buildings to prevent cracking and shattering. The acquisition fits into Kuraray's strategy to broaden its downstream chain in Europe, where it plans to expand its polyvinyl acetate resin plant in Frankfurt, Germany by 40% to 70,000 mt/yr by early 2005.


2004年11月8日 クラレ

HT Troplast社 PVBフィルム事業の買収について
http://www.kuraray.co.jp/release/2004/041108.html

 当社は、ドイツHT Troplast(トロプラスト)社のポリビニルブチラール(PVB)フィルム事業を買収することを決定し、同社の親会社であるRUtgers (ルトガー)AG社と契約を締結しました。

 当事業はドイツ・トロイスドルフ(ボン近郊)に本拠を置き、合わせガラス*用中間膜の生産・開発・販売において世界の13%のシェアを持ち、特に欧州の建築用途においてはリーディングカンパニーの位置にあります。
 本件は、PVA、EVOH(商標名「エバール」)、ビニロン繊維、ポバールフィルム等に代表される当社の基幹事業のひとつである“酢ビ・ポバール系事業”を重点的に拡大する戦略に合致したものです。

 当社は“酢ビ・ポバール系事業”の強化拡大の一環として、2001年12月にクラリアント社(ドイツ)のPVA・PVB樹脂事業を買収し、事業継承会社として設立したクラレ スペシャリティーズ ヨーロッパ社(KSE社)において事業を運営しています。2003年8月には同社においてPVA樹脂の設備増強に着手し、欧州市場の需要拡大、用途開拓に対応するべく体制を強化しています。

 HT Troplast社のPVBフィルム事業は、KSE社が運営するPVB樹脂事業とは50年に及ぶ取引関係にあります。今回の買収により、当社グループは原料PVAからPVB樹脂、同フィルムに至る一貫体制を確立し、“酢ビ・ポバール系事業”のダウンストリーム展開を強化します。さらに研究開発の一元化、シナジー効果の発現により、成長する欧・米・アジアの建築用・自動車用合わせガラス市場の多様なニーズに的確に対応し、中長期的な事業拡大に繋げていきます。

 本件を通じ、当社は“酢ビ・ポバール系事業”のグローバルリーダーとして、欧州における市場プレゼンスを高めるにとどまらず、日・欧・アジアの有機的な連携により世界市場における拡大・強化をいっそう加速させてまいります。
 なお、この買収は所管当局の正式な承認を受けた後に実行されます。

HT Troplast社(HT Troplast AG )PVBフィルム事業の概要 
 所在地 : ドイツ トロイスドルフ(Troisdorf)
 売上高 : 約1億ユーロ
 従業員 : 約250名
 事業所 : ドイツ、ロシア(生産子会社)、米国・マレーシア・インド(以上販売子会社)

注*合わせガラス:
 2枚のガラスの間に、PVBフィルムを貼り合せた3層構造を持つ特殊ガラス。衝撃を受けてもひび割れや飛散を起こしにくく、自動車フロントガラスや建築用に使用される。

株式会社クラレ概要
(1)社長 : 和久井康明
(2)本社 : 東京都千代田区大手町1-1-3
(3)売上高 : 332,149百万円(2003年度)
(4)資本金 : 88,955百万円(2003年3月末)
(5)主要事業 : ポバール樹脂・「エバール」樹脂及びその他関連製品、ビニロン繊維、
          イソプレン化学製品、メタクリル樹脂、人工皮革、ポリエステル繊維、
          不織布、メディカル製品

クラレ スペシャリティーズ ヨーロッパGmbH概要
(1)名称 : Kuraray Specialities Europe GmbH
(2)社長 : Dr. Gerd Lepper(ゲルド・レッパー)
(3)本社 : ドイツ フランクフルト
(4)資本金 : 20百万ユーロ(*クラレヨーロッパ社100%出資)
(5)従業員数 : 約250名
(6)主要事業 : PVA樹脂、PVB樹脂の製造・販売
(7)生産能力 : PVA樹脂“Mowiol”(モヴィオール) 年産50,000トン
          (05年初 増設完了予定  増設後 年産70,000トン)
          PVB樹脂“Mowital”(モヴィタール)年産20,000トン
  *クラレヨーロッパ社:クラレ100%出資の欧州統括会社

