韓国DONGBU ADEKA CORP.の子会社化
―東部グループ保有の株式60%を買収・買収金額は約11,000
百万ウォン―
旭電化工業株式会社は、現在DONGBU
ADEKA CORP.(東部アデカ)〔韓国〕の株式30
%を所有しておりますが、韓国の東部グループが所有している同社株式60%を約11,
000 百万ウォンで買い取ることで、基本的に合意するはこびとなりました。
これにより、今後供給面でも需要面でも重要な地位を占める東アジア(日本・中国・韓国・台湾)四カ国での当社拠点構築が、近々始まる中国の当社現地法人である阿洒旭精細化工(上海)有限公司工場建設の完工をもって、第一段階を終了する事になります。
また、樹脂添加剤に限らず当社化学品全般での東アジア全体におけるカバーネットワークが出来る事になり、連携と相互補完を強め、アジア事業を強化していきます。また、この東アジアの拠点網が、既に進出している米国・欧州に対しても有機的な役割を果たしていくことが予想されます。
当社樹脂添加剤事業の対象である韓国のプラスチックス分野の市場は、800
万トンと日本(1,000 万
トン)に近い市場規模です。韓国の樹脂添加剤市場は、約500
億円と想定されますが、当社が韓国で注力する分野はその半分である約250
億円市場です。
現在DONGBU ADEKA CORP.
の主な事業は、汎用樹脂用添加剤の生産ですが、子会社化後は汎用品のみでなく、高機能特殊添加剤の生産が可能なように、又、PCV
用安定剤の生産も視野に入れた形に組替えていく予定です。
現在、当社は東部アデカの販売、日本及び台湾(長江化学)からの輸出の合計で韓国樹脂添加剤市場で約12%のシェアーですが、今回の子会社化により当社の事業方針に基づく経営に転換し、2010
年には韓国内シェアー40%に迄高め、韓国でナンバーワン樹脂添加剤メーカーを目指してまいります。
東部アデカ概要 アデカファインケミカル・コリアと改名
@ 資本金 60 億ウォン
(現在) (今後)
東部ハンノン 35% 〉東部グループ 60% 東部精密化学 25% 当社 30% 日商岩井 10%
} 当社 90% 日商岩井 10%
A 本社・工場
本社:ソウル 工場:全州
B 従業員数 社長・パート除き41 名
C 売上・損益 (単位:百万ウォン)
2002年予想 売上高
15,000
経常利益
1,400
当期利益
1,100
配当
15%
D 生産販売品目 フェノール系汎用添加剤(3 タイプ)
当社の海外進出状況
設立・竣工年月 | 会社名(国名) | 取扱製品 |
1975/10 | FELDA OIL
PRODUCTS SDN.BHD. [マレーシア] |
パーム油の精製分別 |
1988/7 | ASAHI DENKA (SINGAPORE)PTE.LTD.[シンガポール] | 食用加工油脂および関連食品の製造 |
1989/10 | 長江化学股■有限公司[台湾] | 合成樹脂用添加剤の販売 |
1991/4 | シンガポール営業所 [シンガポール] |
化学品の販売 |
1991/11 | DONGBU
ADEKA CORP. (東部アデカ)[韓国] |
合成樹脂用添加剤の製造・販売 |
1992/10 | PALM ‐
OLEO SDN.BHD. [マレーシア] |
パーム油、脂肪酸およびグリセリンの製造・販売 |
1994/3 | AMFINE CHEMICAL CORP.[米国] | 合成樹脂用添加剤の製造・販売 |
1995/11 | ADEKA (THAILAND)CO.LTD.[タイ] | 合成樹脂用添加剤の製造・販売 |
1999/4 | ASAH
DENKA EUROPE GmbH [ドイツ] |
化学品・食品の製造・販売・輸出入 |
2000/4 | ASAHI DENKA KOREA CORP.[韓国] | 化学品・食品の製造・販売・輸出入 |
2000/9 | ADEKA PALMAROLE SAS [ フランス] | 樹脂添加剤その他の化学品の製造・販売 |
2000/10 | AMFINE
CHEMICAL CORP. ケンタッキー新工場[米国] |
合成樹脂用添加剤の製造 |
2001/12 | 阿洒旭電化(上海)有限公司[中国] | 化学品・食品の製品および原材料の輸出入 |
2002/4 | 国都化工(昆山)有限公司[中国] | エポキシ樹脂・ポリウレタン等の製造・販売 |