RUtgers 社概要
(1)名称 : RUtgers AG
(2)代表者 : Chairman of the Supervisory Board:Professor Dr. Utz Hellmuth Felcht
        CEO:Dr. Heinz Rzehak
(3)本社 : Essen, Germany
(4)売上高 : 2,491百万ユーロ(2003年度)


2004/11/25 日本合成化学

クラリアントポリマー株式会社の株式の取得(子会社化)に関するお知らせ
http://release.nikkei.co.jp/detail.cfm?relID=87303&lindID=4

 当社は、平成16年11月25日開催の取締役会において、クラリアントポリマー株式会社の株式を取得し、子会社化することを決議いたしましたので、下記のとおりお知らせいたします。

1.株式の取得の理由
 クラリアントポリマー株式会社は、当社大垣工場に隣接し、主に塗料・接着用途向けの酢ビエマルジョン等の水系エマルジョン、エマルジョンパウダーを製造、販売しています。
 今般、同社の親会社であるクラリアントジャパン株式会社より、同社の発行済全株式の譲渡に関する申し入れがあり、検討を進めてまいりました。

 当社としては、
1) スペシャリティ事業の柱のひとつである粘・接着樹脂事業におけるシナジー効果ができること、特に環境問題の高まりによる溶剤系から水系事業への展開にあたって、同社の技術力が活用できること
2) 原料(酢酸ビニル)からの一貫生産体制による競争力の強化が図れること
3) 大垣工場に隣接している地理的条件から、一体運営による効率化が見込まれること
等、当社の粘・接着樹脂事業の拡大と安定的な収益の確保につながると判断いたしました。

2.異動する子会社(クラリアントポリマー株式会社)の概要
(1)商号:クラリアントポリマー株式会社
(2)代表者:代表取締役社長 カール・フリードリッヒ・グラウン
(3)所在地:東京都文京区本駒込二丁目28番8号
(4)設立年月:昭和37年5月
(5)主な事業の内容:化学工業製品の製造・販売
(6)決算期:12月
(7)従業員数:110名(平成15年12月31日現在)
(8)主な事業所:大垣工場(岐阜県大垣市)、静岡研究所(静岡県小笠郡)
(9)資本の額:2億7千万円
(10)発行済株式総数:27,000株
(11)大株主構成および所有割合:クラリアントジャパン株式会社(100%)
(12)最近事業年度における業績の動向:
            平成14年12月期     平成15年12月期
   売上高      5,111百万円       4,869百万円
   営業利益       186百万円         191百万円
   経常利益       107百万円         114百万円

3.株式の取得先
(1)商号:クラリアントジャパン株式会社
(2)代表者:代表取締役社長 中藤 雄幹
(3)本店所在地:東京都文京区本駒込二丁目28番8号
(4)主な事業の内容:化学工業製品の製造・販売
(5)当社との関係:資本関係・人的関係はありません。

4.取得株式数、取得価額および取得前後の所有株式の状況
(1)異動前の所有株式数        ― 株(所有割合  ―%)
(2)取得株式数           27,000株
(3)異動後の所有株式数     27,000株(所有割合100%)
(4)取得価額            知的財産権を含め総額2,400百万円

5.日程
 平成16年11月25日  取締役会決議
 平成16年11月30日  株券引渡し期日

6.今後の運営
(1)商号の変更
 平成17年1月1日より、
ニチゴー・モビニール株式会社へ変更する予定
(2)代表者の変更
 代表取締役社長 渡辺 敬一(当社常務取締役)
 平成16年11月30日付就任予定

7.今後の見通し
○ 子会社化後の連結業績見通し
               平成17年3月期
   連結売上高    75,000百万円
   連結営業利益    3,200百万円
   連結経常利益    3,200百万円
   連結当期純利益  1,300百万円

(注)平成17年3月期は、子会社化後1ヶ月しかないため連結業績への影響は軽微です。
   平成18年3月期の見通しについては、原油価格等が高騰している現時点では先行不透明なため、
   作成しておりません。