2002/8 | 阿洒旭精細加工(上海)有限公司 [中国] |
機能性樹脂、樹脂添加剤、電子・情報化学品、洗浄殺菌剤などの製造・販売 |
日本経済新聞 2003/6/24
発表
中国で樹脂添加剤製販 旭電化、台湾社と合弁で
旭電化工業は中国で樹脂添加剤事業に進出する。台湾の総合化学大手、長春グループと合弁で上海市と江蘇省に工場を建設し、酸化防止剤や難燃剤などを製造・販売する。投資額は合わせて20億円。中国に進出した日系の化学メーカー向けを中心に販売し、2005年度に80億円の売り上げを目指す。
上海には旭電化が75%、長春グループが25%出資する「艾迪科(あでか)精細化工(上海)」を設ける。建設中の工場は9月の稼働予定で、年産能力は8千トン。
江蘇省常熟市には折半出資で「艾迪科精細化工(常熟)」を設立し、2004年1月に年産能力2万トンの工場を稼働する。
添加剤は強度や難燃性を高めたり、酸化防止などの機能を付与するために樹脂に混ぜる化学品。両工場は水道管などに使う塩ビ向けや、自動車のバンパーなどに用いるポリオレフィン用の添加剤を中心に製造する。
中国ではインフラ整備や家電、雑貨などの生産が盛んなため、プラスチック樹脂の需要が年率20%以上成長しているという。
旭電化は上海に機能性樹脂などを製造する工場を建設中で、9月に稼働の見込み。この工場での添加剤の生産も検討しているが、需要が急増しており専用工場が必要と判断した。
樹脂添加剤の中国展開
台湾大手化学メ−カ−・長春グル−プと共同で2
つの合弁設立
旭電化工業株式会社は、ここ1年余りの間に、阿洒旭電化(上海)有限公司、阿洒旭精細化工(上海)有限公司、国都化工(昆山)有限公司と、3 つの会社の設立を行うなど中国への積極展開を進めていますが、さらに樹脂添加剤事業で、台湾の大手化学メーカー・長春グループと、中国において新たに2 つの合弁会社を設立することに合意いたしました。
1.江蘇省常熟市には、長春グループの進出先である沿江工業区内に、当社と長春石油化学との出資比率50:50 で「艾迪科精細化工(常熟)有限公司」(注1)を設立します。第一期としては、ホスファイト系抗酸化剤、難燃剤などの製造・販売をする計画です。すでに台湾政府による計画の認可を4 月末に受け、中国での設立申請も5 月末に認可されました。工場の完成は2004 年1 月の予定です。董事長は当社常務取締役谷川潤、総経理は長春石化が指定します。第一期生産能力は、ホスファイト系抗酸化剤10,000t/y,難燃剤10,000t/y です。
2.上海市金山区には、当社100%の子会社である阿洒旭精細化工(上海)有限公司の進出先に、当社と長春人造樹脂廠との出資比率75:25 による「艾迪科精細化工(上海)有限公司」(注2)を設立し、高機能の樹脂添加剤および塩ビ用の安定剤と特殊可塑剤を製造する計画です。董事長、総経理ともに当社から派遣することで合意しており、設立の時期などについては、上海市政府の指導を受けている段階です。現在建設中の阿洒旭精細化工(上海)有限公司の工場の全てが完成後、樹脂添加剤部門を分離して合弁会社を設立する方向で進んでいます。第一期生産能力は安定剤5,000t/y,特殊可塑剤3,000t/y です。
3.両社は第二期以降、汎用型製品は常熟に、また高機能型製品は上海に新・増設していくことで基本的に合意しています。また設備機器類を親会社からのリース方式とするか、自社設備とするかなどを詰めており、それによって両社の第一次資本金等の詳細が決定されます。
4.当社は海外での事業展開を、「1999 年から2001
年の中期経営計画期間中に強化された当社の経営基盤とその勢いを、2002
年から2005 年までの現中計期間中、およびそれ以降も持続し、更に発展するための重要なステップである」と位置づけております。具体的な指標としての海外連結売上は2002
年の178 億円(売上比率13%)を2005 年には340
億円(同20%)へ引き上げる計画です。当社はここ十余年の間、シンガポール、タイ、台湾、韓国、米国、フランス、ドイツなどに当社製品の製造乃至販売の拠点を設け、本年1
月末には当社が少数出資者(30%)であった韓国の東部アデカの株式の大部分(90%)を取得し、アデカファインケミカル・コリアと改名しました。