2005/3/14 信越化学

日本酢ビ・ポバール株式会社の完全子会社化について
http://www.shinetsu.co.jp/j/news/s20050315.shtml

 信越化学工業株式会社(以下信越化学、社長:金川千尋)は、ユニチカ株式会社(以下ユニチカ、社長:大西音文)との折半出資でポリビニルアルコール及び酢酸ビニルモノマー等の製造・販売の日本酢ビ・ポバール株式会社(以下日本酢ビ・ポバール、社長:岡本浩一)を運営して参りましたが、この度ユニチカ保有の株式を全量買い取り、3月31日付けで信越化学の完全子会社化することでユニチカと合意致しました。今回信越化学が取得する株式は275万株で、その取得価額は約70億円です。

 今回の完全子会社化は、日本酢ビ・ポバールを信越化学と一体化させることで、同社の事業運営のスピードアップを図り、信越化学の有機合成事業の一翼を担う存在として事業を拡大させて行くことを狙いとしております。今後、日本酢ビ・ポバールは信越化学グループの100%子会社として、これまで培ってきた生産技術力・開発力・販売力の更なる向上を図り、収益力の強化に努めて参ります。

<参考情報>
対象会社の概要(2005年3月14日現在)
(1)会社名:日本酢ビ・ポバール株式会社
(2)本社・工場所在地:大阪府堺市
(3)代表者:代表取締役社長 岡本浩一
(4)設立:2002年5月1日
  (同社は、1968年12月設立の信越酢酸ビニル株式会社とユニチカケミカル株式会社を統合したもの)
(5)事業内容:ポリビニルアルコール及び酢酸ビニルモノマー等の製造及び販売
(6)決算期:3月
(7)資本金:20億円
(8)売上高:約120億円

※ポバール:ポリビニルアルコールの略称。水溶性の高分子樹脂で、繊維や紙の加工剤、接着剤、フィルム、合わせガラスの中間膜などに用いられる。


化学工業日報 2005/9/6

日本合成化学、LCD偏光板用PVAフィルム倍増設完了

 日本合成化学工業は、液晶ディスプレー(LCD)用偏光板向けポリビニルアルコール(PVA)フィルムの増設が完了、このほど本格稼働を開始した。同社大垣事業所(岐阜県大垣市)に年間1300万平方メートルの新規設備を導入、生産能力をこれまでの倍となる同2500万平方メートルに拡大した。今後ユーザー各社からの使用認定を得ながら、3年内のフル稼働を目指す。次期増設についても新立地での生産などを含め、今後検討していくとしている。

 日本合成化学は、主力製品であるPVAおよびそのダウンストリームとして各種PVAフィルムの展開を強化している。とくにLCDの主要部材である偏光板向けのPVAフィルムについては、LCD市場の急速な拡大にともない、ここ数年経営資源を積極的に投入してきた。

 同社はPVAの国内大手メーカーであるとともに、以前、偏光板そのものを生産していたことなどから、2001年、大垣事業所において偏光板向けの光学用PVAフィルムの新規設備を導入、それまでクラレがほぼ独占供給していた同市場へ本格参入した。これまで、年間1200万平方メートルの第1系例のみで生産を行っていたが、昨年春、安定供給体制確立のため、25億円を投じ第2系列の建設に着手した。増設設備は大型液晶テレビなどディスプレーの大型化にあわせ、フィルムの広幅化をはじめ、高耐久性、高コントラストなどの高品質化に対応できるラインとなっている。


2005/11/16 昭和電工

酢酸・酢酸ビニルの生産能力を増強

 昭和電工株式会社(高橋恭平社長)は、合成繊維や接着剤の原料として使用される酢酸および酢酸ビニルについて、来年上期の当社大分コンビナート定期修理時に増強し、現在、酢酸10万トン、酢酸ビニル12万トンの年産能力を、増強後はそれぞれ13万トン、17万5000トンとします。この増強により、当社は東南アジア地区において、アセチルチェーン(酢酸・酢酸ビニル・酢酸エチル等)の競争優位を確固たるものにいたします。

 当社は大分コンビナートにおいて、独自に開発した製造プロセスであるエチレン直接酸化法により酢酸の生産を行っております。今般、当プロセスに使用する触媒を改良して活性の向上を図ると共に、運転条件の最適化による触媒の長寿命化を達成いたしました。これにより、酢酸の生産能力は現行比30%増の年産13万トンとなります。酢酸は酢酸ビニル、高純度テレフタル酸、アセテート等の原料として使用されており、需要は年率5%程度増加しています。特に、東南アジア向けを中心とする輸出は年率10%の伸びとなっており、今後も堅調に伸長することが見込まれています。

 また、酢酸ビニルにおいては、生産工程のボトルネックの解消と触媒の改良により、現行生産能力比46%増の年産17万5000トンとします。世界的に需給がひっ迫する中、ビニロン繊維や偏光フィルムに使用されるポバール向け等の需要増加が予想されており、今後も堅調に伸長する見込みです。

 当社は、石油化学分野の中核事業であるオレフィンと、その誘導品であるアセチルチェーンの生産技術の深化と事業強化を図ってきました。アセチルチェーンに関しては、当社独自技術による“コンパクト”かつ“副産物発生の少ない”プロセスを実現し、初期投資とランニングコスト両面における競争優位を実現しました。今後も、大分コンビナート、徳山事業所、関係会社である昭和エステリンド・インドネシアの3生産拠点体制により、積極的な事業展開を図ってまいります。

【ご参考】当社グループのアセチル製品の生産能力(トン/年)

  現能力 新能力 増加   備考
酢酸 大分  100,000  130,000  30,000  30%  
酢酸ビニル  大分  120,000  175,000  55,000  46%  
酢酸エチル 大分  100,000  100,000   −  − 日本酢酸エチル
徳山  150,000  150,000   −  −  
インドネシア   50,000   50,000   −  − PT.昭和エステリンド・インドネシア
(300,000) (300,000)   −  −  

 


平成19年12月19日 クラレ

持分法適用関連会社POVAL ASIA PTE LTD.の株式取得(子会社化)に関するお知らせ

 当社は、平成19 年12 月19 日開催の取締役会において、持分法適用関連会社POVAL ASIA PTELTD.(シンガポール 以下PA 社)の全株式を取得し、子会社化することを決議いたしましたので、下記のとおりお知らせいたします。

1. 株式の取得の理由
 当社は平成8 年に当社子会社Kuraray Singapore Pte., Ltd.と日本合成化学工業株式会社(以下 日本合成社)の子会社NIPPON GOHSEI Singapore Pte Ltd.(以下NSP 社)と合弁でPA社を設立し、これまでアジア市場を中心に汎用ポリビニルアルコールを供給してまいりました。
 近年、ポリビニルアルコール市場は新興国の需要拡大等に伴い、世界的に逼迫状況にあります。
 また樹脂としての用途の多様化、品質要求の高度化に加え、フィルム・繊維等の原料樹脂としての需要拡大が進んでいます。
 かかる状況下、当社としてはポリビニルアルコール系事業のグローバルな総合展開を図る上で、PA 社を完全子会社としてアジアの生産拠点と位置付け、従来の汎用品に止まらず高付加価値品を含めた柔軟な供給体制の構築を目指すべきと判断しました。
 こうした事業戦略を踏まえ、NSP 社が保有するPA 社全株式(50%)を当社が平成20 年1 月31 日付で取得することで日本合成社と合意にいたりました。

2. 異動する子会社の概要
(1)商 号 POVAL ASIA PTE LTD.
(2) 代 表 者 取締役社長 山本 忠宏
(3) 所 在 地 10 Sakra Avenue Singapore 627887
(4) 設 立 年 月 日 平成8 年10 月1 日
(5)主な事業の内容 ポリビニルアルコールの製造・販売
(6)発行済株式総数 40百万株 (当社所有割合 50% *間接所有を含む)
(7)決 算 期 12月31 日
(8)資本金 27,775 千US$
(9)最近事業年度における業績の動向
            平成17 年 12 月期   平成18 年 12 月期
   売上高        106,168千US$      98,603千US$
   経常利益        1,347千US$       1,190千US$
   当期純利益        980千US$       1,254千US$
   総資産         79,962千US$      73,411千US$
   純資産         32,732千US$      32,526千US$

3. 株式の取得先
(1)商 号 NIPPON GOHSEI Singapore Pte Ltd.
(2)代 表 者 取締役社長 井上浩一
(3) 本 店 所 在 地 16 Raffles Quay, #32-03 Hong Leong Building, Singapore 048581
(4)主な事業の内容 シンガポールにおける関係会社への出資、アジアにおけるポリビニルアルコールの販売
(5)資 本 関 係 当社との関係なし