5.「世界の市場」となりつつある中国へ本格的に進出を果たすことは、現中期経営計画期間の海外戦略上最も重要な課題であると位置づけており、今回発表の事業展開の他、当社にとって樹脂添加剤とならぶコア事業である食品事業の進出に関しても現在計画を検討中です。
6.当社は長春グループとは20
年以上の関係を有し、これまでに塩ビ用安定剤、可塑剤、酸化防止剤、難燃剤などの技術供与をしてきました。1991
年にはこれらの製品の台湾および国外での販売を目的に両社で「長江化学」(本社台北、当社出資比率50%)を設立しました。同社はこれまで順調に伸長し、主に樹脂添加剤の世界戦略に重要な役割を果たしています。
(注 | 1) | 「艾迪科」は中国語でほぼ「アデカ」と発音します。(当社化学品の商標「アデカ」の中国語表記)。英文名は「Adeka Fine Chemical (Chang Shu)Co.,Ltd.」 |
(注 | 2) | 英文名は「Adeka Fine Chemical (Shanghai)Co.,Ltd.」 |
【参考】
(1)阿洒旭精細化工(上海)有限公司について | |
【社名】 | 阿洒旭精細化工(上海)有限公司 |
【資本金】 | US$8MM |
【出資】 | 旭電化工業株式会社100% |
【責任者】 | 董事長塚本公樹(旭電化工業・常務取締役)総経理関崎通郎 |
【生産品目】 : | (第一次) 塩ビ用安定剤、可塑剤、エポキシ硬化剤、プリント配線板用エッチングシステム、食品工場用殺菌洗浄剤 |
【土地】 | 上海市金山区金山嘴工業区26 号地 (75,000 平方米) |
【会社設立】 | 2002 年8 月 |
【工場稼動】 | 2003 年11 月 |
【売上、従業員】 | (3 年後)30〜50 億円、50 人 |
(2)長春グループと当社との関係 | |
【1981 年】 | 長春石化へ可塑剤(エポキシ系)のライセンス供与 |
【1989 年】 | 長春人造樹脂と合弁販売会社「長江化学」を設立(当社:長春人造樹脂=50:50) 長春人造樹脂に安定剤・可塑剤(ポリエステル系)のライセンス供与 |
【1991 年】 | 長春石化へ汎用樹脂添加剤のライセンス供与 |
【2000 年】 | 長春人造樹脂へ難燃剤のライセンス供与 |
(3)長春グループの概要 | |
中核は下記の3 社。グループの合計資本金は約480 億円、従業員3,900 名、売上1,650 億円。 | |
長春人造樹脂廠株式会社 | ||
: | 売上 | :460 億円 |
経常利益 | :46 億円 | |
資本金 | :120 億円 | |
董事長 | :林書鴻 | |
総経理 | :鄭信義 | |
1949
年に設立。新竹、高雄、大発と麦寮に工場(計約45
万平方米)。 紙フェノール銅張積層板、エポキシ樹脂、エポキシ樹脂成形材料、フェノール樹脂成形材料、メラミン樹脂成形材料、PBT エンジニアリングプラスチックス、PET 、絶縁紙、電子級ガラスファイバーチョップドストランド、ホルマリン、パラホルマリン、紙力増強樹脂、塗料用樹脂、繊維加工樹脂など |
||
長春石油化学株式会社 | ||
売上 | :450 億円 | |
経常利益 | :46 億円 | |
資本金 | :170 億円 | |
董事長 | :林書鴻 | |
総経理 | :林書鴻 | |
1964
年に設立。現在苗栗一、二工場、高雄大発工場と麦寮工場があり、全ての敷地面積が約100
万平方米。 主要製品は、ポリビニルアルコ−ル、PVA 、PVB 、氷酢酸、プチルアセテ−ト、エポキシ化大豆油、過酸化水素、酸化防止剤、メラミン、ピリジン、二アシン、ヘキサミン、トリメチロ−ルプロパン、ポリビニルアセテ−トエマルジョン、アクリル樹脂、半導体及び液晶TFT 関連化学品、銅箔など |
||
大連化学工業会社 | ||
売上 | :260 億円 | |
経常利益 | :18 億円 | |
資本金 | :50 億円 | |
董事長 | :林書鴻 | |
総経理 | :陳顕彰 | |
1979
年に南宝樹脂化学会社との共同出資により設立。現在、高雄大社、大発、麦寮、マレーシア、中国に五つ工場があり、敷地面積は約100
万平方米。 主要製品はビニルアセテ−トモノマ−、酢酸エチル、EVA エマルジョン、アリルアルコール、1,4−ブタンジオール、MPDO 、PTMEG などの高分子産品、塗料及び接着剤用の原料を生産 |