4. 取得株式数、取得価額および取得前後の所有株式の状況
(1)異動前の所有株式数 20 百万株(所有割合 50%) *間接所有を含む
(2) 取 得 株 式 数 20 百万株
         *取得価額につきましては、秘密保持契約に基づき、開示を控えさせていただきます。
(3)異動後の所有株式数 40 百万株(所有割合 100%) *間接所有を含む

5. 日程
平成19 年12 月19 日 当社取締役会決議
平成20 年 1 月31 日 株券引渡し期日(予定)

6. 今後の見通し
本株式取得はPA 社の決算期後に実施するため、当社の当期連結業績に与える影響はありません。
なお次期以降の連結業績に与える影響は軽微に止まる見通しです。


2008/12/3 積水化学

合わせガラス用中間膜の原料生産能力を拡大
−欧州原料拠点のオランダ工場に第2工場を増設−

 積水化学工業株式会社の高機能プラスチックスカンパニーは、合わせガラス用中間膜の原料樹脂生産工場であるオランダ工場に、2系列目となる新ラインを増設します。
 当社は、合わせガラス用中間膜の製造・販売をグローバルに展開しており、特に自動車向けの中間膜は世界で42%(2007年度、当社推測)のトップシェアを誇ります。

1.背景
 当社の中間膜は、アジアを中心とした新興国における自動車生産台数の増加や、自動車1台あたりのガラス面積の拡大に対応して生産量を増加してきました。また、車内の快適性向上に寄与する当社の高機能中間膜(遮音膜、遮熱膜、遮音・遮熱膜)への需要は日本や欧米といった先進国を中心に増加しています。
 現在、当社の遮音膜は全世界で販売される新車の6台に1台の割合(2008年度見込み、当社推測)で採用されており、この割合は年々増加しています。この状況を受け、近年は生産能力の増強を図り、中間膜の高機能化を進めてきました。滋賀水口工場には高機能中間膜専用ラインと原料樹脂生産ラインを、また、中国工場には製膜ラインを増設することを決定しています(2008年7月8日発表)。
 また、自動車フロントガラス用の新製品を開発し(「ヘッドアップディスプレイ用高機能中間膜」「ルーフ部一体型フロントガラス用中間膜」 2008年10月1日発表)、市場のニーズに応えてきました。

2.オランダ工場 原料樹脂生産ライン増設
 現在、当社の中間膜生産工場は高機能中間膜の需要増加を背景に、フル生産を続けています。今後も採用車種の拡大など需要の増加が見込まれます。これを受け、当社は今後の中間膜の生産能力増強に合わせて、その原料樹脂についても増産する必要があると判断、約100億円を投じ、欧州の原料供給拠点であるオランダ工場に2系列目となる原料樹脂生産ラインを増設することを決定しました。
 このライン増設により、2010年7月の稼動時には1,500万台分/年の能力増強を実現します。

[ オランダ工場(原料工場)の概要 ]
・生産品目 :PVB(ポリビニルブチラール)
・生産能力 :1,200万台分/年 ⇒ 第2ライン稼動後は2,700万台分/年
・敷地面積 :約1.4万u
・設   立 :2007年1月
・所 在 地  :オランダ国リンブルグ州ヘレーン市
・運   営 :SEKISUI S-LEC BV(積水化学工業鰍P00%出資)

3.事業目標
 2010年度に自動車市場における中間膜のグローバルシェア44%を目指します。


中間膜の生産拠点一覧

  工場名 場所 稼動時期 生産品
中間膜 滋賀水口工場 滋賀県甲賀市 1960年 通常膜、遮音膜、遮熱膜、遮音・遮熱膜
メキシコ工場 メキシコ・クエルナバカ市 1971年 通常膜
オランダ工場 オランダ・ルールモンド市 1997年 通常膜、遮音膜
タイ工場 タイ・ラヨン県 2002年 通常膜
中国工場 中国・江蘇省蘇州市 2004年 通常膜
アメリカ工場 アメリカ・ケンタッキー州 2007年 通常膜、遮音膜
原料 滋賀水口工場 滋賀県甲賀市 1960年 PVB(ポリビニルブチラール)
オランダ工場 オランダ・ヘレーン市 2007年 PVB(ポリビニルブチラール)